愛国者の邪論

日々の生活のなかで、アレ?と思うことを書いていきます。おじさんも居ても立っても居られんと小さき声を今あげんとす

「婚外子」差別をNHKと全国紙はどのように報じたか!一票の差別と最高裁の役割から何を考えるか!

2013-09-05 | 日記

つづきです。 

NHKについては、コメントしました。全国紙も、先の記事を参考に考えてみると、どうでしょうか?イマイチです。勿論紙数のこともあるでしょう。しかし、しかし、です。憲法と最高裁判決の重み、国民主権と人権を考えると、更に解明してほしいと思いました。

「婚外子」相続差別 最高裁が違憲判断  9月4日 21時11分

http://www3.nhk.or.jp/news/html/20130904/k10014279131000.html

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両親が結婚しているかどうかで子どもが相続できる遺産に差を設けている民法の規定について、最高裁判所大法廷は「社会が変化し、家族の多様化が進むなかで、結婚していない両親の子どもを差別する根拠は失われた」と指摘し、「憲法に違反する」という初めての判断を示しました。
明治時代から続いてきた相続に関する民法の規定は改正を迫られることになります。民法では、結婚していない両親の子ども、いわゆる「婚外子」は結婚している両親の子どもの半分しか遺産を相続できないと規定されています。これに対して、東京と和歌山のケースで、遺産相続の争いになり、ことし7月に最高裁判所の大法廷で弁論が開かれていました。最高裁判所大法廷の竹崎博允裁判長は決定で「子どもは婚外子という立場をみずから選ぶことも取り消すこともできない。現在は社会が変化し、家族の多様化が進むなかで、結婚していない両親の子どもだけに不利益を与えることは許されず、相続を差別する根拠は失われた」と指摘し、「民法の規定は法の下の平等を定めた憲法に違反している」という初めての判断を示しました。
この決定は、審理に加わった裁判官、全員一致の結論です。
大法廷は平成7年に「憲法に違反しない」という決定を出しましたが、その後、結婚や家族に対する国民の意識が変化している実情を踏まえ、今回、18年前の判断を見直しました。
また、決定では「話し合いなどで合意し、遺産相続が確定している場合、今回の判断が改めて影響しない」と指摘し、過去のケースについてさかのぼって争うことはできないとしています。

今回、憲法違反とされたことで明治31年から100年以上続いてきた民法の規定は、改正を迫られることになります。

申し立てた婚外子女性「差別ない社会を」

申し立てを行った和歌山県の婚外子の40代の女性は和歌山市で会見を開き「決定をきいて心が高揚しています。私の価値は相手の方の2分の1ではなく、本当の価値を取り戻したと父に伝えたい。今後は1日も早く法改正が行われ、差別のない社会が築かれることを強く望みます」と話しました。

和歌山のケースの嫡出子「違憲判断は納得できず」

和歌山のケースの嫡出子は、「最高裁の違憲判断は、納得できるものではなく非常に残念で受け入れがたいものです。私たちの母は法律の規定を心の支えに40年間、精神的苦痛に耐えてきました。決定は日本の家族の形や社会状況を理解せず、国民の意識とかけ離れたものと思います」というコメントを出しました。

専門家「迅速に法改正を」

最高裁の決定について、家族法が専門の早稲田大学の棚村政行教授は「大法廷が全員一致で憲法違反だと判断したことは画期的で、非常に重い決定だ」と述べました。
そのうえで、今後の国会の対応について「相続は誰にでも身近に起こる問題で、いまだに解決していない多くの人のケースできょうの決定が影響を与えることが考えられる。国会は迅速に法律を改正すべきだ」と指摘しました。

婚外子制度の歴史は

両親が結婚しているかどうかで子どもの相続に差を設ける規定は、115年前の明治31年に施行された民法で設けられました。当時の資料などによりますと、この規定は「法律上の結婚を重視しながら、結婚していない両親の子どもにも一定の相続を認める」という理由から作られたということです。その後、改正すべきだとする声が高まり、平成8年には国の法制審議会が見直しを求める答申を提出したほか、3年前にも国が民法の改正案をまとめました。また、この規定に対しては、国連の委員会から、「差別的だ」と勧告されるなど少なくとも10回にわたって見直しが求められています。一方で、「制度を見直せば結婚せずに子どもを産む人が増える」とか「家族制度が崩れかねない」といった反対の意見もあり、改正は行われないままとなっています。

