年金ふわふわ

年金についての執筆やセミナー講師を生業とするFP・社労士が
風の吹くまま気の向くまま 日々の出来事をつづる

60歳からの年金額が180万円!

2009年08月31日 | 年金相談あれこれ
ある60歳直前の女性が相談にみえました…とします。あくまでもフィクションです。

女性は大卒の公務員で、その60歳からの退職共済年金の見込額が、なんと180万円。ひゃくはちじゅうまんえん?!

いまの60歳からの年金額は、報酬比例部分だけです。その額は、40年近くサラリーマンとして厚生年金に加入してきた男性の場合であっても、まあ月額10万円、年額で120万円がいいとこ。180万円なんて逆立ちしたって無理。

『おかしいなあ、何かの特例で60歳から満額支給なのかなあ』と、声には出さずあくまでも冷静を装いつつアセりました。が、特例じゃなくて、この女性も報酬比例部分のみ。ただし、共済なので職域加算が加わっていますが。

にしても180万円はすごい。給料も高かったんでしょうが、これじゃあ官民格差、共済優遇と世間が怒るわけだ。

メディアの年金報道

2009年08月29日 | コーヒーブレイク
今朝、家を出るときにテレビでmino氏が年金について怒っていました。視界のはじでチラッと見ただけですから、何を怒っているのかまではわかりませんでしたが。

まあ、とくにあの人の場合はあれも芸のひとつですからいまさらですが、テレビをはじめとするメディアの年金の取り上げ方は(たぶん年金だけではないと思いますが)ピント外れの場合が多いです。

年金の本質、制度の全体像、あるいは制度運営上のやむを得ない事情などには一切触れず、一つの事柄だけを取り上げるセンセーショナルな報じ方。一事が万事と切って捨てるような言い様は、どうかなあと感じます。

時間の制約、視聴率の問題、あるいはそうやって単純化する利点がないわけではないことも理解できます。昔から存在したはずの記録問題だって、メディアが取り上げてくれたから対応せざるを得なくなったわけですからね。

ただ、とくにテレビの影響は恐ろしいほど大きいので、もうちょっと冷静かつ正確な報道を求めたいです。というか、そういうメディアに踊らされることなく、受け手の私が冷静に判断すればいいのか。


ねんきん定期便の見込額が合わない

2009年08月28日 | 年金ワンポイント
ねんきん定期便には、定期便を受け取った人が受給できる老齢年金の見込額が記載されています。50歳未満の人の見込額は、過去の加入期間に基づく額。この先の加入分は反映されていません。

これに対して50歳以上の人の見込額は、この先、60歳になるまで現在と同じ状況で加入し続けたものとしての見込額。現在と同じ状況というのは、たとえば自営業や専業主婦など国民年金にのみ加入している人は、今後も60歳になるまで国民年金の保険料を納め続けるものとして。また、サラリーマンは現在の給料で今後も60歳になるまで厚生年金に加入し続けるものとして…ということ。

厚生年金加入中の月給と賞与は、報酬比例の年金額に反映します。ということは、50歳以上の人のねんきん定期便の報酬比例の見込額は、今後も60歳になるまで現在の月給と賞与であったものとしての額だと思うのですが、これがどう計算しても記載の金額と一致しない。

どうも、この先の賞与の設定のせいのようですが、わからない。どうせ見込額なんだから多少のズレがあるのはあたりまえといえばそのとおりなんですが、一致しないつうのはなんか落ち着かない。

選挙結果と年金改革

2009年08月27日 | コーヒーブレイク
30日の選挙結果、楽しみですねえ。こないだの甲子園の決勝戦、中京大中京VS日本文理の最終回もハラハラしたけど、それの比じゃない。

私がどの政党を支持しているかは、選挙に影響を与えるので(←与えるかっ!)言いませんが、政権交代があってもなくても年金制度はまた改正があるのでせう。

私が年金の世界にかかわりだしたのは、平成6年の改正前後。60代前半の老齢厚生年金の、定額部分と加給の支給開始年齢引き上げが決まった改正のころです。その後、12年改正で残った報酬比例部分の支給開始年齢も引き上げられることとなり、16年改正では例のマクロ経済スライドが導入されました。

また、その間に未納・未加入問題や、現在の年金記録不備問題など、思わぬ地雷がドカンドカンと爆発したことはご存じのとおり。もちろん、これら以前にも改正はあったわけですが、私が年金にかかわりだした以降はとくに動きが激しい。

年金制度はスパンの長い制度ですから、改正されてもどうしても過去を引きずります。今の制度の根っこは、昭和61年の大改正前の旧法です。その旧法をベースにして、手直し手直しで今日まできたわけですね。

でも手直し、つまり改築はもう限界。いいかげん、古い家を取り壊して、時代にあった新しい家を新築する時期だと思うのですが。ちなみに、新しい家を建てても、今の受給者・加入者が全員そろって直ちに新しい家に引っ越しはできません。それが、過去を捨てきれない年金制度の宿命です。

なぜ年金を仕事に?

2009年08月26日 | コーヒーブレイク
社労士の中でも、年金を専業にしている人は…少ないでしょうねえ。年金に興味を持っている社労士は多いですが、一方で年金では喰えないというのもこの業界の常識。

社労士にとっての年金の仕事というと、たいていは銀行の年金相談。でも、以前と比べるとそのフィーも減って、それだけで人並みの収入は確保できない昨今だそうです。私は幸いにして年金をネタにした執筆や講師の仕事があるので、かろうじて喰えていますが、こんなのは珍しいほう。

そんな私のことをうらやましいという社労士もいますが、んじゃ、私が年金を仕事にしたきっかけは?と聞かれると、覚えていないんですよねえこれが。

私は元々は、工業高校機械科卒の図面屋。年金はおろか社労士とは縁もゆかりもない人間です。あるとき転身を図ってこの世界に進んだんですが、べつに社労士業がやりたかったわけではなく年金の仕事をしたいなあと思ったことは覚えています。そのために社労士資格を取りました。ですから、私にとって社労士は目的ではなく単なる手段。

じゃあなぜ、何にも知らなかったはずの年金に魅かれたのかというと…覚えていないんですよコレが。今の私からはウソみたいな話ですが、ほんとのことです。結果オーライだから、べつにいいんですけどね。