つづきです。
NHKについては、コメントしました。全国紙も、先の記事を参考に考えてみると、どうでしょうか?イマイチです。勿論紙数のこともあるでしょう。しかし、しかし、です。憲法と最高裁判決の重み、国民主権と人権を考えると、更に解明してほしいと思いました。
「婚外子」相続差別 最高裁が違憲判断 9月4日 21時11分
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20130904/k10014279131000.html
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両親が結婚しているかどうかで子どもが相続できる遺産に差を設けている民法の規定について、最高裁判所大法廷は「社会が変化し、家族の多様化が進むなかで、結婚していない両親の子どもを差別する根拠は失われた」と指摘し、「憲法に違反する」という初めての判断を示しました。
明治時代から続いてきた相続に関する民法の規定は改正を迫られることになります。民法では、結婚していない両親の子ども、いわゆる「婚外子」は結婚している両親の子どもの半分しか遺産を相続できないと規定されています。これに対して、東京と和歌山のケースで、遺産相続の争いになり、ことし7月に最高裁判所の大法廷で弁論が開かれていました。最高裁判所大法廷の竹崎博允裁判長は決定で「子どもは婚外子という立場をみずから選ぶことも取り消すこともできない。現在は社会が変化し、家族の多様化が進むなかで、結婚していない両親の子どもだけに不利益を与えることは許されず、相続を差別する根拠は失われた」と指摘し、「民法の規定は法の下の平等を定めた憲法に違反している」という初めての判断を示しました。
この決定は、審理に加わった裁判官、全員一致の結論です。
大法廷は平成7年に「憲法に違反しない」という決定を出しましたが、その後、結婚や家族に対する国民の意識が変化している実情を踏まえ、今回、18年前の判断を見直しました。
また、決定では「話し合いなどで合意し、遺産相続が確定している場合、今回の判断が改めて影響しない」と指摘し、過去のケースについてさかのぼって争うことはできないとしています。
今回、憲法違反とされたことで明治31年から100年以上続いてきた民法の規定は、改正を迫られることになります。
申し立てた婚外子女性「差別ない社会を」
申し立てを行った和歌山県の婚外子の40代の女性は和歌山市で会見を開き「決定をきいて心が高揚しています。私の価値は相手の方の2分の1ではなく、本当の価値を取り戻したと父に伝えたい。今後は1日も早く法改正が行われ、差別のない社会が築かれることを強く望みます」と話しました。
和歌山のケースの嫡出子「違憲判断は納得できず」
和歌山のケースの嫡出子は、「最高裁の違憲判断は、納得できるものではなく非常に残念で受け入れがたいものです。私たちの母は法律の規定を心の支えに40年間、精神的苦痛に耐えてきました。決定は日本の家族の形や社会状況を理解せず、国民の意識とかけ離れたものと思います」というコメントを出しました。
専門家「迅速に法改正を」
最高裁の決定について、家族法が専門の早稲田大学の棚村政行教授は「大法廷が全員一致で憲法違反だと判断したことは画期的で、非常に重い決定だ」と述べました。
そのうえで、今後の国会の対応について「相続は誰にでも身近に起こる問題で、いまだに解決していない多くの人のケースできょうの決定が影響を与えることが考えられる。国会は迅速に法律を改正すべきだ」と指摘しました。
婚外子制度の歴史は
両親が結婚しているかどうかで子どもの相続に差を設ける規定は、115年前の明治31年に施行された民法で設けられました。当時の資料などによりますと、この規定は「法律上の結婚を重視しながら、結婚していない両親の子どもにも一定の相続を認める」という理由から作られたということです。その後、改正すべきだとする声が高まり、平成8年には国の法制審議会が見直しを求める答申を提出したほか、3年前にも国が民法の改正案をまとめました。また、この規定に対しては、国連の委員会から、「差別的だ」と勧告されるなど少なくとも10回にわたって見直しが求められています。一方で、「制度を見直せば結婚せずに子どもを産む人が増える」とか「家族制度が崩れかねない」といった反対の意見もあり、改正は行われないままとなっています。
