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Surf, Run and Trails / Endurance For Fun

【テストランナーレポート】バハダIII

2018-05-22 10:08:08 | ランニング

初心者にはトレイルが好きになるシューズ~上級者にはロングトレイルを闘い抜くシューズ

2018/05/21

 

コロンビア モントレイルの今年の春夏の新作トレランシューズの発売にあわせて募集した「新作トレランシューズテストランナー募集」のテストランナーレポート第二弾は定番シューズのバハダIII。丹沢や道志村トレイルレースでの使用レビューをしていただきました。

 

 

この度、2018新作トレイルシューズのテストランナーに当選しました。
何故自分が当たったの?と思いました。テストランナーって厳選されるはずですからね。

でも考えてみると、あらゆるスポーツは初中級で占められています。トレイルも然り。
だから私みたいな平均的な市民トレイルランナーのインプレッションは、これから始める人にとてもタメになるはず。
もっとトレイルの素晴らしさが多くの人に広がりますように。
という、勝手な使命感(笑)からレポートいたします。

まず始めに私のレベルから。
年齢55男性。 ランニング歴3年半。トレイル歴1年。(まだまだ、まだまだ、まだまだだ~のレベルです)
フルマラソンPB 今年3月に3時間20分。(←死ぬ気で走りました。死なないもんですね(笑))
ウルトラマラソン富士五湖100キロ 11時間44分。
出たことあるトレイルレース 2017 白馬国際 ロング、科野ラウンド ロング。
今年5月にはあのエグエグの道志村トレイルレースロング完走しました!

身長167センチ 体重54~55キロ。足のサイズ 25.5センチ
今回のバハダは26センチ。ランニングシューズはロードもトレイルもおおよそ0.5アップしています。
足はどちらかというと幅狭く、甲が低い。 On、ナイキと相性がいいですね。
こんな感じです。

(どんな感じすか?こんな感じっす。)

バハダⅢは昨年からアップデートしていません。
ということは、かなり熟成しているってことだと思います。
履いた瞬間、とても自然なフィット感とサポート感を得られます。
特にヒールカップのホールドがいいです。
樹脂プレートが踵周りにマウントされています。
平織りシューレースの効果も高いですね。
このシューレースはストレッチ性があるのでレース後半足が浮腫んでも圧迫感ないと思います。
構造上サイドがしっかりしているので、横ブレも少ないです。
全体的にカッチリ感があります。

(全体像こんな感じです。ソックスとのコーディネートいいっしょ!かっこいいなあ~)

それとまっすぐ立ったとき、アウトソールの反りがちょっときつめに感じました。
ロッキングチェアのイメージです。要は接地しているとき母子球から前が浮いている度合いですね。
なので、ほんのちょっと身体を前に倒しただけで、足が一步前に出ます。
次の一步が自然に出る、ってイメージです。

早速走ってみました。
神奈川にある大山、それと大倉尾根(通称バカ尾根)です。
大山は走れるコースが多く、比較的締まった土で荒れていません。
一部根っこやガレのパートもあり、また腐葉が敷き詰まるフラットコースもあり飽きません。
一方、バカ尾根は大倉麓から塔ノ~丹沢~蛭ヶ岳のピストンコースで、塔ノ岳までは延々登り、
それ以降は走れますが、ちゃんと走れるパートは少ないです。
そのかわり、帰りの下りはガレ坂をバンバン走ることになります。

(塔ノ岳から丹沢山に向かう途中。ほら!行きたくなるでしょ!)

さて、実際走ってみますよ!
片方290gなのでトレイルシューズでは重過ぎず軽過ぎずの部類です。
登りでも自然と足が前に出るので、登り特有の小さなリズムを刻みやすいですね。
タ・タ・タ・タ・タッ、っていう感じ。
柔らかいフィット感ながら全体的には剛性があるので足に溶け込んでいる感じです。
これ重要ですね。オレの一部だ!みたいな(笑)
つまり実際よりも軽く感じるってことですね。

フラットパートではそれなりにスピードを出せます。普通に走れます。
固い路面であれば、フォアフットの人も違和感なく走れますね。

(あまりに速いので足元がブレてしまいました(笑))

フォアフットについてはカルドラドを履いているときはそこまで思いませんでした。
踵-爪先のソール高低差(ドロップ)はカルドラドが8ミリ、バハダが10ミリ。
バハダの2ミリ高いことが、一步前に出る印象が強いこととフォアフットが容易になる要因です。
まあ、山走っているときはあまり気にしませんけどね(*´ω`*)

カルドラドはバハダに比べてソールがしなやかです。
しなやかなソールはガレや岩の形状に足裏を合わせやすいのと、
ソール高低差8ミリまでは足裏全体で岩場をキャッチしやすい、
カルドラドが岩場に強いと言われる証拠です。(たぶん)

下りのパートでは、砂利、ガレで突き上げが少ないのがわかります。
インソール、ミッドソール、アウトソールは3つで1セットなので走っているとそれぞれの性能はわかりません。
同じコースでインソールを取り替えてテストしてみるというのは一般ランナーはやらないですからね。
でも、この突き上げのショック吸収は確実に優れています。
ラバーコンパウンドの衝撃吸収です。グリプトナイトです。
これ、トレイルランナーには武器になります。

