おはようございます。
7月末にあった日本血液学会の関東地方会は日光で開催されたので、日光への小旅行のような感じになりました。今週末は地域医療の研究会ということで、北海道まで行ってきました。
僕の期待していたような発表ではなかったですが、頑張っているなぁと思いました。1人の血液内科医が外来1日40−50人/日×5日間+入院患者40名以上診てるってどういう状況ですかと(汗
本当はどうやって連携しているか・・・という話を聞きたかったのですが、地方でかなり大変ながら頑張っているという内容になっていたような気がします。
「こういう合併症は〇〇病院を含めて地域が、あるストラテジーで対応してくれることになっていて、血液専門医でないと対応できないものを我々が診ている」とか「外勤などをして、週に1回北部の患者さんは診療、南部の患者さんも別の曜日に診療」とかやっています・・・というような話だと参考になったかなと。
1人で地域を支えている先生もすごいのですが、こちらも2人体制では無理という話になったわけです。
兵庫県丹波篠山市黒岡の兵庫医科大学ささやま医療センターが「医師2人体制では安全な分娩ができない」として、産科の分娩休止の方向性を出したことを受けた同市の「ささやま医療センターの産科充実に向けての検討会」(委員長=酒井隆明市長)の2回目の会合がこのほど、同市の丹南健康福祉センターで開かれた。同センター副院長も務める田中宏幸産婦人科部長らが出席。「2人がずっと、いつ呼び出しがあるか分からない緊張感を持って24時間365日を過ごしている。みなさんに期待してもらっている安心・安全な産科医療は困難だ」などと現状を述べた。
(中略)
第2回検討会で、委員からは「医師2人ではなぜ分娩ができないのか」「産科医院では分娩できるのに、医療センターはなぜできないのか」「臨時的にでも助けてくれる医師を探すことはできないのか」などの質問が出た。
(以下略)
基本的に医師がオンコールで待機しているということは、地域に張り付いているということになります。僕も後期研修医の頃は病院から1km圏内にいました。最初の1年間は特に1日除いて病院にいなかった日はないですし。独身だったからやっていましたが、家族持ったら無理だと思います。
産婦人科で手術対応ができる病院として存在している(帝王切開とか、リスクの高い分娩の対応)のであれば、いつ何があってもおかしくないため、気が休まるときがありません。せめてもう少し人数がいるのであれば休むこともできると思いますが、1人は完全休暇という制度にして病院周辺にいないときに2人の産科医がいないと対応できない問題があったら困りますよね。
お産をしているクリニックと病院の違いはそこらへんにあると思います。
2人で今までも精一杯やってこられたのだと思いますが、限界がきて辞められるという話なんだと思います。地域の血液内科を1人で支えている先生も「すごいな」とは思うのですが、それを聞いてそこに行きたいとは思わないです。忙しすぎて2人じゃ足りないし、数人単位で人が増えないとスーパードクターのような方がいなくなったら、根こそぎ倒れてしまいます。
(この問題は2人で頑張っていた善良なスーパードクターが根をあげたというだけです)
本当はそういう方々が頑張っている間に体制を整えなくてはいけなかったのに「頑張っているから、大丈夫だろう」と行政が遊んでいたから今につながります。継続するシステムが必要なんです。
今の日本の医療は一部のスーパーマンのような人の自己犠牲で成り立っています。1人でやっている血液内科の先生も朝から夜中まで働き続けで、北海道まで来たのも指導した若い医師が当直にきてくれたからと言っていました。
一人でやるために、夜中まで様々な指示を出したりして、食事をするのは夜9−10時くらいにと言っていました。
この先生が一人で支えている間に、本当はどうにか血液内科医を増やして継続できる体制を作らないといけないのに、完全に「おんぶにだっこ」で行政も病院も遊んでいるということなのだろうと思います(もう無理という話になった時に困るのは住民)。
そういうところが山のようにあって、それぞれの医師が根をあげたら「なんでできないんだ」って言っているわけです。今までも頑張って来たのに、「お疲れ様でした。ありがとうございました」ではなく、責めるわけです。責められるべきは行政(この地域の市長さんもアホなこと言っているみたいですね。自分の責任放り投げて)
この医療圏に産婦人科は来ないだろうと思います。
基本的に医師を集約化して、休める体制が作れれば医療の継続はできると思います。そういう体制をいかに作るかが課題です。僕は「集約化と時間的距離の改善」が全てだと思っていますので、それをどうするかではないかなと思います。
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