新・眠らない医者の人生探求劇場・・・夢果たすまで

血液専門医・総合内科専門医の17年目医師が、日常生活や医療制度、趣味などに関して記載します。現在、コメント承認制です。

看護師の役割を拡大:現場の看護師も足りているわけではないのだけど

2013-03-29 23:15:16 | 医療

こんばんは

 

昨日は当直でした。あまり急患は来なかったのですが、病棟の急変があったので疲れました。実際に連続睡眠時間は2時間程度ですし、いつも書いていますが当直室では深く寝れないですね。

 

今日、「臨床血液」という雑誌をパラパラめくっておりましたところ、実家の札幌にある北楡病院から求人が出ていました。

http://www.hokuyu-aoth.org/

 

ここは血液内科が100床あるという北海道では最大の血液の病院です。全国でもTOPクラスだとは思いますが。血液内科医も多いんですけどね、患者数も多いから大変だと思います。

 

さて、ちょっと疲れているのでさらっと記事を紹介して終わります

 

看護師の役割拡大を提言 厚労省検討会

http://www.47news.jp/CN/201303/CN2013032901002327.html

 厚生労働省の検討会は29日、国が定める研修を受けた看護師が医師の具体的な指示がなくても、点滴や投薬量調整など診療補助行為の一部を自分の判断でできるようにする制度の導入を提言した。医師不足を背景にした医療水準の低下を避けるため、看護師の役割を拡大するのが狙い。

 厚労省は今後、保健師助産師看護師法などの改正を目指す。

 検討会がまとめた報告書によると、一定の研修を受けた看護師が医師から個々に指示を受けなくても、あらかじめ定められた手順書の範囲で対応できるようにする。

 具体的には脱水状態の患者への点滴、血圧を下げる薬の投与量の調整などを候補に挙げた。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

現実には現場の看護師さんも絶対的に足りているわけでもなく(うちの病院なんて、全国の大学病院の中で最悪の部類に入るといわれていますからね)、看護師数不足のため超過勤務が続き、疲弊して看護師さんが辞めて…の繰り返し。本日も5名の方が(うちの病棟20人も看護師いないので・・・)退職されてしまいました。

 

医療の問題は医師不足だけでなく、長期的視野で、幅広く考えていただきたいと思います。現場の看護師が働きやすいようにする。本当は病院を中心に様々なものを創っていければ(保育所、託児所を含め、デパートやホテルなんかも作ると)そこで働く人も出るし、女医さんや女性の看護師さんも働きやすくなるでしょう

それでは、今日はゆっくり寝たいと思います。

 

いつも読んでいただいてありがとうございます。今後もよろしくお願いいたします。

http://blog.with2.net/link.php?602868

人気ブログランキングへ←応援よろしくお願いします

なかのひと

blogram投票ボタン

それでは、また

 

 

 

コメント (10)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

待合室学会:待合室が不要なシステムができればね・・・

2013-03-25 22:37:47 | 医療

こんばんは

 

ちょっと帰り際にいやなことがあり、ちょっとイライラっとしました。僕の好きな「7つの習慣」には「刺激と反応の間には一定のスペースがある」と書いていますが、こういう気持ちをコントロールするのは難しいですよね。

 

先日、今の医療制度の問題点を話し合いながら昼食をとっていた際、「アンフェタミン病院を作るしかないでしょう」という話になりました。まぁ、当然冗談なんですが、その時の会話で「まぁ、そんなことをしていたら病院経営が成り立ちませんけどね」という話になりました。

 

患者さんや家族のことを考えて病院を建てると…今の医療制度では確かに経営が難しくなるかもしれない・・・と思ったりしました。

 

まぁ、ついでに「時間的距離を短縮することができれば、一つの病院に医師(医療従事者)を集約化して、遊兵を作らなくて済む」という話などもしておりました。

 

本当に今考えられるような規模(欧米諸国のように)ではなく、もっと大規模に集約化し、その周辺には病院を支える施設を立て、病院に行く路線バス+病院搬送用の道路などがあったらな・・・などと無茶なことを考えたりしておりましたw

 

まぁ、僕が夢に描くような病院は現状では作れませんので、別の機会に書くことがあれば書かせていただきたいと思います。

さて、今日は一つ面白そうだったので紹介します。

 

 病院の待合室で健康教育や栄養指導を行い、一般人も交流できるサロンに――。

 「待合室から医療を変えよう」をテーマに掲げた研究報告を、東京大学公共政策大学院医療政策実践コミュニティー(H―PAC)のプロジェクトチーム(代表・河内(こうち)文雄以仁会理事長)がまとめた。河内代表は「具体的な改革につなげるため、『待合室学会』を設立したい」としている。

 病院や診療所の待合室を患者教育や情報提供の場として活用することで、より良い医療を実現しようというのが狙い。

 研究報告によると、わが国には診療所の待合室が10万か所、病院の総合待合室が9000か所、その十数倍の各科待合室、7万か所の歯科待合室と、医療機関だけで30万か所の待合室が存在する。待ち時間の長さなどマイナス面ばかりが強調されがちだが、情報提供や交流の場としての活用など、待合室には「医療資源」として多くの可能性を見いだすことができるとした。

最終更新:3月25日(月)20時1分

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

待ち時間とか基本的に無駄にしてしまう可能性が高いですよね。

 

体調の悪い人はベッドに横になって休みたいでしょうし、ただ待っているだけの人はそれはそれで苦痛でしょうし。

待合室を快適に、もしくは情報提供の場としてというのは良い企画だと思います。

 

ただ、本当は先ほどもちょっと書きましたが、病院周囲にデパートや娯楽施設とかがあり、受診する順番が来たら連絡が来て呼ばれるとか、ポケベルみたいなもの(ファーストフード店のコールみたいなやつ)で呼んでもらえるとか

 

ともかく・・・その場にいなくても患者さんに不利益がないようにできればいいですね・・。待合室の話ではなくて待合室を狭くしても問題がない、システムづくり…になりますが。ついでに言うと狭い空間に人が大勢いるよりは、地域に人がいてその方々が地域の活性化にも役立つようなシステムが作れたらいいですね。

 

そんなことを思いました。

 

