愛国者の邪論

日々の生活のなかで、アレ?と思うことを書いていきます。おじさんも居ても立っても居られんと小さき声を今あげんとす

日中韓朝の友好を前進するために必要なことは加害国日本の歴史認識を改めることこそ必要不可欠な視点だ!

2012-09-30 | 日記

昨日の「朝日」の「社説」「オピニオン」「朝日世論調査」(24日付)やNHKの週刊ニュース深読みを見ていて感じたことは、こじれた日中関係を根本的に改めていくためには、やはり加害国日本の歴史認識を本気になって改めていくしかないなということだった。
http://www.nhk.or.jp/fukayomi/backnumber/120929.html

その理由は、世論調査から。
まず機動特派員 五十嵐倫義氏は、日本人が中国の軍事力を脅威に感じ、中国との安全保障の対話を重視しながら、中国人の反日感情根が強いのは、日中戦争について、ほぼすべての中国人が侵略されたと思う一方、侵略したと思う日本人が半数強であり、潜在的な摩擦要因という指摘だ。日本を独裁国家と思っている中国人が少なくないとの指摘を日本像のゆがみとして指摘し、中国の愛国教育の影響として、日中の「不理解」の根の深さを強調している。

こうした指摘の奥深くに何があるか、そこを解明する必要がある。

「オピニオン」の遠藤誉氏は「反日デモの底流に格差の不満」の中で、激しい市場原理の中で取り残され、格差社会を生んだ中国政府に不満を持ち、金持ちを恨んでいる若者が今回のデモの暴徒化の原因であり、それは政府の愛国主義教育にあると指摘している。すなわち天安門事件の再来を警戒し始まった愛国主義教育は、中国では反日教育ではないと言っているが、実際は反日感情を醸成していると指摘している。学習指導要領の中で「抗日記念館」などの見学を義務付けていると、その理由を述べている。だから、若者の目には、日本政府による尖閣諸島の国有化が、日本がいまだに侵略戦争を続けている象徴と映るとしている。しかも、愛国無罪を旗印にして、守り札のようにして政府に対する不満を表現しているとも。

次に「社説」、遠藤氏の言葉と同様に、ここに描かれた中国観はそのまま、日本国に当てはめていかなければならないのだ。だが、多くの日本人は、これらの指摘に頷きながら、そのことが日本国自身の問題として映っていることに気づいていないのではないか。それが、結論だ。以下要点をまとめてみた。

ここまでこじれた背景には、互いの体制や文化への無知や無理解がある。…中国に挑発的な石原慎太郎・東京都知事の購入計画を防ぎ、火種を取り除こうという日本政府の思惑を、「中央政府は地方政府を抑えられる」と考える中国は理解しようとしなかった。…「中国が他人に虐げられた時代は去り、二度と戻らない」 中国のメディアではこんな論調が繰り返された。列強に踏みにじられた苦い歴史の記憶にあえて触れ、愛国意識を高めた。…1972年の正常化後、最初の20年は、戦争から急速に復興した日本が、途上国・中国の成長に手を貸す構図だった。…日本ではバブルがはじけて経済が滞り、中国は改革開放路線をひた走って急成長期に入った。2008年の世界金融危機で景気を下支えした中国は、大国としての自信を固め、10年には国内総生産(GDP)で日本を抜いた。自信は外交の強硬姿勢となった。古代ローマや大英帝国のように、新しい大国の登場は時代の地殻変動となって、周辺や先行する大国との摩擦を生んだ。だが足元の中国社会では、貧富の格差や汚職といったさまざまな矛盾が噴き出している。…共産党は11月、指導部が入れ替わる党大会を開く。だが激しい人事や路線の駆け引きが繰り広げられたとされ、大会日程の発表は大幅にずれこんだ。異常な事態だ。…中国では市場経済で共産主義の理念が薄れた。共産党はかわりに経済成長と愛国主義で国内の団結を図った。党の原点は抗日戦争の勝利であり、愛国は反日の感情を強めた。…負の関係から抜け出すためには、中国での対日感情の改善が必要だ。中国にとっても、反日は反共産党に変わりかねない。外に敵を作り、中をまとめようとする手法は必ず行きづまる。中国は反日の政治利用をやめるべきだ。日本も、相手に実像を伝える努力が必要だ。総額3兆円超にのぼる対中円借款で、中国の成長の基盤づくりに尽くしたという事実も、中国ではほとんど知られていない。官民を問わず、人の交流をこれまで以上に厚くするしかない。そして日本は、歴史にしっかり向きあう必要がある。日中戦争は、日本が中国の国土でおこした。大勢の中国の人たちが犠牲になったのは、逃れようのない事実だ。
 浮ついた「愛国」は人々を豊かにしない。それは中国も日本も同じだ。歴史と今を冷徹に見つめ、立て直しを始めよう。(引用ここまで)

まず歴史問題について

近代日本が清国と関係したのは日清修好条規(1871年9月13日)だ。これは欧米の力を背景に、李王朝の「鎖国政策」を打ち破るためには、清国との宗族関係を断ち切ることが必要だった日本が清国との対等な関係を印象付けるために結んだものだった。

