アンダンテのだんだんと日記

ごたごたした生活の中から、ひとつずつ「いいこと」を探して、だんだんと優雅な生活を目指す日記

5~11歳の新型コロナワクチン

2022年01月20日 | 生活
これまで、新型コロナワクチンの対象年齢は12歳以上となっていましたが、5~11歳のワクチンが明日、正式承認される見通しだそうです。
子どもへのワクチン接種 対象を5歳以上に拡大 承認方針を決定

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これに先立って、日本小児科学会が見解を発表しています。
5~11歳小児への新型コロナワクチン接種に対する考え方

で、「健康な子どもへのワクチン接種には、メリット(発症予防等)とデメリット(副反応等)を本人と養育者が十分理解し、接種前・中・後にきめ細やかな対応が必要です。」と、それはもちろんそうなのですが、メリットがどのくらいかといえば、

(1) その病気がその年齢の子どもにとってどのくらい危険なのか
(2) そのワクチンでどのくらい病気が防げるのか

ということを考える必要があります。この(1) について、この声明文では

「国内における5~11歳の新型コロナウイルス感染症(以下、COVID-19)症例の大多数は軽症ですが、感染率が同年代人口の1~2%にとどまるなかでも、酸素投与などを必要とする中等症例は散発的に報告されています1)。」

としていますが、この「散発的」ってどんな感じなのだろうと、参考文献 1)を見に行きますと

Clinical Characteristics of Hospitalized COVID-19 in Children: Report From the COVID-19 Registry in Japan

Abstract
COVID-19を有する小児患者1038名が確認された。このうち308例(30%)は無症状のCOVID-19であった.全体の転帰は良好であり,死亡した患者はなかった.有症状群では24カ月未満および13歳以上の患者の割合が有意に高かった。

…あれ。酸素投与云々とかについての記述がない。それで中身も読んでみますと…

これは対象期間の新型コロナ入院36430人中の、子ども1038人を対象にした調査でした。(入院した子どものうちの3割が無症状というのもちょっと驚きですが)
症状の詳細なリストは上記リンクからPDFをダウンロードすればご覧いただけますが、主なものは発熱、喉の痛み、咳、鼻水などいわゆる風邪症状です。「中等症例」に相当する記述は、

「非侵襲的な酸素吸入を必要とした患者はわずか15人(2.1%)であった。
また、侵襲的な人工呼吸や体外式酸素吸入を必要とした患者はいなかった。転帰は良好であった。」

でした。この報告全体の趣旨は、子どもの有症状ケースを調査したが、アメリカなどと異なり、「全体の転帰は良好であり,死亡した患者はなかった」ということでよさそうです。

そして、(2)のほうですが、日本小児科学会の声明では
「海外では、5~11歳の小児に対する同ワクチンの発症予防効果が90%以上と報告されています3)が、新しい変異ウイルス(オミクロン株など)への有効性を示すデータは十分に得られていません。」
となっています。発症予防効果は、大人(の治験のとき)よりやや低いくらいで、でも90%なら立派なものです。けれど結局のところオミクロンになって接種済みの大人の予防にはほとんど効いていない状況、子どもでもやはりあまり期待できないでしょう。

じゃあ重症予防は? というと、そもそも日本の子どもが前述のとおりほとんど重症化しないので、どのくらい重症予防効果があるかをデータで確かめるのも難しそうです。さらに肺炎になりにくいオミクロンで。

一方、接種のリスクはというと、発熱などよくある短期間の副反応の頻度はわかっているけれど、たとえば10代で心筋炎が問題になったような、何かあとからわかるようなことはなんともいえません。今のところ、心筋炎は、皆無ではないにしても10代より少なそうです。量を減らしていることと関係があるのか、10代後半(特に男性)の持っている何か「なりやすさ」があるせいなのか、わかりませんが。

このように、接種する子ども個人にとっての「リスクベネフィット」でいうとかなり心もとない感じですが、ではなぜ今回承認されるに至ったのか、12/23に話し合われた内容を見てみますと、
第28回厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会 議事録
5~11歳という年齢層は、新型コロナで重症化しにくく、死亡はこれまでのところ日本では出ていないということは出ていますが、にもかかわらず「打とう」というほうに傾く材料として挙げられているのがシミュレーション結果です。

「SIRモデルという感染症疫学において一般的に使われているものを使っております。特徴としては、3つの年齢群に分けてモデルをつくって、特に11歳以下に注目をしてシミュレーションを行っています。」
詳細は議事録を見ていただくとして、結論は
「0~11歳にワクチンを50%、75%、83%と接種をしていくと、そのほかの世代、12歳~59歳、60歳以上の症例数、重症者数も、これらの世代のワクチン接種率は全く変えなくても感染者数、重症者数が減ってくるということです。ですので、小児に対して接種をすることで、ほか世代に対するメリットも得られるということになります。」
(注: なぜか5~11でなく0~11に打つとしてシミュレーションされている)

そもそも社会防衛のために子どもに打つか? ということも疑問ですが、このシミュレーションがそもそもオミクロンを想定したものではなく…つまりワクチンが感染を阻止するという大前提があるものなのです(ということも議事録に出てきます)。現在の状況から再考すると結論が変わりそうですが、今日はどんな内容が話し合われたのでしょうか。

議事録より:
「子供にも予防接種法での接種の機会を確保すべきではないかという意見と、一方で、接種勧奨や努力義務を課すかについては議論するべきではないかという意見をいただいております。」

持病や家庭環境など、個別の事情から「打ちたい」という希望がある場合に打てるように準備しておく、あるいは
オミクロンではなくもっとワクチン効果が高く、かつ子どもも重症になるような変異があったときにすぐ打てるように準備しておく(*)
という考え方はあるかもしれません。つまり承認するのはしておけというような。

それはそれである程度理解できますが、その場合は、なんとなくみんな打つから打つ、「同調圧力打ち」にならないように、明示的な申し込みがあったとき、あるいは、状況が変わってワクチンの必然性が出てきたときに打てるようにしておいてほしいと思います。


(*) 重症化するような変異というのは絶対ないとはいえませんが、そのときに現状のワクチンが効くというのはかなりファンタジーな気はします。

------ 今日の小物


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