(丹沢名物ガレ。バハダで走ると豆腐かと思いました。ウソ。)

突き上げが少ないのはロングトレイルで功を奏します。
レース終盤はフィニッシュに向かう砂利道ロードが続きませんか?
走れど走れどフィニッシュゲートに永遠に着かない気分になるあの砂利ロングです。
突き上げによる疲労って相当ありますよね。
バハダはそこでフィニッシュテープを切る力をムダに消費させないということです。

ミッドソールに施されたトレイルシールドには硬質EVAが一体成型されています。
足裏の保護ですね。EVAなので衝撃吸収もちろんあります。

ショックを吸収しつつ分散する機能を持っているのでしょうか。
走り終えた後、くるぶしから下は疲れていないです。
普段は足裏まで痛くなるのですが、そこは大丈夫。
ハムとフクラハギだけパンパンでした。(トレーニング不足・ω・)

5月に出た道志村トレイルレースでもバハダを履きました。
激登、激下りの大雨泥沼コンディション。ここでバハダは真価を発揮してくれました。
悪路面ダウンヒルです。

このときの状況を自分のブログから抜粋しますね。
第10回 道志村トレイルレース レポ Thanks On & Montrail 第二関門~フィニッシュ

「足が思うように動かない。
でも爪先は絶対下に向ける。落下して滑るギリギリのところで次の足を前に出す。
一旦滑り始めると身体が回って山側を向いてしまう。そのくらいスピンする。
それでもだ、バハダⅢは泥に抵抗してくれた。行きたい方向に足を向けてくれた。
泥水をたっぷり吸い込んでも重くはなかった。
こういうコンディションではソールの硬さとか、オフセットとか、クッションとか微塵も関係しない。
ホールド性だ。これに尽きる。他のところはテクニックでカバーできるけど、ホールド性だけはカバーできない。
ホールド性=信頼性だ。 このコンディションで頼るのはシューズだけだからね。
バハダは満点だったよ。」

(泥水たっぷり吸い込んでもグチョグチョ感なし!)

剛性とホールド感が良いため爪先を下に向けるのに躊躇しません。
さらにほどよい重量が安心感を与えてくれます。
衝撃を吸収しながら反発力も優れていると感じます。フニャッとしない。
下に、下にと向かっていってくれるシューズです。

グリップについては平均点だと思いますが全く問題ありません。

カタログには「整備された土」とありますが、ぬかるんだ急登でもガッチリグリップします。
カルドラドよりは、少し落ちるとの評価もありますが、気になるところではないと思います。
ただし、ラダーに切れ込みがないので、平らな岩や、丸太階段ではグリップ力が少々落ちます。
逆にカルドラドには切れ込みがあります。そこがグリップの評価の分かれ道になっているのだと思います。
切れ込みがあるとロードではブレーキになってしまうので、トレイル率が多いときはバハダ。
ロード率が多いときはカルドラド。そんな選択方法でも良いかも知れません。

(こんな急登でも滑って滑落して下の選手に迷惑かけることないです(笑))


総括すると、登り、フラット、下りどこでも高性能を発揮するオールマイティーシューズです。
初心者にはサポート、ホールド性能、剛性からくる安心感で、トレイルが好きになるシューズ。
上級者にはロードを含むロングトレイルを耐え切ることができるシューズ。

カルドラドも抜群にいいです。
特に今年のモデルはアッパー素材が良くなったので是非試着したほうがいいでしょう。
バハダを買う人はカルドラドも候補に入れますからね。
それぞれ志向が違いますが、あとは相性、好みですね。

最後にデザイン。
文句なしです。重厚なアウトラインでさすがマウンテン系メーカーのデザインです。
山にマッチしています。
今回は、Graphite, Tangy Oranage (濃いグレーに赤系オレンジ)のカラーです。
これ汚れ目立ちません。
ドロドロに汚れても、生地と縫製がしっかりしているのでブラシでゴシゴシ洗えます。


以上、最後までお読み頂きありがとうございます。
皆さん、よいトレイルを! Nothing Beats A Trail!


第10回 道志村トレイルレース レポ Thanks On & Montrail 第二関門~フィニッシュ 

2018-05-17 00:34:56 | ランニング

(水田トレイル。with バハダⅢ)

 

第二関門に続く長い砂利道のロード。

茅ヶ崎3人組は横に3人並んで走った。

そこそこのペースで前に行く人を抜きながら雨の中を無言でひた走る。

後ろから一人のランナーが迫ってくる。

オレらの後ろについて、こう話しかけてきた。

「まるで信号っすね!」

 

オレはイエロー、大介はブルー、ミドリちゃんはレッド。

確かに信号ですやん(^o^)

 

そのランナーも今回初めての参加らしく、あまりのきつさにメゲそうだけど、

こうやって話をするだけで救われると言ってくれた。

お互い様ですね~と返したよ。

 

ロードの途中自販機があり彼と一緒に4人でコーラを飲んだ。

「うめー!」と絶叫してたもんだから、

さっき抜いた選手がオレらに手を振りながら笑って通り過ぎた。

ガンバレー!第二関門もう少しだよ!と声援した。沿道応援かい(笑)