こうした欧米の力を背景に、日本によって江華島事件が引きこされ(1875年9月20日)、李王朝は翌年調印された日朝修好条規によって開国を余儀なくされる。まさに、日本の開国と同じ構図で朝鮮政府の「近代」が始まったのだ。

以後、日本は隣国への侵略を開始する。日本はそれを「進出」として描く。欧米によって不平等条約を押し付けられた日本は、福沢諭吉の「脱亜入欧」論に象徴されるように隣国を踏み台にして「坂の上の雲」を見上げ、「一等国」にのし上がっていく。

こうした「進出」(実際は侵略だが)に抗議する隣国人民の「反日」運動を軍事力で徹底的に押しつぶしていく。どれだけの人民の生命・財産が踏みにじられたか、日本国民は想像できない。

まず日清戦争の発端となった「反倭」「斥倭斥洋」「斥倭洋唱義」を掲げて起ち上がった朝鮮人民のたたかいである甲子農民戦争(1894年)、日本など欧米の「進出」に抗議して「掃清滅洋」を掲げて起ち上がった義和団事件(1900年)と朝鮮の進出抵抗する「義兵運動」、これらは「極東の憲兵」として、軍事力によって蹴散らしたのだ。これらは日英軍事同盟を調印(1902年1月)することで、極東や極東に進出を狙うロシアやアメリカに対して無言の圧力(今風に言えば「抑止力」)をかけていくのだ。とりわけ義和団事件後に調印された北京議定書(1901年9月7日)によって北京に駐在した駐屯軍が盧溝橋事件(1937年7月7日)の原因になる。それはともかく、

以上の進出の歴史を、現政権はどう見ているだろうか?その際たるものが安倍・橋下氏に象徴される河野談話見直しを唱える、いわゆる自虐史観グループの跋扈である。こうした動きを隣国の自民はどうみているだろうか。そうしたことを抜きに中国の「愛国主義教育」を云々することは、ナンセンスだろう。

中国の「愛国主義教育」を「批判」する手法そのものは、実は日本の「愛国主義教育」を唱える輩に鋭く突き刺さってくるのだ。だが、そのことに対する反省は微塵もない。それらぼ史観は教科書に書かれ、子どもらに提供され、それらに反対する教師や市民たちは、行政から、教育現場からはじかれている。

侵略戦争の象徴だった「日の丸」「君が代」に対する国民の認識も日本における「愛国主義教育」の成果だ。中国政府と国民のことは言えない。

さらに言えば、遠藤氏の言うように市場原理主義によって作り出された格差社会の弊害は、まさに今日の日本の姿ではないか。だが、日本ではどうか?民主党政権の裏切り、野党自民党の作った憲法案、自民がダメだから、民主党政権をつくった、だがその民主もダメだった。では、ということで、維新の会を持ち上げていないだろうか。

独裁国家でない日本ではあるが、また一見自由に見える日本の言論界だが、果たして本当にそうだろうか。勿論単純に中国と比べるなどということ言っているのではない。日本を独裁国家と思っている中国人が少なくないとの指摘を日本像のゆがみと指摘している日本人であるが、中国人からすれば、ある意味当然の日本像ではないのか?隣国に侵略したことを反省せず、正当化している勢力がずっと政権を担当しているのだ。

その政権が国民世論とま逆の政策を「決められない政治からの脱却」として「責任をもって」実行しているのだ。大手マスコミもそれを扇動している。一見自由に見える日本だが、「日の丸・君が代」になんら疑問を持たず、敬礼をし、斉唱しているからと言って、「日の丸・君が代」の歴史がなくなるわけでない。そういうことと同じように「独裁国家ではない」が、中国に求める民主化や自由を要求するほど、日本は偉そうなことは言えないという日本の現実がある。

日本国政府に対して日本国民が、全国各地で何をしているかについて、中国の反日運動のように報道しているか、そのことが中国の国民に正しく伝わっているかどうか、そのことの検証をせず、中国政府や中国の民衆に対して、また「共産党」政権に対して、一方的に要求する日本の言論界は、意図的であるといわなければならない。


最近で言えば、その象徴的事件として位置づけなければならないのは、「発足したばかりの原子力規制委員会が記者会見から「しんぶん赤旗」の記者を排除した問題」である。中国政府と中国共産党に対する目線は、国内の共産党に対する目線となるとどうだろうか?中国共産党の報道規制に対してはここぞとばかり騒ぎ立てるのに、日本の共産党に対する報道規制に対して、同じように騒ぎ立てているだろうか?

