年金ふわふわ

年金についての執筆やセミナー講師を生業とするFP・社労士が
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国庫負担 今年は1/2なの?1/3なの??

2011年09月28日 | 年金ワンポイント
23年度における基礎年金の国庫負担は、1/3と決まったのか?…という声がチラホラ聞こえます。

従前1/3だった国庫負担は、16年改正で「安定財源を確保したうえで1/2とする」と改められ、19年度をメドに、遅くとも21年度までに引き上げるものとされました。

ところが、いつまでたっても安定財源のメドがつかないまま、期限とした21年度が近づいてしまったので、とりあえず21年度と22年度については埋蔵金でもって1/2とされたことは皆さまもご存知のとおり。

で、23年度については昨年末の三大臣合意で、無理やり掘り出した埋蔵金で1/2を維持するものとされたのですが、そこに大震災。アテにした埋蔵金は震災対策に回されてしまいました。

現在は1/2を維持するためのお金がない状態。1/2とすることは、政府与党また野党を含む三党間の合意はできているのですが、それは政治的なお話であって、法律で決まっているわけではない。いわば、宙ぶらりんの状態。

21年度と22年度が1/2であったのは、あくまでも臨時的な措置。現在は法律的にいうと20年度と同じ状態だから1/3…? ということで、なんですか23年度の国庫負担は1/3ということを前提としたペーパーも見かけるとか。

一方で、1/3であるということが決まったわけでもない。これから国会で審議が始まる三次補正が決まると、流用された財源を返してもらって1/2の手当ができるという状況のようです。

在老受給者の同日得喪

2011年09月19日 | 年金ワンポイント
ある社労士さんからの質問。


標月30万円でA社に勤めていた在職老齢年金の受給者が、9月15日にA社を退職、翌16日にB社に標月15万円で就職した場合、9月分の在職年金はいくらの標月で計算した停止額になるのか?


在職年金は、「前月以前の日から引き続く被保険者資格がある月」について在職年金とされ、「その資格の報酬」に基づいて停止額が計算される。
9月は、前月から引き続いていないB社の資格では在職年金ではなく、前月から引き続くA社の資格によって在職年金とされる月。
よって、9月はA社30万円に基づく停止額。ちなみに、被保険者期間としては、9月はB社15万円の一カ月め。保険料も15万円の標月による。



このとき、A社退職前の9月10日に賞与が支払われていたら、その賞与は在職停止額の計算に含まれるのか? また、B社就職後の9月20日に賞与が支払われたら、その賞与は在職停止額の計算に含まれるのか?


在職停止額の計算に使う総報酬月額相当額は、「その月の標月+その月以前1年間の標賞÷12」。よって、法律的には9月10日に支払われた賞与も、9月20日に支払われた賞与も、在職停止額の計算に含まれる。

ただし、そうなると、9月の在職停止は、A社での標月と10日の賞与、それにB社での20日の賞与によって計算することになる。法律的にはありでも、実務的・システム的にこのミックスはありなのかなあ?と、ちょっと疑問。

また、保険料は被保険者期間の基礎となる月について徴収される。被保険者期間は、資格取得月から喪失月の前月までの期間。就職月の報酬について保険料が徴収され、退職月(月末退職を除く)の報酬について保険料が徴収されないのは、このため。

質問のケースの9月は、被保険者期間としては喪失月のA社の期間ではなく、取得月のB社の一カ月め。よって、A社から10日に支払われた賞与については保険料は徴収されない。保険料が徴収されない賞与について、支払い届出が必要かどうかは、実務に疎い筆者はわからない(誰か教えて)。

仮に賞与支払届を提出しなかったら、当局は10日の賞与を把握できないので、当然、在職停止額の計算にも含まれない。

「公的年金の減額検討」とは?