違憲判決は過去いずれも法律改正

最高裁判所が法律の規定そのものを憲法違反としたのは今回が9例目で、過去のケースではいずれも法律が改正されています。最高裁は昭和48年に、両親や祖父母などを殺害した場合の刑罰を通常の殺人よりもはるかに重くする刑法の規定を憲法違反と判断しています。また、平成17年には海外に住む日本人の国政選挙の投票を制限していた公職選挙法の規定、平成20年には日本国籍を取得する際に両親の結婚を条件にしていた国籍法の規定について、いずれも憲法に違反するという判決を出しています。過去の例では最高裁の判決前に法律が見直されたケースを含め、いずれも「憲法違反」と判断された法律は改正されています。今回、最高裁が違憲判断を行ったことで、相続に関する民法の規定も改正を迫られることになります。

谷垣法務大臣「違憲判断を厳粛に受け止める」

谷垣法務大臣は記者団に対し「違憲立法審査権を有する最高裁判所が、憲法違反の判断をしたことは厳粛に受け止める必要がある。判断内容を十分に精査して必要な措置を講じていきたい。相続は日々起きることなので、『法律にはこう書いてあるが、最高裁判所はこう判断している』ということで、いたずらに混乱を生じさせてはいけない。できるだけ速やかに検討して、速やかに対応策を講じていくのは当然だ」と述べ、民法改正に向けた作業を急ぐ考えを示しました。

今後の動き

最高裁判所大法廷の判断を受けて、法務省は、内容を精査したうえで、民法の改正に向けた作業を進めることにしており、「憲法に違反する」と判断された民法900条の「いわゆる婚外子の相続分は、嫡出子の半分とする」という規定を削除することを検討しています。この規定を巡っては、法務大臣の諮問機関である法制審議会が、平成8年にすでに見直しを求める答申を出していることなどから、法務省は、今回は法制審議会に諮問せずに作業を進めたいとしています。法務省幹部は「民法の改正案がまとまりしだい、できるだけ早く国会に提出したい」としていて、早ければ秋の臨時国会にも改正案を提出する方向で、政府内や与党との調整を行うことにしています。ただ、自民党をはじめ与野党の保守系の議員からは、「婚外子と嫡出子の相続を平等にすれば、現在の結婚制度そのものが崩れかねない」といった懸念も出ており、今後の調整に手間取ることも予想されます。(引用ここまで

「婚外子」規定違憲で民法改正案提出へ 9月5日 4時46分

http://www3.nhk.or.jp/news/html/20130905/k10014298591000.html

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両親が結婚しているかどうかで子どもの遺産相続に差を設けている民法の規定について、最高裁判所大法廷が「憲法に違反する」という判断を示したのを受けて、政府は、早ければ秋の臨時国会に民法の改正案を提出することを目指して、与党側との調整を進めることにしています。

民法では、結婚していない両親の子ども、いわゆる「婚外子」は、結婚している両親の子どもの半分しか遺産を相続できないと規定されていますが、最高裁判所大法廷は4日、「家族の多様化が進むなかで相続を差別する根拠は失われた」と指摘し、「法の下の平等を定めた憲法に違反する」という初めての判断を示しました。これを受けて、政府は、民法900条の「いわゆる婚外子の相続分は、嫡出子の半分とする」という規定を削除することを検討しており、早ければ秋の臨時国会に改正案を提出することを目指しています。一方、与党側では、自民党の高市政務調査会長が、「最高裁判所の判断を厳粛に受け止め、政府と緊密に連携して真摯(しんし)に対応していきたい」としているほか、公明党は、法改正を急ぐべきだとしています。ただ、自民党内には、「婚外子と嫡出子の相続を平等にすれば、伝統的な家族制度が崩れかねない」といった懸念もあり、政府は、改正案の提出に向けて与党側との調整を進めることにしています。(引用ここまで 

 

全国紙 注目すべき日本語を抜粋しました。本文もご覧ください。 

朝日 婚外子差別/遅すぎた救済のつけ  2013/9/5 4:00

両親が結婚していたかどうかで子どもの相続分に差をつける民法の規定は、法の下の平等を定めた憲法に違反する。 最高裁大法廷がようやく判断した。…しかし、自民党などは「法律婚の保護が必要」「不倫を助長する」などと反対し、法務省は法案を出せずじまいだった。 すぐに法改正していれば、今回の決定のように、父母の死や裁判などの時期によって、救済されるかどうかが分かれるという不条理な状況は避けられたはずである。 最高裁の違憲判断をもって、民法の規定が自動的に変わるわけではない。担当した裁判官14人の全員一致による決定の重みをふまえ、国会は一日も早く法改正すべきだ。…相続にはこうした手当てが徹底できるとは限らず、法改正の遅れは許されない。 11年には約2万3千人の婚外子がうまれた。今回の決定を、家族それぞれのかたちを尊重しあう新たな出発点としたい。(引用ここまで

