自費診療で高額な治療を提供しているクリニックのウェブサイトでは、治療前後でCT画像を提示して「がんが消えた」と称するなどしています。本当にがんが消えるのならいくらでもお金を出す患者さんもいるでしょう。私も患者さんを紹介したいです。

だ、信頼できるかどうかを検証するためには情報が必要です。科学においてはデータは第三者が検証可能なように論文として発表されますが、こうしたクリニックのウェブサイトでは論文の文献情報が記載されていることは稀です。また、文献情報があっても元の論文を読むと、動物実験や試験管内レベルの話にすぎないことが多いです。

(中略)

治療効果を示したければ治療前後で同じ撮影条件の画像を比較する必要があります。医療従事者が見る論文や学会発表での症例報告で、撮影条件の異なる画像が提示されることはまずありません。しかし、高額な自費診療を提供しているクリニックのウェブサイトではよく見ます。不思議ですね。

 情報を吟味した結果、患者さんを積極的に紹介したいと思えるような信頼できる自費診療クリニックはいまのところ一つもありません。


他に、週刊現代で「医師たちが告発。がん免疫療法はインチキだ」と言うのがあるようです。立ち読みしに行きましたが、コンビニでは売り切れでした。内容がわからないのですが、フェイスブックで知った限りでは「まともな内容」だと言うことです。

 

内容を確認していませんので、少し腫瘍免疫について書いて僕の考えを書かせていただきます。

 

この記事(血液内科ってどんな診療科ですか?:後半は血液内科の奨め)にも書いていますが、僕が血液内科を選んだのは「腫瘍を相手にする」のに、免疫を知る必要がある。特に腫瘍の撲滅を考えるならば免疫療法を学びたいと思ったからです。

 

免疫には大きく分けると2つの種類があります。


自然免疫と獲得免疫です。

 

自然免疫というのは「私じゃない」奴をやっつけるというもので、好中球(細菌)、単球(細菌などに加え、腫瘍も。免疫抑制に働く単球もいます)、NK細胞(私であると証明できないものを処分)があります。

 

獲得免疫というのは「こいつ敵」と認証されたものを攻撃します。攻撃の主体はB細胞やキラーT細胞(細胞障害性T細胞)などです。