監督:パトリス・ルコント
脚本:クロード・クロッツ
出演:ジャン・ロシュフォール(マネスキエ)
ジョニー・アリディー(ミラン)
ジャン=フランソワ・ステブナン(ルイジ)
2002年 フランス
その列車は、あなたを、叶わなかった人生の終着駅へと旅立たせてくれる。
>>列車に一人乗る寡黙な中年の男、ミラン。シーズン外れのリゾート地駅で降りた彼は、そこで初老の男マネスキエと出逢い、その男の暮らす古い屋敷へと招かれる。マネスキエのおしゃべりに少しうんざりしながらも、ミランはその静かな暮らしにどこか惹かれていた・・・。
生まれてこのかた街から出たことのない孤独なマネスキエもまた・・
久しぶりのフランス映画。
フランス語の響きはやはりいいなあと思う。
パトリス・ルコント監督と言えば私にとっては「官能」のイメージが強いのだけど、年齢的にこういうテーマの映画を撮るようになったのかなと思う。
元教師のマネスキエのとめどないおしゃべりは、どんなに彼が孤独かを表している。
ミランは人には言えない稼業の旅ガラス。
マネスキエはふと、自分とは違う人種のミランの様子に惹かれ、古い屋敷の一部屋を提供する。
4日間だけ、正反対の生き方をするふたりの男の人生が交差し、ふたりはもうひとつの果たせなかった人生について思いを巡らす。
ジャン・ロシュフォールと言えば『髪結いの亭主』の印象が強い。
この映画では少年のまま、老いてしまったかのような初老の男だ。
少し哀れで、愛嬌があってかわいくもある。
人生の傍観者でいたかった。。
映画を見ていて、ジョニー・アリディーが出てこないと思ったら、ミランが彼だった。
そう、髪を黒くしていたせいもあるけど、彼ももう中年(初老?)になっているのを忘れてた。。
当時のアイドル、シルビィ・バルタンと結婚!のニュースは結構電撃的だったが。
彼のその後は知らなかったから。
渋いアウトローが似合う俳優になっていた。
ミランは室内ばきに憧れていた。
マネスキエは自由で刺激的な外の世界に。
マネスキエ:「僕は刺繍以外の良家の子女の教養は備えているんだ」笑える。
ミランが降りた駅、フランスの小さなどこかの街が素敵。
寂れていて、でも、静かでこじんまり、可愛らしくて綺麗。
フランスに行くなら、パリよりもこんな小さな郊外の街がいい。
30年、通ったレストランで、マネスキエは勇気を振り絞って騒ぐ男たちに注意をするが、なんのことはない彼の教え子だった。
人生を変えるのは先になった。
時間が止まったような、美しい骨董品のような屋敷に住み、教師を勤め上げ、結婚するチャンスも逸した誠実なマネスキエ。
ミランは彼にもっと自信を持てと言う。
ふたりの心は急速に近づいていく。
互いのなかに老いた自分が見えるのだろう。
合わせ鏡。
マネスキエは心臓の手術を控えていた。
手術の朝、ミランはマネスキエの朝食を作った。
その日はミランにとっても人生の分岐点、重要な日だった。
ここから結末に触れています。
≒≒≒≒≒≒≒≒≒≒≒≒≒≒≒≒≒≒≒≒≒≒≒≒≒≒≒≒≒≒≒≒
こういうかたちの終わりになるとは想像しなかった。
観客はマネスキエがミランに家の鍵を渡すのを見る。
あれはふたりが末期に見た幻だったのか。
ミランのピアノを弾く嬉しそうな顔。
マネスキエは颯爽と列車に乗り込む。
私は思う。
ふたりは死んで、もうひとつの人生を生きるんだろう。
悲しくはない、不思議に穏やかなラストだった。
前回は確認画像が表示されず、しおしおを帰りましたが
今日は友人から教えてもらった方法でコメントに再挑戦です。
この作品はルコント好きなので観てみたのですが
ラストに救いが感じられてほっとしました。
私は『DOGORA』も楽しめました♪
また同じ映画を観た時はお邪魔させてくださいませ。