毎日 婚外子差別違憲/長かった平等への道  2013/9/5 4:00

…世界的にこうした規定は撤廃され、少なくとも欧米にはない。先進国で同種規定があったドイツで98年、フランスでも01年に法改正が行われ、平等化が実現した。 国連自由権規約委員会は93年、「差別を禁じる国際規約に反している」として、規定廃止を日本政府に勧告した。その後も、国連の人権機関が勧告を繰り返している。国際社会の潮流からも、相続平等への道を歩むのは避けられなかったといえる。…最高裁が、国際社会の動向を重視したのは、今回が初めてではない。大法廷は08年、日本人父とフィリピン人母の間に生まれた婚外子の子供たちが、日本国籍の確認を求めた訴訟の判決で、出生後の国籍取得に両親の婚姻を必要とする国籍法の規定を違憲と判断した。(引用ここまで

読売 婚外子相続差別/家族観の変化に沿う違憲判断  2013/9/5 2:00

 日本人の家族観の変化を踏まえた歴史的な違憲判断である。…欧米では相続格差の撤廃が進み、主要先進国で格差が残っているのは日本だけになっている。…違憲判断は、こうした流れの延長線上に位置づけられよう。…内閣府の昨年の世論調査でも、婚外子に対し、法律上、不利益な扱いをしてはならないと考える人は61%に上っている。 「父母が婚姻関係になかったという、子にとっては自ら選択・修正する余地のない事柄を理由として、その子に不利益を及ぼすことは許されない」。最高裁のこの判断を、多くの国民は違和感なく受け止めるのではないか。 婚外子の相続格差の規定は明治時代に設けられ、戦後の民法に受け継がれた。法律婚の重視という伝統的な結婚観が根底にある。 相続分を半分にするという規定が、結果として婚外子の差別を助長してきた面は否めない。 違憲判断は、こうした流れの延長線上に位置づけられよう。…最高裁の決定を受け、菅官房長官は「立法的手当ては当然だ」と語った。早ければ臨時国会に民法改正案を提出する方針だ。 速やかな改正を求めたい。(引用ここまで 

産経 相続格差は違憲/「法律婚」の否定ではない  2013/9/5 6:00

…憲法は法の下の平等を保障しており、「父母が婚姻関係になかったという、子にとっては自ら選択ないし修正する余地のないことを理由に不利益を及ぼすことは許されない」とした判断は当然だろう。速やかに、民法も改正すべきだ。 「婚外子の相続分は嫡出子の半分とする」という規定は明治31年に設けられ、昭和22年の民法改正でも引き継がれた。54年には法務省が両者の差異をなくす民法改正案をまとめたが、国会には提出されなかった。 平成5年以降、東京高裁などでこの問題での違憲判断が相次いだが、最高裁は7年、「民法が法律婚を採用している以上、著しく不合理とはいえない」とする合憲判断を出し、婚外子側の訴えを退けていた。 ただしこれを覆す今回の最高裁の判断は、法律による婚姻家族を否定したものではない。 法律婚という制度は日本に定着しており、「重婚」を認めるものでも、「事実婚」や「非婚カップル」を助長し、「不倫」を推奨するものでもない。国内における婚外子の出生数の増加や、欧米で急速に進んだ婚外子への法的な差別撤廃の動きが背景にはある。 だが、あくまで今回の判断は、個人の尊厳と法の下の平等に照らして婚外子の権利が不当に侵害されていないかとの観点から導き出されたものだ。 最高裁の判断が、国民の結婚観や家族観に誤った影響を与えるようなことがあってはならない。 結婚や家族は個人のライフスタイルの問題だとする考え方もあるだろう。だが、法律婚によって築かれる家族は尊重、保護されるべき社会の最小単位である。その重要性は変わらない。 付け加えれば、民法による相続の規定は強制されるものではなく、生前処分や遺言などによる相続分の指定がない場合に補充的に適用されるものだ。 家族ごとに、さまざまな個別の事情があるだろう。相続は本来、被相続人が自らの人生を省みて配分を決めるものだ。その原則も指摘しておきたい。(引用ここまで