こうした目線は歴史問題に対する目線の不公平さと、根っこは同じだろう。「この40年の積み重ねは何だったのかと、嘆かざるを得ないような行き違い」を作り出してきた歴史の検証こそ、「朝日」をはじめとしたマスコミに求められているのだ。

こうした目線にたって、中国と韓国・北朝鮮・アジアの目線に立って考えてみることこそ、日中韓のねじれをまきなおしていく重要な視点だと思うのだ。

その改善の視点については、これまでも書いてきたが、潮目が変わってきたことも事実だ。そのことについては、別項で書くことにする。長くなりすぎたので・・・。

では最後に「朝日」の「社説」を掲載しておこう。

日中国交40年―交流広げ、信頼立て直せ2012年9月29日(土)付
 祝賀の雰囲気はない。
 日中国交正常化から40周年を迎えた。だが、日本政府が尖閣諸島を所有者から買ったことに対し、領有権を主張する中国が激しい批判を続けている。 中国共産党序列4位の賈慶林(チアチンリン)・全国政治協商会議主席は、訪中した日中友好団体代表らに、両国の関係を「これまでになく厳しい局面」と評した。 日本でも愛読される中国の古典、論語に「四十にして惑わず」とある。 ところが、同じ年月がたった日中関係は全面停滞の様相だ。日本企業は操業停止などの大きな影響を受け、さまざまな交流事業が中断した。 ここまでこじれた背景には、互いの体制や文化への無知や無理解がある。 野田首相は、ウラジオストクで中国の胡錦濤(フーチンタオ)国家主席と話しあった直後に尖閣諸島の購入に踏み切った。体面を重んじる中国には受け入れがたかった。 中国に挑発的な石原慎太郎・東京都知事の購入計画を防ぎ、火種を取り除こうという日本政府の思惑を、「中央政府は地方政府を抑えられる」と考える中国は理解しようとしなかった。  この40年の積み重ねは何だったのかと、嘆かざるを得ないような行き違いである。
■大国の自信と不安
 「中国が他人に虐げられた時代は去り、二度と戻らない」
 中国のメディアではこんな論調が繰り返された。列強に踏みにじられた苦い歴史の記憶にあえて触れ、愛国意識を高めた。 1972年の正常化後、最初の20年は、戦争から急速に復興した日本が、途上国・中国の成長に手を貸す構図だった。 関係が大きく変わり始めたのが、90年代初めだ。  日本ではバブルがはじけて経済が滞り、中国は改革開放路線をひた走って急成長期に入った。2008年の世界金融危機で景気を下支えした中国は、大国としての自信を固め、10年には国内総生産(GDP)で日本を抜いた。 自信は外交の強硬姿勢となった。古代ローマや大英帝国のように、新しい大国の登場は時代の地殻変動となって、周辺や先行する大国との摩擦を生んだ。  だが足元の中国社会では、貧富の格差や汚職といったさまざまな矛盾が噴き出している。  コネがなければ機会さえ与えられず、年間600万人近くにもなる大学卒業生の就職難は深刻だ。成長の原動力だった人口増は急速な高齢化に転じ、社会保障の不備が目立っている。  先々週末、中国各地で起きた反日デモでは、毛沢東の肖像を掲げる参加者がいた。貧しくても平等だった日を懐かしむのだろう。それは現政権への批判でもある。 その共産党は11月、指導部が入れ替わる党大会を開く。だが激しい人事や路線の駆け引きが繰り広げられたとされ、大会日程の発表は大幅にずれこんだ。異常な事態だ。
■「反日」利用はやめよ
 日本が向きあっているのは、不安定さを抱えこんだまま大国になった中国だ。 つきあい方は難しさを増しているのに、双方で関係を進める力が弱まっている。 中国では市場経済で共産主義の理念が薄れた。共産党はかわりに経済成長と愛国主義で国内の団結を図った。党の原点は抗日戦争の勝利であり、愛国は反日の感情を強めた。  折に触れて繰り返された反日デモの過激さは、日本の対中観を冷えこませた。中国指導者と個人的な信頼関係でつながる政治家の姿も見えない。  だが、両国が重要な隣国同士だと言うことに変わりはない。グローバル化で日中の経済は相互依存を深め、切り離すことはできない関係だ。  このまま対立が続けば、中国に進出した日本企業の損害は巨額となり、現地で働く中国人の雇用不安にもつながる。世界第2、第3位の経済大国の争いに世界も気をもんでいる。  負の関係から抜け出すためには、中国での対日感情の改善が必要だ。中国にとっても、反日は反共産党に変わりかねない。外に敵を作り、中をまとめようとする手法は必ず行きづまる。中国は反日の政治利用をやめるべきだ。 日本も、相手に実像を伝える努力が必要だ。総額3兆円超にのぼる対中円借款で、中国の成長の基盤づくりに尽くしたという事実も、中国ではほとんど知られていない。官民を問わず、人の交流をこれまで以上に厚くするしかない。
■歴史と、今を見る
 そして日本は、歴史にしっかり向きあう必要がある。日中戦争は、日本が中国の国土でおこした。大勢の中国の人たちが犠牲になったのは、逃れようのない事実だ。 浮ついた「愛国」は人々を豊かにしない。それは中国も日本も同じだ。歴史と今を冷徹に見つめ、立て直しを始めよう。(引用ここまで)



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