浅井久仁臣 グラフィティ         TOP>>http://www.asaikuniomi.com

日々の出来事から国際情勢まで一刀両断、鋭く斬っていきます。コメントは承認制です。但し、返事は致しませんのでご了承下さい。

私の視点 小沢さん、違うんじゃないの?

2008-10-29 09:59:03 | Weblog
 小沢民主党が迷走中だ。

 政権交代を狙う民主党は、解散総選挙を焦るあまり、今国会では本来であれば反対に回る法案に相次いで賛成。麻生総理に早期解散を迫った。

 だが、これは小沢さん、戦略を誤った。なぜなら、「負けると最初から分かっている選挙を自民党がやるはずはない」からだ。

 解散権を持つのは、皆さん御存知の通り、総理大臣の麻生氏である。その麻生氏は、総理になりたくて何度も総裁選に挑戦してようやく最高権力者の地位を得たばかり。各種世論調査で、自民党不利と伝えられれば、選挙に打って出たくはない。

 投票日が何回か噂されると、現職、新人を問わず、候補予定者たちは選挙区に飛び出した。各地に選挙事務所が開かれた。

 これは、野党だけでなく与党も同様だ。麻生氏は解散するつもりだと自民党の幹部たちは言い続けてきた。

 だが、私は疑いの眼差しを向けてきた。これまでの解散時期を巡る情報については、小沢一郎陣営の動きを探る陽動作戦の可能性が高かったと見ている。この辺りの事については、自民党をよく知る国民新党の亀井静香氏が「負け戦と最初から分かっているのに解散をやるはずがないじゃないか」と盛んに永田町で吼えていた。

 小沢民主党は、麻生自民党が逃げていると分かると、一転して国会審議の引き延ばしを図っている。だが、そのやり方は政権政党を目指す党がやる方法としてはいかがなものか。

 世界は今、金融恐慌という世紀の一大事に直面している。これは民主党だけではなく全ての政党に言えることだが、こんな時こそ、政局にうつつを抜かしているのではなく、国民に分かり易い政策・目標を明確に打ち出して、街に出て大衆に訴え、国会では堂々と政策論争を繰り広げるべき時である。

 そうすれば、我々有権者にも各政党の考え方や政党間の違いが分かり易くなり、政治への興味もわき、一緒に考えるようになる。

 政策論争には当然、これまで日本を「良い意味でも(これはほとんどない)悪い意味でも(数多ある)」変えてきたアメリカからの年次改革要望書(注)を取り上げることも作戦として必要だ。

 これまでアメリカからの「年次改革要望書」は、「郵政民営化」や「労働派遣事業の自由化」のいわば言いだしっぺだ。実質的には郵政事業や終身雇用制度を崩壊させ、アメリカの企業が日本で活動をしやすいように変えてきた。その最大功労賞があるとすれば、小泉元総理に与えられることは言うまでもないが、歴代の総理は全てそれに従ってきた、いや従わされてきた。

 だから、先日米通商部から送られてきた2008年度の改革要望書を基にして、小沢氏が総理になった暁には「普通の国(つまりは、アメリカからも独立した状態)」にすると言うのであれば、その辺りから国民を導いていって欲しいものだ。

 ちなみに、今年の改革要望書で目立ったのは、「最大残留農薬レヴェルの緩和」と「確定拠出型年金制度の拡大」だ。

 これは、「アメリカからの農産物の規制を緩めろ」「公的年金制度は廃止せよ」という脅しだ。農産物に関しては、農薬業界は言うに及ばず、遺伝子組み換え作物(GMO)の多国籍企業に利益をもたらすための圧力だ。また、公的年金については、廃止させて米国の金融業界にビジネスチャンスをもたらそうとする狙いだと考えて間違いはなかろう。

 これぞ小沢民主党を国民に知ってもらう千載一遇の機会と捉えるべきだ。民主党は今こそ堂々と持論を展開し、国民と共に国の方針を見定めていくべきだ。そうすれば、自ずと政権奪取への道は開かれる。

 旧態依然とした引き延ばし作戦をしているようでは、たとえ政権を握っても日本を明るい将来に導くことはできまい。小沢さん、今からでも遅くはない。方針を今一度洗い直して、これまでとは違う民主党の姿を見せてもらえないだろうか。

 ねじれ国会を利用して国会を混乱させて解散に持ち込もうとする作戦なんて小沢さん、くどいようですが間違ってますよ。