面白草紙朝倉薫VS安達龍真

夢と現実のはざまで

屋根裏部屋に置き忘れたもの

2007年09月17日 | Weblog
 肥後の守(ひごのかみ)という小刀を御存知だろうか?昭和30年代の小学生なら皆筆箱(これも古いなあ、今ならペンケースか)に必ず入れて鉛筆を削ったり工作の竹を切ったりした、刃渡り10センチもない切りだしナイフのことだ。

 ハガネも粗悪で、砥石で研ぎつづけると刃先がどんどん擦り減ってしまう。当時は大量生産されていたのでとても安かった記憶がある。

 今回のアトリエ公演「男たちの日記」では、その肥後の守が重要な小道具となるが、東京ではなかなか見つからないので、捜すのに苦労している。どなたかお持ちだったら是非譲っていただきたい。

 九州熊本の実家に帰れば屋根裏部屋に何本も錆びついて転がっていると思うが、耳の遠くなった93歳の父に電話をかけても埒があかない。

 母が逝って8年、足は遠のくばかりだ。この夏も帰りそびれてしまった。劇団を立ち上げたとき、死に目に逢えないかもしれない親不孝は謝っておいたが、古い慣習の残る田舎町だ。バカ息子を持った父の辛い立場も理解出来る。

 屋根裏部屋に置き忘れたものはガラクタばかりではないかも知れない。時折、ふっと思うことがある。子供の頃の宝物は、今でも大切な宝物なのだ。