いつも読んでいただいてありがとうございます。今後もよろしくお願いいたします。

http://blog.with2.net/link.php?602868

人気ブログランキングへ←応援よろしくお願いします

なかのひと

blogram投票ボタン

それでは、また

 

コメント (7)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

西洋医学と東洋医学:そしてがんと免疫

2013-03-24 11:55:39 | 医学系

こんにちは

 

先程コメントにも書きましたが、桜が満開になりましたね。家のベランダからも花見ができる感じです。まぁ、花より団子というのが本音ですが。

 

さて、本日はちょっと僕の医学的なものの見方を少し書いてみようと思っています。

 

よく、西洋医学と東洋医学といいますが、西洋医学は一般には「原因」に対して「原因をつぶす」という考え方をしています。あることが起きていることにより患者さんの症状が出ていたり、つらく思われているのであればそれを解消しようという考え方です。

がんがあるなら取り除く、抗癌剤でつぶす。出血しているのであれば、止血する。

 

そんな簡単な話です。

 

東洋医学のほうは「体が最も良い状況から、ずれてしまってるので、最も良い状態に戻す」という考え方です。

すなわち原因はいろいろあると思いますが、体がよい状況になっていない。

 

例えば何らかの病気のため「体力が衰え」「血流が弱っていて」などということがあれば、それをもとの状況に戻すような薬をチョイスしていきます。

 

この2つの考え方で患者さんを診ていると、いろいろな診療手段が出てきたりします。

ただ、基本となるのは僕の中ではやはり「西洋医学」です

 

この患者さんを苦しめている原因は何か

 

そこに目を向けなくては、完治するというのが難しいです。もちろん、自然に回復するような疾患(風邪などのウイルス性疾患など)は原因がわかることよりも、体調管理ということになりますし、医師としてもできることが対症療法(症状に合わせて、患者さんの辛い症状を取る)ですので、実は東洋医学を中心に組立てたりすることもあります(というか、組み立てます)

 

患者さんを苦しめる原因がある。それに対して有効な治療法があるのであれば、それを行うことが患者さんに対してメリットがあります。

原因に対して有効な方法がないのであれば、どちらかというと東洋医学的な「患者の今の状態」を中心に考えます(緩和ケアも同じような考え方でやります。まぁ、西洋医学的な考えも併用してますが)。

 

簡単に書くとそれだけです。

 

僕は先程、コメントに書きました(西洋医学の限界?:パラダイムシフトは重要だが、その段階ではまだないと思う)が、学生時代から「腫瘍を撲滅したい。そのためには免疫を勉強しなくてはならない。がんの生物学を勉強しなくてはならない」と考え、血液内科を希望しました。それは今でも変わりません。

 

がんにかんしても「腫瘍の存在」により「患者さんが生命の危機にある」ことですから、腫瘍に対してよい攻略法があるならそれが一番です。

 

しかし、なぜ「がん」が発生するのかを考えると次のような結論にいたいました。

「がん細胞が宿主の免疫を回避するシステムは何か?」

「がんの発生母地は幹細胞のはずであり、がん幹細胞を抑え込む方法はなにか?」

です。

 

個々のがん細胞を考えると、現在の医学が進んでいる「オーダーメイド治療」になってしまいます。それは素晴らしいことなんですが、どうしても個々の患者さんごとの対応になります。

Aさんの腫瘍の特徴はBとCという物質を持ち、これが腫瘍化に関連しているのでBとCをつぶすという考え方です。これは西洋医学的な「腫瘍が発生する原因」である「遺伝子」に目を向けたものだと思います。

 

これはこれで本当に素晴らしいし、満足のいく結果が出ています。血液領域で・・・慢性骨髄性白血病という疾患は以前は2~3年でほとんどの方が亡くなっていたにもかかわらず、現在は5年生存率は9割という疾患です。他にも様々な癌種で「分子標的薬」が活躍しています。

 

しかし、どうしても幹細胞を根本的につぶさないと「その薬」に耐性を持ったがん細胞が発生してきてしまいます。「がん」は1種類ではなく、複数の性質をもった細胞のあつまりです。私たちが一個の受精卵から誕生したように、一個のがん幹細胞から様々ながん細胞が発生してきます。

 

がん領域で「がん」という原因に目を向けた後に「宿主」である患者さんに目を向けると、免疫はどうなのかという考えになります。通常、毎日発生しているがん細胞を私たちの免疫は確実につぶしていってくれています

 

それをどういうシステムでがんは回避しているのか。

僕は本当は「がんが免疫から逃げるシステム」を解明する研究をしたいと思っています。それを確実に抑え込めるようになればがんというのは発生しなくなりますので。

もしくは、がん幹細胞を確実につぶす方法は何かです。もし、白血病幹細胞だろうが肺癌の幹細胞だろうが共通して持っていて、なおかつ人間の正常な幹細胞にないものがあればそれをつぶすという話になります(これは西洋医学的な発想ですが)。僕の中ではそういうものが見つかれば、それこそワクチン接種してやりたいと思っています。

 

がん幹細胞共通抗原の予防接種

 

これが僕の将来の目標です。

もし、永久にがん細胞共通抗原を発現した細胞をつぶし続けることができれば、がんは発生しなくなるはずです

 

まぁ、今の段階では夢物語です。

僕自身医師としては中堅くらい(もうすぐ10年目の医師になります)で、研究者としてはひよこであります。ただ、この目標を持って医師として活動し続ければ、目標を達成することもあるだろうと思っています。

 

誰かが達成してくれて「がん」という疾患を世界中から駆逐してくれれば、僕の医師としての目標は達成されて、あとはのんびりできればなぁ・・・と思ったりもしています。

 

これが医師としての目標ですが、今の時点では腫瘍免疫に関しては発展途上であり、それ故に僕は目の前の患者さんと目の前にいない患者さんに対していろいろできればねと・・思っています

 

いつも読んでいただいてありがとうございます。今後もよろしくお願いいたします。

http://blog.with2.net/link.php?602868

人気ブログランキングへ←応援よろしくお願いします

なかのひと

blogram投票ボタン

それでは、また

 

 