2011年09月16日 | 年金ワンポイント
本日の新聞記事、「公的年金の減額検討」、「政府、来年度から」。

これは、平成12年度から14年度にかけて、物価が下落したことに伴って本来引き下げるべき年金額を、景気への影響を考えて引き下げなかった溜まり分を、今後3年程度で引き下げようという話。

現在、年金額には「特例水準」と「本来水準」という二つの額があります。引き下げなかった年金額が「特例水準」、引き下げを織り込んだ年金額が「本来水準」です。

いまは、特例水準の額が支給されていますが、これは本来の年金額より高い水準。それを、本来の水準に正そうということですから、単なる減額とはいえないのですが…、たぶんわかってもらえないでしょうねえ。

記事のとおりのことが行われると、年金額は本来水準に置き換わります。本来水準は、人によって(生年度ごとに)「再評価率」や「改定率」が異なります。同じ期間、同じ賃金で厚生年金に加入しても、人によって年金額が異なるわけです。

また、本来水準の額になると、いよいよマクロ経済スライドが発動されます。これこそまさに給付水準の引き下げです。ますます、年金額の成り立ちがわからなくなってきますね。

老齢厚生年金の繰下げ受給についての質問に答えて

2011年09月14日 | 年金ワンポイント
お世話になっている社労士さんから、老齢厚生年金の繰下げ受給についての質問を受けました。

【質問】
65歳時点では受給資格期間に足らず、その後も厚生年金に加入して、68歳到達月に期間満了して受給権を取得した人が、その後も加入し続けた場合、老齢厚生年金の繰下げ受給はどのようになるのか?

【答え】(あくまでも私の考えですが)
この場合、受給権取得から1年を経過した、69歳到達月以降に繰下げが可能。

たとえば、70歳到達月に繰下げ申出すれば、増額率は0.7%×24月=16.8%。

この者が、68歳以後も70歳になるまで継続して厚生年金に加入していた場合、繰下げ増額の基となる年金額は、68歳到達月の前月までの加入期間に基づく年金額。

また、この場合、繰下げ待機中の2年間、在職年金の状況にあったので、報酬比例部分の繰下げ増額は、その24月間の平均支給率に基づく部分だけが対象となる。経過的加算額は、その全額が繰下げ増額の対象となる。

さらに、70歳で資格喪失すると、年金額は退職改定によって喪失前の全期間に基づく額に改定される。その額に、上記の繰下げ増額分が加算される。

<スキルアップ研修>遺族年金の事例

2011年09月08日 | 年金講座・研修・セミナー
数カ月おきに開いている「年金スキルアップ研修」のご案内です。

今回は、以前、障害年金をテーマにしてご好評をいただいた、事例研究の「遺族年金」バージョン。講師が手がけた次の2つの遺族年金の事例を、実際の書類等を使って解説します。ご興味がある方は、ぜひお申込みください。

・日時…11月13日(日)13:30~16:30

・会場…ウインクあいち(愛知県産業労働センター)11階・1102号室
    http://www.winc-aichi.jp/

・主な内容…
 ●事例1-20年前に離婚した夫が死亡して元妻が遺族年金受給!?
  ・元々は正真正銘の夫婦だが離婚したので事実婚の遺族年金?
  ・遺族共済年金が支給された! 申立書が役立ったのか?
  ・死亡した元夫に請求漏れの厚年期間が判明。遺族厚生年金も?
  ・夫の老齢厚生年金は部分的な記録訂正ではないのに時効特例?
  ・夫は共済と厚年に加入、妻の老齢厚生との調整は?
 ●事例2-裁判にまで至った遺族厚生年金を再び請求!?
  ・40歳で死亡した夫は、遺族厚生の死亡者の要件に該当しない
  ・障害厚生の受給権者であったとして請求したが却下
  ・審査請求、再審査請求、そして裁判にまで至った
  ・裁判中の案件を裁定請求できるのか!?

・講師…高木隆司

・受講料…すっきり年金講座修了者3,000円、一般6,000円
     当日受付にてお支払いください。

・申込…11月11日(金)までに左側にある年金相談サービスのHPからお申込みください