本日、快晴。

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アウトレイジ【映画】

2010年06月14日 | 【映画】
北野武監督、待望のバイオレンス映画。

北野映画が大好きで非常に毎回楽しみにしている相方と、
北野映画は好きだけど前3作にがっかりしていたあたし。

二人とも、満足して帰りました。


「HANABI」や「ソナチネ」のバイオレンスには
物哀しさや情が溢れていたんですが、
今回はテーマが『全員悪人』なだけあって、情は一切なし。
気持ち良いくらいの極悪非道っぷり。


音楽の無機質さだとか、
作品のエンターテイメント性だとか
インタビューとか対談とか諸々で、
監督が語っていることも顕著に表れているし、
それがより効果的に働いていて、
やはり北野作品だわと安心しました。
久々に心から面白かったです。「座頭市」以来かな(笑)。


役者陣は、豪華に揃えただけある迫力で、
見劣りする人がほとんど居なかったです。
塚本高史だけはちょっと早かったかなー…という気がしなくもないけど
まぁ、あの役ならばありでしょう。
個人的には、加瀬亮がホントに素晴らしかったと思います。


ただ、ビートたけしを主演であの役にするには
主従関係にちょっと無理があったんじゃないかしらというのが正直なところ。
現実のヤクザがどういう上下関係で成り立っているか知りませんが、
年齢的なものなのかなー。
この人の部下がこの人、ていう構図に若干違和感感じました。
まぁ大半は演技でカバー出来ているので気にならない人はならないかもね。


多分、この映画は単なるヤクザ映画ではなく、
監督自身もどこかで語っていたように
この時代を風刺している作品だと思います。
政治とか一般社会きとか、ヤクザ以外にも置き換えられる人間関係。
みんな、保身や成り上がりを考えて、
嘘をつき、自分を守りながら、生きている。
だからこそ『全員悪人』なんだけど、やたらと親近感がわくのかなと。


ちなみに、
この映画では生き残った順が“悪い”順に見えたあたし。
プライドとか、人情とか、組織とか、ではなく、
己の利益を考え、それを優先させた順で、生き残ってました。

ハッピーエンドとは言い難いラストですが、
自分の利益のみを優先させるのが所謂「悪人」だとすると、
悪い人ほどしたたかに生き残り、良い人ほどバカを見るなんて、
いやな世の中ですね。(笑)
でもあながち違うとも言い切れないかも。


暴力描写を嫌悪する人は、
この映画を批判するでしょうが、
確かに痛くて痛くて、見ててツライけど、
そういう映画ですからね。
見たくない人は見なくてもいいと思う。

だけど、
豪華な俳優陣の心理合戦と、
久々のバイオレンス北野作品というだけでも
個人的には見る価値がある映画だと思います。


凄く面白かったです。

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