記者会見する国民民主党の玉木雄一郎代表=26日午後、国会内
国民民主党は26日、在日米軍の法的地位を定めた日米地位協定を抜本的に改定する案をまとめた。現在は制約の強い日本側の捜査権を広げるのが柱で、米兵らが基地外で起こした事件・事故について「日本当局が捜査、差し押さえ、検証を行う権利を行使する」と明記した。玉木雄一郎代表が掲げる「提案路線」の一環として、独自色をアピールする狙いだ。
〔写真特集〕沖縄の悲劇 米軍関係者による事件
改定案は沖縄県の要望などを踏まえ作成。航空法や環境法、税法など日本の国内法を在日米軍にも原則として適用する条項を盛り込み、地方自治体が住民の安全などに関して意見表明できる枠組みを日米合同委員会に設けるとした。(2018/12/26-19:09)
赤旗 主張 在日米軍地位協定 異常な特権なくす抜本改定を 2018年10月19日(金)
https://www.jcp.or.jp/akahata/aik18/2018-10-19/2018101901_05_1.html
沖縄県で米海兵隊普天間基地(宜野湾市)所属ヘリの不時着が相次いだのを受け、防衛省が機体整備の状況を確認するため求めていた自衛官派遣に米軍がいまだ応じていないことが分かりました。9カ月近くたっても派遣を受け入れない米軍とこれに毅然(きぜん)と対応できない日本政府の責任は重大です。同時に、こうした事態は在日米軍に異常な特権を与える日米地位協定を抜本的に改定する必要性を改めて浮き彫りにしています。
自衛官立ち入りできず
防衛省が自衛官の派遣を求めたのは、1月に普天間基地に所属するヘリが立て続けに不時着したためです。その前月(昨年12月)にも同基地所属ヘリが保育園や小学校に部品や窓を落下させる事故があったばかりで、県民の批判の声が高まっていました。
当時の小野寺五典防衛相は、米側から不時着を繰り返したヘリ(AH1Z)の同型機全ての追加点検や抜き打ち検査をしたとの説明があったとしつつ、「これを私どもはそのまま受け取るわけにはいかない」とし、「今後速やかに自衛隊の専門的・技術的な知見を活用して確認・検証を行う」と自衛官派遣を表明していました(1月29日、衆院予算委員会)。
ところが、2月1日に予定されていた派遣は「米側からさらなる準備が必要となり、延期したいとの旨の連絡があった」として行われませんでした。日本共産党の赤嶺政賢議員は同23日の衆院予算委分科会で、政府は主権国家として恥ずかしくない態度で米側と交渉し、事故調査に参加できるようにすべきだと強く求めていましたが、今に至るも実現していません。
しかも、防衛省が派遣「延期」の理由を「相手国との関係もあり、答えは差し控えたい」(今月12日、岩屋毅防衛相)として明らかにしていないのも大きな問題です。
自衛官派遣に米軍が応じないこととの関係で、改めて焦点となっているのが日米地位協定です。
日米地位協定は米軍に基地の排他的管理権を認め、日本側の立ち入り権を明記していません。
日本とは対照的に、ドイツでは、NATO(北大西洋条約機構)諸国との取り決めで、政府や州、地方自治体による基地の立ち入り(アクセス)とともに、緊急時の事前通告なしの立ち入りも規定しています。イタリアでは、米国との取り決めで、自国司令部の下に米軍基地が置かれ、自国司令官は機密区域を除き全ての区域に自由に立ち入ることができると定めています。(国立国会図書館・調査及び立法考査局「レファレンス」8月号の論文)
沖縄県が行ったドイツ、イタリアの地位協定に関する調査でも同様の結果が報告されています。日本の実情はあまりにも異常です。
知事会が一致して要求
全国知事会は7月、翁長雄志沖縄県知事(当時)の要請を受けて採択した「米軍基地負担に関する提言」で、日米地位協定を抜本的に見直し、航空機の安全航行を目的にした航空法をはじめ日本の国内法を米軍にも原則適用することや、事件・事故時の自治体職員の迅速・円滑な立ち入りの保障などを明記するよう求めています。
日米地位協定の抜本改定は独立国として当然の要求であり、政府に実現を迫る運動と世論を広げることが必要です。(引用ここまで)
全国知事会が、沖縄県など米軍基地を抱える自治体の負担を軽減するため、日米地位協定の抜本的見直しを求める提言を初めてまとめ、政府に提出した。
在日米軍に特権的な地位を与え、さまざまな問題を招いている協定について、全国知事会として見直しを求めた意味は大きい。政府は重く受け止める必要がある。
日米地位協定は、1952年に旧安保条約と同時に発効した日米行政協定が前身だ。60年の安保条約改定に合わせて地位協定に改めたが、以来一度も改定されていない。
協定によって、日本の国内法は米軍に適用されず、日本側による基地内への立ち入り権、訓練や演習に関する規制権限もない。犯罪を起こした米軍人らの裁判についても米側に優先権がある。
その結果として、基地周辺の住民は航空機の騒音、米軍人らによる事件や事故、環境問題などによって安全・安心を脅かされている。基地が集中する沖縄県の現状をみれば明らかだ。
米軍ヘリの墜落、女性暴行殺人事件など重大な問題が起きると、協定の改定を求める世論は高まった。だが、日米両政府は極めて消極的で、補足協定の締結などによる運用の改善にとどまっている。
基地問題を巡っては、米軍基地や関連施設を抱える15都道府県でつくる「渉外知事会」が地位協定の改定などを求めてきた。基地の有無にかかわらず、全都道府県で共有しようと働き掛けたのは沖縄県だ。
先日亡くなった同県の翁長雄志知事は「基地問題は一都道府県の問題ではなく、日本の民主主義と地方自治が問われている」と提起。全国知事会として研究会を設けて議論を重ね、今回の提言に至った。
背景にあるのは輸送機オスプレイの配備の拡大や、日米合意による本土側での訓練の増大だ。米軍機の訓練ルートが通り、過去に墜落事故も起きた高知県は危険性などを経験している。
基地はなくても、事故や騒音などの恐れは強まり、住民の暮らしが脅かされかねない。日米安保体制の重要性は認めるにせよ、事実上の「治外法権」を放置しておくわけにはいかないとの意思表示といえる。
提言は、地位協定を抜本的に見直し、航空法や環境法令など国内法の適用、事件・事故時の立ち入りなどを明記するほか、訓練ルートや時期の事前情報の提供、事件・事故の防止策などを求めている。
日本と同じように米軍基地のあるドイツやイタリアでは、米軍の事故に対する世論を踏まえて地位協定が改定された。訓練などに国内法が適用され、基地への立ち入り権なども保障されている。
在日米軍に特権的な法的地位を与えているため、日米地位協定は「憲法より上にある」とも指摘される。全国知事会の総意である提言を重く受け止め、政府は抜本的な見直しに向けて一歩を踏み出すべきだ。 (引用ここまで)