 

こうやって知らない者同士励まし合うのだ。

 

第二関門は制限時間の25分前に到着。

 

走りながらつくづく痛感したよ。

みんなが完走目標と言っているのは、タイムアタックっていうことだ。

 

でもね。最後のパート、ラスボスが待っている。

そこでの力を残しとかなくちゃいけない。

小休止のあと、第二関門スタート。歩いて(笑)

 

ここで初めてウィンドブレーカーを着る。

On ウエザージャケット。

グチャグチャに濡れたTシャツに羽織るも通気性が良いので快適。

しかも雨の冷たさを完全にシャットアウトしてくれる。

何も着ていないように軽い。

ラン用に開発されたものは悪コンディションで良さが初めて分かるね。

ウエザージャケット、ネーミングの意味は過酷な現場でしかわからない。

登りの林道が続く。余分な力を使わない。むしろ充電する。

もう燃料計はEMPTYに差し掛かっているから。

 

林道を曲がり終えると突如目の前に壁が現れた。

鳥ノ胸山(とんのむね)急登壁である。

 

 

シューズのことに触れてなかったな。

今回履いたのはモントレイル バハダⅢ

モントレイルからテスト用に支給されたシューズ。

っていうとプロランナーみたいだけど、モニター当選っす。

 

とにかく今回試されるのは泥沼大雨での信頼性、特にグリップ力。

 

鳥ノ胸の最大斜度はいくつあったろうか、、

精神的には御正体山よりきつかった。実際50度くらいあったのかな。

もとスキーヤーが言うので間違いない!

 

とにかく、1歩足を上げることがこんなに大変か、

後ろの足を1歩引き上げるのがいかに困難か。。

あまり急なのでところどころロープがある。

ロープがないところは木に手を添え、枝を掴み、岩を掴み、泥に手を突っ込む。

とても重みのある1歩。その1歩の積み重ねはきっとフィニッシュに近づいているはず。

 

嘔吐してる選手がいる。すすり泣きをしている選手がいる。

きっとオレらは錘のついた鎖を足首に巻かれて強制労働を強いられても耐えられるんだろう。

そんなこと思ってたら、急に笑いがこみ上げてきた。可笑しくてたまらなくなった。

 

ハイになったわけじゃないよ。

幸福だと感じたんだ。このコースを登れていること。同じ辛さで後ろからくる友人のこと。

そしてこの素晴らしいトレイルランに出会えたこと。

瞬間にいろんな思いがバームクーヘンのように重なった。

ビーチに寝転んでビールを飲んでいるような安らかな気持ちなった。

マウイ島で大きな波でウインドサーフィンした日と比べて遜色のない素晴らしい瞬間。

この瞬間を生きている、と実感したんだな。

しかし、現実は足は乳酸がオーバーフローして、心拍が上がり眼の前が霞んでいる。

心の持ちようなのだ。力は振り絞ることができる。溜めるためにあるのではない。発揮するためだ。

 

力を振り絞れる者だけがこの山のピークに立てる。

そしてオレらはピークに達した。

 

さあ、これからダウンヒルだ。

気持ちを入れ替えて走りだす。

雨は一向に弱くはならない。むしろ強くなっているのか?

ダウンヒルのコースはまるで泥の滑り台。泥の下には鉄板があるのか?というくらい滑った。

後ろからはミドリちゃんの悲鳴みたいな絶叫が断続的に聞こえる。

ヤマビコで絶叫が返ってくる。スリリングに輪をかけてる(笑)

 

足が思うように動かない。

でも爪先は絶対下に向ける。落下して滑るギリギリのところで次の足を前に出す。

一旦滑り始めると身体が回って山側を向いてしまう。そのくらいスピンする。

それでもだ、バハダⅢは泥に抵抗してくれた。

行きたい方向に足を向けてくれた。

泥水をたっぷり吸い込んでも重くはなかった。

こういうコンディションではソールの硬さとか、オフセットとか、クッションとか微塵も関係しない。

ホールド性だ。これに尽きる。他のところはテクニックでカバーできるけど、ホールド性だけはカバーできない。

ホールド性=信頼性だ。 このコンディションで頼るのはシューズだけだからね。

バハダは満点だったよ。

 

燃料計は空を指した。

でもリザーブタンクには1L入ってる。

残すは下りのロード7キロ。

オレの燃費はリッター7キロ。ギリギリだな。。。

 

下りのパートに入ると、すぐ後ろにミドリちゃんがついてきた。

いやいやスゲー走力だよ。まだまだフォームに余裕がある。

 

