面白草紙朝倉薫VS安達龍真

夢と現実のはざまで

東西南北、来世で会おう。

2007年09月11日 | Weblog
 劇団女優またか涼は、強度の方向音痴で、何度教えても東西南北が覚えられない。待ち合わせに平気で(当人は必死なのだろうが)60分も遅れてくる。叱ると、僕のナビが悪いと言い出す始末だ。「朝日が昇るのが東、夕陽が沈むのが西、東を向いて左手が北、右手が南だ」と、教えてもキョトンとしている。五百年前僕の一座にいた猿だったことは彼女に内緒だが、「本当に動物の勘を忘れてしまったのか」と、僕が悲しそうに言うと困った顔をする。ますます可愛い猿に思えて笑いがこみ上げるが、悟られない様に我慢する。

 今、乞われてテレビプロデユーサーM氏の演出する舞台の稽古に参加しているが、感心な事に、出かける前と終わった後に必ず報告の電話をかけてくる。が、3回に一回は迷子で遅れている。稽古場は毎回同じで3週間も通えば眼をつぶってでも行けるだろうと思うのは甘い。ある時は地下鉄の出口を間違え、ある時はビルの角を曲がり損ねる。公演は芝のブティストホールだと聞いているが、引率をつけた方が良いかも知れない。と、M氏に言う訳にもいかず困っている。

 明石家さんまさんが、病気になったことがないので病気の相談をされてもこまる、と、言っていたが、確かに、動物並みに方向感覚の良い僕には、またか嬢の勘の悪さが理解出来ない。大地震が起きたら必ずここに集合するんだと劇団員に伝えているが、またか嬢だけは無理かも知れない。残念だが来世で会おう、と言ってある。