新・眠らない医者の人生探求劇場・・・夢果たすまで

血液専門医・総合内科専門医の17年目医師が、日常生活や医療制度、趣味などに関して記載します。現在、コメント承認制です。

若手医師の勤務時間報告より:システムの改善は必要だが、患者さんが求めているものから入るべき

2017-05-06 16:43:24 | 医療

こんにちは

 

昨日から「嫌い」と言っていた娘は「いもとようこ」さんの絵本を朗読していたら、寄ってきました。とりあえず、散歩くらいには行くことができるようになりました。

明日には単身赴任先に帰るので、良かったです。

 

と言うことで、安心したので一つ記事を。

 

20代医師は週50時間超勤務

https://this.kiji.is/232763622990644724?c=39546741839462401

呼び出し待機も12時間以上

2017/5/4 20:15

 病院や診療所に勤務する20代医師の1週間の勤務時間は男女とも平均50時間を超え、ほかに救急搬送など緊急の呼び出しに備えた待機時間も12時間以上に及ぶことが4日、厚生労働省研究班の調査で分かった。厚労省は「若手を中心とする医師の過酷な長時間労働の実態が示された」と指摘。看護師ら他職種に仕事を分担させるなど、医師の労働環境改善に向けた検討を進める。

 専門家から「仕事の振り分けなどにより個々人の負荷を減らすべきだ」との意見も出ている。

 厚労省は昨年12月、全国約1万2千の医療機関に勤務する医師約10万人を対象に働き方の実態を調査。1万5677人から回答を得た。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

勤務時間や待機時間は本当に診療科や病院によると思います。

 

例えば救急や産科、小児科、循環器内科、脳外科、吐血の対応をしている消化器内科、血液内科などは呼び出しも多い診療科だと思います。都会の病院であれば患者も多く、経験値も多くなる。田舎だと待機時間は必要になるけど、勤務時間は短くなり、経験も少なくなる。若手医師に無理やり僻地医療を・・・という話もありましたが、若手であれば「家庭」の問題も出てくるでしょうから・・・そこの問題も解決する必要があります。ただ、やらせれば良いという問題でもないと思います。

 

 

こんなことを書いていて・・・ふと思いましたが、僕が20代の頃は人手が不足していたのもあり、本当に休みがなかった(笑

 

初期研修医(2年目)で血液内科を研修していた頃は朝6時に出てきて、夜の2時か3時に帰る・・・が基本で、泊まり込みになることも多く・・・(笑

 

ちょうど年末年始と重なっていたのですが、「冬休みどうする?」と言われて、「え?休んでいいのですか?」と答え、「いや、休まないでくれるならありがたい」と返事があったので、「では、休みません」と言うような話がありました(他の研修医は休んでいますよ)。

 

そう言うこともしてましたので、後期研修医の期間も休もうとはおもわず・・・(最初の1年は1日半くらい・・・病院に来なかったのは1日だけでした)。

 

チャンスがあったら飲みに行っていたので、初期研修医の時よりも休めていると思いますが、責任も増えたので色々大変でした。まぁ、あの期間があって、今の僕があるとは思っています。

 

それに・・・あの頃より大変になることはあるまいと(笑

 

それでも、いつも書きますが後期研修医の最初の2年間で65kgから53kgまで体重が減った(笑

53kgというのを見て、休むようにしましたし、食事などにも気をつけるようにしました。ですので、大変な診療科、大変な病院は本当に大変なんです。結構一生懸命やっています。それでも色々言われると・・ショボーンとしたりするわけですね。

 

診療科によっては本当に診療体制やシステムを変えるべきだと思っています。

 

ただ、それをやるためにはこういう診療科にどう人手を増やすか(現実的には集約化)という話になります。

 

当たり前ですが、患者さん側から見たら「きつい診療科でも、患者さんのために頑張りたい」という強い想いのある医師が来てくれるから良いのです。

 

こんなことを書くと不謹慎ですが、無理やり「救急」とかに医師が行かされるようになったり、僻地で他の医師の力を借りることができない状態で診療させられても「患者さん」が困ると思います。能力がない、やる気のない医師が患者さんを見るという状態になったら、患者さんのメリットになるでしょうか?