延々続く下りで、爪先に負担がかかり小指除いて全部痛い・ω・

下り始めて1キロ。ここ多分限界。脚がもつれてスーパーマン飛行になった。

一瞬だった。砂利の路面が目の前に迫ってきた。

咄嗟に右手が前に出る。手のひらが砂利道に引きずられる。

無意識に身体を左に捻って背中のザックをクッションにした。

すぐには立ち上がれなかった。

腰を強打し、右腕を伸ばしたままスライドしたので肘から手までも強く打った。

ウエザージャケットはボロ雑巾のように破れたと覚悟した。

ただ泥と細かい小石が付着していて破損状態は確認できなかった。

手のひらは擦過して細かい砂が傷口に入り込んでいる。

砂を出さなくてはと思い口で何度も吸った。

これを走りながらやった。止まっているわけにはいかないのだ。

ミドリちゃんは心配してくれたけど、オレが立ち上がったのを見届けて先に行った。

転んだことでモチベーションが下がったけど、気持ちをもとに戻すことが先決。

フォームが崩れないように走り続け、少しづつペースを取り戻してきた。

たぶんアレドナリンを再分泌できた。転んだ痛みは感じない。

フィニッシュまで5キロくらい。

前に選手を見つけたら抜く。もう最後だ。攻めよう。そう決心した。

 

前行くミドリちゃんをなんとか抜いた。

鳥ノ胸のドロ下りで颯爽とオレを抜いた若者を抜き返した。

とぼとぼ諦めて歩いている選手を抜く。

全身全霊で走っている選手を抜く。

あと3キロの表示。

アスファルトに変わった。下界に帰ってきたのだ。

 

自分に負けるな。自分に負けるな。がんばれオレ!

 

今行きたいのはどこだ?

南の島のリゾートか? ヨーロッパアルプスのリゾートか?

今一番行きたいのは、道志中学校だよ。

黄色い、ダサい(笑)フィニッシュゲートだよ。

大雨の中、ランナーを迎えてくれる中学生たちがいる。そこへ帰るのだ。

 

あと2キロ。

さきにフィニッシュして駐車場へ戻る選手たちが、声援を送ってくれる。

ボロボロになった選手たちが脚を引きずりながら、

「がんばれ!」「もう少しだ!」「ナイスラン!」とガッツポーズで応援してくれる。

 

フィニッシュはまだまだ見えないけど、このレースを走れて本当に良かったと思ったよ。

どこでも助けられる。一人だけど独りではない。

 

 

コース誘導係のおじさんたちが見え始める。

中学校がやっと見えてきた。

最後の最後のいやらしい登りを誘導された。

その後下って水田と化した校庭に入る。

水田ストレート。水しぶきを上げてラストラン。 フィニッシュ。

45.08キロ。累積標高3285m。9時間17分。実質走行時間8時間10分(渋滞除く) 【ガーミンGPS情報】

 

 

フィニッシュ後、水田と化した校庭に佇むテントでクレソンウドンを頂いた。

ボランティアのおばちゃんたちがこの大雨の中作ってくれたウドンだ。

ウドンを受け取り、休憩テントに移動する。

土砂降りでツユが薄くなるほど。

口に入れる。思わず胸が熱くなる。安堵&うどん。あんどあんどうどん(笑)

 

 

フィニッシュテープの先にあるものは今までよくわからなかった。

でも、一つ確かに言えるのは、そこでは大切なものが見つかるよ。

 

あとね、こういうこともはっきりした。

悲しいこととか辛いこと、不幸なことは無くすことはとても難しい。

それらは望んでいないのに勝手にやってくる。

でも、喜びや達成感はこちらが望めば必ず手にすることができる。努力いるけどね。

幸せは、不幸を減らすことではなく、幸せを増やすことなんだね。

単純なことかも知れないけど、そういうことが分かった。

この鉄人レースで。

 

大雨の中、運営を支えてくれたスタッフの皆さん、ありがとうございました。

シューズを提供してくれた株式会社コロンビアスポーツウエアジャパンの関係者の方々、

そして、あの大転倒でまったく破れることなく、最後まで快適だったウエザージャケットを

提供してくれたOnジャパンの駒田さん、皆さん (提供じゃなく買ったんだけど(笑))

ありがとうございました。

 

道志村トレールレース あまりにもエゲツないレースでした。

完走した選手、皆さん勝者です。

 

また来年。

Relive '道志村トレイルレース軌跡動画'

 

 

The End。 


第10回 道志村トレイルレース レポ スタート~第二関門編

2018-05-16 00:45:59 | ランニング

スタートは7時。

逆算して起床は4時。

道志の湯の奥に臨時駐車場があって、そこへ車をとめてシャトルバスで会場の道志中学へ。

なんかいい意味でのピリピリ感がありますな。

 

(ピリピリ感まったくなし)

7時スタートなのに6時半にはスタート位置に選手が付き始めてる。

そうなんだよ。ここはスタートダッシュで順位が決まるって言われるくらい。

2.5キロ先の登山口が大渋滞するんですわ。

この2.5キロってロードなんだけど登りが結構きつい。

 

 

さて。スタート付きました。

前から2/3くらい。

オレから後ろ1/3はみんな脱落かなあ、なんて思うとまた気分が滅入ってくるし。

 

 

7:00スタート。

いやいや、みんなダッシュだよ。フルマラソンスタートより速いっす。

トップはペース3分台だな。

 

オレのiPhoneは目覚ましが毎朝7時でバンヘーレンのジャンプかかるんだね。

この日は解除してなかった。

だからスタートとともにジャンプがかかったよ。しかもしばらくリピートで。

アラームをオフにする余裕なんてない。まわりの選手に聞こえているからスゲー恥ずかしい。

でも、あのイントロはスタートにはあっていたね。

曲に合わせていい走りしたよ。最初の下りだけね(笑)

