夫婦で新しい人生にトライしてます~日本編

15年ぶりにカナダから帰国。終の棲家と選んだ北海道美瑛町から日々の生活を綴ります。

ピンボケ質問

2023-09-07 07:59:27 | 日記

今、脚本家倉本聰さんの最新エッセイ「破れ星、燃えた」を読んでいます。8月19日に出かけた「富良野やすらぎの刻(とき)~倉本聰プライベートライブラリー」でまだ店頭に出ていないこの本に彼のサインを入れて100冊限定で販売したものを購入して来たものです。駆け出しのシナリオライターとして日本のテレビ事業と一緒にスタートした時代から、40代で富良野に移住し既に40数年を過ごしながら未だに第一線の脚本家としてテレビ、映画に作品を発表し続け、一方で富良野演劇工場を主宰し役者を育て上げている彼の半生記が面白可笑しく書かれています。高倉健や石原裕次郎との交流なども興味深いエピソードで綴られています。

まだ読書中なので内容についてはこの程度に留めますが、読みながら一つ、先の富良野でのトークショーで休憩中に質問を書くと彼がショーの中でそれに応えてくれるというので書いた質問が’いかにピンボケだったかを思い知らされる記述があったので今、恥じ入りながら思い返しています。

雪子さんが住んでいた拾ってきた家

私の質問はこういうものでした。「北の国からではたくさんの吹雪のシーンが使われています。昨年10月に美瑛町に引っ越して来て経験したのですが、この地域ではそれほど多く吹雪に会うことはないのですが、撮影の時には実際に吹雪が来るまで役者さん達を拘束して撮っていたのでしょうか?」彼の答えは極めて単純で「実際の吹雪も使ったが、多くは大型の扇風機で雪を飛ばして撮影した。」というものでした。確かに実際はそういうことでしょう。私の質問の背景には「それほど吹雪は多くはないこの地域で吹雪のシーンが多いことは地元の人に作り物のイメージを与えなかったか?」ということがあったのですが、それは彼には伝わらなかったようです。

それは何故か?この本を読んでいて納得しました。「北の国から」は彼の富良野での実生活がかなり色濃く反映しているようなのですが、撮影していた40年前の富良野は今のような地球温暖化の中での冬ではなくずっと過酷なものだったので吹雪など日常茶判事だったようです。富良野塾を立ち上げた頃の記述にこういうものがあります。「この冬のシバレは特に激しく、地球温暖化が進む前のことだから11月中旬にはマイナス25度、それが下旬に来た強力な冬将軍の襲来で、一挙にマイナス28度に下がり、それが一週間毎日続いた。そこへ猛烈な吹雪が吹きつけ、体感温度はマイナス30数度となる。その中でスタッフの鬼塚と森田は歯を喰いしばって丸太の皮を剥いた。のぞきに来た地元のJCの連中が呆れて、あんたあの人方死んじゃうよと云ったが、何とか死なずに生き延びた。」

時代が違い、地球温暖化で去年は12月までほとんど雪も降らなかった今とは比べ物にならない厳しさだったのですね。だから映画の中で吹雪のシーンが多いことも決して誇張ではなかったこと知り、自分の質問がいかにピンボケだったか思い知らされたのでした。同時に今の美瑛町でむしろ冬のほうが楽しいと思っている自分たちの生活が、地球温暖化という憂うべき現象ではありますが、恵まれていると思ってしまいました。まもなくやって来る今年の冬はどういうものになるのでしょう。

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