P.S

ちなみに、がん共通抗原のワクチン接種…と書きましたが、すごく難しいです。有益性に関しては数十年スパンの多くの治験参加者が必要になります(評価できないでしょうw)し、有害事象はそういったことにより自己免疫・アレルギーの発生する可能性を考えなくてはなりませんしね。

そういうことも含めて、将来やれたら面白いなぁと思っています。

コメント (9)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

安全な輸血を作る:iPS細胞関連研究の発展を祈る

2013-03-22 22:00:38 | 医療

こんばんは

 

昨日、今日と比較的病棟などが忙しく大変でした。…というよりも、研究中心で生活している僕が病棟に出っ張る必要があるほど忙しい状態だった・・・というべきでしょうか。

ただ、周りの人間は異口同音に言います(病棟が移動になった前副師長と廊下ですれ違った時にも言われた)

「先生が病棟に行ったから、病棟が大変だったんだって?」

「逆です。病棟が大変だったから、僕が行ったんですよ」

 

まぁ、いいのですが。

 

さて、本日はまずこちらの記事を紹介します。

 あらゆる細胞になる能力を持つヒトの人工多能性幹細胞(iPS細胞)から赤血球を豊富に作る技術を、理化学研究所バイオリソースセンター(茨城県つくば市)の中村幸夫細胞材料開発室長らが開発した。実用化されれば、少子高齢化で不足が懸念される輸血用血液の製造につながる可能性がある。21日に横浜市で始まった日本再生医療学会で発表した。

 中村さんらは、赤血球を次々と生み出す「赤血球前駆細胞」をマウスで既に作製しており、これをヒトiPS細胞に応用した。貧血治療に使われる薬「エリスロポエチン」の成分など血液増殖につながる物質を使って培養し、同様の前駆細胞の作製に成功した。

 この前駆細胞の集まりを赤血球にしようとすると、約25%がうまく変化するが、残りは不完全だったり、前駆細胞自身が死んでしまったりするという。前駆細胞自体はほぼ無限に増えるため、輸血に必要な量の赤血球は作れるが、コストを抑えるのにさらに技術改良が必要で、実用化には数年かかるという。

 iPS細胞から作った組織は、ヒトに移植すると異常な形で増殖してがん化する恐れがあるが、赤血球は他の細胞と違って核がなく、自分で増殖しないためその心配はない。ほぼ万人に輸血可能なO型Rhマイナスの赤血球を作って貯蔵すれば、ほかの血液型にも対応できるという。

 中村さんは「前駆細胞から赤血球を作製する効率を、現在の25%から100%に高めることが必要で、さらに研究を続けたい」と話している。【野田武】

----------------------------------------

 人工多能性幹細胞(iPS細胞)を使って、細菌の増殖を抑える特定の白血球を大量に培養することに、北海道大大学院の若尾宏准教授らの研究チームが成功した。薬が効かない院内感染や多剤耐性結核の治療法につながる可能性があるという。米科学誌セル・ステムセル電子版で22日発表した。
 研究チームは、結核菌の感染から体を守るヒト白血球の一種「マイト細胞」に着目。この白血球はそのままでは培養できないため、いったんiPS細胞に変えて大量に増やした上で、マイト細胞に分化させた。免疫不全のマウスに移植したところ、細菌の増殖を抑える効果が確認できたという。
 iPS細胞を作る際には遺伝子を傷つけない特殊なウイルスを使うため、移植後がんになる危険もないとしている。
 院内感染の原因となるバンコマイシン耐性黄色ブドウ球菌(VRSA)や多剤耐性結核菌など、薬剤では治療が難しい病気で治療に活用できるという。若尾准教授は「iPS細胞で新たな細胞治療を実現したい」と話している。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

マイトって何かと思ったらmucosal-associated invariant T cellということか。マイト細胞と書かれても何が何だかわからなかったw

http://www.hokudai.ac.jp/news/130322_pr_med.pdf

 

さて、輸血に関してですが本当にiPSから輸血用の血液が作れたらよいですね

 

実は輸血もわかっていないことがたくさんあります。有名なアレルギーの話もありますし、TRALI(輸血関連急性肺障害)などもあります。TRALIは基本的に献血者の血漿成分と患者さん側の関連があるといわれていますが(抗顆粒球抗体が原因と言われながらも、実際の抗体の保有頻度とTRALIの発生頻度に違いがあり、まだ分からないことばかりです)、こういう心配もなくなりますよね。

 

実はFFP(新鮮凍結血漿)や血小板のほうがTRALIの可能性は上がりそうなんですけど、呼吸困難の発生頻度は赤血球もそれなりに報告されているし…よくわからないですよね。

http://www.jrc.or.jp/vcms_lf/iyakuhin_shiryou080925-03.pdf

ちなみに上のpdfの一番下のあたりにも書いていますが、女性の血漿製剤は基本的に使われていないです(イギリスの話になっていますが、日本でも血小板は使われていますが、血漿は男性のみのようですよ)。そういう意味では血小板には血漿が必ず混入するんですよね。それがまた問題です。

妊娠中の女性の方も抗顆粒球抗体が出る可能性があるので献血はしてはいけないことになっています(ほかにもいろいろ理由はあると思いますが)

http://medicalfinder.jp/ejournal/1543102327.html

http://www.tokyo.bc.jrc.or.jp/current/index2.html

 

ということで、安全な輸血製剤を作るという意味では本当に素晴らしい話だと思います。

一番輸血をしているであろう血液内科医だから思うことかもしれませんが・・・。

 

いつも読んでいただいてありがとうございます。今後もよろしくお願いいたします。

http://blog.with2.net/link.php?602868

人気ブログランキングへ←応援よろしくお願いします

なかのひと

blogram投票ボタン

それでは、また。

 

 

 

 

 

コメント (4)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

医師国家試験合格発表

2013-03-19 22:10:22 | 医療

こんばんは

 

今日は随分と暖かく・・・というより暑くなりましたね。本当に半袖でもよいような陽気でした。

 

本日、医師国家試験の合格発表であることは知らなかったのですが、帰り際にうちの教授と部活の部長の先生から情報を聞きました。

 