日経 国会は速やかに相続差別規定の撤廃を   2013/9/5 4:00

…私たちは差別規定を放置する政治の怠慢を何度も批判してきた。司法に命じられるまで動かなかったのは極めて残念だが、改正は900条4号ただし書きの該当部分を削除すればいい。10月の臨時国会での速やかな対応を求める。 大法廷は違憲の判断に至ったさまざまな理由をまとめる形で、「家族の中における個人の尊重がより明確に認識されてきたこと」「子にとって自ら選んだり変えたりできない事柄を理由に不利益を及ぼすことは許されないという考えが確立されてきたこと」を挙げている。その通りであろう。…それでも国会が何もしなかったことが全員一致の違憲判断につながった。大法廷は今回対象になった2001年以降の相続が差別規定を前提としたものであっても、確定していれば違憲の判断は法的に影響しないとしている。混乱を避けるためやむを得ないのだろうが、それで不利益を被る人がいるのではないかという疑問は残る。(引用ここまで

東京・中日 婚外子差別違憲/つらい思いに終止符を  2013/9/5 8:00

婚外子の遺産相続は、法律婚の子の半分−。この民法の規定を最高裁が「違憲」と断じたことは、明治民法から続く婚外子差別の解消を迫る大転換である。国会は早急に不平等な法を正すべきだ。 「子にとって自ら選択する余地のない事項で、不利益を及ぼすことは許されない」−。最高裁の決定は、婚外子の差別に「憲法違反」を突きつけた。憲法の「法の下の平等」などに照らし合わせれば、当然の結論といえよう。結婚していない男女の子も、個人として尊重され、権利も保障されねばならない。だが、婚外子の相続分は半分しか認められてこなかった。百十五年前の明治民法で、この定めが盛り込まれたのは、戸主を長とする「家制度」があったからだ。戦後の民法改正でも、そのまま引き継がれていた。 こんな規定が今も残るのは、先進国では日本だけだ。欧米諸国は一九六〇年代後半から次々と、差別撤廃を遂げた。それを考えると、決定は遅すぎたほどだ。…平等化を阻んできたのは、「不倫を助長する」「家族の絆を弱める」といった国会議員らの反対の声だ。だが、内閣府の世論調査では、婚外子への不利益な扱いについて「してはならない」との意見が今や61%にのぼっている。 事実婚やシングルマザーが増加している社会の変化も大きい。国連の人権機関も差別をなくすよう勧告を繰り返している。尊属殺人の重罰規定など、最高裁が法律の定め自体を違憲と判断したのは、今回を含め、九件しかない。国会議員はその重みをよく考えてほしい。法そのものを変えないと、裁判を提起しない限り、婚外子は救われない。だから、早く法を是正すべきなのだ。 相続格差のほかにも、問題は残る。出生届には嫡出子かどうかのチェック欄がある。未婚の母には、税法上の不利益もある。父から認知されていない子は、遺族基礎年金などを受給できない。 「同じ父親から生まれたのに、なぜ?」−。こんなつらい思いには、もう終止符を打ちたい。(引用ここまで


人間の平等原則は婚外子も選挙も同じ!抜本改正に取り組まない勢力が政権延命に手を貸してきた!誰か!

2013-09-05 | 日記

昨日画期的な判決がありました。

その理由は、天皇を大父親、皇后を大母親、国民を臣民として位置づけ、更には、民草せきし【赤子】天子様の赤子と呼び、末端の戸主である一家の大黒柱を「ちび(小)天皇」として位置づける、すなわち文明開化、四民平等なのに封建社会の「三従の徳」「七去」「七去三従」(中国伝来思想)を温存することで、封建的儒教的性格を持たせ、天皇制を支える家制度の中心的規範であった「民法」制度を打ち破るという意味をもったもので、まさに歴史的前進と言えるものでした。

日本国憲法が制定されても、まだまだ戦前の封建的残滓、いやそればかりか、二千年の「伝統」が色濃く残る日本国の社会にあって、後世の史家から画期的な判決と称されることでしょう。今後は、夫婦別姓問題などに波及していくことは確実です。

ただ、可笑しいと思ったのは自民党など、いわゆる「保守」と言われる勢力の対応でした。以下のNHKの日本語です。

…この規定に対しては、国連の委員会から、「差別的だ」と勧告されるなど少なくとも10回にわたって見直しが求められています。一方で、「制度を見直せば結婚せずに子どもを産む人が増える」とか「家族制度が崩れかねない」といった反対の意見もあり、改正は行われないままとなっています。自民党をはじめ与野党の保守系の議員からは、「婚外子と嫡出子の相続を平等にすれば、現在の結婚制度そのものが崩れかねない」といった懸念も出ており、今後の調整に手間取ることも予想されます。引用ここまで