違憲判決は過去いずれも法律改正
最高裁判所が法律の規定そのものを憲法違反としたのは今回が9例目で、過去のケースではいずれも法律が改正されています。最高裁は昭和48年に、両親や祖父母などを殺害した場合の刑罰を通常の殺人よりもはるかに重くする刑法の規定を憲法違反と判断しています。また、平成17年には海外に住む日本人の国政選挙の投票を制限していた公職選挙法の規定、平成20年には日本国籍を取得する際に両親の結婚を条件にしていた国籍法の規定について、いずれも憲法に違反するという判決を出しています。過去の例では最高裁の判決前に法律が見直されたケースを含め、いずれも「憲法違反」と判断された法律は改正されています。今回、最高裁が違憲判断を行ったことで、相続に関する民法の規定も改正を迫られることになります。
谷垣法務大臣「違憲判断を厳粛に受け止める」
谷垣法務大臣は記者団に対し「違憲立法審査権を有する最高裁判所が、憲法違反の判断をしたことは厳粛に受け止める必要がある。判断内容を十分に精査して必要な措置を講じていきたい。相続は日々起きることなので、『法律にはこう書いてあるが、最高裁判所はこう判断している』ということで、いたずらに混乱を生じさせてはいけない。できるだけ速やかに検討して、速やかに対応策を講じていくのは当然だ」と述べ、民法改正に向けた作業を急ぐ考えを示しました。
今後の動き
最高裁判所大法廷の判断を受けて、法務省は、内容を精査したうえで、民法の改正に向けた作業を進めることにしており、「憲法に違反する」と判断された民法900条の「いわゆる婚外子の相続分は、嫡出子の半分とする」という規定を削除することを検討しています。この規定を巡っては、法務大臣の諮問機関である法制審議会が、平成8年にすでに見直しを求める答申を出していることなどから、法務省は、今回は法制審議会に諮問せずに作業を進めたいとしています。法務省幹部は「民法の改正案がまとまりしだい、できるだけ早く国会に提出したい」としていて、早ければ秋の臨時国会にも改正案を提出する方向で、政府内や与党との調整を行うことにしています。ただ、自民党をはじめ与野党の保守系の議員からは、「婚外子と嫡出子の相続を平等にすれば、現在の結婚制度そのものが崩れかねない」といった懸念も出ており、今後の調整に手間取ることも予想されます。(引用ここまで)
「婚外子」規定違憲で民法改正案提出へ 9月5日 4時46分
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20130905/k10014298591000.html
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両親が結婚しているかどうかで子どもの遺産相続に差を設けている民法の規定について、最高裁判所大法廷が「憲法に違反する」という判断を示したのを受けて、政府は、早ければ秋の臨時国会に民法の改正案を提出することを目指して、与党側との調整を進めることにしています。
民法では、結婚していない両親の子ども、いわゆる「婚外子」は、結婚している両親の子どもの半分しか遺産を相続できないと規定されていますが、最高裁判所大法廷は4日、「家族の多様化が進むなかで相続を差別する根拠は失われた」と指摘し、「法の下の平等を定めた憲法に違反する」という初めての判断を示しました。これを受けて、政府は、民法900条の「いわゆる婚外子の相続分は、嫡出子の半分とする」という規定を削除することを検討しており、早ければ秋の臨時国会に改正案を提出することを目指しています。一方、与党側では、自民党の高市政務調査会長が、「最高裁判所の判断を厳粛に受け止め、政府と緊密に連携して真摯(しんし)に対応していきたい」としているほか、公明党は、法改正を急ぐべきだとしています。ただ、自民党内には、「婚外子と嫡出子の相続を平等にすれば、伝統的な家族制度が崩れかねない」といった懸念もあり、政府は、改正案の提出に向けて与党側との調整を進めることにしています。(引用ここまで)
