先日鹿児島まで行った時、鹿児島中央駅近くのホテルに宿泊しました。翌朝新聞がフロントに置いてあり無料サービスでいただいてきました。
「毎日新聞」でしたが「他紙」を読むと新鮮な感じがします。紙面の校正も違っていて面白いです。8月17日朝刊9面のオピニオンに「玄侑宗久さん」の聞き語りが掲載されていました。
論点「効率化社会」のあり方が題材ですが、目的地に乗客を早く、確実に運ぶ新幹線。限られ資源を技術力でカバーし、高度経済成長を遂げた日本の象徴となり、鉄道網の合理化・効率化が進められてきた。だが、地方経済の衰退や在来線の切り捨てなど、東京中心の利便性向上と引き換えに失われたものもある。低成長。人口減を迎えた今、効率化社会のあり方は。
冒頭に‥‥日本には長く「両行」という知恵があった。両行とは、古代中国の思想家、荘子の言葉で、矛盾や対立するものが同じように存在する状態を指す。例えば「善は急げ」の一方で「急がば回れ」、「うそも方便」と言いながら「うそつきは泥棒の始まり」と言う。このように日本人は「反対」の考え方配慮し、あえて一本化を避けてきた。それがこの国の寛容さの背景にあったと思う」---中略「さらにこの国は新幹線に飽き足らず、リニアモーターカーのようなものまで走らせようとしている。リニアを走らせるなら、かごを復活させるくらいにしなければバランスがとれない。」---略
先のことは分からない。にもかかわらずシミュレーションに頼って「未来が想定できる」と考え、最近は「終活」といって死ぬ計画を細かく立てる人が増えている。ところが、その通りに進むわけがない。未来を思い通りにしようとしてもせんないこと。そろそろ「効率化・生産性・スピード感」に拮抗する考え方が台頭し、「両行」を取り戻してもいいはずだ。と結んでありました。
「両行」という言葉は人生70にして初めて聞いた「言葉」でした。
玄侑宗久(げんゆうそうきゅう)さんのプロフィール 作家・福聚寺住職 1956年福島県三春町生まれ。慶応大卒。さまざまな仕事を経て、三春町の福聚寺住職。東日本大震災復興構想会委員などを歴任。被災地の子どものための「たまきはる福島基金」理事長