すぐに登りがきた。歩いてしまった。やはり身体が重い。

こんなんでいいのかよ!と自分を責めるが、自分に寛容なのがオレの特徴。

あとで思い切り抜きまくればいいや、くらいに考えていた。

とにかくみんな真剣に飛ばしている。

そんなに飛ばしたら先もたなくなっちゃうよ、、、、と登山口到着で大渋滞。

たぶん10分近く牛歩状態。

真剣に走ってきてもここで休めるので、それで皆、無理をしてでも走ってる。

ということで、いきなり出遅れる・ω・

 

登山口からブドウ岩ノ頭までいきなり激登。

前のオヤジ(とは言ってもオレより歳下だろな)がやけにうるさい。

独り言だったり、前後で誰かが会話してると入ってきたがる。

情報だけは頭にしっかり入っているらしく、このポイントまでは何時、

ここまでは何時まで、みたいなことを聞かれてもないのに言う。

そのオッサンに「この大会何回目ですか?」ってオッサンの前の人が聞いたんだよね。

そしたら「初めてだよ」だってさ!!

聞いた人は「私は5回目です」 って答えた。(笑)

オッサン静かになりました。

 

そのオッサン、ザックじゃなく、100円ショップで売ってるナップサックだし。

シューズはトレイルじゃなく普通のランニングシューズ。

だから背中で振り子のようにナップサックが暴れてるし。

下りに切り替わったところでは足元不安定で今にも崖から落ちそうになって、

後ろのオレは心配で心配で。

心配かつ邪魔で邪魔で。でも越せないんだよ。

シングルトレイルが延々続くもんで。

 

オッサンの前に誰もいなくなった。

オッサンの後ろには何百人も連なってる。

これはいけない。オレは「越しますよ。ちょっと止まって!」と言って前に出た。

たぶんオッサンの姿はその場限りだったので、みんなに道を譲ったか、

装備不適切でリタイアしたか、滑落したか。。。

 

トレイルはレース中にいろんな人と話をする。フルではあまりないね。

情報を得たり、励ましたり、励ましてもらったり。

トレイルレースのいいところだね。

 

激登中、女性が声をかけてきた。まだ始まったばかりなので激登で話すのはOK、というよりWelcomeだ。
「今ここならなんとか関門突破できますよ!」って言われたよ。

渋滞はあったものの、結構真剣に登って走っている。それでもギリギリなんだね。。。

 

見た目30後半か40ちょい。

「もう何年も出られているんですか?」

「はい、10回めです」

「えええええ????全部じゃないっすか!」

 

登りながらいろいろ教えてもらった。

下りでは絶対走って止まらないこと。登りは心で登ること。

そういう教えって、オレが初心者に見えたのかなあ。まあ初心者には間違いないけど。

 

ブドウ岩ノ頭(1224m)到着、下り開始。

まったく前の選手を抜く広さがない。

イライラしながら後続する。

でも、先程の女性、「じゃ、先行きますね!」と言って、

半ば強引にどんどん前の選手を抜いてあっという間にオレの視界から消えた。

前の選手の次の動作が見えるんだろな。

たぶんトップに近い人なんだろう。名前聞いとけば良かった。

 

激登、激下りを繰り返しながら標高を上げていく。

登と下りのリズムに身体がついていかない。

 

身体は重いけど、たまにパッと軽くなって眼の前が開けて明るくなる時がある。

レースってこれを繰り返すんだと思う。

パッと軽くなったとき相当抜いた。登りを走って抜いたし、下りも根性一発決めてダウンヒルした。

 

その勢いでメインボス「御正体山(1682m)」に臨んだよ。

大倉のバカ尾根が平らに感じるほど急だった。

つづら折りの登りには選手が張り付いている。

普通、目の前の選手って言い方するけど、ここは違ったね。

あきらかに頭の上の選手っす。

ここの登り、言葉では言い表せない。

きつい、とか、辛いって言葉だと陳腐すぎる。

もう上は見ない。見るのは足元だけ。

いつか終わる。いつか終わる。でも終わらない。

 

途中であの女性を抜いた。オレは見た目のビギナーじゃねええ!!!!

 

御正体山から第一関門の山伏峠までは1時間しかない。ギリギリなのか?間に合うのか?

下りメインになるも、結構激下り。。。

足が言うことを聞かなくなってきた。

クルブシや足の付け根が痛い。あと爪もだいぶ死にかけてるなあ。

(こんなポーズしるから一瞬で激疲れる。ムダっす)

 

先程の女性にまた抜かれる(*´ω`*)

この後追い付くことはなかったよ(笑)

 

山伏到着は関門の20分前。なんとか渾身の力で走って関門クリア。

福田六花氏から給水を頂き、ボラスタッフから道志名物の塩バナナを頂く。

これ美味い!普段もバナナに塩だな。

ここでトイレを済ました。昨日から食いまくってたものがここで全部出た。

心機一転、腸内一掃、次目指すは菰釣山(こもつるし)。

再スタートともに雨が降ってきた。

雨が適度に身体を冷やすのでレインウエアはいまのところ要らない。

そこから第二関門までは2時間半の予定。

第二関門は昨日、道の駅にあったところだ。

雨は本降りになって、トレイルがたっぷり水を吸い始めヌカルミになってきた。

転倒する選手が増えてくる。

だいたいは前の選手を抜いて勢い余って滑って転ぶパターンだ。

 

