英題 bungee jumping of their own
監督 キム・デスン(デビュー作)
出演 イ・ビョンホン(ソ・インウ)イ・ウンジュ(イン・テヒ)
ヨ・ヒョンス(ヒョンビン)2001年、韓国
なんとなく見そびれていました。
美しい映画でした。
内容を知らなくて見たので、一枚一枚、薄皮を剥ぐように真実が明かされていくのがもどかしいほど見入ってしまいました。
サイトを見れば秘密は分かるのですが、何も知らないで見るほうが面白く見られるのじゃないでしょうか。
監督は本作が処女作。恐れ入ってしまいます。
一目ぼれはあると思いますか。
17年間の間、一人の女性を思い続けられますか。
1983年、純情で内気な大学生ソ・インウ(イ・ビョンホン)は、ある日自分の傘の中に飛び込んできた美しい女子大生イン・テヒ(イ・ウンジュ)に一目ぼれする。
君の小指に魔法をかけた。何かを持つ時立ててるだろう。
純情な恋する学生が言いそうな可愛い台詞です。
インウは軍隊へ行くことを決め、入隊する日、駅でテヒを待つが、ついに彼女は現れなかった。
何があったのか?
この時点では映画を見る者にはまださっぱり見当がつきません。
それから、17年後の2000年春。
高校の国語教師になったインウは別の女性と結婚し子供もいる幸せな生活を送っていた。
純情な大学生から成熟した男として自信に溢れた男性へのイ・ビョンホン、この演じ分けが見事で、この俳優の力を感じます。
そして奇跡(映画の中でなら奇跡と言っても大げさではない?)が起きるのです。
現実にはありえないとは思うものの、ひょっとしたら・・そんな気もしてしまうのです。
地面に針を立てて、空から1粒の種をまく。その種が針の穴を通り抜ける確立で皆は今、こうして出会っている。
これが因縁だ。
そんなインウが担任をするクラスにヒョンビンがいて、なぜかインウは彼が気になって仕方がない。
自分は同性愛者なのか?と思い詰めるほどに。
ヒョンビンおまえはいったい誰なんだ!?
インウは混乱し、これは次第に校内でも問題となり、彼は学校を出され、家庭も崩壊してしまいます。
ここから結末に触れています。
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君が誰に生まれ変わってもきっと探し当てる。
こんな台詞は恋人同士なら言うこともあるでしょうか。
私は一見、同性愛を思わせる設定もソウルメイトも、映画として抵抗なく素直に見ました。
ヒョンビンの小指、思い出のライター、全てが有ることを暗示していました。
ヒョンビンはテヒの生まれ変わりだったのです!
リーインカーネーション。。
テヒは駅に行かなかったのではなく、”行けなかった”。
急速にテヒとして全てを思い出し始めるヒョンビンの姿に少し怖いほどの迫力と興奮を感じました。
インウの勘だっのでしょう、思い出の駅で待っていると、彼、彼女?は来た。
停車中の窓ガラスに映る姿はまぎれもなくテヒ!でした。
この映画中、白眉の場面です。
うまい演出だと思いながらも胸が熱くなってしまう。
来るのが遅すぎたでしょう?
このテヒを演じるのが若くして亡くなったイ・ウンジュであることに、また因縁を感じます。
結末はやはりこの道しかなかったのかなあ。
そりゃあ、男子高校生と大人の男性・・見かけはなんとも奇妙だけど。
束の間の幸せそうな二人に、この世での道はなかったのかなあと思ったり。
二人は永遠に広がるような美しいニュージーランドの崖がら互いを見つめ合い、手に手をとってバンジージャンプではなく、投身します。
悲劇です。
でも、これもひとつの愛の形なのかもしれません。
その証のように、二人の声だけが聞こえます。
これで終わりじゃない、今度は僕が女に生まれたら?
テヒ(女性の声)忍び笑いが聞こえます。
性も人種も超えたところに愛はある、そう監督は言いたいのかもしれません。
何度生まれ変わっても愛し合う人がいる・・ぼんやり二人の声を聞きながらそんな言葉を思い出しました。