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ココニイルコト

2006-09-16 07:52:37 | 邦画 (69)

00412103_2

監督:長澤雅彦
原案:最相葉月
出演:真中瞳 (相葉志乃)堺雅人(前野悦朗)
    中村育二 (山田武史)小市慢太郎 (大伴尚之)
    島木譲二 (丸山亀吉) 笑福亭鶴瓶 (大門幸三)
歌:スガシカオ
2001年、日本

目をつむると、会える人がいる。

>>東京の中堅広告代理店に勤務する駆け出しのコピーライター・相葉志乃は、不倫相手の上司・橋爪常務の夫人から手切れ金50万を渡された上、大阪支社の営業部へ転属された。

志乃は子供の頃、父を病気で亡くした。星に願った。なのに・・

「願っても叶わない、信じても無駄」そうやって自分を傷つけずに生きてきた。
これからも私はそうやって生きていく。

ボロボロの心を引きずって、大阪支社の営業部へ転属された志乃。

彼女はそこで、「まっ、ええのんとちゃいますか」が口癖のどこか肩の力の抜けた、星を眺めることと、阪急ブレーブスが好きな青年、前野に出会う。

前野クンはいつも微笑んでいるようで、人生を楽しんで見える。

大阪が舞台で、関西人の私は親しみを感じて笑って見ているうちに、惹きこまれた。

関西人ではないのに、関西弁をほぼ完璧に話す堺雅人の存在が大きいと思う。

得意先相手の接待で、失敗をした志乃を前野は意外に男っぽく救った。
彼はまた、人を見抜く目を持っていた。

言いたいこともはっきり言えず、心にしまう孤独な志乃。

彼女の怒りを、代わって前野は大声で叫んでやる。

「(買ってくれた靴はサイズが合ってない)外反母趾が痛いねん!」
「留守電、何万回チェックしたとおもてんねん!アホ~!」

これは女性にはたまらない。嬉しいけど、泣けてしまう。

この映画、どこかコメディタッチで関西風小ネタもいっぱい。クスッと笑えます。

さりげない前野の労わりが志乃を包み込み、志乃は笑顔を取り戻してゆく。

「まっ、ええのんちゃいますか」は投げやりなのではなく、肯定と励ましなのだ。
諦めもはいっているのだろうか。

毎日の小さないいこと、それが幸せにつながってゆくのくのかもしれない。

「願うこと、そのこと自体が幸せなんちゃう?」

でも、前野にはある秘密があった。

ここから結末に触れています。

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彼は心臓の病いで12年前に手術をして助かった。

そう言えば、ほっそりした前野はどこか儚い感じがした。
やはり、生き急いでいたのかな。

人生を取り戻した目で見たら、骨董品やガラクタもいとおしい。
なんで、星はあんなに綺麗んや。

今日は昨日と違うはず。
日常が変わって見えるなら、それは素晴らしいことだと思う。

生死を超えた透明な目で見たら、人のこともよく見えるんだろうな。

前野は病状がまた悪化して入院する。

「僕は12年前に1回死んだ筈の人間や」
もう手術はしないと言い張る前野のために、夜、神社への階段なのだろうか、ひとり、志乃は手を組んで祈る。

厳かで胸に迫る場面です。
彼女はもう一度、願い、信じることにしたんだ。

願えば通じる。願わなければ通じないのだ。

「どうや、叶ったやろ」天国から聞こえてくるような電話の声・・
イヤ、天国からだったかもしれない。

でも、奇跡はそう何度もおきない。
手術を前にして、前野は志乃に奇跡をプレゼントして、満点の星の下、静かに逝ってしまった。
いい人ほど早く逝ってしまう気がする。

でも、前野の与えられた12年はひとりの人間を救ったことになる。
前野の死も無駄ではない。

前野が愛す小さな世界がトタンの穴の星なのは切なかったけど。

でも、こういう、人知れぬ美しさに気がつく人がどのくらいいるだろうか。
ココには彼の暖かさがまだ残っている。  ココニイルコト

志乃は自問自答する。

「私、もう少しココにいてもいいかな」
「ええんとちゃいますか」

そして、志乃の「笑顔」

エンドロールの途中の志乃に、見ているこちらも微笑む。エンドロールは最後まで見てください。

勝負!勝った!前野のやりかた。
頑張れ志乃!

笑福亭鶴瓶さんが素敵な使われ方をしています。

生きてるだけでまるもうけ。

いつもの毎日が違って見える。
そんな発見が幸せな気分にさせてくれる映画だった。

好きなように生きたら、ええんちゃいますか。


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9 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
あいりさん、コメントするのはお久しぶりです! (kino)
2006-09-16 18:41:04
あいりさん、コメントするのはお久しぶりです!
私の大好きな堺さんの映画だったので思わず・・・。
いいですよねー前野君。
つらいことを経験している人ほど人に優しい。
今を生きることの大切さを知ってるから おおらかでいられる。

ブレーブスファンってとこがまた泣かせますね。
ビデオで持ってたんですが、デッキが壊れたので
DVD買いなおしました・・・。久々に観たくなりました!
返信する
あ、これは好き。 (にこ)
2006-09-16 18:58:25
あ、これは好き。
レンタル落ちのビデオ持ってます。
真中瞳さん、ニュースステーションに出てたんですよね。
今は何してるんだろう?
返信する
そうかそうか、これは最相さん原案だったかぁ。 (まっき~)
2006-09-17 05:30:57
そうかそうか、これは最相さん原案だったかぁ。
個人的に好きな物書きさんです。

返信する
★kinoさん (あいり)
2006-09-17 06:51:33
★kinoさん

>>いいですよねー前野君。
つらいことを経験している人ほど人に優しい。
同感でっす!

透明感のある前野君が素晴らしかったです。
純粋なんですね。
地味と言えば、地味なんだけど、灰の中でキラキラ光る小さなダイヤモンドみたいな映画でした。

kinoさんもお気に入りなのが嬉しいです。
知っている人は知っているんですね。

なんだかね、目からウロコみたいに世界観が少し変わり
ったかもしれません。
映画の力って凄いと思います。

返信する
★にこさん (あいり)
2006-09-17 06:54:48
★にこさん

にこさんも好きですか。
やっぱり、只者ではないな、この映画。笑
にこさんも好きとは嬉しいですねえ。

ビデオを持ってるとは凄い!
時々、何度でも見たい映画です。確かに!
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★まっき~さん (あいり)
2006-09-17 06:58:49
★まっき~さん

真中さんはどうですか?
私はあまり見かけないので、でも、やはりうまかったかな。

最相さんについては知らないけど、いい作家さんなんだ。調べてみよう♪
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最相葉月さん、「絶対音感」と「青いバラ」がおも... (にこ)
2006-09-17 08:31:51
最相葉月さん、「絶対音感」と「青いバラ」がおもしろかったです。
「絶対音感」はお勧めです。
この原作も読もうと思って忘れてた。
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そうそうにこさん、最相さんのなかでは『青いバラ... (まっき~)
2006-09-17 11:00:39
そうそうにこさん、最相さんのなかでは『青いバラ』すばらしー!

この世に存在しないものをバイオ技術によって生み出そうとする科学者の熱意。
そもそも青いバラが存在しないこと、知りませんでした。
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★にこさん (あいり)
2006-09-17 13:14:50
★にこさん
★まっき~さん

ほう「絶対音感」ですか。
早速、図書館にGO!です。

青いバラはもうできたのですか。
愛知花博で展示したとか。
紫のバラはあるのにね。
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