面白草紙朝倉薫VS安達龍真

夢と現実のはざまで

夜が白むまで

2007年09月18日 | Weblog
 直樹役の樋口昇平に付き合って安達竹彦と三人、稽古をしていたら何時の間にか朝の4時半になっていた。今年は短時間で集中する稽古にシフトしているのだが、今回は朝まで稽古が何回もある。特に在団9年目の樋口は何時になくしごいている。入団時80キロあった体重を50キロまで落とした樋口はさすがに体力不足だ。せめて60キロまで戻せと云っているが、いちど落とした体重は貧乏生活もあってなかなか戻らないらしい。

 片や安達竹彦に対しては7キロ落とせと厳命してあるので、三人で食事に行く訳にもいかず、稽古場で解散した。セットのことや、演出の細かいミスを考えていたら自宅の前を通りすぎてしまった。仕方がないので中新まで下りて新聞を買った。

 今日は午後から茂の声の録音、そして定例のボイストレーニング、18時からいよいよ舞台稽古。勝負は体力である。その体力を支えるのは気力、気力を生み出すのは愛である。さらに加えれば、愛は体力なしでは形にならないのです。

恐るべし俳優魂

2007年09月18日 | Weblog
 いよいよ稽古も終盤、今日は昼から延々稽古。
20時を過ぎようかとする時間、男組のクライマックス乱闘シーンの最中だった。英夫役の睦光一君が坂口刑事に一方的に殴られ、正光に助けを求めて叫ぶシーンで、アクシデントは勃発した。
 三発殴られた英夫がよろよろと立ちあがり、正光に、「正光ちゃん、僕は正光ちゃんに背中を向けて云々」が、「まふあみったん、びょきゅはまふあみったんに」と、睦くんの発音がおかしかったのでストップをかけた。崩れる様に倒れた睦くんの手には、たった今折れたばかりの前歯がしっかり握られていた。泣き笑いの顔に前歯は無かった。

 僕が止めなければ彼は芝居を続けていたのだ。何という役者魂、8月のワークショップが俳優人生のスタートだという25歳の新人にしては良い根性だ。

 生憎の休日だが、原宿のデンタルオフィスが21時まで開業していたので予約を入れてタクシーを飛ばした。1時間余で治療が済み、帰りの車中、「殺陣をなめて済みません」と、睦君が謝った。そして、「明日から命がけで稽古します」と、瞳を輝かせた。折れた歯が痛むだろうに、殴った相手にも泣き言恨み言ひとつ言わない。スタッフを惚れさせるのも芸の内だとすれば、彼は立派にその芸を身に付けている。まだまだ、芝居は荒削りだが、将来は有望である。そして、信頼はこういうアクシデントからも生まれる。

 イタリア語から生まれた(パン)を共に食べあう仲間(コン)が語源といわれるカンパニー。今回のカンパニーも最高の結束力です。初日は22日(土曜日)14時。是非、中野坂上のアトリエにお越し下さいませ。