年金ふわふわ

年金についての執筆やセミナー講師を生業とするFP・社労士が
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27年度の年金額<ほぼ確定>

2015年01月30日 | 年金ワンポイント
厚生労働省から27年度額の第一報が公表されました。http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000072678.html

正式には3月末の政令で決められますが、ほぼこれで確定でしょう。
1月26日付の本ブログ「27年度の年金額の見込み」と比べると、物価上昇率が違っています。見込み2.8%だったものが、実際には2.7%だったようです。以下に「ほぼ確定報」としてまとめてみます。

①物価変動率     …1.027(プラス2.7%)
②実質賃金変動率   …0.998(マイナス0.2%)
③可処分所得割合変化率…0.998(マイナス0.2%)
④名目手取り賃金変動率…1.023(①×②×③=プラス2.3%)

27年度の改定においても、物価①が賃金④を上回る逆転現象が生じた。両者が共にプラスでの逆転現象なので、本来は物価で改定される既裁定者(27年度に68歳以上の者=昭23.4.1以前生まれ)も、新規裁定者(27年度に68歳未満の者=昭23.4.2以後生まれ)と同じ賃金④で改定される。よって、27年度の本来水準は、26年度の本来水準と比べ1.023(プラス2.3%)の改定となる。

ただし、27年度からマクロ経済スライドが本格発動する。その調整率は0.991(マイナス0.9%)とされる。これを織り込むと、1.023×0.991=1.014(プラス1.4%)の改定となる。本来であれば2.3%引き上げられるところ、マクロによって1.4%の引き上げに抑制される。これがマクロ経済スライド。

ところで、26年度額の基礎・定額部分は、本来水準を0.5%上回る特例水準が支給されていた。その特例水準と比べると、27年度額(本来水準)は0.9%引き上げられるように見える(見かけ上ってことです)。

報酬比例部分については、生年度に応じて次のとおり。
・昭11年度以前生まれ…26年度は本来水準を0.5%上回る特例水準が支給されていた。それと比べると0.9%の引き上げ(基礎・定額部分と同じ)。
・昭12年度生まれ  …26年度は本来水準を0.1%上回る特例水準が支給されていた。それと比べると1.3%の引き上げ。
・昭13年度以後生まれ…26年度は特例水準と同水準である本来水準が支給されていた。それと比べると1.4%の引き上げ。

年金受給者の確定申告

2015年01月29日 | 新聞連載記事
今月中旬、老齢年金受給者に「平成26年分公的年金等の源泉徴収票」が送られました。確定申告などに使うもので、昨年1年間の年金の支払金額(受給額)と、そこから天引きされた所得税額が記載されています。

障害年金や遺族年金は非課税ですが、一定額を超える老齢年金は支払いの都度、所得税が天引きされます。年末時点で65歳未満の人は、年間の受給額が108万円(公的年金等控除の最低額70万円+基礎控除額38万円)を超える人、また65歳以上は158万円(公的年金等控除の最低額120万円+基礎控除額38万円)を超える人が対象です。

年金に対する所得税は基礎控除や扶養控除(扶養親族等申告書を提出してある場合)、年金から天引きされた介護保険などの社会保険料を控除した上で天引きされます。住民税もそれに基づいて課税されるので、年金収入のみの人は確定申告の必要はありません。

ただし、納付書や口座引き落としで支払った社会保険料、生命保険料や医療費などに関する控除を受けるためには、確定申告が必要です。これらの控除がある人は確定申告により、年金から天引きされた税金が還付されます。

また、給与など年金以外の収入がある人、あるいは公的年金と企業年金など複数の年金収入がある人は、確定申告をして税金を清算します。なお、公的年金の収入額が400万円以下で、年金以外の所得が20万円以下の人は、確定申告をする必要はないとされています。

昨年(平成26年)の所得に対する確定申告期間は、2月16日から3月16日。還付の人は2月16日以前でも申告書を提出することができます。

27年度の年金額<見込み>

2015年01月26日 | 年金ワンポイント
27年度額(本来水準)の改定に関わる、賃金・物価変動率の<見込み値>がわかりました。年金額の改定率は正式には3月末の政令で決まり、現時点ではあくまでも見込みに過ぎませんが、第一報の速報値として以下にまとめてみます。

①物価変動率     …1.028(プラス2.8%)
②実質賃金変動率   …0.998(マイナス0.2%)
③可処分所得割合変化率…0.998(マイナス0.2%)
④名目手取り賃金変動率…1.024(①×②×③=プラス2.4%)