最近ではどうでしょうか。結婚式場の「○○家」と「●●家」という「会場案内札」です。こうした「日本的伝統」が崩れるということでしょうか。ノスタルジックな印象を拭いきれませんが、結婚が「個人の尊厳」というよりも「家」に基づく「血統」の継承でしょうか。

ま、この問題は、個人の思想信条の問題もあり、一概に「悪い」とか「良い」とかは言えないでしょう。問題は、人間の平等原則が、制度によって侵されることにあります。近親者たち、当事者たちの「良識」という名の判断が重視されなければならない問題でもありますので、単純な「善悪」で語るつもりはありません。

今後は、「家」より「個人」が、よりいっそう重視されていくことでしょう。結婚という名の「家」づくりの是非か、事実婚が優先されていくのか、人間の意識の問題でしょう。個人と国家という問題にも発展していくことでしょう。そうなると、個人が国家を規制するのか、国家が個人を規制するのか、民主主義の根本が問われてくるのではないでしょうか

自民党の改悪改憲案が、今回の大局的な流れからみると時代遅れであることが浮き彫りになってくるのではないでしょうか。安倍自民党が自覚しているかどうか、別の問題ですが。

もう一つあります。それは、一票の格差を憲法違反とした最高裁判決と今回の最高裁判決を受けた谷垣法務大臣の対応と、それを伝えるニュースでした。法の下における差別の最たる制度である小選挙区制度とその恩恵によって政権を維持し、好き勝手なことをやっている自民党をはじめとした現行小選挙区制度温存勢力はどうするのでしょうか、ということです。

どちらも、同じ最高裁判決です。日本国憲法にもとづく、また人類の英知の宝物である日本国憲法です。自民党は天賦人権思想が入っている日本国憲法の人権規定は変えていくと言明していますが、こうした思想をもつ政党が多数を占める選挙制度が、平等原則を逸脱しているとした最高裁判決です。

【主張】一票の格差是正 やはり抜本改革しかない

主張/小選挙区「1票の格差」/「違憲」繰り返さぬ抜本改正を

更にあります。谷垣法務大臣の以下の言葉です。

違憲立法審査権を有する最高裁判所が、憲法違反の判断をしたことは厳粛に受け止める必要がある。判断内容を十分に精査して必要な措置を講じていきたい。相続は日々起きることなので、『法律にはこう書いてあるが、最高裁判所はこう判断している』ということで、いたずらに混乱を生じさせてはいけない。できるだけ速やかに検討して、速やかに対応策を講じていくのは当然だ…引用ここまで

この言葉から注目したのは、違憲立法審査権統治行為論でした。次に思い浮かんだのは、以下のことでした。(参考にしたのはウィキです)

(1)砂川事件上告審判決(最高裁昭和34年12月16日大法廷判決)

日本国とアメリカ合衆国との間の安全保障条約」の合憲性判断について、統治行為論と自由裁量論を組み合わせた変則的な理論を展開して、司法審査の対象外とした。時の最高裁長官・田中耕太郎が初めて用い、日米同盟の憲法適合性が問われる問題では以後これが定着するようになる

(2)長沼ナイキ事件第1審判決(札幌地裁昭和48年9月7日判決)

一般論として統治行為論を肯定した上で、自衛隊問題については統治行為論の適用を否定し、違憲判決を下した。

(3)長沼事件控訴審判決(札幌高裁昭和51年8月5日判決)・百里基地訴訟第1審判決(水戸地裁昭和52年2月17日判決)

自衛隊の合憲性判断について、砂川事件上告審判決と同様の統治行為論により、司法審査の対象外とした。

この判決にあたって、司法権の独立が発揮されていたら、この国は、変わっていたのではないでしょうか。これについては、以下が参考になりました。

新原昭治『日米「密約」外交と人民のたたかい 米解禁文書から見る安保体制の裏側』(新日本出版社11年9月刊)

末浪靖司『9条「解釈改憲」から密約まで 対米従属の正体 米公文書からの報告』(高文研12年6月刊)

4月10日 伊達判決を破棄した田中耕太郎最高裁長官の方が、犯罪集団

砂川事件「伊達判決」と田中耕太郎最高裁長官関連資料 - [PDF]

