オスプレイの追加配備について、記事がありました。このような記事を読み、改めてマスコミの犯罪的役割に怒りを覚えました。このことは、盲腸が暴れているのに手術をして切除もせず放置しているようなものです。これでは患者は死んでしまいます。
まず、この「筆洗」が指摘していることは、すべては公然・周知の事実だということです。しかし、「意外と知られていない」などと述べているところに、マスコミの怠慢!と言わざるをえないのです。
そもそも日米地位協定とは、正式には「日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約第六条に基づく施設及び区域並びに日本国における合衆国軍隊の地位に関する協定」という名称から判るように、いわゆる日米軍事同盟、通称日米安保条約を元にしていることは「意外と知られていない」のではないでしょうか?
何故ならば、この日米安保条約については、タブー視されているのか、或いは全く知らないのか、日本のマスコミの思考回路に、この課題は、全く存在していないのです。この「筆洗」も「東京」新聞も同様です。「国家の主権とは何かを心底考えさせられる」のであれば、日米安保の廃棄を討論の俎上に載せるべきです。
筆洗 2013年8月1日http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/hissen/CK2013080102000129.html
「日本がアメリカの準州か、何番目かの州になれば、沖縄にあんなに基地を置けないですよ。アメリカの国内問題になるから」。作家の沢地久枝さんが以前、アフガニスタンで井戸を掘ってきた医師の中村哲さんとの対談で語っていた▼極論ではない。米ニューメキシコ州の基地では、新型輸送機オスプレイなどの夜間・低空飛行訓練に反対する住民に配慮し訓練は延期に。ハワイでも歴史的遺産に与える影響や騒音に対する住民の声を考慮してオスプレイの訓練が事実上、無期延期になった▼日本では、予定通り沖縄県の米軍普天間飛行場に追加配備されるオスプレイ十二機が米軍岩国基地に到着。八月上旬にも普天間飛行場に移動し、配備済みと合わせて計二十四機態勢になる▼さらに、新たに配備先として米軍の横田基地(東京都福生市など)が浮上したが、首都圏の巨大な空域を支配しているのはこの基地であることは意外と知られていない▼羽田から西に向かう航空機は房総半島方面に離陸すると、狭い空域を急上昇し急旋回する。一都八県に及ぶ「横田ラプコン」を避けるためだ▼「首都圏がこれほど外国軍によって占拠されているのは、おそらく世界で日本だけでしょう」(前泊博盛編著『本当は憲法より大切な「日米地位協定入門」』)。沖縄だけの問題ではない。国家の主権とは何かを心底考えさせられる。(引用ここまで)
日本国政府も、オスプレイ横田配備については、全く無責任です。しかもこうした無責任発言を追及しないマスコミが、政府の無責任を放置・加担しているのです。以下の記事は、そのことを雄弁に示しています。ポイントは、
1.日米「合意」のウソとペテンぶりは、当初から判っていたことですが、それをゴマカシて日米合同委員会の「合意」を結んだ政府の無責任は、ここでも明らかです。
2.しかし、合意違反の事実を無視して容認している政府発言を「政府の常とう句」として、容認しているのです。
3.更には、「政府が苦しい立場に追い込まれる可能性もある」として、国民こそが「苦しい立場に追い込まれる」という事実を全く想定していないことです。
4.ここに、日米安保体制を容認する東京の立場が浮き彫りになってきます。何故ならば、
(1)「沖縄の負担軽減」を優先して横田基地に負担を移動させれば横田基地周辺住民の負担が増えることになります。
(2)普天間基地の移設を辺野古にすれば、沖縄県民の要求には背くことになります。
(3)「CV22の配備先」が沖縄になる可能性もあります。
(4)日米軍事同盟容認の立場からすれば、どこかが、「負担」を負わねばならないことは自明の理です。ここに最大の矛盾があります。だから政府は苦しい立場に追い込まれるということになるのです。
5.日米軍事同盟を廃棄する立場に立てば、基地負担はゼロになるのです。こんな簡単なことができないのです。呆れます。
東京 横田、嘉手納 いずれも怒り 米空軍 オスプレイ配備候補 2013年7月31日 朝刊
http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/news/CK2013073102000115.html
