年金ふわふわ

年金についての執筆やセミナー講師を生業とするFP・社労士が
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被用者年金一元化・その28

2016年06月26日 | 被用者年金一元化
被用者年金一元化について、いまさらですが。次の厚15条って、どういう意味だと思われますか?

<厚15条:被保険者の種別の変更に係る資格の得喪>…同一の適用事業所において使用される被保険者について、被保険者の種別(第1号厚生年金被保険者、第2号厚生年金被保険者、第3号厚生年金被保険者又は第4号厚生年金被保険者のいずれであるかの区別をいう。以下同じ。)に変更があった場合には、前二条の規定は、被保険者の種別ごとに適用する。

前二条ってのは、次の厚13条と厚14条のことです。
<厚13条:資格取得の時期>…厚生年金の被保険者は、就職日に被保険者資格を取得する。
<厚14条:資格喪失の時期>…厚生年金の被保険者は、退職日の翌日などに被保険者資格を喪失する。

厚15条は、ある被保険者が同一の会社において、おそらく継続して(継続してなきゃ同一の会社でも当然に得喪が発生するから、ここは継続しているのだと思うのですが)種別に変更があったときは、得喪の時期の規定は種別ごとに適用する、ってことでしょうね。

で、私が疑問に思うのは、この厚15条は次のどちらの意味なのかな?ということです。

<A>種別の変更日において、厚年法上、被保険者資格が喪失し、かつ被保険者資格を取得する(つまり被保険者資格が生じる)のである。
<B>種別の変更の時期は、被保険者資格の得喪の時期の規定と同じである。

厚15条の前提が、同一の適用事業所において継続して使用されているものとすると、退職や就職をしたわけではないのですから、厚生年金の被保険者資格としては喪失も取得も生じないと思うのです。そうなると<A>ではないので、<B>なのかなあと。厚13条、14条は得喪の「時期」の規定であって、何者を以って被保険者となすかという規定(厚9条)ではないですもんね。

いやいや、確かに喪失も取得も生じないのが本来であるが、それを「喪失、取得とするよ」というのが、まさに厚15条の意味だ、ということなんでしょうか。

う~ん、わかりません。<A>案、<B>案、あるいはこれ以外のお考えがありましたら、コメントいただければ幸いです。

「15日以上」の月を算定対象とすることの根拠

2016年06月20日 | 年金ワンポイント
前回のアップの続きです。

被用者保険の「定時決定」において、法律上は報酬支払基礎日数「17日以上」の月が算定対象とされるところ(厚21、健41)、パートについては17日以上の月がない場合に「15日以上」の月が算定対象とされていますが、この取り扱いの法的根拠は?…という問題です。

これは、どうも「保険者算定」によるようです(厚24、健44)。勉強仲間のSさんから教えていただきました。上記取扱いを示した、平成18年5月12日発出の「庁保険発0512001号」に付随した「事務連絡」文書に、次の一文があります。ちと長いですが引用します。

さて、標記につきましては、「標準報酬月額の定時決定等における支払基礎日数の取扱いについて」(平成18年5月12日庁保険発第0512001号)をもって通知したところでありますが、短時間就労者に係る標準報酬月額の算定における支払基礎日数については、次のことから15日を全国的な運用基準とし、統一的な取扱いとすることといたしましたので、御了知願います。
1 短時間就労者独自の支払基礎日数を設けることについて
 標準報酬月額の定時決定では、支払基礎日数が4月、5月、6月のいずれもが17日未満の場合は保険者算定を行うこととなります。しかしながら、短時間就労者については、勤務日数が通常の就労者よりも少ないことが一般的なため、多くの者について保険者算定となることが見込まれます。そのため、事務の効率化と実態に即した標準報酬月額とするため、短時間就労者の標準報酬月額の保険者算定については、支払基礎日数が15日以上ある月の報酬により機械的に決定する取扱いが広く行われていました。今般、支払基礎日数が『17日』と改正されましたが、短時間就労者における『15日』を基準とする取扱いは、磁気媒体による届出システム等によりすでに多くの社会保険事務局又は社会保険事務所において運用されており、また、多くの事業所においてもこの取扱いが定着していること、さらに、就労形態の多様化により短時間就労者が従来に増して増加していると見込まれることや、現在社会保険事務の取扱いの統一化を進めていること等を踏まえ、 短時間就労者の保険者算定については、引き続き支払基礎日数15日以上の月の報酬をもって算定することとしたものです。
2 『15日』の算出根拠について
 短時間就労者の適用基準となる就労日数が通常の就労者の所定労働日数等のおおむね4分の3以上であることから、通常の支払基礎日数『20日』の4分の3の日数『15日』を用いていたことによるものです。なお、今回の改正後の支払基礎日数『17日』の4分の3とした場合には、極めて短い支払基礎日数となること及び短時間就労者も含め『15日』を基準とする取扱いが定着していることから用いないこととしたものです。

ということで、15日以上とする取扱いは、法律上「保険者算定」を根拠とするようですね。通知自体は確認したのですが、付随文書までは見落としました。前回アップの「ひょっとしたら保険者算定かしら」というあてずっぽうがまぐれ当たりして、ちょっと嬉しい気分。Sさんありがとうございました。

「15日以上」とする根拠は?

2016年06月16日 | 年金ワンポイント
いやはや、お久しぶりで申し訳ないです。申し訳ないついでに、法的な根拠を教えていただきたいことがありまして。

定時決定(算定基礎)は通常、報酬支払基礎日数「17日」以上の月が対象とされますが、パートについては、17日以上の月がない場合は「15日」以上の月が対象とされます。この取り扱いの直接の根拠は、平成18年5月12日に発出された次の「通知」みたいです。

http://wwwhourei.mhlw.go.jp/cgi-bin/t_docframe.cgi?MODE=tsuchi&DMODE=CONTENTS&SMODE=NORMAL&KEYWORD=&EFSNO=19272


さて、法で「17日以上」とされているものを、それと異なる取り扱いとするには、法に「政令で定める」などという政省令への委任規定がなければならないと思います。

厚23条・健41条には、そのような規定はありません。厚24条の3に「21条~24条に定めるほか必要な事項は政令で定める」とありますが、厚令にはこれを受けた規定が見当たりません。
ひょっとしたら、どこかの経過措置令あたりに紛れ込んでいるのかもしれませんが、健保法に厚24条の3に相当する委任規定がないのも不思議です。

仮に政令によるのでないとしたら、厚24条・健44条を根拠にするということはないかしら、とフと思いました。これはいわゆる保険者算定の規定ですが、「本来の規定よって算定することが困難、不当であるときは保険者が算定する」とあります。これを根拠にして…というのは無理筋でしょうかね?

「おバカさんね。ここに政令があるじゃないの」という方、「保険者算定を根拠とするでいいんじゃね」という方、などなど、ご意見いただければ幸いです。