おはようございます。
出張から帰ってきました。3日間、それぞれ車で移動していたので、移動に疲れました(汗
僕の仕事は医師として患者さんに対応することですので、カブトムシはイベントを行う方々にお任せしてきたのですが、そこでイベントに参加した子供に配っていました。お菓子とカブトムシはどっちが良いかと。
渡す前に「釧路の周りにいない生き物だから、きちんと育てて、逃がさないように伝えて欲しい」とはイベント関係者に伝えてありましたが、来てるお子さんたちがどのくらい分かっているかしら・・・(汗
ただ、外から遠巻きに見ておりましたが、子供たちは飛び上がって喜んでいましたので、よかったことにしましょう。一匹ずつ渡していたので、メスを持って帰った方が問題かしら?
さて、出勤前に一つ記事を紹介します。
国立がん研究センター(東京都)などは、血液1滴で乳がんなど13種類のがんを早期発見する新しい検査法を開発し、来月から臨床研究を始める。
(中略)
検査法では、細胞から血液中に分泌される、遺伝子の働きを調節する微小物質「マイクロRNA」を活用する。がん細胞と正常な細胞ではマイクロRNAの種類が異なり、一定期間分解されない。
同センターや検査技術を持つ東レなどは、がん患者ら約4万人の保存血液から、乳房や肺、胃、大腸、食道、肝臓、膵臓(すいぞう)など13種類のがんで、それぞれ固有のマイクロRNAを特定した。血液1滴で、がんの「病期(ステージ)」が比較的早い「1期」を含め、すべてのがんで95%以上の確率で診断できた。乳がんは97%だった。
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素晴らしい研究だと思います。早く見つければそれだけ治る可能性が高まりますので良いですよね。ただ、この検査はこれからの話になります。
この研究は4万人の健常者と「がん」と診断された患者さんを使用しています。すでに診断されている患者さんで検査をしていますので、「がんはある」と分かっている人と「がんではない」とされている人の比較になります。
検査のカットーオフ値を決めるのは検査の感度と特異度を見て決めます。感度というのはがん患者さんを「がんがある」と診断する精度、特異度はがん患者ではない人を「がんはない」と言える精度を言います。これはROC曲線というものを書いて、両方が最も高くなるところ(左上のポイント)で設定します。
感度が高いことは示されていますが、特異度がどうかという問題があります。感度95%と高いのに特異度が80%だった場合はどうなるでしょうか?
ガンの可能性が高いと言われたものの、5人に1人は偽陽性・・・では話になりません。そんな特異度が低い検査ではないはずですが、極端に書くとそういう話になります。
もしかすると、検診などを使って行うと早い段階でがんが見つかるかもしれませんが、臨床的に見つけられない可能性もあります。この検査が陽性になっているので、がんがあるはず・・・と思っても、がんが臨床的に見つけられるのは1cm前後(がん細胞が1億個、1gくらい)と言われています。もちろん、内視鏡検査やPET-CTなどでもっと早く見つかることもあるかもしれませんが、限界があります。
検査で陽性になったが、どうしてもわからない・・・ということもあり得ます。しばらく経過を見るという形になるかもしれませんが、検査結果によっては不安でどうしようもなくなる方もいるのではないかと思います。
もう1つ重要なことは検診の対象をどこにするかです。検査がどれほど良くても、対象が悪いと偽陽性ばかり増えます。
検査は検査前確率、検診であれば有病率が重要になります。過去記事にも使いましたが、感度と特異度が99.9%という検査を使用しても、有病率が低ければ偽陽性が増えます。誰でも対象にして良いわけではないのです。
それぞれのがんには「有病率」があります。この記事を読んだ方は「誰でも受ければ良い」と思うかもしれませんが、有病率が低い世代の人が検査を受ければ偽陽性が増えます。有病率が0.1%でも陽性的中率は50%になってしまいます。
有病率が0.1%というのは10万人あたり100人以上になります。20歳の日本人を10万人集めても100人の大腸癌が発生する可能性は低いと思われます(家族性大腸ポリポーシスなど、遺伝性を除く)。
基本的に「国」が統制するはずですが、どんなに良い検査であっても対象を間違うと「不安の元」にしかならないことを知っておく必要があります。
全ての医師がそのことを分かっていると言いたいですが、そんなことはありませんので(汗
この記事は素晴らしい話です。おそらく数値で陽性とか陰性がわかりますので、内視鏡や画像検査などで診ている医師によって診断が異なるというようなことはないと思います。
しかし、それゆえに対象をどうするかは非常に重要になります。
良い検査だからこそ、正しい対象(検診)を行う必要があります。
いつも読んでいただいてありがとうございます。今後もよろしくお願いいたします。
カブトムシ、予想通りお子様たち大喜びで良かったですね。
お菓子かカブトムシ(^^)
私が子どもの時だったらどちらを選んだかな…
伝える側が心を尽くしても、どんな事柄の話でも全ての人に確実に伝わるってことは、なかなかないのだろうなと思ったりします。