砂川事件「伊達判決」と田中耕太郎最高裁長官関連資料

砂川事件 最高裁長官「一審は誤り」 - 琉球新報 -

司法独立性問われる/井上議員 伊達判決破棄で追及/参院法務委

更に思い浮かんだのは、「憲法の番人」と言われている内閣法制局問題でした。これについては、今朝のモーニングバード!の「そもそも総研 集団的自衛権って?論点大整理」で語っていた阪田雅裕氏の以下の話でした。この話を受けて、コメンテーター諸氏の、玉川氏の目が空ろであったのが、大変印象的でした。この日のコメンテーター諸氏のコメントには、いつも納得しているのですが、今日の彼らは、自分でも、「可笑しいな」と思いながら、阪田氏の言葉を聴いていたのではないでしょうか。本当のことを正直に言えないテレビ社会の実態を垣間見たような場面でした。愛国者の邪論には、そのように映りました。それほど、阪田氏の言葉は、つじつまがあっていませんでした。田中耕太郎最高裁長官の対米追随を免罪するような発言、憲法9条と自衛隊の矛盾を覆い隠す発言だったからです。

…憲法に書いてある幸福追求権を担保する為に、自衛隊が存在するのであり、 日本人の幸福が脅かされない状況で、海外で武力行使する事までは憲法は認めていない、と説明した。内閣法制局は法の番人とも呼ばれ、内閣が提出する法案が、憲法違反ではないと判断している。1959年在日米軍駐留の合憲性などが問われた砂川事件裁判で、裁判所は「高度な政治性を有するものは、裁判所の審査権の範囲外」と判断を放棄した。このように裁判所が安全保障における重要な法律の憲法判断を放棄している以上、内閣法制局が実質的な法の番人として機能しているのが現状である。(引用ここまで

以上の引用は、「TVでた蔵(TV DATA ZOO)」によるものです。

この阪田氏の説明で集団的自衛権行使は、違憲になるというものでした。今、「これまでの」内閣法制局が憲法擁護派であり、安倍首相が任命した集団的自衛権行使論派の小松一郎体制によって解釈改憲から明文改憲へと一気に移行していくのではないかという「危機感」が叫ばれています。しかし、愛国者の邪論は、それはそうでしょうけれど、「ちょっと違うな」と思っているのです。

それは、あの伊達判決に対して「統治行為論と自由裁量論を組み合わせた変則的な理論」という珍論・詭弁を弄して、すなわち米軍合憲論と自衛隊合憲論によって、最高裁が自衛隊違憲判断を放棄し、それに変わって自衛隊合憲論を支える役割を内閣法制局が担当してきたという構図です。

それが、今、安倍内閣の復活で、ニッチもサッチモ行かず、従来の内閣法制局が、何か護憲派であるかのように写ってしまっているという珍現象に日本が陥っているのです。内閣法制局によって自衛隊合憲論が既成事実化され、憲法学会が、井戸端談義派によって包囲され、今や、「実際に自衛隊が存在し、東日本大震災などで活躍しているから、実態に合っていない憲法9条を変えた方が良い」などという談義論に席巻されてしまっているのです。

しかも集団的自衛権の行使についても、「友達が襲われた時に助けないなんて、人間として可笑しい」とか、「国際社会で認められている権利を、日本が使えないなんて可笑しいから、憲法を変えた方が良い」とか、「使えるようにした方が良い」などというお茶の間談義論に席巻されてしまいそうです。

この様な井戸端談義・お茶のみ談義がニュコニョコ顔をもたげてくるのは、田中耕太郎最高裁長官の国家主権と国民主権、司法の独立権、日本国憲法への裏切りがあったからです。現在の日米同盟=軍事同盟が日本の平和と繁栄を築いてきたなどという珍論が横行するのも、この事件に対する検証と総括が、国民的レベルで行われていないからです。

それでは長くなりましたの、資料は別項に掲載します。


カネで釣る五輪、福島を見捨てる東京五輪、汚染の危機と脅威を伝えないマスコミ、日本の不道徳晒す!

2013-09-05 | 東京五輪

今朝のNHKニュースを視て呆れました。日本の不道徳を世界に晒しました。フクシマで異常な非常時が続出しているのに、「東京の放射線レベルは世界の他の都市と同じで全く問題ない」と言い放ちました。原発の放射線の脅威のない都市と東京を単純化して、その安全性を強調する思想と論理は尋常ではないと思いました。

 東京五輪のネライが大儲けであること、アベノミクス成長戦略であることを、「東京でオリンピックが開催されれば、大会スポンサーに日本企業が殺到することは間違いない」(トヨタの張富士夫名誉会長)という日本語が示してくれました。

 さらに、「最後のプレゼンテーションで、安倍総理大臣がこの問題について語ると思うし、安心していただける」(竹田理事長)、「政府も問題解決に取り組んでいることを強調」(NHK)という日本語によって汚染水対策が、五輪東京招致であったことを、改めて示してくれました。