全国紙 注目すべき日本語を抜粋しました。本文もご覧ください。
朝日 婚外子差別/遅すぎた救済のつけ 2013/9/5 4:00
両親が結婚していたかどうかで子どもの相続分に差をつける民法の規定は、法の下の平等を定めた憲法に違反する。 最高裁大法廷がようやく判断した。…しかし、自民党などは「法律婚の保護が必要」「不倫を助長する」などと反対し、法務省は法案を出せずじまいだった。 すぐに法改正していれば、今回の決定のように、父母の死や裁判などの時期によって、救済されるかどうかが分かれるという不条理な状況は避けられたはずである。 最高裁の違憲判断をもって、民法の規定が自動的に変わるわけではない。担当した裁判官14人の全員一致による決定の重みをふまえ、国会は一日も早く法改正すべきだ。…相続にはこうした手当てが徹底できるとは限らず、法改正の遅れは許されない。 11年には約2万3千人の婚外子がうまれた。今回の決定を、家族それぞれのかたちを尊重しあう新たな出発点としたい。(引用ここまで)
毎日 婚外子差別違憲/長かった平等への道 2013/9/5 4:00
…世界的にこうした規定は撤廃され、少なくとも欧米にはない。先進国で同種規定があったドイツで98年、フランスでも01年に法改正が行われ、平等化が実現した。 国連自由権規約委員会は93年、「差別を禁じる国際規約に反している」として、規定廃止を日本政府に勧告した。その後も、国連の人権機関が勧告を繰り返している。国際社会の潮流からも、相続平等への道を歩むのは避けられなかったといえる。…最高裁が、国際社会の動向を重視したのは、今回が初めてではない。大法廷は08年、日本人父とフィリピン人母の間に生まれた婚外子の子供たちが、日本国籍の確認を求めた訴訟の判決で、出生後の国籍取得に両親の婚姻を必要とする国籍法の規定を違憲と判断した。(引用ここまで)
読売 婚外子相続差別/家族観の変化に沿う違憲判断 2013/9/5 2:00
日本人の家族観の変化を踏まえた歴史的な違憲判断である。…欧米では相続格差の撤廃が進み、主要先進国で格差が残っているのは日本だけになっている。…違憲判断は、こうした流れの延長線上に位置づけられよう。…内閣府の昨年の世論調査でも、婚外子に対し、法律上、不利益な扱いをしてはならないと考える人は61%に上っている。 「父母が婚姻関係になかったという、子にとっては自ら選択・修正する余地のない事柄を理由として、その子に不利益を及ぼすことは許されない」。最高裁のこの判断を、多くの国民は違和感なく受け止めるのではないか。 婚外子の相続格差の規定は明治時代に設けられ、戦後の民法に受け継がれた。法律婚の重視という伝統的な結婚観が根底にある。 相続分を半分にするという規定が、結果として婚外子の差別を助長してきた面は否めない。 違憲判断は、こうした流れの延長線上に位置づけられよう。…最高裁の決定を受け、菅官房長官は「立法的手当ては当然だ」と語った。早ければ臨時国会に民法改正案を提出する方針だ。 速やかな改正を求めたい。(引用ここまで)
産経 相続格差は違憲/「法律婚」の否定ではない 2013/9/5 6:00
…憲法は法の下の平等を保障しており、「父母が婚姻関係になかったという、子にとっては自ら選択ないし修正する余地のないことを理由に不利益を及ぼすことは許されない」とした判断は当然だろう。速やかに、民法も改正すべきだ。 「婚外子の相続分は嫡出子の半分とする」という規定は明治31年に設けられ、昭和22年の民法改正でも引き継がれた。54年には法務省が両者の差異をなくす民法改正案をまとめたが、国会には提出されなかった。 平成5年以降、東京高裁などでこの問題での違憲判断が相次いだが、最高裁は7年、「民法が法律婚を採用している以上、著しく不合理とはいえない」とする合憲判断を出し、婚外子側の訴えを退けていた。 