医師国家試験に7696人合格 厚労省公表

http://www.47news.jp/CN/201303/CN2013031901002003.html

 厚生労働省は19日、2月に実施した医師国家試験に7696人が合格したと発表した。合格率は昨年より0・4ポイント低い89・8%。女性の合格者は2516人で全体の32・7%を占めた。最高齢は66歳の男性だった。

 合格者のうち大学新卒者は7205人。

 新卒と既卒を合わせた大学別合格率は自治医大が99・1%でトップ。名古屋市立大医学部98・7%、日本大医学部98・3%が続いた。

 厚労省は、個人情報保護のため合格者氏名は非公表とした。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

うちの大学は数名不合格が出ているようですが、何故落ちるのやら・・・と思ってしまう。しかも、よく知っている名前と顔が一致している後輩が落ちてるし(汗

http://www.tecomgroup.jp/igaku/topics/107.asp

さて、医師国家試験、昔も今も出題傾向が変わっていないようであればこんな内容です。

 

内科・外科から7割近く(60%以上で、うち外科の知識だけ必要なのは5%程度)

公衆衛生から10%

小児科から10%

産婦人科から10%で7割は産科領域

残りの2割を他の領域が分けているような感じですね。

 

僕が国家試験対策にかかわっていたころ、本当に余裕のない同級生には

麻酔科の問題解いている暇があったら、内科をもう一回(麻酔科の先生、すいません)

と言っていました。麻酔科からは例年1問か2問だったので、余裕のない人には捨てさせるなどの対応をしていけば、どうにかなると思うのですけどね。

 

国家試験対策かぁ・・・もう一回アプローチとかQBとか解いてみようかしら。結構楽しいのよね、クイズみたいで。実臨床と違って答えがあるのは楽だと思います何を言わせたいのか、問題みればだいたいわかりますからね

わからない問題は「悪問」です(といつも模試の時に言っていたw)

 

来年は全員合格するといいなぁ

 

いつも読んでいただいてありがとうございます。今後もよろしくお願いいたします。

http://blog.with2.net/link.php?602868

人気ブログランキングへ←応援よろしくお願いします

なかのひと

blogram投票ボタン

それでは、また。

コメント (3)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

医師は足りてますか?

2013-03-18 22:33:15 | 医療

こんばんは

 

今日の昼間に丁度日本対プエルトリコ戦が放送されていたので、食事しながら見ていました。残念ながら負けてしまいましたが、準決勝まで進んだので頑張ったと思います。98回の医師国家試験まで3年連続100%はないという話でしたが、なんでも「3連続」というのは難しい話ですね。

 

さて、本日は「医師はそれほど不足していない」というお話に関して、少しだけアンチテーゼを提案させていただきます。

 

本日帰り際に「初診の方が『時間がかかりすぎる』と怒って診察前に帰ってしまい、投書で苦情を書いてきている」という話を聞きました。通常であれば、大学病院なので「紹介状を持って、予約をしたうえで受診されてください」といってもよい状況ですが、だいたいその日に受診すれば「紹介状を持っていれば」うちの大学病院は受診可能です。

予約患者さんがいますので、僕が外来をしていた頃も「この患者さんには採血行ってもらって12:00から、この方は12:30、この方は13:00・・・」とやっていましたが、一人の患者さんを優先すると他の患者さんへのしわ寄せが大きいのでそういうことをするのは、患者さんが重症ですぐに対応が必要な時だけです。

 

例えば、急性白血病を前振りなく紹介されたときとか(ちなみに、前も書きましたが治療開始が一定期間以上遅れると死亡率が上昇するので、急性白血病は緊急事態です)

 

本当に多くの医師がいて、一人10分でも20分でも時間を取るだけの余裕があり、じっくり話を聞いて診療する余裕があるならともかく、今の医師数では「3分間診療」のようなことが起こるわけです。

 

僕が外来をやっていた時はできるだけ話を聞いてはいましたが、本当に2郡に分けてやっている感じでした。

申し訳ありませんが、外来診療で早く見て、早く終わらせるのは急性白血病や悪性リンパ腫などの治療後の患者さんです。再発していないことを確認するのが目的ですから、それが確認できればその日はおおむねOKです。もちろん患者さんの中には維持療法をしていたり、何らかの薬物治療をしていることがありますので、そういったことの副作用も確認します。

逆に時間をかけるのは高齢者の外来治療を行っている患者さん。例えば骨髄異形成症候群や骨髄腫などの患者さんです。ここに時間をかけるためにはどうしても前者の時間の削らないといけません。それでも何か異常があった患者さんに対して対応する時間を作るために、四苦八苦しています。

最も時間がかかるのは新患の患者さん。当たり前ですが「自分はどういう異常があるのだろう」と不安に感じている患者さんや家族に「3分間」で終わることはできません。ある程度説明する必要があります。その時間もかなりとられるわけです。

初診の患者さんを別にみればいいのですが、それができる病院も限られているように思います。うちはちなみに全員1人の医師が診ているので、新患が多い時は本当に泣けてきます。

 

昔、急性白血病の40代の男性が近くのクリニックから紹介されてきたとき、患者さんの状態が悪く入院できればよかったのですが、すでに病床数の1.5倍の患者さんが入院していて、これ以上はどう頑張っても不可能という状態。運悪く、国際学会などがあり、医師数も少なかったこともあって外来と患者さんの受け入れ先探しを両方やらなくてはならない状況でした。

 

血液内科医は「急性白血病」は基本的に緊急事態というのはわかっていますし、この患者さんの白血球数は10万を超えていたので(ついでにDICもあり)本当に緊急でしたが、最終的に15件目の東京都の南東の方にある某有名病院に転院(どこもわかっているけど、受け入れ不能)されました。この間、外来がその都度ストップするので3時間ほどの遅れが出てしまい、直謝りしながら外来を進めていました。

 

医師数が多いのであれば、基本的にこんなに待ち時間が長くないと思いますし、短時間の診療になることもないはずです。まぁ、短時間の診療でよい患者さんも多いのですが、時間をかけるべき患者さんにもなかなか時間をかけられないというのも事実だと思います。

 

そういう問題点もあるのだと、本当に病気になった時に「時間に追われた対応をされる」のはあまり良い気がしないのではないかと思っております。

 