 トンデモナイ思想と論理です。ケシカラン話です。フクシマを冒涜する思想です。さらには、日本国民と世界を冒涜する身勝手な思想です。五輪は「平和の祭典だから皇室の政治利用にあたらない」などと言ってのけた下村文科大臣の日本語が、その当事者たちの日本語で証明されました。更に言えば、招致活動、すなわちロビー活動が、飲ませ食わせで行われていることを平然と垂れ流しているのですから、五輪精神とはかけ離れているのではないでしょうか。

 更に言えば、今連日日本列島を襲っている豪雨と雷、竜巻を例にすれば、「東京は関係ありません。安全です」と言っているようなものです。これでは被災者たちは怒るでしょう。またフクシマ汚染から安全な沖縄に逃げた事例もがありましたが、それはそれとして、仕方のないことですが、今、その沖縄が尖閣問題で、きな臭くなってきていることなどをみれば、今、自分のところは安全だからということで、被災者たちを顧みないと言われても仕方のない発想と行動、言動が、如何に理解されないか、招致問題は明らかになりました。

 このことを、更に意味づけるとすると、山から襲ってきた濁流に押し流された映像を観て、あの津波の被害を思い出したという人は多いと思います。当事者たちも、津波被害を他人事のように思っていたという報道もありました。過去に何回も津波被害にあていた津波被災者たちも同じでした。皆他人事でした。「まさか、自分のところに来るとは・・・」でした。

 この手のレベルで「平和の祭典」招致が行われているのです。しかも事態は、東日本大震災の地震と津波と汚染水を経験した日本です。首都直下型巨大地震の可能性が間近になっていると言われている諸事実を踏まえない東京五輪招致にみる身勝手さに呆れるばかりです。

 うした身勝手さが、麻生式ナチス手口発言や橋下式慰安婦問題、さらには靖国式戦争責任問題などにみるように国際社会の常識とかけ離れている問題です。このことが、鋭く問われている問題として、浮き彫りになったのではないでしょうか。

 五輪招致 汚染水問題の質問相次ぐ 9月5日 4時46分

http://www3.nhk.or.jp/news/html/20130905/k10014298371000.html

2020年のオリンピックとパラリンピックの招致を目指す東京の招致委員会が、4日、IOC=国際オリンピック委員会の総会が開かれるアルゼンチンで記者会見し、海外のメディアから福島第一原子力発電所から汚染された水が漏れ出ている問題についての質問が相次ぎました。

2020年のオリンピックとパラリンピックの開催都市が決まるIOC総会を前に、東京の招致委員会は、4日、ブエノスアイレス市内のホテルで記者会見を開き、20社以上の海外メディアを含むおよそ100人が出席しました。はじめに招致委員会の竹田恒和理事長が、「10億人以上が住むアジアで多くの若者にスポーツの価値を広めたい」とあいさつしました。続いて、トヨタの張富士夫名誉会長が、「東京でオリンピックが開催されれば、大会スポンサーに日本企業が殺到することは間違いない」とアピールしました。このあと質疑応答が行われ、海外のメディアからは福島第一原発の汚染水問題についての質問が相次ぎました。このうち、東京の安全性について聞かれた竹田理事長は、「東京の放射線レベルは世界の他の都市と同じで全く問題ない」と答えました。そのうえで、「最後のプレゼンテーションで、安倍総理大臣がこの問題について語ると思うし、安心していただける」と政府も問題解決に取り組んでいることを強調しました。

海外メディア「深刻な問題」

東京の招致委員会の記者会見に参加した海外のメディアからは、「福島第一原子力発電所の汚染水問題は深刻で東京はしっかり答えなければいけない」という厳しい意見が多く聞かれました。イギリスのインターネットメディアの記者は、「東京は安全性を強調するばかりで、この問題に正面から答えていない。これは深刻な問題で、もっと真剣に考えるべきだ」と指摘していました。また、アメリカの通信社の記者は、「会見の答えには満足できない。この質問はこれからも聞かれ続けるだろう」と話していました。その一方で、アルゼンチンのテレビ局の記者は、「東京は安全だと言っていたのだから、それが1つの答えだ」と話していました。(引用ここまで

