年金ふわふわ

年金についての執筆やセミナー講師を生業とするFP・社労士が
風の吹くまま気の向くまま 日々の出来事をつづる

在老の28万円の改定基準が変更されました

2011年04月30日 | 年金ワンポイント
在職年金の停止額の計算に使う47万円という金額が、この4月から46万円に変わったことは皆さんもご存知ですね。ご存知ない。

この金額は16年改正時点で48万円だったものが、去年の4月に47万円に、そして今年の4月に46万円に変わったのですが、これは「48万円×17年度以降の毎年度の名目賃金変動率」でもって自動改定されるものです。

「名目賃金変動率」は、毎年度の年金額のスライド改定の基になる「物価変動率」と「実質賃金変動率」を掛け合わせたものです。話についてきてます?

一方、同じく在職年金の停止額の計算に使う28万円という金額のほうは、毎年度の再評価率の改定基準である「名目手取り賃金変動率」でもって自動改定されます。

「名目手取り賃金変動率」は、毎年度の年金額のスライド改定の基になる「物価変動率」と「実質賃金変動率」と「可処分所得割合変化率」を掛け合わせたものですね。ついてこれなくても話を続けますが。

で、この28万円の改定基準が、今年度のスライド政令でもって改正されまして、特例水準の額が本来水準の額を上回っている間は、「名目手取り賃金変動率」ではなくて「特例水準の改定基準」によって改定するとされました。

こういう改正を、知らないうちにしちゃうから、昨今、困るんですよね。困らないですか?

年金講座はじまりはじまり~

2011年04月22日 | 年金講座・研修・セミナー
いよいよ明後日から、今年度の「すっきり年金講座」が始まります~。パチパチパチ。

http://nenkin.happylife.ne.jp/seminar/2011/01/21.html

今年で5年めなんですけど、今年の受講生はリピーターを含めて34名! おお!! 多い。今までの最高ですわ。

大勢の方に受講していただいて嬉しいんですが、困ったのが会場。もちろん、全9回既にウインクあいちで予約済みですが、その部屋が定員42人。机が14あって3人掛けしての42人。2人掛けすると28名なので、どうしても3人掛けの机ができてしまいます。3人掛けは、ちょっと窮屈ですよね。

ウインクあいちは当面満室ですから他の部屋に変えることもできず、他の会場も考えてみたのですが適当なところもなく、また直前に変更というのもかえって混乱するかなと。

たまたま3回目はちょっと広めの部屋。それに、パート1だけとかパート2までとかの受講生もおられ、講座が進むにしたがって人数も減っていくので、受講生の皆さんには申し訳ありませんが、しばらくのご辛抱を。

その分、より充実した中身をお届けするよう努力いたしまする~。

国庫負担は結局1/2なの?1/3なの?

2011年04月20日 | 年金ワンポイント
基礎年金の国庫負担の1/2を維持するための財源を、震災復興に振り向けようという例の話ですが、今日の厚生労働省のメルマガにこんなんが載っていました。

平成23年度の基礎年金国庫負担について http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r98520000019sge.html

概要は…

23年度の国庫負担については、去年の暮れに国家戦略・財務・厚生労働の3大臣が、年金とは関係ない埋蔵金を使って1/2を維持するって合意したけど、震災復興費用を確保する観点から、以下のとおりとする。(するって言いきってますけど)

①法律上の国庫負担は1/2とする

②ただし、1/2と36.5%との差額は、税制抜本改革で確保した財源を年金財政に繰り入れることを併せて法制化する。

う~~~ん。けっきょく、ようわからん。①の法律上っていっても、そもそも16年改正後の本来の法律上は1/2だけど、安定財源が見つかるまでは(特定年度までは)1/3ね…ってなってて、その安定財源はまだみっかってないけど、21・22の両年度は別途法律でもって埋蔵金で1/2にしたのが現状で、法律ってどの法律やねん。

それと、②の税制抜本改革ができなかったら、財源はどうすんねん。金がなかったら法律で1/2としたって意味ないじゃん。

結局、今年は1/2なのか1/3に戻っちゃうのか、わからん。

障害基礎年金の子の加算と児童扶養手当

2011年04月15日 | 年金相談あれこれ
かかってきました、障害基礎年金の子の加算と児童扶養手当にかかわる相談電話が。あ、フィクションですフィクション。

電話をかけてきたのはお母さん。「私は障害基礎年金の受給者です。夫は公務員。子どもが一人いて、子の加算の対象になるというお知らせが届きました。現在、子の加算額より多い児童扶養手当をもらっています。ただし、所得によって手当は7月までしか受給できないことがわかっています。今回、手続きをすれば4月から子の加算がつくとのことですが、7月まで児童扶養手当をもらって、8月から子の加算をもらうことはできますか?」というおたずね。