もちろん、真理として万人が納得する何かがあるのかもしれませんが、僕の中では「医師も大変だけど、本当は患者さんも時間をかける必要がある人がかけられていない」という事実があり、医師数は不足していると考えています。

 

1日は24時間です。あまり考えられていない方もいるかもしれませんが、悪性腫瘍の患者さんに時間をかけるのも大事ですが、生活習慣病の人は薬物治療よりも、基本に「生活指導」がありますのでもっと時間をかけなくてはいけないはずです。それがあまりにも多くの患者さんを1人の医師が診るので、生活指導などがおろそかになるのではないかと思っています。

 

まぁ、その分野を他の職種の人がやっている病院もいっぱいあるとは思いますが(そういうところに新たな雇用ができるとも思っています)

 

いつも読んでいただいてありがとうございます。今後もよろしくお願いいたします。

http://blog.with2.net/link.php?602868

人気ブログランキングへ←応援よろしくお願いします

なかのひと

blogram投票ボタン

それでは、また。

コメント (8)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

TPP参加後も医師が医師として生きれる社会であってほしい

2013-03-16 22:10:26 | 医療

もう一つ追加です。

 

TPP参加に関して、Yahooにこんな記事がありました。

 

 TPPを巡っては、公的医療保険制度への影響が焦点の一つに浮上している。過去の通商交渉で米側が医療保険分野への民間参入拡大を強く求めてきた経緯から、日本医師会(日医)や自民党の一部議員が「公的保険のカバー範囲が縮小し、国民皆保険が崩れる」と懸念しているためだ。ただ、政府は「医療保険制度は対象外」と説明し、議論はかみ合っていない。そうした中、厚生労働省は「米側の関心は医薬品や医療機器のシェア拡大」との見方を強めている。

 日本の医療の特徴は、全国民が公的保険に加入し、等しい医療を受けられる「国民皆保険」にある。保険診療と保険外診療を組み合わせる「混合診療」も原則禁止だ。一方、米国の医療は民間保険に入るのが基本。所得の低い人は高度な医療を受けられない。

 外国の保険会社が広く参入したり、営利企業が病院経営に参画したりすれば、高額の保険外診療が増えて病院にかかれない患者が生まれ、不採算の病院も増える--。TPPを警戒する日医は15日、横倉義武会長名で「国益に反すると判断された場合は速やかに撤退する選択肢も持つべきだ」との声明を出した。

 反対理由には投資家と国家の紛争解決(ISDS)条項の存在もある。不利益な扱いを受けた企業が相手国を訴えられる仕組みだ。国民皆保険を参入規制とみなされる、との不信もあり、自民党のTPP対策委員会は13日、皆保険を「聖域」の一つに位置づけた。

 ただし、TPP交渉を担当する米通商代表部(USTR)のカトラー代表補は昨年3月、東京都内での講演で、「混合診療を含めて公的保険制度外の診療を認めるよう求めるものではない」と述べている。これらの発言をもとに安倍晋三首相は15日の会見でも「世界に誇る国民皆保険を基礎とした社会保障制度を断固として守る」と火消しに努めた。

 その点医薬品に関しては、新薬の成分情報を公開せずに済む期間の協議がTPP交渉参加国間で進んでいる。米国の巨大製薬企業群は、日本市場でのシェア拡大に躍起で、厚労省幹部は「米国は新薬の特許権保護の強化を目指している」と読む。さらに、販売好調な新薬の公定価格を下げていく日本の仕組みについても見直しを迫ってくるとみている。【佐藤丈一】

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

これに関しては「医者」としての実感ですが、絶対に守ってほしい事項です。

 

過去にも書いてきましたが、少なくとも患者さん1人1人の「生存するチャンス」は平等でなくてはならないと思っています。お金や立場で「治療」が異なるというのは「平等」とは言えないと思います。

 

医者としても患者さんが治療費を払えないからと言って、有効な治療法があるにもかかわらず行わないというのは「医師であることを捨てている」ような気がしてならないですし、そういうことを要求する社会にはなってほしくないです。

 

日本の医療は本当によいと思います。

まぁ、ただ本当に医師は足りてないですから・・・そこはどうにかしてほしいところですが

 

いつも読んでいただいてありがとうございます。今後もよろしくお願いいたします。

http://blog.with2.net/link.php?602868

人気ブログランキングへ←応援よろしくお願いします

なかのひと

blogram投票ボタン

それでは、また。

 

コメント (5)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

大塚キャスターのALL再発(ちょっとALLの移植適応について)

2013-03-16 21:18:03 | 医療

こんばんは

 

今日はうちの大学の内科外来の引越しがありました。本当は運搬は業者さんがやってくださる予定だったのですが、うちのブースが最後から2番目だったので、いそいそと自分でやっておりました。本当は監督する役割だったのですが。

 

ある程度、仕事が進んだ時点で教授も来て(講師の先生も来た)、外来ブースの配置をおおむね決定して、午後にパソコンなどの確認をし終了しました。

 

さて、今日は少し気になる記事を。大塚さんがいい人だから、このニュースは大変残念です

 フジテレビで4月から始まる情報新番組「アゲるテレビ」で本格復帰予定だった大塚範一キャスター(64)が16日、定期検査の結果「急性リンパ性白血病」の再発が判明、治療に専念することになった。同番組出演も当面の間、見合わせる。

 大塚キャスターは2011年11月に急性リンパ性白血病を発病。メインキャスターを務めていた同局系情報番組「めざましテレビ」を休養、12年3月に降板した。10月に都内の病院を退院し、24日に同番組に出演したが、その中で闘病生活を振り返って、「退院の明かりが見えた時に感染症とかを併発して本来の次の治療に移れなかった。体の抵抗力が落ちているので普段なら感染しないような病原菌に苦しんだ。そのころが一番厳しい時期だった」と話した。しかし「弱音を吐いてもしようがない。少しでも前向きなことを言って自分を奮い立たせた。そういう気持ちが必要だった」と持ち前の強い精神力で立ち向かったことを語っていた。

 2月4日にも「めざまし-」に出演し、4月からの新番組での待望の本格復帰への意気込みを見せていた矢先、14日に再発が判明。来週早々に入院することになった。

 フジテレビは「一刻も早いご回復をお祈りしています」とコメントした。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

