年金ふわふわ

年金についての執筆やセミナー講師を生業とするFP・社労士が
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70代前半の医療費負担2割に

2014年03月27日 | 新聞連載記事
70歳から74歳までの医療費の負担割合は、今まで1割に据え置かれていましたが、この4月以降に70歳になる人は2割とされます。
対象者にとっては、消費税の引き上げ、年金額の引き下げと合わさって、トリプルパンチです。

70歳から74歳までの医療費の負担割合は、8年ほど前の法律改正で、1割から2割へ引き上げると決められました。ところが、負担増となる高齢者などからの批判を受け、国は引き上げを凍結し、今日まで1割に据え置かれてきたのです。今回は、この特例措置をやめて、法律どおりの2割にするのです。

ただし、今まで1割だった人の負担が、2割に上がるわけではありません。2割負担とされるのは、次のとおり、今年4月1日以降に70歳になる人です。

【2割負担とされる人】1944年(昭和19年)4月2日以後生まれの人。
【1割負担のままの人】1944年(昭和19年)4月1日以前生まれの人。

今年4月1日時点で70歳以上の人、つまり今まで1割負担だった人は、4月以降も1割負担のままです。

70歳前の医療費の負担割合は3割。今回、2割負担とされる人は、70歳になる月までは3割負担、その翌月から2割負担です。
生年月日にかかわらず、後期高齢者医療制度の対象とされる75歳以後は、1割負担です。現役並み所得者は、75歳前もそれ以後も、3割負担です。

なお、同時に見直し予定だった、この世代の高額療養費の自己負担限度額引き上げは、今回は見送られました。


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付加保険料 みなし辞退申出の廃止

2014年03月20日 | 新聞連載記事
付加保険料の納付期間が、この4月から延長されます。

国民年金の1号加入者は、一般保険料に上乗せして月額400円の付加保険料を納付できます。付加保険料を納付した人には、65歳から老齢基礎年金に上乗せして、年額で「納付月数×200円」の付加年金が支給されます。

付加年金は、老齢基礎年金しか支給されない1号加入者が、任意でつくる上乗せ年金です。付加保険料を40年間納付すると総額で192,000円。この場合の付加年金は年額96,000円。保険料が安い代わり、年金額も多いとはいえませんが、付加年金を2年間受給すると、納めた金額を取り戻したことになります。

1号はいつでも付加保険料納付申し出ができます。申し出た月の分から、付加保険料を納付します。また、納付者はいつでも辞退申し出ができます。辞退申し出をした月の前月以降、付加保険料納付者でなくなります。

一般保険料も付加保険料も、納付期限は翌月末です。翌月末を過ぎても、一般保険料は2年以内であれば納付できますが、付加保険料は納付できなくなっていました。
これは付加保険料を滞納すると、翌月末に辞退申し出をしたものとみなされていたからです。その前月以降は納付者でないので、結局、滞納した月以後は納付できなくなっていたのです。

この「みなし辞退申し出」の取扱いが、3月31日で廃止されます。4月からは、納付期限である翌月末を過ぎても、付加保険料納付者であり続けます。付加保険料に滞納という事象が現れ、一般保険料と同じように、2年以内であれば納付できるのです。結果的に、付加保険料を納付できる期間が延びるわけです。


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さかのぼり免除期間伸びる

2014年03月13日 | 新聞連載記事
国民年金の1号加入者が保険料の免除を申請した場合、さかのぼって免除される期間が、この4月から伸びます。

1号の保険料は、月額15,250円(2014年度)です。納付期限は翌月末ですが、滞納した場合は、滞納から2年以内であれば納付できます。2年経過すると、時効によって納めることができなくなります。なお、15年9月までに限り、10年以内の未納保険料を納付できる「後納制度」が実施されています。

1号は所得が一定基準を下回る場合、申請することによって保険料納付が免除されます。免除期間(サイクル)は7月から翌年6月までの1年単位です。今までは免除を申請した月に応じて、次の期間が免除されていました。さかのぼって免除される期間は、申請月前の直近の7月まででした。

【1月~6月に申請】  前年7月から申請した年の6月までの1年間。
【7月に申請】      前年7月から翌年6月までの2年間。
【8月から12月に申請】申請した年の7月から翌年6月までの1年間。

今年4月以降に申請した場合、さかのぼって免除される期間は、何月に免除申請しても申請月から2年、より正確にいうと2年1カ月さかのぼって免除されます。これは滞納保険料を納付できる期間(保険料徴収権の時効)に合せたものです。申請月以後の免除期間は、今までと変わりません。

例えば今年4月に申請した場合は、12年3月までさかのぼって免除されます。なお、申請前に既に保険料を納付した月については、免除されません。


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法定免除者の納付申出

2014年03月06日 | 新聞連載記事
国民年金保険料の法定免除者は、今年4月から「納付申出」ができます。

自営業者などの1号加入者は、所得が一定基準を下回るとき、申請で保険料が免除されます。この申請免除とは別に、2級以上の障害年金を受給できるとき、生活扶助を受けるときなども法律上、保険料が免除されます。これを「法定免除」といいます。

免除期間は、年金を受給するために必要とされる加入期間に含まれます。老齢基礎年金額は免除された割合に応じて減額されますが、障害基礎年金や遺族基礎年金の額には影響ありません。

2級の障害基礎年金は、老齢基礎年金の満額と同じ額です。障害基礎年金を受給するときは、老齢基礎年金は受給しないので、その額が免除によって減額されても問題ありません。

ただし、障害年金は障害が軽くなると受給できなくなります。その場合、代わりに受給することになる老齢基礎年金は、少しでも増額しておきたいといところです。そんなときは、免除から10年以内であれば保険料を追納できます。免除から2年以上経って追納する額は、加算額が上乗せされます。

4月から始まる「納付申出」は、本人が申し出た期間を免除としないで、通常の1号と同じように保険料が納付できる制度です。保険料が割り引かれる前納を利用することもできます。

ただし、申出期間は免除期間ではないので、保険料納付義務があります。納付しなければ滞納とされ、2年が経過すると未納期間とされます。納付のメリットや納付できるかどうかを考えた上で、利用する制度です。

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