米空軍の垂直離着陸輸送機CV22オスプレイの配備先として横田基地(東京都福生市など)などが浮上し、政府は新たな難題を抱えることになった。墜落事故への不安から、周辺自治体や住民は反発している。とはいえ、もう一つの候補である沖縄県の嘉手納基地に配備されれば県民の怒りは計り知れず、普天間飛行場(同県宜野湾市)の移設問題にも深刻な影響を与えかねない。 (金杉貴雄)
「米国から連絡はなく、横田に配備されるとは全く聞いていない」。菅義偉官房長官は三十日の記者会見で、こう強調した。記者から「横田基地に配備されても安全に問題ないか」と問われると「聞いていないので、実現性はないと思っている。これ以上答えることは控えたい」と口をつぐんだ。 「米国から連絡がないので分からない」との言葉は、政府の常とう句だ。米海兵隊用の仕様であるMV22オスプレイの普天間飛行場配備計画は長年指摘されてきたが、政府が公式に認めたのは配備の間近だった。
CV22は沖縄駐留の陸軍特殊部隊の輸送などに使われるとみられ、配備先は嘉手納基地が有力ではある。 だが、同県内には既に普天間にMV22が配備され、三十日にも追加配備予定の十二機が米軍岩国基地(山口県)に搬入された。さらなる負担の上乗せは沖縄県民の怒りの火に油を注ぐ。 このため、同じ空軍基地の横田が配備候補地として浮上した。防衛省幹部は「決まったわけではないが、沖縄の負担軽減との政府の考えには合致する」と指摘する。だが、騒音被害などで苦しんできたのは、横田の周辺住民も同じ。基地周辺の福生市など五市一町で組織する対策連絡会は三十日、配備計画に関して事実とすれば「到底容認できない」として、外務省と防衛省に撤回を要請した。
配備先は二〇一四年初めまでに決まる見通し。政府が普天間飛行場の移設先として計画を進める沖縄県名護市辺野古の埋め立て申請の可否を、仲井真弘多(なかいまひろかず)知事が判断する時期とも重なる。CV22の配備先によっては、政府が苦しい立場に追い込まれる可能性もある。(引用ここまで)
以上のようなマスコミの曖昧な立場は、東京だけではありません。日本全国全ての新聞社が日米軍事同盟容認の立場から、論じているのですから、袋小路に入るのは、また自縄自縛に陥るのは当然です。日米軍事同盟廃棄が日米関係に支障がくるというのでしょうか?日米軍事同盟は憲法と相容れない問題ですから、日本の「国の在り方」に係わる問題であることは当然です。まさに逃げずに論戦を起こしていくべきです。
沖縄タイムスのように、「本土側が受け入れの声を上げない限り、何も変わらない」というのは、違います。それは、「政権が代わっても、『対米従属』の姿勢は一貫している」という言葉自身が証明しています。「対米従属」を改善していくためには、何が必要か、沖縄が一番わかっていることです。
以下、各紙の社説の、その部分の表現を一覧しておきます。
朝日社説 オスプレイ―負担軽減の約束どこへ2013年 8月 1 日(木)付
http://www.asahi.com/paper/editorial.html?ref=com_gnavi#Edit1
負担軽減の約束はどこへ行ったのか。「抑止力強化」の名の下に沖縄の民意を黙殺するようでは、いずれ日本の安全保障政策は行き詰まる。
中日・東京 オスプレイ 民意顧みぬ配備強行だ 2013年7月31日http://www.chunichi.co.jp/article/column/editorial/CK2013073102000096.html
米国内ではオスプレイの低空飛行訓練計画に周辺住民から懸念が出て、中止や見直しが行われたという。米国内では住民の意見に耳を傾け、国外では聞く耳を持たないというのでは二重基準だ。これでは自由と民主主義を「人類共通の価値観」と位置付ける米国が世界の民主化の先頭に立とうと意気込んでも、信用されまい。危険な軍用機が日本中を飛び回り、その配備も止められない。オスプレイは沖縄にとどまらず、「国の在り方」にもかかわる重い課題だ。日本国民全体が自らの問題として考えなければならない時機に来ているのではないか。
信濃毎日 オスプレイ/不信が募るばかりだ 2013/7/31 10:05
http://www.shinmai.co.jp/news/20130731/KT130730ETI090003000.php
