こんにちは
昨日は日本血液学会関東地方会がありました。座長をさせていただきましたので、それなりに準備はしていったのですが(多分、自分が発表するとき以上に論文を探した気がします)、少しでも演者の先生や参加されていた先生のお役に立てたのであれば幸いです。
その後は現所属で打ち上げをし、その後母校の打ち上げに合流し・・・ということで、楽しく過ごすことができました。
明日は当直なので、今日は少しゆっくりしたいと思っているところです。さて、先週半ばにこんな記事が出ていました。
メディウォッチからです。
http://www.medwatch.jp/?p=21407
医師は労働者であるとともに、「患者の生命を守る」責務を負い、またその働き方は極めて複雑・多様である。このため一律の上限規制を設定することは難しく、▼医師の労働時間上限に関する特別条項を設け、過労死ライン等を参考に労働時間上限を設定する▼「特別条項」を超えた労働をしなければならない時期等もあり、「特別条項の特例」を設け、第三者機関で特例の対象としてよいかの承認を得る―といった仕組みを検討する必要がある。
こういった提言・意見書が、7月9日に開催された「医師の働き方改革に関する検討会」に医療界の統一見解として提出されました(検討会に関する厚労省のサイトはこちらとこちら(参考、日医委員会の答申))。
意見書では、このほかにも「自己研鑽の在り方」「宿日直の在り方」「研修医等の在り方」などについて基本的な考え方を示すとともに、今後、具体的な検討を行うべきと提言しています(関連記事はこちらとこちらとこちら)。
(中略)
【労働時間上限の考え方】
一般労働者では「時間外労働を原則として月45時間・年360時間までとし、特別に月100時間・年720時間までなどの例外を認める」こととされているが、医師について、その特殊性に鑑み、次のような仕組みを設ける
(1)脳・心臓疾患の労災認定基準(過労死ライン、「発症前1か月間の時間外・休日労働が概ね100時間超」「発症前2-6か月間の月平均時間外・休日労働が概ね80時間超」など)を基にした、医師の労働時間上限に関する「特別条項」を設ける(厚労省令)
(2)(1)の「特別条項」を超えざるを得ない場合には、精神障害の労災認定基準(「発病直前2か月間連続して月当たり概ね120時間以上の時間外労働」「発病直前3か月間連続して月当たり概ね100時間以上の時間外労働」など)を手掛かりに、「特別条項の特例」を設け、そうした労働を認めてよいか否かを、都道府県の医療勤務環境改善支援センターや地域医療支援センターを中心とした第三者機関で判断し、承認を得ることとする
(以下略)
また、キャリアブレインからはこんな記事も
日本医師会(日医)は11日、医師の働き方について「自己研さんの在り方」や「宿日直の在り方」など重点分野12項目を盛り込んだ意見書を公表した。重点項目の一つの「時間外労働時間」の上限を設定する「医師の特別条項」を提言。松本吉郎常任理事は同日の定例記者会見で、長時間労働をする医師が多い実態を踏まえて、特別条項で設定する上限を「過労死ライン」で設定すると、医師不足などで地域医療が崩壊する危険性もあり、「命を救える患者さんも救えない状況になる」と指摘。「医師の特別条項」の上限を超えることも「特例」として認めるべきだとの認識を示した。【越浦麻美】
(中略)
松本常任理事は、医師の働き方の実態を踏まえると、「過労死ライン」での上限設定は医療現場が努力しても対応が難しく、医師不足などで地域医療が崩壊する恐れを指摘した。その上で、「命を救える患者さんも救えない状況になる」と訴え、上限を超えることを「特例」として認めるべきだとの認識を示した。意見書では具体的な上限を提言していないが、医師の健康への配慮が必要になる一方で、上限が高過ぎると働き方改革の取り組みが進まなくなることも考えられるため、松本常任理事は、「慎重な議論が必要だ」と述べた。
医師の働き方の実態が、常識から外れすぎていたから常識に合わせると成り立たなくなるという話だと思うのですが・・・。
実際にうまく対応できる医師はいいのですが、医師も人ですので潰れていく可能性があります。だいたい偉くなっていくような方々は、事務能力を含めそれなりに対応能力が高い方々なので、それができない人のことをうまく考えていないと思います。
患者さんや家族の要望に合わせたりする医師の対応(時間外勤務として給与を払うのか)や、急変対処をどうするかなど(急変対処をしているのであれば時間外勤務として扱うのか)、またそういうことをしなくて良いシステム作り(患者さんの家族が病状を聞きにいくときは会社も休めるような雰囲気・システム作り)はしないといけません。
主治医制ではなくてチーム制、少なくとも夜間などはチームや診療科として対応・・・というようなやり方もできると思います。ただ、大きな病院ではそれが成り立つかもしれませんが、中小病院では対応が難しい可能性はあります。そうすると集約化したりする必要が出てくるかなと思います。
コンビニ受診のようなものを減らすような対応と、夜間であっても受け入れが可能な病院と人員の集約、そこへの搬送能力(時間的距離はできるだけ変えない)ようにすることが必要なのだろうと思います。
いつも読んでいただいてありがとうございます。今後もよろしくお願いいたします。