 

医師の相手は患者さんですので、患者さんが望む医療を提供できなくてはなりません(できれば)。

 

好きこそ物の上手なれ・・・であり、医師になる、ならない・・・(偏差値だけで医師になってしまった方)ですとか、診療科を興味もないのに特定の診療科に行かされたら「いい医師になるだろうか?」と僕は思います。

 

患者さんが望む医療は「自分を確実に助けてくれる医療」なのだと思いますが、申し訳無いのですが「完全な医療」はありません。オーダーメイド化するだけでもかなり大変です。はっきりいうと今の医師数ではほぼ無理でしょう。

 

それ故、「より多くの人が当てはまる医療」であるEBM(統計学的に意義が見出せる医療)が中心になっているわけです。

 

そういったものを駆使し、できるだけ患者さん個別の状態に適合できる医師で、人の話もよく聞ける医師(話を聞けない医師は多分、患者さんに最良の医療は提供できないでしょうから)になると思います。

 

そんなスーパーマンみたいな医師はそんなにいないと思います。もしかすると大勢いるのかもしれませんが、僕の知る限りでは多くないような気がします。

 

ですので、そういった医師から様々なものを学べる環境と「学ぶゆとり」がある体制も必要でしょうし、医師も人間ですから「家族と過ごす時間」などプライベートも必要になります。

 

そういったものを含めて、医療をどういう体制にするのかを考える必要があるとは思います。

 

笑い話ですが、妻と「ドラえもんのどこでもドアがあれば、多くの問題は解決するのだけど」と話をしたことがあります。

 

空間を飛び越えることができれば、救急医療の問題もほとんど解決しますからね。田舎にいても診療所から病院まですぐに行けるとか。

 

救急車が運ぶのは「どこでもドア」だったり(笑

 

多分、現実的には「医療の供給体制」を人口を目安に病院を統廃合して、時間的距離をいかに縮めるか。その縮めきれない距離を持たせるための医療をどうするか・・・ということが重要になるだろうと思います。

 

そんなことを思いながら、この記事を読みました。

 

いつも読んでいただいてありがとうございます。今後もよろしくお願いいたします。

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4 コメント

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いもとさん、いいですよね (女王様)
2017-05-08 03:41:30
話が切ないけれど 絵がとてもかわいくて。
親を失い 自分がこんなになり若干鬱気味で本を読む気力もなくなったとき、本屋で目に止まったのが いもと作品。
パラッと立ち読みしただけで泣きそうになり 急いで買って自宅へ。
泣けるんだけど ほわっと気持ちがやわらかくなりました。
以来 Amazonで中古を買いあさりました。
かぜのでんわ が特に好きです。
オススメです。

それにしても
お嬢さんに気を使い翻弄されるアンフェタ先生(笑)
まるで お姫様に尽くす執事のようで、大変だろうなあと思いつつ 微笑ましくて。
平和なひとときを過ごせて よかったですね。
次に会うときはオムツ卒業して より「女の子」になっているんでしょうね。
お父さん、久しぶり~! とか言われちゃったりして。

医師の時間過剰、まあ若手が主なんでしょう。
平均値をとるにはバランスが難しいというか、助教だの部長だのの肩書きがあるようなお偉いさんは 当直してないようですし。
かかりつけの市中病院は 救急は基本的に初期研修医で 後期研修医がそのフォローをする体制なので 急ぎの処置だけして「明日改めて外来診察を受けてくださいね」。
夜は主治医の○先生はいらっしゃらないので‥ みたいな。
コールするほどではないという見立てなんだと思いますが 中堅医師が減ってきて やや二次救急が崩壊気味です。
初期研修医だと既往症の「CML」に CMLって何だっけ? とポケットから虎の巻を出して ああそうか と処置を考えて。
…仕方ないですけどね。
私みたいな あちこち病気だらけの患者に接することが 多少なり彼の経験値になればと願います。
研究然り。
新しい治療方・安全で確実なものが 標準療法になることを 患者は皆 心待ちしています。
日本人の半分はガンになる時代。
如何にして 少しでも楽な治療ができて、抑えながらつきあっていければと。
苛酷な勤務なのは重々承知ですが 頑張っていただきたいものです。

で。
今回ISが 2.6に‥。
0.1の状態で三ヶ月休薬してこのくらいなら まだいい方じゃないか と主治医。
焦らずにタシグナ150から再スタートして 再スタートすればまた休薬前くらいには戻るはずだから大丈夫 と励まされました。
網状赤血球が少し高いけれど 悪化して増えたとは考えにくいので、さほど心配いらない云々。
腎臓や肝臓も地道にコントロールしながら、血液内科もコツコツやっていきましょう!と言われました。