できます、できます。

受給権取得後に加算対象の子を有することとなった場合にも、子の加算がつくことになったという今回の改正と同時に、事実上、児童扶養手当と子の加算のどちらを受給するのかを選べるようになりました。

ただこれは、両者を任意に選べるという規定を両法に設けたわけではなく、年金側の運用において、受給権者と子との間に生計維持関係が「ある・ない」という操作を認めることによって、結果的に児童扶養手当との選択とするものです。運用3号ならず運用加算ですな。

たとえば、このお母さんの場合、自分と加算対象の子との間に生計維持関係が「ある」として、直ちに子の加算の手続き(加算開始事由該当届)をすると4月分から子の加算がつき、4月分から児童扶養手当はもらえなくなります。ですから、4月をスルーして7月に子の加算の手続きをすれば、8月から子の加算がつくわけです。

児童扶養手当から子の加算に切り替えたときには、市区町村役場において、子の加算がもらえるようになったので、児童扶養手当を不支給としてくださいという手続きが必要です。

また、このようにして子の加算をもらっていたところ、所得が低くなって児童扶養手当のほうが多くなり、子の加算から児童扶養手当に切り替えたいときには、自分と加算対象の子との間に生計維持関係が「ない」として、加算をなくす手続き(加算額対象者不該当届)をすることによって、翌月から子の加算がなくなり、児童扶養手当がもらえるようになるわけです。

子の加算から児童扶養手当に切り替たときには、市区町村役場において、子の加算がもらえなくなったので、児童扶養手当を支給してくださいという手続きが必要です。

このように、(この例でいうと)お母さんと子どもとの間に生計維持関係が「ある・ない」という届出をすることによって、結果的に児童扶養手当との選択となるわけです。

ちなみに、子の加算をなくすため、お母さんとの間に生計維持関係が「ない」とした場合、生計維持関係がないお母さんには児童扶養手当も支給されませんが、お父さん(夫)が子どもを養育しているとして児童扶養手当が受給できます。

ですから、この手は両親がそろっている家庭でしか使えません。


国庫負担割合1/2が1/3に逆戻り!?

2011年04月11日 | 年金ワンポイント
昨日の新聞を見てびっくり!

基礎年金の国庫負担割合の1/2を今年度も維持するため無理やり掘り返した埋蔵金を、震災復興の財源に充てようという意見が、政府内に出ているんですって。

まず、お断りしておきますが震災復興、わけても今現に厳しい状況に置かれている被災者の皆さんのために使うお金に、文句はいっさいございません。そのためだったら、被災していない我々は少々の不便は引き受けます。一日も早い復興を、心より祈っております。

以前1/3だった国庫負担の引き上げは、ほんとうは12年改正でやりたっかのが日の目を見ず、付則で以ってわざわざ次期改正に委ね、16年改正でようやく引き上げがなったものです。

ただし、16年改正の本旨からいうと、安定財源という名の消費税の引き上げで以って1/2とするところ、いつまでたっても消費税議論の入り口にも入れないので、ちょうど時を同じくした政権交代に伴う事業仕分けでボロボロ出てきた埋蔵金で、とりあえずの暫定措置として21年度と22年度の2年について1/2に引き上げました。

2年の暫定期間が切れた今年(23年度)は、無理やり掘り返して見つけた埋蔵金、独立行政法人鉄道建設・運輸施設整備支援機構から国庫に返納される納付金を流用して、なんとか1/2を維持した…したじゃない、する予定です。これも、無理筋といえば無理筋ですが。

それを、震災復興予算に充てようということですね。ちなみに今年度の1/2維持は、運用ではなく法改正です。現国会に上程されている内閣提案の22号、「国民年金法等の一部を改正する法律等の一部を改正する法律案」でもって1/2を維持します。あ、する予定でした。この法案は現在、先議の衆議院にあってまだ審議中ですが、これを取り下げるんでしょうか。

もし、このとおりのことが決すると、国庫負担が1/2だったのは21年度と22年度の2年間だけで、またしばらくの間、以前のとおり1/3に戻るのかしら。老齢基礎年金の計算が、またまた面倒になりますね。