狩江のお祭りと文化論

~愛媛県西予市明浜町狩江地区のお祭りや、四季折々の風景、暮らしを独自の観点からお伝えいたします~

御船練り 徹底研究③ 練りの変遷

2010-09-12 20:11:42 | お祭り
さて、門之脇区の御船が建造・奉献されたのが明治27年です。
船大工の宇都宮房太郎氏によってつくられました。それ以前は御船自体は存在して
いません。しかし隣の吉田町では、早くからこの御船はありました。約300年ほど
前の絵巻物にその姿が描かれています。それは前回にも紹介したように
殿様の許可がないと、御船は建造できなかったようです。
 現在の御船の練りが、御船・三味線・踊り子などの様式で行われるようになったのは
この明治27年以降となります。
しかし、慶応2年に新調された裃・袴があることから、江戸の時代においても
なにがしかの様式で練りが行われていたと考えられます。ただその文献が今
残っていないので、黎明期における練り様式は想像の域を出ません。
貴重なのは写真の裃・袴が保存よく残っていることで、初代御船よりも30年ちかく
古いものです。

いずれにしても地域によってその練りは独特の文化を開き、ここの練りの特徴は
巡航の際にその専用の三味の曲があること、台船に御船を乗せ、そこで歌舞を披露
することです。時代によりそれは変遷してゆきますが、できるだけその特徴は
後世に残してゆきたいものです。