僕も回復されることを祈念しておりますとしか言いようがないです。

専門家として一言書きますと、闘病生活を振り返って・・・と書いていますが、通常急性リンパ性白血病では維持療法を行っている時期です。患者さんが強い希望をもってやらない・・・と言わなければ、通常急性リンパ性白血病は維持療法をします。

急性骨髄性白血病はしません。維持療法をしなくても、現在行っている地固め療法(だめおし)をやることで、治療成績が変わらないことが治験で示されています)

白血病の再発というのはこのように一気に来ます。普通の癌では考えられない速さで白血病細胞は増えてきます。大塚キャスターも2月には復帰を考えていたということは、このころの定期受診では異常がなかったが、次の健診で再発していたということだと思います。

 

ちなみに当院でも再発された患者さんがいらっしゃいますが、同様に直前の外来受診時(2週間前)にはわからない状況でした。本当はもっと早く再発を感知できる検査があれば(すなわち、それは寛解の深さもわかるということですが)良いのですけどね。この検査で病気がわからなければ再発はしないというような検査が・・・。ないから「完全寛解」という言葉を使うわけですが

 

僕は白血病の治療後の方は基本的に最初の2年近くは2週間おきに診ています。そうでなくては患者さんの再発をかなり腫瘍量が増えた状況でしか見つけられない可能性があるからです。外来の込み具合で、実際には1年半くらいから3週間おきにしてみたり「WT-1」 などで追ったりもしていますが、増えてくるときには非常に早いというのが実際のところです。

 (追記で白血病でもAggressiveなリンパ腫でもそうですが、DFS(無病生存期間)は最初の2年以内が急峻に低下していきます。逆を言うと2年以内が再発リスクが高い時期ですので、かなり慎重にやっています。その後も再発しないわけではなく、だからこそ5年くらい診療を継続するのですが・・・。ちなみにこの追記は、白血病で治療を受けられた患者さんを無為に不安にさせてしまう内容だと思ったので、ここに記載させていただきます。不安を感じられた方、申し訳ありません。基本的には余命の話にも書きましたが、完治をすると信じて治療を行い、治ったと思って経過観察をしています。治ってないと思うなら同種骨髄移植など、治ったと患者さんも自分自身も信じられる治療を行います

急性リンパ性白血病であれば…35歳以下であれば積極的に移植を考えると思う(小児用プロトコールでの成績改善も報告されていて、この治療を行える人たちはやらないという選択肢もありますが)のですが、60歳を超えるとなると一般的に移植は難しいという考え方です。もちろん、個人個人で適応は異なりますが、統計学的には35歳前後で同種移植の成績が分かれてしまいます(ほかの評価もするのですが)。それ故、移植という選択が本田美奈子さんのような若い患者さんと異なり、選択肢に上がらなかったのだろうと思います。

http://www.jshct.com/guideline/pdf/2002.pdf

しかし、再発した今回であれば…再度完全寛解(病気が一般的な検査ではわからないレベル、末梢血が回復した時点で骨髄中の芽球が5%未満)に入ったうえで「完治」を目指すのであれば、リスクをかけても同種移植の他はないのだろうな・・・と思います。これは僕個人が同じような条件の患者さんを診た時に、その患者さんに対いて厳しくとも提案するであろう・・・という意味での話で、絶対的なものではありません。

 

僕は直接患者さんを診察しているわけではありませんし、何とも申し上げられないのですが…再発した急性リンパ性白血病に対して「こうすれば絶対に良いです」という選択肢、ガイドラインのようなものは今現在はありません。まぁ、それを言うと再発した悪性リンパ腫に対して自家移植は行うでしょうけど、Salvage療法が決まっていないというのも似たようなものでしょうけど。

それ故に患者さんである大塚さんと主治医の先生(たち)がよく話し合って、大塚さんが望まれる治療を行っていくしかないと思います。

全ての医師は患者さんに対して「メリット」がでるようにいつも考えています(たぶん、すべての医師)。初発時は一般的なことを行うことが、患者さんのメリットになる。ただ、これからは患者さんが何を希望されているのか、患者さんの体力などはどうか、感染症に苦しんだと書かれていますがその状態は…、一番重要なことは寛解に入るのかどうか。

 

ともかく、大塚さんの病気の回復と治療の成功を祈念しております。

いつも読んでいただいてありがとうございます。今後もよろしくお願いいたします。

http://blog.with2.net/link.php?602868

人気ブログランキングへ←応援よろしくお願いします

なかのひと

blogram投票ボタン

それでは、また。

 

P.S:僕たち医者というのは患者さんの希望に合わせていくつかの選択肢を提示し、より良い選択肢を患者さんの希望に合わせて(患者さんの希望に合った・・・治りたい、けどリスクは望まない。できれば完治しなくてもよいから、外来ベースで家族と一緒にいたい)一緒に選択していくものだろうと思います。

通常完治するのを目指す場合は、現在行われている標準治療を行うという話になるとは思いますが・・・。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

余命の話

2013-03-13 21:53:21 | 医学系

こんばんは

 

3月5日から4月5日までの間に血液学会総会の演題投稿をしなくてはなりません。一応、先日倫理委員会に提出したものを解析して提出するつもりですが、その解析+αに基礎実験のほうは試薬が来るのを待っているというところです。

 

まぁ、いろいろやることは探せば山のように出てくるというところです。ついでに医局旅行の計画をついに2人の教授の承諾を得、医局長の指揮(医局旅行幹事に任命されました)のもと発動させました。

さしあたり、時期などをアンケート調査して(場所はいろいろと考えて決めてしまいましたw)計画を立て、実行する予定です。

 

さて、このBlogもいろいろな記事があり、どういう検索キーワードが引っかかって、どういう記事を読んでいるかもわかるのですが…ちょっと気になることがあったので記載させていただきます。

 

今日、たまたま外来輸血時にお話しした患者さんも「余命」のことを言っていました。このBlogの検索ワードにも「骨髄異形成症候群+余命」「悪性リンパ腫+余命」「急性白血病+余命」などのワードが並んでいます。

 