稜線トレイルが終わると沢伝いのダウンヒルが始まる。大きな岩がゴロゴロしている。

ここでも土はドロドロでシューズのもともとのカラーはもうわからない。

足を前に出し着地するとき面で捉えないと確実にスリップする。

そのスリップの幅が半端ない。股裂き状態になるくらい。

滑ったら止めようとしない。滑ったらそのまま体重乗せてカラダごと下に落ちる。

前後バランス最悪のスキーだったよ。

だから楽しかった。これぞトレイル。本当にいろいろなコンディションがあって面白い!

 

茅ヶ崎から一緒に来た友人夫婦と第一関門から一緒だった。

待たず待たせない。この日は実力均衡。お互いがサポートランナーになった。

第二関門もともにinした。

雨足はもっと強くなってきた。

塩バナナ、チョコ、梅干し、水、あるものは全部口に入れた。

 

あと13キロ、最後の超激登が待ち構えているからね。

トンノムネのラスボスだ。

DNFを申告する選手も増えてきたようだ。

土砂降りの激登、ここもし試走していたらオレもDNF申告してたかも。

 

ここまで来たらあとは己を貫くのみ。

最終スタートGO!!!  歩いて(笑)


第10回 道志村トレイルレース レポ前日

2018-05-15 00:22:16 | ランニング

 

 

(この笑顔は今日までだぜ~。。。)

 

オレ、トレイルはまだまだ初心者なのね。好きだけど。

レースだって2つしか出たことない。

このレースは困難だとか、このレースはあっという間に定員になるとかよくわかってない。

 

だから友人からの道志村トレイルレースの誘いには簡単に乗ってしまったんだよね。

道志がどんなレースかまったくわからなかったからさ。

道志村は、本栖湖ウインドサーフィンの帰りの渋滞を避けるための裏道で、

あっという間に通過しちゃう小さな村。

渓谷を挟む山はたいしたことなく、道志村トレイルって神奈川、山梨のローカルレースくらいに思ってた。

 

 

しかしだ。

調べれば調べるほどに、とんでもないレースにエントリーしちゃったことに気づく(笑)。

「無限に続く登り」

「登っても登っても終わらない」

「日本屈指のハードコース」

「完走者、ときに5割以下」

「UTMF完走者が完走できない」

「キタタン(北丹沢12時間山岳耐久レース)完走者が完走できない」

 

もう情報見てるだけで憂鬱になるし。。いっそ大会中止にならないかな、と。

(控えめにありますな。ITRAポイント。9ポイントならUTMFなんだけどね。白馬で3ポイントあるんで。)

 

いろんな人のブログ読んでも、楽しかったとは誰も書いてないんだよね。

皆さん、いかに過酷かを書き綴っております。

ゲロ吐きながらすごいスピードでフィニッシュテープ切ったとか、

足首に手榴弾埋めてるよね?みたいに腫れた足で走ってる人や、

足攣りながら走ってる人とか、、、、

満身創痍のドMレースであることは間違いないらしい。はあ??

そんな人、白馬国際では見なかったよ。あ、仲間で一人いたか(笑)

 

このレース、富士五湖ウルトラの3週間後になるんだよね。

まあ3週間もあれば調子戻ってるだろうと思ってたんだけど、

100キロを侮ってはいけないな。

ずーっとずーっと身体が重い。

内クルブシが痛い。これオーバーユースらしい。

 

で、大会近づき、本番1週間まったく走らなかったよ。

これまた飲み食いもトレーニングだとばかり節制しなかったので、重い。

(当日、重いと思ったのは脚じゃなく胴体だったね。。」

 

さてレース前日。

道志村に友人夫婦と移動。道志みちから山々が大パノラマで臨める。絶景が続くよ。

山々はすごく険しく、それにとにかく高い。

まあ、レース事前過酷情報が山を高く見せたんだろうな。道志洗脳みたいな。

中でも一番高く、王様みたいにどーん!ってなってる山が正面に見えたよ。

Googoleマップで検索したら御正体山ってあった。

レースコースに載ってたよ。ミショウタイサン。メインイベントの山。

ここ登るんだ。どうやってだよ(笑)

 

前日エントリーの会場に着いた。道志村中学校。立派だよ。

(このオナゴだけには負ける訳にはいかない!年代別上位入賞者常連!)

 

ジビエコーナーがあってさっき仕留めて来たと言わんばかりの鹿の肉を焼いて食わせてくれたよ。

仕留めたと言っても冷凍してただろうけどね。

(クセなく最高!!こういうのって画像にするとそんなんでもない(笑))

 

いかにも猟師みたいなオッサンが食え食え!ってどんどん焼くんだよ。さっき仕留めたから。

誰も並んでないのに(笑)さっき仕留めたのに。

オッサンはガテン風猟師なんだろうけど、でもオレより歳下なんだろうな。

なんか道志いいなあって思ったね。

 

エントリー終えてちょっと小腹を満たしに道の駅へ。鹿肉さんざん食ったのに。

道志村と言えばクレソン。クレソンうどん食べたよ。

あまりクレソン特有の香りがしなかったな。

あれと同じかな。ポテトサラダにマヨネーズが足りないって不満言うのと。

 (のどごしツルリンチョ。でもビールにコクがない。NG。道の駅のために言っとくぞ。)

 

道の駅のとこに「第二関門」って書かれてる横断幕があった。

ああ、ここがコースなんだ。

(大河内 大介&みどり夫妻。明日はここを通過できるのか!!同じ笑顔でいられるのか!!)