ただしこれを覆す今回の最高裁の判断は、法律による婚姻家族を否定したものではない。 法律婚という制度は日本に定着しており、「重婚」を認めるものでも、「事実婚」や「非婚カップル」を助長し、「不倫」を推奨するものでもない。国内における婚外子の出生数の増加や、欧米で急速に進んだ婚外子への法的な差別撤廃の動きが背景にはある。 だが、あくまで今回の判断は、個人の尊厳と法の下の平等に照らして婚外子の権利が不当に侵害されていないかとの観点から導き出されたものだ。 最高裁の判断が、国民の結婚観や家族観に誤った影響を与えるようなことがあってはならない。 結婚や家族は個人のライフスタイルの問題だとする考え方もあるだろう。だが、法律婚によって築かれる家族は尊重、保護されるべき社会の最小単位である。その重要性は変わらない。 付け加えれば、民法による相続の規定は強制されるものではなく、生前処分や遺言などによる相続分の指定がない場合に補充的に適用されるものだ。 家族ごとに、さまざまな個別の事情があるだろう。相続は本来、被相続人が自らの人生を省みて配分を決めるものだ。その原則も指摘しておきたい。(引用ここまで)
日経 国会は速やかに相続差別規定の撤廃を 2013/9/5 4:00
…私たちは差別規定を放置する政治の怠慢を何度も批判してきた。司法に命じられるまで動かなかったのは極めて残念だが、改正は900条4号ただし書きの該当部分を削除すればいい。10月の臨時国会での速やかな対応を求める。 大法廷は違憲の判断に至ったさまざまな理由をまとめる形で、「家族の中における個人の尊重がより明確に認識されてきたこと」「子にとって自ら選んだり変えたりできない事柄を理由に不利益を及ぼすことは許されないという考えが確立されてきたこと」を挙げている。その通りであろう。…それでも国会が何もしなかったことが全員一致の違憲判断につながった。大法廷は今回対象になった2001年以降の相続が差別規定を前提としたものであっても、確定していれば違憲の判断は法的に影響しないとしている。混乱を避けるためやむを得ないのだろうが、それで不利益を被る人がいるのではないかという疑問は残る。(引用ここまで)
東京・中日 婚外子差別違憲/つらい思いに終止符を 2013/9/5 8:00
婚外子の遺産相続は、法律婚の子の半分−。この民法の規定を最高裁が「違憲」と断じたことは、明治民法から続く婚外子差別の解消を迫る大転換である。国会は早急に不平等な法を正すべきだ。 「子にとって自ら選択する余地のない事項で、不利益を及ぼすことは許されない」−。最高裁の決定は、婚外子の差別に「憲法違反」を突きつけた。憲法の「法の下の平等」などに照らし合わせれば、当然の結論といえよう。結婚していない男女の子も、個人として尊重され、権利も保障されねばならない。だが、婚外子の相続分は半分しか認められてこなかった。百十五年前の明治民法で、この定めが盛り込まれたのは、戸主を長とする「家制度」があったからだ。戦後の民法改正でも、そのまま引き継がれていた。 こんな規定が今も残るのは、先進国では日本だけだ。欧米諸国は一九六〇年代後半から次々と、差別撤廃を遂げた。それを考えると、決定は遅すぎたほどだ。…平等化を阻んできたのは、「不倫を助長する」「家族の絆を弱める」といった国会議員らの反対の声だ。だが、内閣府の世論調査では、婚外子への不利益な扱いについて「してはならない」との意見が今や61%にのぼっている。 事実婚やシングルマザーが増加している社会の変化も大きい。国連の人権機関も差別をなくすよう勧告を繰り返している。尊属殺人の重罰規定など、最高裁が法律の定め自体を違憲と判断したのは、今回を含め、九件しかない。国会議員はその重みをよく考えてほしい。法そのものを変えないと、裁判を提起しない限り、婚外子は救われない。だから、早く法を是正すべきなのだ。 相続格差のほかにも、問題は残る。出生届には嫡出子かどうかのチェック欄がある。未婚の母には、税法上の不利益もある。父から認知されていない子は、遺族基礎年金などを受給できない。 「同じ父親から生まれたのに、なぜ?」−。こんなつらい思いには、もう終止符を打ちたい。(引用ここまで)