 別箇所から1700ミリシーベルト 高線量タンク 汚染水漏えい拡大の恐れ

http://www.minpo.jp/news/detail/2013090210657

 東京電力福島第一原発の地上タンクから高濃度汚染水が漏れた問題で、東電は1日、前日に毎時1800ミリシーベルトの非常に高い放射線量が計測されたタンクの別の箇所で、1700ミリシーベルトが計測されたと発表した。東電は、同一タンクの2カ所で漏えいし、汚染水が広がった可能性があるとみて詳しく調べている。
 このタンクは鋼板の接合部をボルトでつなぐ方式で組み立てられ、300トンの汚染水が漏れたタンクと同型。ボルト型タンクの安全性が疑われている。
 高線量が計測されたタンクは「H3エリア」にある。作業員が1日にタンク北側の底部の接合部を計測したところ、1700ミリシーベルトだった。31日にはタンク南側の底部で1800ミリシーベルトが確認されているが、この日の測定では1100ミリシーベルトだった。
 東電は31日に高線量が判明した残りの場所についても再度、測定した。220ミリシーベルトだった「H3エリア」の別のタンクは80ミリシーベルト、70ミリシーベルトだった「H4エリア」のタンク、230ミリシーベルトだった「H5エリア」の配管はそれぞれ10ミリシーベルト未満だった。線量が低い原因について、東電は「放射線の大半が水の遮蔽(しゃへい)効果を受けるベータ線。降雨の影響で一時的に低くなった可能性がある」としている。
 「H3」エリアのタンク1基で計測された毎時1800ミリシーベルトは、人が約4時間浴び続けると確実に死亡する計算になる。ただ、東電は1800ミリシーベルトの放射線の大半は透過性が弱いベータ線で、防護服などで遮蔽できるとしている。

( 2013/09/02 10:50 カテゴリー:主要

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 東電:1800ミリシーベルト検出、「4時間で死」も-福島第一汚染水漏れ http://www.bloomberg.co.jp/news/123-MSF7FN6KLVR801.html

  9月2日(ブルームバーグ):福島第一原子力発電所の汚染水漏れ事故で、東京電力はタンク周辺から最大で毎時1800ミリシーベルトという高線量の放射線が観測されたと発表した。9日間前の測定から線量が急増していた。 東京電力 が8月31日に発表した資料によると、前回の測定(同月22日)から放射線の急増が確認されたのはH3エリアにあるタンク2基。4号タンク底部の継ぎ目付近から毎時約1800ミリシーベルト(前回の18倍)、10号タンクの同箇所からは約220ミリシーベルト(同3.1倍)が観測された。 近畿大学の伊藤哲夫教授(放射線生物学)は、毎時1800ミリシーベルトという水準について、「4時間浴び続ければ死というものしかなく、手当てしなければ、30日以内に100%の方が亡くなる」と述べ、非常に高いレベルだとの認識を示した。福島第一原発ではこのほかにH5エリアで約230ミリシーベルト、H4エリアで約70ミリシーベルトが検出された。中でもH5エリアでは、タンク間をつなぐ配管から90秒に1滴のペースで、汚染水が滴り落ちるのを確認したという。

汚染水漏えい

東電によると、タンクの水位に目立った変化はなく、堰外への漏えいはないとしている。しかし、伊藤教授は汚染水を貯蔵するタンクの構造に問題があり、「すごく心配だ」と話す。漏えいの起きたタンクは鋼板の板をボルトで留め、接合部はパッキンで埋めた「フランジ型」と呼ばれる円筒型のタンク。同教授は、「本来ならば溶接して非常に長く持つタンクを作るのが当然だが、汚染水がどんどん溜まるということで、急いでボルト締めのタンクを沢山作った」と指摘。寒暖で膨張したり収縮するため、シール部分が長期間もたないという欠点があり、「次から次へと漏えいしている」と分析する。 同教授は、丈夫な溶接型タンクに取り替えていく必要があり、東電に任せるのではなく、「金銭的、経済的に保証できる国が率先して指導すべき」だとの見解を示した。 東電は8月20日、福島第一で汚染水を貯めていた地上タンクから300トン漏えいしたと発表していた。汚染水漏れは過去4回発生しており、今回は量が最大原子力規制委員会は汚染水流出について、国際原子力・放射線事象評価尺度(INES)の「レベル3」(重大な異常事象)に該当するとした。

経営への影響

汚染水問題の深刻化は東電の経営にも響く可能性がある。汚染水漏れについて、エネルギー・コンサルタントであるトム・オサリバン氏は、「福島にとって非常に深刻な問題であるだけでなく、柏崎刈羽の再稼働に影響を与える可能性がある」と指摘している。

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更新日時: 2013/09/02 00:01 JST(引用ここまで)