 

「第二関門」の先に、「鳥ノ胸山(とんのむね)はそっち」の看板があった。

道の駅から見えるデデーンと聳え立つ山、それがトンノムネか。

ここまで来れるのかなあ、こっから再スタートみたいな感じになるんでしょ??

なんでそこまでしなくちゃいけないんだろ?って前日から思う。はぁ~。。

その関門のリミットは14:30  スタートしてから7時間30分だよ。

第二関門までたどり着けるのが6割~7割。

最後の最後にこのトンノムネが最大の激登ポイントってメゲルよなあ。

(ここ人生で最大の難所でした。マウイで大波に巻かれたときよりも。。・ω・)

(いつでもOn、でも今回はモントレイル予定っす。ちょっとしたテストランナーなんで。ちょっとね。)

 

その後民宿へ。思い切り民家改造モデル(笑)

この日、どの民宿も選手ばかり。

夜は道志宿っていう食堂に行ったよ。食堂も選手ばかり。

民宿のバンメシは絶対イワナが出るって思ってたからね。

オレ、川魚だめなんだよね。(案の定、イワナでした)

外国人はイワナの塩焼き食ったのかな?

(宿なのに食堂。食堂なのに宿。)

 

道志宿ではタラの芽天ぷら定食頼んだよ。

こんなにタラの芽食ったことない、っていう量だったよ。

(これで1000円のフルボリュームのマックスバリュー)

ビールもちゃんと飲んだ。

食堂から見える渓谷がキレイ。

 

そうそう。道志村は過疎化が進んでいて人口1800人。

そこへ選手が1500人。いきなり倍増なので村を上げてのイベントなんだ。

明日は村民の皆さんよろしくお願いします。

天気は午後から激しい雨・ω・

 

トレイルはジャーニー。

旅を楽しむ。

明日は地獄。

せめて今日だけでも幸せに。

 

レースの支度して21時就寝。


(準備中。散らかり中。)

 

夕方から鹿肉、ウドン、天ぷら定食ドンブリめし2杯、翌朝メシ3杯、そして走る。栄養じゃなくウエイトになっちゃったよ。

レース当日 反省編に続く・ω・


完走 ~第28回チャレンジ富士五湖ウルトラマラソン

2018-04-30 00:37:55 | ランニング

 

チャレンジ富士五湖ウルトラマラソン。

第1回は13人。それから数えること28回の今回の大会は、エントリー数4500人。

伝統的な日本屈指のクラシックレースである。

 

昨年、初めてエントリーしたのだが、大会の雰囲気に飲まれ、初っ端から飛ばしてしまい、膝を痛め、今思えばとても無謀だったし、反省する点が多い。

あまりの疲弊に登り坂は全部歩き、エイドでは倒れ込む始末だった。

 

フィニッシュはとても感動的で、多くの観客、応援で埋め尽くされた花道で、走ってきた辛さはすべて吹き飛んでしまう。友人やエイドや沿道の応援に感謝の気持ちでいっぱいになる。

これがあるから、またエントリーする。辛さの分、喜びも大きい。

 

フルマラソンでいう「30キロの壁」は、ウルトラでももちろん現れる。

ウルトラはペースが遅いので、40キロくらいに壁が現れる。

フルならあと10キロ耐えればいいが、でもウルトラはその先にあと60キロある。

完璧な絶望感と、計り知れない喪失感。これがウルトラの壁の正体。

 

この壁にどう向き合うか、どう乗り越えるか。

辛さをコントロールし、厳しさを力に変える。

もはや走力の問題ではない。

経験値、冷静さ、そして生き様が問われるのだと思う。

 

 

このレースで過去にこんなキャッチコピーがあった。

挑戦者たれ。

厳しさを力に。

苦しさを操れ。

自分を興せ。

未知を愛せ。

 

この言葉を胸に刻み、4:45 スタート。

 

エントリー数4500人。

ブロックに分かれ時間差でスタート。

 

前泊のホステルでスウェーデン人の若者と知り合いになった。

MAX 24歳。 エンジニア。 日本語ができない。

レースに一人で参加。

朝、会場までオレの車に乗せて一緒に来た。

彼は4:30スタート。

そいつがスタートに並ぶ時、

Exceed your LIMIT! 限界を超えろよ!といって見送った。

あと、今日は生涯の思い出になる。辛さを楽しめ、とも伝えた。

金髪でパンチパーマが伸びたようなアフロ野郎は真剣な顔つきでスタートを切っていったよ。

今回の目標は彼だ。

15分後にスタートするオレは30歳若いアスリートにどこまで離されずに食らいつくか。

 

