年金ふわふわ

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傷病手当金の計算方法変わる

2016年02月25日 | 新聞連載記事
健康保険の傷病手当金と出産手当金は、今年4月1日分から支給額の計算方法が変わります。この機会に協会けんぽを例にして手当金制度について確認してみましょう。

傷病手当金と出産手当金は、健康保険に加入する会社員が病気やケガあるいは出産のために会社を休み、給料が支払われないとき、健康保険から支給されるお金です。会社や医師に必要事項を記入してもらった請求書を、自分で協会けんぽなどに提出します。

支給は1日単位です。傷病手当金は連続して3日間会社を休むと、4日目以降の休んだ日について支給されます。最長で1年6カ月間です。出産手当金は産前42日、産後56日の期間支給されます。

支給額は標準報酬月額に基づきます。標準報酬月額は健康保険の保険料や給付の基になるもので、毎年4月から6月までの月給の平均額によって決定され、月給が大きく変わらない限り9月から翌年8月までの1年間使われます。

傷病手当金も出産手当金も1日当たりの支給額は、標準報酬月額を30で割った日額の3分の2です。この場合の標準報酬月額は、今までは手当金支給開始日時点の額とされていました。これが、今年4月1日分以降は、支給開始日以前12カ月間の標準報酬月額の平均額に基づいて計算すると変更されます。

標準報酬月額はそう頻繁に、またそう大幅に変わるものではありませんが、計算方法の変更によって手当金の支給額が上下します。

学生納付特例制度の利用を

2016年02月18日 | 新聞連載記事
最近の厚生労働省の調査によると、20歳以上の学生のうち66%は学生納付特例制度を利用していて、22%は保険料を納付、残る約10%は未納状態です。今回は学生納付特例制度の特徴をまとめてみます。

学生も20歳からは国民年金が強制適用されます。2号や3号でなければ、保険料を納付しなければならない1号加入者です。保険料を納めないとその分、老後の年金額が減額され、障害年金が受給できなくなる恐れがあります。

ただ、学生はよほどの収入がある場合を除き、申請すれば保険料を納めなくてよい「学生納付特例制度」を利用できます。親の収入は関係ありません。これを利用しておけば、年金が受給できなくなることを防げます。障害基礎年金については、保険料を納めている場合と同じ年金額を受給できます。

ただし、学生納付特例期間は老齢基礎年金の年金額には反映されません。年金額に反映させるには、10年以内に保険料を追納します。2年以上経ってから追納する場合は、利息相当分を上乗せして納めなければなりません。

保険料が未納状態となっている学生は、ほとんどが申請すれば納付特例とされる人でしょう。申請窓口は住民票がある市区町村役場ですが、学生課などでも申請できる大学が増えています。毎年度、申請が必要ですが最大で2年1カ月さかのぼって特例期間とされるので、なるべく早めに申請しましょう。

国民年金保険料を口座振替で前納

2016年02月11日 | 年金ワンポイント
国民年金の1号加入者が、金融機関で現金で保険料を納めていたものを口座振替に切り替え、併せて今年4月分以降の保険料を前納しようという場合は、2月末までに申し込まなければなりません。

口座振替のメリットは、納め忘れを防げること、前納した場合の割引が大きいことなどです。現金納付を口座振替へ切り替えるには、日本年金機構のホームページからもダウンロードできる振替申出書を、年金事務所又は金融機関へ提出します。切り替えはいつでもできますが、振り替えが始まるのは申出した月の翌月以降です。

保険料は毎月、翌月末に口座から振り替えられます。この場合の保険料額は現金納付の場合と変わりませんが、当月末振替にすると50円割り引かれます。

現金納付も振替納付も、4月からの6カ月分あるいは1年分を前納できます。前納すると保険料が割り引かれ、振替のほうが現金より割引が大きくなっています。また、振替の場合は、割引が最も大きい2年分を前納することもできます。

前納期限(振替日)は4月末日、今年は週末にかかるので5月2日です。現金納付だった人が口座振替に切り替え、かつ前納をしようというときは、2月末までに申出書を提出しなければ間に合いません。

2年目からは変更手続きをしない限り、同じ振替前納が繰り返されます。残高不足の場合は、前納でなく割引のない翌月末振替になってしまいます。

年金から天引きされた税金の還付申告

2016年02月04日 | 新聞連載記事
先月の中旬以降、日本年金機構から老齢年金を受給している人に「源泉徴収票」が送られています。昨年受給した年金から天引きされた所得税額を知らせるものです。

障害年金と遺族年金は非課税ですが、老齢年金は税金がかかります。給料から税金が天引きされるのと同じように、老齢年金が振り込まれるつど所得税が源泉徴収されます。

所得税は、収入から各種の控除を除いた所得に対して課税されます。源泉徴収の段階で年金収入から控除されるのは、必要経費に相当する公的年金等控除、基礎控除や扶養控除などの人に関する控除、それに年金から天引きされた介護保険料や後期高齢者医療制度の保険料などの社会保険料控除です。

これ以外の所得控除がある人は、それを確定申告(還付申告)することによって、年金から源泉徴収された税金の還付を受けることができます。

現金で、あるいは口座振替で支払った社会保険料は、家族の分を含めて支払った人の収入から控除できます。年間の医療費が一定額を超えた人は、医療費控除を受けることができます。生命保険や地震保険に加入している人は、これらの保険料控除があります。この他、雑損控除や寄付金控除などがある人は、それらを申告することによって課税所得が少なくなり、その分の税金が還ってくるのです。

確定申告は2月16日からの1カ月間ですが、還付はその前に申告できます。