僕は以前書いたかもしれませんが、まず余命に関してはいうことはあまりないです。なぜなら個人個人の命なんて神様でもなければわかりませんので。

悪性リンパ腫の説明(僕の説明の仕方)

という記事にも書きましたが、僕は悪性リンパ腫も急性白血病も「標準治療をやり遂げる」ことをまず考えればよいと思っている人間で、効かなかったらどうしよう・・・とか、再発したらどうしようというのは患者さんに考えてほしくないと思っています。

前向きに治療を進める。

予後を患者さんが知る必要性があるとすれば、患者さんが家族の方や、知り合いの方々に対して亡くなった場合の対処をしないといけない場合、もしくは死ぬまでの時間をある程度把握して、その時が来るまでの計画を立てる場合など…だと思っています。

 

僕は病気を診断し、告知した時に…当たり前ですが「この病気でこういう状態だと、一般的に5年生存率はこのくらいです。ただ、○○さんが治るかどうかは1か0です」とか言ったりします。

 

僕は本当にそれ以上のことを聞かれたら「統計学的なお話はできますが、○○さん個人の話はできません。僕は神様ではないので、○○さんの予後についてはわかりません。まずは行うべき治療を行い、病気をやっつけて治ることを考えましょう」というような答えをします。さらにどうしても細かく知りたいと言われれば、いくらでも細かく言いますが…その時点で患者さんのメリットはないという判断をしています。

 

偶然かどうかはわかりませんが、僕が2008年から2011年までの間に主治医として治療にあたった急性白血病の患者さんのうち、一般的な標準治療を行った患者さんって8割以上ご存命だと思います(もし、思い出していない患者さんがいたらごめんなさい)。まぁ、再発のリスクが高いと思った方は移植をしていますし、再発してもどうにかして第2寛解期で移植している(これは後輩が主治医で行った移植ですが)し・・・。

ついでにこの時期に診療していた悪性リンパ腫(びまん性大細胞型B細胞リンパ腫)の患者さんの一部を統計解析してみたんですが、一般に言われているよりも成績いいんですよね。

そういうことも含め・・・僕は統計学的に「生存に影響を与える因子」として解析することはできませんけど、「治るんだ」「再発することは考えないようにしよう」と思って治療をするのと、「50%の確率で再発するんだ」と思って治療をするのでは違うのではないかと思っています。

 

今日、話をした患者さんにも

「確かに統計学的に▽■さんの病気は生存中央値が0.4年という風に言われてしまいます。しかし、その解析は昔の良い薬がなかった時代の数値です。良いか悪いかで言えば、性質が悪いものというのは間違いないですが・・・余命何年と決めつけるのはよくないです。ついでに言うと同じような病気の状態でも2年、3年と長生きされていた患者さんも知っています(まぁ、その方は僕もびっくりするくらいですが)。個人個人については病気の性質も違いますし、薬の反応性も違います。そういうことも含めてわかりません。▽■さんの病気は完治するというたぐいのものではないので、余命を考えて生きることは非常に大事で素晴らしいと思いますが、もっともっと生きられるかもしれないと考えたほうがよいです」

と、お伝えしました。

 

医師は完治する類のものでない場合生存中央値×年とか・・・、あとは説明責任という意味では積極的な治療では「5年生存率」は▽%とかと説明をすると思います。

しかし、本当に医師も神様ではないので「個人」の余命を判断することはできないのです。

 

僕たちは「同じようなグループを解析した結果、グループとしてこのくらいの生存確率です」ということはわかっても、「個人としてどのくらいか」というのは言えません。

 

それ故僕が担当したすべての患者さんには、例えば・・・

「(急性白血病の患者さんに)抗癌剤治療で病気が検査でわからない状態になる可能性は7割~8割くらいです。その後の抗癌剤だけで治るかどうかというのは追加の検査をして分類しますが、4~5割程度でしょう。抗癌剤だけでは治る可能性が低いと思われる人には骨髄移植を検討します。

予後は神様ではないのでわかりません。5年生存率というのを統計学的にお伝えはできますが・・・たとえば最初の治療はがん細胞がいっぱいあるのでリスクが高いわけですが、これがうまく消えた人と消えなかった人では予後に差が出てきます。あえて言うなら○○さんが5年後に生きているかいないかは、まさに0か1しかないです。寛解に入らなかったらいろいろ考えなくてはならないですが、まずは寛解を目指して頑張るのがよいかなと思います。」

・・・まぁ、どちらかというと「0か100かしかないので、治る方目指して頑張りましょう」というような感じで終わりますけど。

 

ともかく、予後というのは気になると思いますが…統計学的(こういうグループの・・・)には言えても、個々人の余命というのはなかなか言えません

本当に積極的な手が出なくなったときに…初めて「もしかすると、このくらいしか生きられないかもしれない」とは言います。それは先程も言いましたが、患者さんや家族がいろいろな準備をするのに絶対に必要な時間だと思うからです。

 

しかし、それ以外では…特に最初の段階ではあまり「余命」とか「予後」という言葉を気に掛けるよりも、「できることがあるならまずはやろうじゃないか・・・」という考え方のほうがよいのではないかと思います

 

いつも読んでいただいてありがとうございます。今後もよろしくお願いいたします。

http://blog.with2.net/link.php?602868

人気ブログランキングへ←応援よろしくお願いします

なかのひと

blogram投票ボタン

それでは、また。

 

P.S:これにもいろいろ批判があるとは思いますが、患者さんにもよると思いますが僕は前向きに治療に取り組むためには、あまり余命とかを言わないほうがよいのではないかと思っています。

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

医学部新設の是非は?:医師は不足していると思いますが・・・

2013-03-11 22:15:55 | 医療

ちょっと時間があるのでもう一つ書きます。

 

このblog(2006年より始めた前のものも含む)は基本的に「医師不足」を認識してそれを世間に訴える目的で書き始めたBlogです

実際に医師・看護師が不足し業務内容が忙しい地域の1っとして埼玉県や千葉県といった首都圏近郊の県があります。東北・北海道などでも不足している場所は多々あると思います。

 

そして基本的に諸外国と比較しても医師数は少ない日本で医師を増やさなくてよいという考え自体がおかしいですし、たぶん「宇宙」という新しい領域に向かうのであれば「医療」はさらに発展させないといけないと思います。

