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涙そうそう

2006-10-05 08:10:14 | 邦画 (69)

Img3

監督:土井裕泰『いま、会いにゆきます』
出演:妻夫木聡(洋太郎) 長澤まさみ(カオル)
    麻生久美子 塚本高史 中村達也 平良とみ 小泉今日子 
主題歌:「涙そうそう」夏川りみ
挿入歌:「三線の花」BEGIN

神戸、シネモザイクにて。

或る、ひとりのどこにでもいそうな青年の、ちっぽけで大きな物語。

>>沖縄は那覇で、16の時から働く洋太郎。
元気で働き者の彼は市場のおばさんたちにも、仕事先の居酒屋夫婦にも、愛された。
実家の島から妹が高校に通うためにやってくる。
5年ぶりの再会。
妹のの大人っぽくなった姿に戸惑いながら、血のつながっていない兄妹の初々しい共同生活が始まる。

森山良子さんの兄を亡くした実話が元になった映画だそうで、
沖縄が舞台なので見てきました。

血のつながっていない兄妹のお話はドロドロしたものでなく、兄と妹の深い絆を描いたきれいな映画でした。

じっくりと見ていると、物たちが雄弁にお話をもの語っています。
古いアルバム、うさぎのぬいぐるみ、美しい着物、手紙。
そして、やはり雨・・

土井監督らしいのかな。

那覇の国際通りにある市場。
行って、見たことのある風景に心ときめきました。
あっ!あそこは私も通った!笑

沖縄の人々は私が想像もできない複雑な思いをかかえているんだろうけど、アメリカの匂いがして那覇の街はどこか日本ではなく異国のようです。

抜けるような青い空を何度も飛行機が飛んでいたけど、あれは米軍機なのかな。

ハイビスカスや真っ青な空も海も美しい。

洋太郎の母と、カオルの父はお互いに子連れどうしで再婚。
でも、父は家族を捨て、母は病で亡くなってしまいます。

「カオルを守ってやってね。あの子はひとりぼっちだから・・」

この母との約束がその後の洋太郎の運命を決めてしまったのですね。

街でたったひとりで生きる21歳の生きすれない青年には世の中はそう甘くはなかった。

洋太郎は高校も中退し、懸命に働いて二人を育ててくれたおばあ(祖母)に仕送りします。
彼が妹を見る目は兄で、父親なのです。

浴衣姿のカオルゥを見て友人に言われる。 
「バカか、妹に見惚れてどうする」 笑

高校の卒業式、総代のカオル。
「あれ!あれ!俺の妹なんです」そう、周囲の人に嬉しげに言う洋太郎は普段着;

