年金ふわふわ

年金についての執筆やセミナー講師を生業とするFP・社労士が
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徴収体制強化の効果も?

2014年05月29日 | 新聞連載記事
平成25年4月から26年2月までの11カ月分の国民年金保険料納付率が、60.2%と発表されました。
納付率の対象とされる自営業者など、国民年金の1号加入者は、25年末時点で約1800万人。うち34%ほどは免除や猶予制度の利用者なので、納付率の対象外です。

納付率は記録問題など、年金制度への不信感の高まりなどから、ここ数年間60%を割り込んでいました。25年度は5年ぶりに60%台に回復する見込みです。
この背景にはコンビニでも保険料を払える制度の導入、口座振替払いの割引制度の多様化、あるいは免除・猶予制度を拡充して、その利用を促すなどの取り組みがあると思われます。

また、最近は十分な所得がありながら、保険料を長期滞納している人に対する強制徴収にも力を入れていて、その効果も一定程度はあったのではないかといわれます。
納期限を過ぎても保険料を納めていない人には、電話や文書などによる納付督励が行われます。免除を利用できる可能性がある人には、免除を申請するよう勧奨されます。

その上で、十分な所得がありながら長期にわたって滞納している人には、最終催告状、督促状の送付という手順を踏んで、最終的に「差し押さえ」が実施されます。
25年度は1万件以上の差し押さえがありましたが、こういった徴収体制の強化については、その費用対効果から疑問視する向きもあります。

皆が納得して払えるよう、年金制度の信頼感を増す対策にも、さらに力を入れてもらいたいと思います。


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繰り下げ受給75歳まで検討

2014年05月23日 | 新聞連載記事
65歳から支給される老齢基礎年金と老齢厚生年金は、本人の希望によって65歳前から繰り上げ受給することができ、逆に66歳以降から繰り下げ受給することができます。

繰り下げ受給をすると、受給開始を遅らせた期間1カ月当たり0.7%ずつ年金額が増額されます。例えば66歳から繰り下げ受給すると、0.7%×12カ月で8.4%増額。70歳まで繰り下げることができるので、70歳から繰り下げ受給すると、0.7%×60カ月で42%増額です。

年金額は増額されますが、支給開始を繰り下げている間は年金が支給されません。70歳から42%増額された年金額を繰り下げ受給をした場合の累計額は、65歳から本来の年金額を受給した場合の累計額を、82歳ごろ追い抜きます。これを得と思うか損と捉えるかは人それぞれでしょう。

先ごろ田村厚生労働大臣は、現在のところ70歳までとされている繰り下げ受給の開始時期を75歳まで広げるという与党案を検討すると表明しました。

厚生労働省が発表した年金事業の概況によると、2012年度に新規に老齢基礎年金だけを受給し始めた人(老齢厚生年金がない人)約25万8000人のうち、65歳から通常受給した人が80.3%、繰り上げ受給した人が18.5%、繰り下げ受給をした人は1.2%です。

繰り下げ受給できるのは、繰り下げ中に年金が支給されなくても生活できる人です。現在の70歳までですら繰り下げ受給しない人がほとんどの中、これを75歳まで広げることを検討する意味があるのでしょうか。


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花は無心にして蝶を招く 蝶は無心にして花を尋ねる

2014年05月17日 | コーヒーブレイク
今日の新聞記事。お寺の門前に掲げられていた禅語だそうです。続けて…


「無心でする仕事。これが一番自然で美しく長続きして疲れず、世のためになり実も結ぶ。」

ああ、そうありたい。自分の思うがままに仕事できる、ありがたいこの身。であるがゆえに、煩悩が抑えられない。

人に褒められたい、評価されたい、喜ばれたい。自分自身が満足したい、さらにそのうえ金まで欲しい。



「人は、生まれたときに無心で、育つほどに無心が奪われる」。

そのとおり。恥ずかしながら煩悩の塊です。無心に帰りたい。

好きな仕事を好きにして、それが人のためになれば本望。

ああ、いかんいかん。まだ評価を求めている。

なかなか無心には帰れんなあ。

退職後の医療保険

2014年05月15日 | 新聞連載記事
会社員は、年金制度は厚生年金の加入者、医療保険は健康保険の加入者です。会社を退職すると年金制度は、60歳未満の者は国民年金の1号又は3号加入者とされ、60歳以上の者は加入者とされません。

医療保険は年齢にかかわらず、次の①~③のいずれかとされます。
 ①退職前の健康保険に2年間任意加入する任意継続被保険者
 ②家族が加入する健康保険の被扶養者
 ③住所地の市町村の国民健康保険の加入者

いずれも医療費の自己負担は3割、高額療養費の限度額も同じで、違いは保険料負担です。

②の被扶養者に保険料負担はなく、家族の保険料も増えません。ただし、60歳未満で年収130万円以上、60歳以上で年収180万円以上の者は、被扶養者になれません。
③の国民健康保険の保険料は、所得や加入者数などによって決められます。前年の所得によるので、退職前の所得が高かった場合はそれなりの保険料額になります。
①の任意継続被保険者の保険料は、退職時の給与に基づきます。在職中は会社と折半していた保険料を全額負担するので、原則として退職時の保険料の倍になります。ただし、その給与に上限が設けられており、保険料負担に上限があるのが特徴です。

退職前に、それぞれの保険料見込額を確認しておきましょう。問い合わせ先は、任意継続被保険者については加入中のけんぽ協会あるいは健保組合、国民健康保険については市町村の窓口です。


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免除期間の保険料の追納

2014年05月08日 | 新聞連載記事
自営業者など国民年金の1号加入者には、保険料免除制度があります。
「法定免除」は、2級以上の障害年金受給者などが法律上、当然に全額免除される制度。「申請免除」は、申請により、所得に応じて保険料の全額、4分の3、半額、4分の1が免除される制度です。学生を対象とした「学生納付特例」、30歳未満の者を対象とした「若年者納付猶予」制度もあります。

障害基礎年金と遺族基礎年金は、過去に免除期間があっても、あるいは免除中に死亡した場合なども、通常の年金額が支給されます。老齢基礎年金は、免除された期間と免除割合に応じて減額されます。学生納付特例期間と若年者納付猶予期間は、老齢基礎年金の年金額には反映されません。

老齢基礎年金の満額は、年額で772,800円(2014年度)。仮に、09年4月以降に3年間の全額免除期間があると、29,000円減額されます。3年間の学生納付特例期間があるときは、58,000円減額されます。

免除された保険料は、免除から10年以内であれば追納できます。追納時点から3年度以前の免除期間の追納額は、当時の保険料額に利息相当額が加算されますが、古い期間から少しずつ追納することもできます。

免除期間は、老齢年金を受給するために必要な25年以上の期間、あるいは障害年金や遺族年金の保険料納付要件など、支給要件については納付期間と同等に取扱われます。これが免除の最大の効果ですが、可能であれば追納も検討してみてはどうでしょうか。


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