あれこれ問題だらけの患者で 扱いにくくて申し訳ない気持ちになります。
まだ大丈夫 という一言がどれだけ支えになるか‥。
もっとも 今は鼻風邪との格闘が。

連休終了でだらけた体がついていけるか心配です。
いろんな部分が再スタートの5月。
ちょっとづつ うまくいくことを願っています。
返信する
IS 2.6%は予想より悪くはないです (アンフェタミン)
2017-05-08 05:53:30
>女王様さん
おはようございます。コメントありがとうございます。

いもとようこさんの本はいい本みたいですね。読んでいて、良い本だと思いました。
娘には完全に翻弄されております。

助教で当直につかないというのもすごいですね。大学病院クラスでは院生や後期研修医の次に使われる立場だと思っていましたが、私立は違うのかしら。

僕は大学の一般内科当直の調整をしていましたが、助教と大学院生(10年目前後)は比率は同じでした。

救急の時間帯は「最低限の対応」くらいしかできないと思います。それはどの病院でも大きく違いはないと思いますが、患者さんの前で調べないようにしてもらいたいですね。

IS 2.6ということで1%を超えていますから注意が必要ですが、主治医の先生がおっしゃっているように「3ヶ月休薬して2.6%(ほぼ細胞遺伝学的寛解)」と前向きに考えるのも重要だと思います。

お互いに再スタート、体に気をつけて行きましょう(僕も風邪が治らなくて)

また、コメントいただければと存じます
返信する
忙しいくらいでないと (女王様)
2017-05-09 23:20:11
モノには限度がありますが、ヒマでヒマで時間もてあますような病院はちょっと‥。
数をこなすことが経験値になりますから、これも勉強なのでしょう。
うまいこなし方 とか。

市中病院では 新人は若葉マークのようなクローバーのシールをつけています。
夜間救急が混んでいると 若葉マークさんは誰を診るかわからずウロウロと漂っている。 奥の患者さんを先に!! とテキパキ指示するのはナースですね。 検査のオーダー入れて!とか
ナースに言われてしまうのは不本意だろうと思って見ていましたが それが後々の肥料になることでしょう。

医師 ナース 介護 保育 今問題の宅配便も みんな食事時間や寝る時間を削ってでも勤務しなければならない。
その割には収入が上向いてこないし、働けば働くほど税金で持っていかれてしまう。
何かがおかしいですね。
若い人たちが勤労意欲を持てなない世の中で 本当に大丈夫なんでしょうか この国は。

私のIS。
主治医も もっと上がっていると予想していたそうです(笑)。
0.1程度で下がらずにもたもたしていたし。 自分でも覚悟してたので 良くはないけれど拍子抜けしちゃいました。
案外 粘り強い。
小児用にタシグナの50というのが出てるので それを2錠で100から始めようか? とも考えられたようですが とりあえず今までと同じ150にして 負担になる様なら変えていこう と。
うまく そこそこに落ちてくれるといいなぁ。
あれこれの疾患、何か1つくらい改善してほしい。

アンフェタ先生
ベンスジョーンズとか血液ガスとか 勉強になります。
教えていただいて感謝しています。
Dダイマーなんか 調べて読んでも理解できないし、なぜそれを調べる必要があるのかもわからなくて‥
Dダイマーを検索していくうちに 小林麻央さんのことをアンフェタ先生が綴ったときに出てきた「DIC」があり ゾッとしたのですが。
否定するために精査する というお答えに安心できました。
ありがとうございます。
少し 救われる思いです。

‥できれば担当医が 何の目的で何を調べるか説明してくれたらいいんですが。
病人だからこそ 自分の体を自分で知らなくては! と検査値の読み方 みたいな本を購入しました。
何事も勉強。
また いろいろ教わるかもしれませんが そのときはよろしくお願いします。
返信する
いつでもご相談ください (アンフェタミン)
2017-05-10 05:30:28
>女王様さん
おはようございます。コメントありがとうございます。

おっしゃられる通りで「多少忙しい」くらいで、経験値が稼げます。それが将来の「バックボーン」に若手医師はなっていくと思います。

日本という国は「勤務時間が長い」割りに低所得で、休む時間が短ければ金使う時間もないだろうにと僕も思っております。
多分、根本から何かを変えると「うまく回る」ようになりそうですが、僕も専門家ではないので「どう」変えたら良いかはわからないです。

CMLが思ったより悪化していなかったのはよかったです。タシグナ再投与で間酵素がまた上がるようであれば、他の薬に変更するのも手かもしれませんね。

検査項目の説明は「なんで調べるか」は時間の関係で言えなかったかもしれませんね。僕も検査した時に全ての人に伝えてはいないと思います。
もし、検査内容がわからなくて困るようでしたら、いつでもコメントください。

また、コメントいただければと存じます
返信する

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