27年度の改定においても、物価①が賃金④を上回る逆転現象が生じた。両者が共にプラスでの逆転現象なので、本来は物価で改定される既裁定者(27年度に68歳以上の者=昭23.4.1以前生まれ)も、新規裁定者(27年度に68歳未満の者=昭23.4.2以後生まれ)と同じ賃金で改定される。よって、27年度の本来水準は、26年度の本来水準と比べ1.024(プラス2.4%)の改定となる。

ただし、27年度からマクロ経済スライドが本格発動する。その調整率は0.991(マイナス0.9%)の見込み。これを織り込むと、1.024×0.991=1.015(プラス1.5%)の改定となる。本来であれば2.4%引き上げられるところ、マクロによって1.5%の引き上げに抑制される。これがマクロ経済スライド。

ところで、26年度額の基礎・定額部分は、本来水準を0.5%上回る特例水準が支給されていた。その特例水準と比べると、27年度額(本来水準)は1.0%引き上げられたと見える。

一方、26年度の報酬比例部分は、昭13.4.2以後生まれは特例水準と肩を並べる本来水準が支給されていた。よって、この者の27年度の報酬比例部分は、26年度と比べてプラス1.5%の改定となる。なお、昭13.4.1以前生まれの26年度の報酬比例部分は、本来水準を上回る特例水準が支給されていた。両者の差は生年度によって異なるので、以下省略。

以上。あくまでも見込み値による第一報です。

合計20年で加給が停止

2015年01月22日 | 新聞連載記事
今年10月、厚生年金と共済年金が一元化(統合)されると、加給年金額の加算が停止される仕組みが変わります。

例えば夫の年金に加算されている妻を対象とする加給は、妻が20年以上の加入期間に基づく老齢厚生年金、あるいは退職共済年金の支給年齢に達すると停止、つまり加算されなくなります。
妻に20年以上の加入期間に基づく年金が支給される代わり、扶養手当に当たる加給は支給しないという仕組みです。

加給が停止される「20年」の加入期間は、現在の仕組みでは老齢厚生年金に反映される会社員期間と、退職共済年金に反映される公務員期間の、それぞれで適用されます。どちらかが20年以上あると、夫の年金の加給が停止されます。

これが一元化の後は、会社員期間と公務員期間を合算して20年以上ある場合にも、加給が停止される仕組みとなります。
例えば妻の会社員期間が15年、公務員期間が5年、合算して20年ある場合、夫の年金の加給は、現在の仕組みでは停止されませんが、一元化後は停止されます。

ただし、一元化後の仕組みは、10月以降に支給年齢に達した年金に適用されます。9月以前から夫に年金が支給されている場合、その加給の停止は一元化後も現在の仕組みが適用されます。この場合は、妻が会社員期間と公務員期間を合算して20年以上あっても、加給は停止されません。

合計20年で加給がつく

2015年01月16日 | 新聞連載記事
老後、会社員だった期間に基づいて支給されるのは老齢厚生年金、公務員だった期間に基づいて支給されるのは退職共済年金です。どちらも加入期間が20年以上あると、扶養手当に当たる加給年金額が加算されます。

例えば会社員期間が13年、公務員期間が7年だった人は、現在の仕組みではどちらの年金も加給はつきませんが、今年10月以降に支給年齢に達する人だとすると、加給がつきます。

これは今年10月、公務員の共済年金が廃止され、厚生年金に一元化(統合)されるからです。一元化後、公務員は厚生年金の加入者とされ、一元化前後の公務員期間は厚生年金の加入期間とされます。

一元化後の仕組みでは、会社員と公務員の期間を合算して20年以上ある場合、加給がつきます。会社員期間が13年、公務員期間が7年のこの例は、加給がつくのです。

ただし、これは今年10月以降に支給年齢に達し、一元化後の仕組みによる老齢厚生年金が支給される人です。この例がそうだとすると、国と共済組合から、それぞれ会社員期間と公務員期間に基づく老齢厚生年金が支給されます。加給がつくのは加入期間が長い方、この例では国から支給される年金の見込みです。

9月までに支給年齢に達した人の老齢・退職年金は、一元化後も一元化前の仕組みで支給されます。その場合、この例のように会社員期間と公務員期間を合算して20年以上あっても、加給はつきません。