でも、思いのほか伝わってたり、ちょっとした種みたいになって、後々、その人にとって世界が広がることになったりする事もあるんだろうなと(自分が全く知らなかったことを知ったときの理解もそんな感じだったりするなーと)
話題になっているヒアリに関して、ヒアリ警察さんというツィッターアカウントを拝見していると、どーしてそれをヒアリと思ったのかしら?という写真が、「ヒアリみつけた」とか「ヒアリですか?」って、毎日何十と送られていて、ヒアリ警察さんが「違いますよー」と軽やかにお返事しているので、拙速というのか物事をちゃんと理解しない人って多いんだなと思ったりしてました。殺虫剤の売り上げも上がっているとかで、国内確認続いてるとはいえ、コンテナとか港湾の中での侵入個体なのだから、日常出会う普通のアリについては落ち着いて殺虫しないでください…と思いますけど。
amphetamine先生やヒアリ警察さんの様な方々の発信で、認識が変わる人もいると思うので、すごいなぁと思います。
長くなってしまいました。失礼しました。
おはようございます。コメントありがとうございます。
子供たちは本当に喜んでいたよかったです。見せ合っては喜んでいました。微笑ましい光景・・・という感じです。
なかなか人に説明するのは難しいと思いますが、ヒアリ警察さんも大変ですね。そんなにヒアリもいないと思いますが、不安の反映ということでしょうか。
おっしゃられる通りで不要な殺虫はしないでほしいですね。虫も生きようとしているわけですので、直接被害がなければ・・・。
また、コメントいただければと存じます
1滴ならラクですもんね。 毎回病院で5本も抜きとられてる身ですから、1滴なら糖尿患者さんは自分でやるレベルです。
問題は金額と その結果の受け止め方ですね。
つまりは陽性か陰性かしかわからないと。
陽性と言われたときに 果たしてどうしたらいいのか‥。 慌て病院に行く人もいるだろうし、自覚症状ないから様子見ようかな?という人もいるでしょう。
正直 私も、半月くらい先伸ばししていました。
現実を知りたくないというか 怖くて逃げたいというか。逃げられやしないのに愚かですね。
肝心なのはやはり 陽性が出てからの精密検査でしょう。
コンドー医師みたいな医師に「がんもどきだ」とか「大袈裟だ」「五分五分」とか言われて取り返しのつかないことになるのは困る。
けれど本当に 良性か悪性か半々な場合もあるんですよね。
タチが悪いとか進行型とか そういう様々な見極めが失敗しては、せっかく簡易に早期に見つかっても意味がなくなってしまいます。
呼気で見つかる・犬がかぎ分ける・1滴でわかる。
…なかなかそこに 血液がんや白血病がないのが残念ですね。
1滴でも 行かない人は行かないんだろうなぁ。
自分はそんな病気にならないし、と全く根拠のない自信がありますね 誰しも。
話は変わりますが。
血液外来の採血で、CML関連は目立った異常はなかったんですが
GOTが45に上がっちゃったねえ。また肝機能再発しちゃったかなあ?
どきっと心臓が鳴りました。
どうしよう?ちゃんとウルソ使ってるし。 あまりに痛いときに1錠だけトラムセット使ったのがいけなかったのかな? と困惑しました。
他はGPTが25、ALP193でγが22ですから 悪くはないのですが…。
尿素窒素41や尿酸値9は腎臓だから仕方ないとして、また何かしらが肝臓に起きたかと思うとショックです。
何で上がったかアンフェタ先生は推測なさいますか?
タシグナと関連性はがあるでしょうか。
もう本当に あちらこちらがボロボロで 前向きになりかけると挫けてしまいます。
だるさが夏バテじゃなかったらどうしよう‥。
おはようございます。コメントありがとうございます。
この検査に関して気になるのは、「がんの診断」はがん細胞を確認することということです。
この一滴でがんの可能性があります。しかし、感度が良すぎて実際にやって見たら「画像検査」でがん細胞の場所がわからず、そのため細胞診や組織診などの病理検査ができない・・・と宙ぶらりんになります。
その場合は患者さんや家族が大変不安に思われるかもしれないということです。少なくともわかるような病変はないので、念のため数ヶ月おきに検査をしましょうか・・・という話になるかもしれませんし、今は大丈夫という話になるかもしれません。後者で後々出てきたら・・・色々言われるとおもいますし。
血液腫瘍、特に白血病系はがん細胞が血液中にありますからね。それより早く・・・と言っても急性白血病だと進行速度が速すぎて、検診の意味はほとんどありませんし・・・。見つけたら、その数週後には診断可能です。病院勤務の患者さんで先月に健康診断で異常がなかったのに、よく月には白血球10万を超える急性白血病になっていた方もいました。
GOT(AST)については身体中の色々な場所にありますので、その程度の数値であれば肝臓と思わなくても良いと思います。気にしすぎる必要はありません。
あえて書くならば腎臓、筋肉関係、白血病関係(治療効果含む)、採血の問題・・・などでしょうか。
実際に診療していれば、少し話を伺って確認しますが・・・基本的にはあまり気にしません。
だるさが悪化し続けるようであれば、また食欲などがなくなって水分なども取れないようであれば受診するようにしてください。
また、コメントいただければと存じます