米軍への反発が高まれば、日米関係にも影響する。その点を政府は押さえるべきではないか。あらためて安全性を検証して国民に説明するとともに、米側に対して合意の徹底や訓練の情報提供を働き掛けるよう求めたい。
中國 オスプレイ岩国陸揚げ/沖縄への配慮と言うが 2013/7/31 10:00
http://www.chugoku-np.co.jp/Syasetu/Sh201307310108.html
このまま県内移設に反対する限り、普天間は固定化され、オスプレイは居続ける。沖縄の人たちが一種の脅しと受け止めてもおかしくはない。 オスプレイを沖縄に直接運び込まないのは、そうした県民への「配慮」だとされる。しかし形ばかりの配慮を重ねても、何ら根本的な解決にはならない。 日米両政府が本当に県民のことを考えているというなら、オスプレイの配備を取りやめるとともに、普天間の国外移設を真剣に検討すべきではないか。そもそもオスプレイは兵員や装備を前線に運ぶ輸送機であって戦闘機ではない。離島防衛の抑止力となり得るかどうか、異論がくすぶり続けるゆえんだ。本質的な議論がないまま、基地周辺や訓練飛行ルート直下の住民が諦めるのを待つ。そんなやり方をいつまでも続けていい道理はない。
愛媛 オスプレイ追加配備/対米追従の連鎖を断つべきだ 2013/8/1 10:05
http://www.ehime-np.co.jp/rensai/shasetsu/ren017201308010795.html
今回も、沖縄県民の反対を押し切っての強行である。追加配備までの間、対米追従に終始した日本政府の姿勢に強い懸念を示しておきたい。 日本政府はそろそろ長期的な基地再編計画を含め、日米同盟や日米地位協定などについて、逃げずに議論を始めるべきだ。このままだと、いつまでたっても基地問題が解決する日は来ない。またしても沖縄の声は、日米両政府に届かなかった。
高知 オスプレイ追加/負担軽減はどこへいった 2013/8/2 10:06
http://www.kochinews.co.jp/?&nwSrl=305798&nwIW=1&nwVt=knd
住民らが目視で違反を指摘しても米軍に「運用上必要」と言われれば沈黙する。不合理の根本にある日米地位協定を見直そうともしない。国民を守る政府の姿勢として決して許されない。政府は国民に顔を向けているのか、それとも米国を向いているのか。
琉球新報 12機岩国到着/オスプレイ全機を撤収せよ 2013/7/31 10:06
http://ryukyushimpo.jp/news/storyid-210328-storytopic-11.html
これ以上、県民は危険と共存する不条理を受け入れることはできない。沖縄から全てのオスプレイを撤収させるべきだ。
沖縄タイムス オスプレイ/沖縄が犠牲 もう限界だ 2013/7/30 12:06
http://www.okinawatimes.co.jp/article/2013-07-30_52284/
理不尽というほかない。日本政府は沖縄の要求には全く耳を貸さず、「米軍の配備には文句を言えない」という立場をとり続けている。政権が代わっても、「対米従属」の姿勢は一貫している。
沖縄に基地が集中するのを支えているのは、本土側の「無関心」である。訓練の移転、分散も進まない。 沖縄を犠牲にした防衛政策はいびつだ。本土側が受け入れの声を上げない限り、何も変わらない。
以下、昨年の記事を一覧しておきます。ご覧ください。
それにしても野田首相の言葉の軽さは酷い!国民の直接行動で首相のウソに決着を!次は7.29に行くぞ!2012-07-17 22:02:06
「無敵艦隊勝利」を今度は日米で!日米合同委員会開催はチャンスだが、マスコミこそ対米従属の極致!2012-07-29 13:47:40
NHKは誰の立場でオスプレイ配備報道しているのか!米軍も大喜びだろう!2012-07-26 09:49:53
日米同盟深化のためのオスプレイ配備の本質を回避し、混乱させる「毎日」「東京」社説2012-07-21 22:04:24
軍事基地の「負担ゼロ」を言わない「負担軽減」論は、とんでもないペテン、マヤカシだ2012-07-09 09:58:13
オスプレイ配備でも判った日米安保条約の従属・屈辱性を覆い隠すマスコミの犯罪性を変革するために2012-07-02 10:27:18
オスプレイ・再稼動の危険容認のトリックとゴマカシが通用しない日本の実現を6.23記念の日に考える!2012-06-23 01:46:02