年金ふわふわ

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繰り下げ受給75歳まで検討

2014年05月23日 | 新聞連載記事
65歳から支給される老齢基礎年金と老齢厚生年金は、本人の希望によって65歳前から繰り上げ受給することができ、逆に66歳以降から繰り下げ受給することができます。

繰り下げ受給をすると、受給開始を遅らせた期間1カ月当たり0.7%ずつ年金額が増額されます。例えば66歳から繰り下げ受給すると、0.7%×12カ月で8.4%増額。70歳まで繰り下げることができるので、70歳から繰り下げ受給すると、0.7%×60カ月で42%増額です。

年金額は増額されますが、支給開始を繰り下げている間は年金が支給されません。70歳から42%増額された年金額を繰り下げ受給をした場合の累計額は、65歳から本来の年金額を受給した場合の累計額を、82歳ごろ追い抜きます。これを得と思うか損と捉えるかは人それぞれでしょう。

先ごろ田村厚生労働大臣は、現在のところ70歳までとされている繰り下げ受給の開始時期を75歳まで広げるという与党案を検討すると表明しました。

厚生労働省が発表した年金事業の概況によると、2012年度に新規に老齢基礎年金だけを受給し始めた人(老齢厚生年金がない人)約25万8000人のうち、65歳から通常受給した人が80.3%、繰り上げ受給した人が18.5%、繰り下げ受給をした人は1.2%です。

繰り下げ受給できるのは、繰り下げ中に年金が支給されなくても生活できる人です。現在の70歳までですら繰り下げ受給しない人がほとんどの中、これを75歳まで広げることを検討する意味があるのでしょうか。


★中日(東京)新聞生活面掲載「みんなで年金」から
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