新しい環境は新しい病気を生み出し、ついでに言うなら「がん」はなくなると思っている僕ですが、ウイルスをはじめとした感染症は駆逐できないと思いますので、そういう備えも考えていないといけません

 

ということで、今日の記事です。

 

 自民党の国会議員連盟が東北地方での医学部新設を政府に求める方針を決議したことなどを受け、全国医学部長病院長会議は11日、医学部新設について慎重な対応を求める要望書を下村博文文部科学相に提出した。要望書では、医学部新設で医師数の増加を目指すのは「百害あって一利なし」と指摘。医師不足に対しては、既存の医学部の定員の増減で調節するのが「最も合理的」と強調している。

 要望書では、定員増での対応の方が望ましい理由として、▽将来の医師需要状況の変化に応じて、迅速かつ容易に入学定員を調整できる▽現在ある教育・研究施設や人的資源が活用でき、必要最小限の費用投入で教育の質と量を確保することができる―などを挙げている。 
 一方、医学部を新設した場合については、地域の基幹病院に勤務している医師を教員として異動させる必要が生じ、病院勤務医の不足が加速するとの懸念を表明。人口の減少などに伴い医師過剰になった場合に、新設された医学部の廃校が難しいことも問題視している。

 提出後に記者会見した同会議の小川彰顧問(岩手医科大学長)は、「病院の勤務医を教員に振り替えることによって、地域医療が崩壊する」と訴えた。その上で、「医師の地域偏在・診療科間偏在(の解消)が、医師不足対策で最も重要。医学部新設にエネルギーを費やすのではなく、今のシステムを変えていただきたい」と述べた。

■既存の医学部定員も「様子見を」
 会見ではまた、既存の医学部の定員増についても慎重な検討を求めた。

 別所正美会長(埼玉医科大学長)は、「限りなく、どんどん増やせばいいというわけではない。今くらいの数でしばらく様子を見て、さらに増やせるかどうか考える必要がある」と述べ、2008年度以降の定員増などの効果検証が必要との考えを示した。

 来年度の全国の医学部定員は今年度から50人増の9041人で、増加に転じた08年度以降の累積では1416人の増加になる。【高崎慎也】

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

こんな話は今更いう話ではなく、とっくの昔に話し合われているべき内容だと思っています。

実際に僕はまだ20代でしたが、2008年1月に行われたある会合で医師不足に対応するために「医学部増設」という話に対しては、「いますぐ医学部を増設するのは難しく、教員数が絶対的に足りない」という意見を有名な先生に伝えました。

自分の過去の記事にもあるはずなんですがどこにあるのやら・・・・。

最近のだと・・・医学部新設の良い点は?などなんですが・・・

医局制度改革・医学教育改革(45)

 

実際には医学部新設を行うには弱りすぎている日本の医療というのが事実で、できるならば不足しているのだから増やすことを考えればいいという単純な話になります。それをその原因を作っている方々が何を言っているのだろうとは思っております。

僕はたぶん東大の上先生たちが言っている「高齢化による医療需要の上昇」が「人口減少による需要の減少」よりも顕著になると思っていますし、新たな領域に手を広げる余裕がなくなると思いますよ。今のままであれば。

 

自分たちの活動が狭まるのであれば・・・もしくは広がると同時に他と混ざる(まぁ、島国ゆえの現状という可能性もありますので)のであれば、予想に反すると思いますが・・・。今のところ外れたことがないし・・・と思っているところです。

 

今は少しずつ体力をつけて、本格的な治療(本当に必要な医師数を見極めて、医師数を増やすこと)が開始できるようにすることが第1、第2に時間的距離を縮めることで先日のようなこと(搬送36回拒否、男性死亡 救急受け入れまで2時間 埼玉・久喜http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20130306-00000123-san-soci)とかがないようにもしないといけませんし。

 

この日じゃないですが、1月に当直してた時に7件目、14件目(ほか、直接来院など)というのがありました。もうどっちも受けないとしょうがないなぁと思って受けましたが…結構、そういうのは多数あります。夜中の救急搬送依頼もやはり14,5件目だったので受けたかったもののベッド数や主診療科の判断もあり、断りました。それは僕だけでは診れない領域のものだったので。

いろいろ思われる方々がいらっしゃると思いますが、専門外と判断して患者さんに余裕があるのであれば・・直接専門領域を診れる医師のところに行ったほうが患者さんのメリットになることもあります。結局、他の病院で時間をつぶした上に搬送先を探して、もう一度病院に救急車に来てもらって、搬送するということになりますので。

ですから、受け入れ不能…というのは実際にあることです。

http://kawagoeerc.jimdo.com/2013/03/05/25病院に36回断られる-埼玉の男性死亡/

救急対策 埼玉北東部医療協議会:すぐに忘れられないように

 

そういうことが起きている状況下で医師が十分にいるという認識には僕はなりませんが、医師数を増やす対策(僕は大学病院の強化、連携など)や搬送能力の強化などをとりあえずはやるしかないのかなと思っております。

 

話が脱線しましたが、医師数に関しては基本的に「不足」しているというのは事実だと思いますし、それに対して「医学部新設」よりは「大学の強化、医学部定員増」での対応のほうがよいとは思っていますが、まだまだ不足していると思っています

 

こんな議論よりも…さらに国家試験やCBTのこともはじめ、医学教育の根底からすべて作り直さないと話にならないのでしょうけど・・・・

政治家を目指す医師がいるのは良くわかりますね。僕もこのままではいけない、何かを変えないととは思いますし。

 

ただ、医学自体の面白さが今は一番なので…どうにか上のほうの方々が本気で取り組んでほしいと思います(本当に心から考えていて、全員が意見を戦わせればこんな話はもっと昔に出ていていいはずのものですから。今団こんな話をしていることが、政治をしているだけで本気で取り組んでいないことの表れだと思っています)。

 

いつも読んでいただいてありがとうございます。今後もよろしくお願いいたします。

http://blog.with2.net/link.php?602868

人気ブログランキングへ←応援よろしくお願いします

なかのひと

blogram投票ボタン

それでは、また。

コメント (7)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする