年金ふわふわ

年金についての執筆やセミナー講師を生業とするFP・社労士が
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年金額のスライド改定その2・なぜ賃金スライドできるのか

2023年05月12日 | 年金額のスライド改定
年金額のスライド改定その2は「なぜ賃金スライドできるのか」です。

民間保険の個人年金やDCなどの企業年金には、公的年金の賃金スライドに相当する仕組みはありません…たぶん…ないっすよね。 個人年金や企業年金は「事前積み立て方式」の年金です。ごく単純にいうと、将来自分がもらう年金額を先に決め、それに必要なお金を自分で保険料として積み立てるわけです。現役世代の平均賃金や物価がこの先どう動くかなんて誰にも分りません。そんな不確定な要素を組み込みにくい仕組みなのでしょう。

これに対して公的年金は「賦課方式」の年金です。今年は全受給者…まあ、おおむね高齢者のことですが…に対して総額〇〇円の年金を支給しなければならない。それを今年の加入者つまり現役世代に「保険料として払ってくださいね」と賦課しちゃう仕組みです。
             
たとえば平均賃金が10%上昇すると、すべての受給者の年金額が賃金スライドによって10%引き上げられ、支給総額が10%増えます。でも大丈夫。それを現役世代に賦課すればよいのです。「去年より保険料10%多く払ってね」と。ひどい仕組み?  いえいえ。このとき現役世代の保険料負担は増えません。
             
年金額はなぜ10%増えたのでしょう。現役世代の平均賃金が10%上がったからです。国民年金も同じことですが、より分かりやすいので厚生年金をイメージしてください。厚生年金の保険料は給与…厚生年金においては報酬といいますが…に保険料率を掛けた額。たとえば今だと18.3%です。平均賃金が10%上がったということは、全加入者の賃金総額が10%増えたということです。であれば、それまでと同じ保険料率で保険料総額が10%増えます。これにより、すべての受給者の年金額を10%引き上げることができます。

保険料「率」が上がると、それは保険料負担の増加です。でもこの場合、保険料率は上がっていません。保険料「額」は10%増えていますが、それは賃金が10%増えたからです。保険料負担を増やさず年金額を賃金スライドできる。まあなんというすばらしい仕組みでしょうか。 

ただし、これには条件があります。「受給者数と加入者数の比率が一定であれば」という条件付きの話です。ここに少子高齢化が影響します。それはまた次回で。

年金額のスライド改定・その1:なぜ賃金スライドされるのか?

2023年05月10日 | 年金額のスライド改定
皆さんご存じのとおり、令和5年度の基礎年金の満額は、67歳以下の人は795,000円、68歳以上の人は792,600円です。ご存じでない?  満額は、老齢基礎年金や障害基礎年金、遺族基礎年金の年金額の基準となるもので、今まではすべての人について一律、同額でした。それが、令和5年度は年齢によって2つできちゃったわけです。

なぜ? 

これは、公的年金における年金額のスライド改定によるものです。ということで、今回から年金額のスライド改定について解説します。ただし、例によって気ままなふわふわブログですから、あまり期待はしないでください。その1は、そもそも「なぜ年金額は賃金スライドされるのか」です。

最近は急に物価が高騰していますが、過去20年ほど、物価や賃金はほとんど上がっていません。ただ、も~っと長いスパンで見ると、物価や賃金は時とともに上がっています。たとえば、昭和45年(1970年)から令和2年(2020年)までの50年間で見ると、下の図のとおり物価は約3.24倍になっています。また、賃金は約5.48倍になっています。

       

ここでひとつポイント。賃金は物価を超えて上がっていますよね。これが通常の状況なんだそうです。賃金は会社員つまり現役世代にとっての収入。物価は生活に必要な物やサービスの値段ですから、いわば生活費に当たります。賃金が上がらずに物価が上がると、現役世代は生活が苦しくなります。賃金が物価と同じように上がると、それまでと同じものが買え同じサービスを受けられるので、現役世代は生活水準を維持できます。賃金が物価を超えて上がると、以前より良いものが買え良いサービスを受けられます。生活水準が向上するわけです。

さて、年金額はそれぞれの人の加入期間などに基づいて計算されます。年金は受給者…ま、おおむね高齢者を指すわけですが…にとっての収入です。その年金額が上がらず物価が上がると、高齢者は生活が苦しくなります。年金額を物価上昇に応じて引き上げると、高齢者は生活水準を維持できます。これが物価スライドです。物価スライドはいわば購買力を維持する仕組みです。ただし、このとき現役世代は、賃金が物価を超えて上がり生活水準が向上しています。物価スライドでは、高齢者は現役世代の生活水準の向上に取り残されてしまいます。これを防ぐため、年金額は賃金上昇に応じて引き上げられるのです。これが賃金スライドです。

ところで(長げえな… 私も同感。もうちょっと辛抱してくださいね)年金額の価値を測るひとつのモノサシに「給付水準」というものがあります。年金財政の収支を諮るモノサシのひとつでもあります。給付水準は、その時々の現役世代の平均賃金に対する年金額の比率です。年金額の対賃金比ですね。最近は所得代替率などともいいます。年金額を賃金スライドすると、年金の給付水準が一定に保たれます。これも賃金スライドのひとつの効果です。

年金額の賃金スライドは、高齢者と現役世代の生活水準の乖離を防ぎ、給付水準を保つための仕組みです。

繰下げ請求しました

2023年04月25日 | 年金ワンポイント
私こと65歳時の請求を見送っていた老齢厚生年金を、この3月14日に繰下げ請求いたしました。
65歳から2年と7カ月、31月の繰下げです。

一方、65歳以後も継続して厚生年金に加入しておりまして、こちらはこの4月1日に資格喪失しました。
繰下げ請求をした3月14日時点においては、まだ加入中だったわけです。

で、繰下げ受給の年金額の見込みをもらってきた…  あ、あの、社労士の皆さんはお分かりいただけると思いますが
例の「試算結果」っていうプリントアウトをもらってきたところ、その額は昨年9月の在職定時改定前の期間に基づくものでした。
65歳以後、継続して被保険者だったにもかかわらず。見込額をもらった時点においては資格喪失していないにもかかわらず。 

え~っと…「あったりまえじゃん」という方もおられれば、「え何で?」という方もおられれば、
「何をいっているのかさっぱりわからん」という方もおられることでしょう。

む~ 
そういやあ、『繰下げ待機中は定時改定しない。繰下げ請求したら直近の定時改定に基づく額に改定する。』ってなことを聞いたような、
聞かなかったような気がするなあと、思い出した次第です。

ただいま~

2023年03月22日 | コーヒーブレイク
いやあ、久しぶりにこちらのブログに帰ってまいりました。

いろいろ事情がございまして。
おいおい、お話しするかもしれませんが。

相変わらずふらふらふわふわ自由気ままなアップになります。
「乞うご期待!」とはなりませんが、お付き合いのほどよろしくお願い申し上げます。

ブログ引っ越しました

2021年12月08日 | コーヒーブレイク
ブログ引っ越しました → https://nenkin.happylife.ne.jp/blog/

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