履くシューズは新調した。クラウドX ホワイトバージョン。あいにく試走できなかった。

でも心配いらない。Onには絶対の信頼がある。

フィット感が半端じゃなく、しかもアッパーが柔らかいのにホールド感が強い。剛性が高いのだ。

スタートして勝手に足が前に出るので、少々腰が引けるくらいだった。

一言、速いシューズ。しかし、スピードランだけじゃなく、足が疲れてからも性能発揮するクッションを備えている。

100キロをこのシューズと苦楽を共にする。

どうかフィニッシュまでオレを導いてくれ。

どこも痛くならないように。 シューズだけが頼り。

 

 

走りながら、会話したり笑ったりするのは気分転換になる。

笑顔になることで身体全体がリラックスできるのでとてもいい。

ランニングで一番大切な筋肉は表情筋であることは間違いない。

だから隣に並んだランナー、男女関係なく話しやすそうな人には積極的に話しかけるようにしている。

結局のところ、励まし合うことができるからだ。

 

富士吉田市から山中湖を一周し、河口湖へ向かうために一旦国道から山側に入る。

そこからレース最初の長い登りが始まる。35キロ前後地点。

もうすでにほとんどが歩いている。 

オレは去年そこをしっかり歩いている。そこを走れた。

走れたのは辛くないから、じゃない。とてもつらい。でも純粋にとても嬉しい。

 

河口湖大橋も走って渡りきれた。

去年はここでもしっかり止まってしまったのだ。

橋の欄干にもたれて放心した場所、脳が止まれの司令を出し始める場所。

ここを走って通過する。

 

そろそろ壁タイムがやってくる。河口湖を過ぎ西湖に入る辺りだ。

壁は必ずやってくる。痛みも一緒に連れてくる。

やれやれ、と思う。

 

さあ、オレの気力は果たして力を発揮するのか、力を出せずに途中で潰れるか。

少し、新しいことを発見した。

気力というのは何も前向きの強い思いだけではない。

眼の前の困難を何事もないように、車窓から景色が流れるように、

なんて言えばいいんだろうか、、、気を流すとでも言おうか、

感情をもたず、気持ちを流してあげるのだ。

 

痛いのは当然。でも辛いのはオプション。

それをコントロールするのはオレ次第。

とてもいい言葉があった。

「ひたすら走る」

 

走る。ひたすら走る。ただひたすら走るだけ。

 

西湖を抜ける登り坂を終え、精進湖に向かう。

青木ヶ原大橋。西湖と本栖湖を結ぶ富士パノラマラインにある高架だ。

 

前方から金髪のMAXが登りを走ってきた。

この時点でオレより1時間以上速い。

まだまだ限界は超えていないようだ。

ナイスラン!でハイタッチ。

 

西湖を終え河口湖を走る。最後の湖畔。

この湖畔の道が終わらない。

ロング&ワインディングロード、今回これが一番きつかった。

本当にきつい。背中がガチガチになり、額から落ちる汗が目に染みる。

そのため目を閉じると、ガードレールに寄ったりセンターラインに寄ってることにハッとなる。

フラフラなのだ。

結局壁は終わることはなかった。

 

富士吉田市に入る。長い長い歩道を延々進む。

横断歩道の信号が随所にあり止まりグセがつく。

ここらへんに来ると、72キロの部の選手たちにどんどん抜かされる。

特に女性に抜かされる。

苦しい顔をして走ったかと思うと止まる。それを繰り返すのは男。

女性は淡々と走り続ける。止まらない。

だからロングレースで確信する。女はとても強い。男は及ばない。

 

最後の関門、95キロ地点の河口湖ステラシアターに到着。

バナナを口に頬張りコーラをがぶ飲みする。

やっと95キロまで来た。残すは5キロ、、、、

げんこつ両手で「よし!!!」と気合を入れて出発。

このラスト5キロが富士五湖ウルトラのメインディッシュなのである。

激坂4キロ、走っている者などいない。

みんな背中を丸くしてゾンビのように歩いている。

オレも去年はすべて歩いた。歩く力さえ残っていなかったかも。

 

そこを走る。前の選手をどんどん抜く。

ここで走ってもそんなにタイムは縮まらない。

でもどうしてもここを走らなくてはいけない。

ここを走れるかどうか、、ずっとそう思ってきたね。

ここに沿道の応援はない。ひっそりとした森の道で静寂極まりない。

ひたすら走る。一步進めば一步フィニッシュに近づく。

 

走り切る。ラスト1キロ。

 

大観衆の感動の花道を通りフィニッシュへ向かう。

この感動はすべての人に味わって欲しいなあと思う。

 

11時間44分。

昨年より4分短縮。

多くの坂道を走った今回。

ほとんどの坂道を歩いた前回。

しかも前回はエイドで仰向けになったり、膝が痛くて相当の時間を休んだ。

今回はもっと速くても良かったのに、前回フラットでがんばったのか、

今回フラットで温存しすぎたのか、、、

 

金髪アフロのMaxは11時間30分。

30歳離れていて15分差はOKだろう。

 

素晴らしい大会でした。

エイドの応援、沿道の応援、そして友人の私設エイド&応援。

応援が無いと走りきれない。

走るのは一人だけど独りではないね。