映画はお話もシンプルで、落ち着いて見られたのに、後々まで余韻が残ります。
場面の数々が目に残り、思い出しては目頭が熱くなります。

妻夫木クンはまた違う顔を見せてくれました。
太陽のように明るく、触れると暖かそうな、小麦色の肌の、目のクリクリした純朴な沖縄青年。

沖縄の訛りもあまりきつないのが自然で聞きやすかった。

純粋さなんて、とうに人生のどこかに置き忘れたな、私は。^^

BEGINの「三線の花」が心地いい。

この映画もエンドロールの最後までご覧くださいね。

ここから結末に触れています。

≒≒≒≒≒≒≒≒≒≒≒≒≒≒≒≒≒≒≒≒≒≒≒≒≒

洋太郎の死はあっけなかった。

少しずつ、命を削られるような闘病生活は映画の中でまでは見たくないので、これでいいと思いました。

「お前の泣き声が聞こえたような気がしたんだ・・」

飛び切りの笑顔の遺影が却って哀しい。

”亡くなった後に”届いた色鮮やかな晴れ着と手紙。
元気な、ひらがなだらけの洋太郎の手紙。

兄としてのこの心遣いに胸がつまりました。
こんなこと、若い男の子の気がつかしら。

最後のプレゼントになってしまいました。

「ニイニイも正月には島に帰ります」

おばあの年長者の言葉には癒されます。

「命には長い命もあり、短い命もある・・」
「泣きたいときは泣けばいいさぁ」

25年の人生を洋太郎は懸命に駆け抜けた。

洋太郎は母との約束を守り、命を削るように働き抜いて、カオリ(おばあも)を守ったのですね。

活気のある那覇の街がもう一度映し出され、そこには元気な洋太郎の姿だけが抜け落ちています。

エンドロールの後のまだ幼い二人を見て、そうだったのかと、もう一度自分に確認、納得しました。

「大きくなったら、ニイニイのお嫁さんになる」
「兄妹はな、結婚できないんさ」
「なんで?」
「わからん!」

きっと、洋太郎は海の向こうの南のくにで、母にカオリが大学に入学したと、胸を張って報告するんでしょうね。

ニイニイ、見えますか?カオルゥの晴れ着姿が。

最後に流れる夏川りみさんの歌声を聴きながら、歌詞の意味をかみしめました。

ふるいアルバムめくり ありがとうってつぶやいた
いつもいつも胸の中 励ましてくれる人よ
晴れ渡る日も 雨の日も 浮かぶあの笑顔
思い出遠く あせても
  おもかげ探して
  よみがえる日は 涙そうそう

一番星に祈る それが私のクセになり
夕暮れに見上げる空 心いっぱいあなた探す
悲しみにも 喜びにも おもうあの笑顔
あなたの場所から 私が
  見えたらきっといつか
  あえると信じ 生きてゆく

晴れ渡る日も 雨の日も 浮かぶあの笑顔
思い出遠く あせても
  さみしくて 恋しくて
  君への想い 涙そうそう

  会いたくて 会いたくて
  君への想い 涙そうそう


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13 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
まぁありきたりといえばありきたりなんだけれども... (まっき~)
2006-10-05 10:29:22
まぁありきたりといえばありきたりなんだけれども、主演2人に助けられましたね。
監督はちょっと力み過ぎて、泣いてくださいという演出はちょっとね~。

元ブランキーの中村達也さんに注目してね。
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★まっき~さん (あいり)
2006-10-05 19:57:42
★まっき~さん

>>ありきたりといえばありきたり
笑 そうかなあ。ひねりとかはないからね。
でも、じっくり見ればいい映画だったと思う。

泣かせようとするのも、しつこく感じませんでしたよ~。^^
返信する
うんしつこくはないけど、上手ではないかな~。 (まっき~)
2006-10-06 01:17:10
うんしつこくはないけど、上手ではないかな~。

頑張ってほしいからこその苦言です、映画マニアはうるさいんで、そこらへん笑
返信する
ふむふむ・・・ ()
2006-10-06 09:55:59
ふむふむ・・・

メモメモ
返信する
★まっき~さん (あいり)
2006-10-06 13:56:00
★まっき~さん

やっぱり、映画は脚本だね~。(^0^)

★たさま

コメントのほうが本音出てるかもです・・・^^
m(のの)m
返信する
ここの記事読み返していたら、画面が滲み出しました。 ()
2006-10-07 11:09:55
ここの記事読み返していたら、画面が滲み出しました。

今晩、レイトで観てきます。
返信する
★たさま (あいり)
2006-10-07 21:25:39
★たさま

あまり見る前にストーリーを予習しちゃったら、(笑)面白くないんじゃ?

だいじょうびかにゃ?(^O^)
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監督の狙いどうりの場面でしっかり涙を溢れさせて... ()
2006-10-08 01:29:59
監督の狙いどうりの場面でしっかり涙を溢れさせてきました。

晴れ着の写真は私にとどめを・・・m(_ _)m
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★たさん (あいり)
2006-10-08 08:16:45
★たさん

あの場面は・・・・クククッですよね。

まさみちゃんのアップが長かった!

妻夫木クンもまさみちゃんも被写体としては最高ですもんね。(^0^)
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洋太郎が死んだ時、市場のみんなも悲しんだけど、... ()
2006-10-08 23:39:36
洋太郎が死んだ時、市場のみんなも悲しんだけど、へそ曲がりのおばさんの唄がよがったあ・・・

いっきに、あふれ出しちゃった。

困った事に、隣に若い娘さんがいて、涙や鼻水を拭うのを最小限にしていたので本当に呼吸困難になり口で呼吸をしました。

私もあの唄で送られたい。
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