あいあいのひとりごと

ローマ在住あいあいの暇つぶし日記。

しっぽをくわえた魚さん

2007-09-04 22:12:15 | ローマの平日

うちの食事係はダニィと決まっています。というのもダニィの食習慣は複雑であいあいには準備ができないから。そんなわけで自然に買い物もダニィの役目になっています。
ダニィの食習慣についてはまた今度書くとして、実はこの間のこと、お買い得だったといって、魚(辞書で調べるとメルルーサの仲間らしい)を買ってきました。本人はちょっとでかけるので、この魚を茹でておいてという注文でした。魚を茹でる?パスタみたいにお湯をわかしてれ茹でればいいの?の疑問に、基本的にはその通りで、少しの玉ねぎとあればニンジンと一緒に魚を茹でるということでした。食べる前にオリーブオイルとレモン汁とイタリアンパセリを散らすのだそうです。それなら私にもできると、魚の入った袋を開けてみると・・・なんとそこには歯をむいて大きな口をあけた魚が、その口に自分のしっぽをくわえていたのです。食べる魚は側面から見ることに慣れているあいあいは、魚のその姿を上から見る形になり、かなりぎょっとしたわけです。
ダニィは変な顔をして、場所をとらないために魚屋さんがそのような形で袋にいれるのは普通だとのこと。「知らなかった?」と不思議そうな様子でした。「お鍋にもそのままいれればいいじゃない」という利点もあるそう。
なんだかその姿が池の鯉のように見えてきて、それをそのまま熱湯に入れるのが恐ろしくなり、一旦そうなるとどうしても触ることすらできない。結局外出を遅らせてダニィがやることに。途中こわごわ覗くと、やはり同じ状態でお鍋の中で丸くなっていました。目の色が茹ってグレーになっていて、まるで眠っているよう。最初は、はてさて魚には瞼があったかと、瞼のイタリア語がわからないあいあいは自分の瞼をひっぱってダニィに説明を求めたのでした。
できあがってお皿にのったときにはしっぽは口から離れていましたが、少し前の気持ち悪さは消えて、おいしそうな魚料理になっていました。
ワインにもあってなかなか美味美味。魚はお湯(塩もいれる)にいれて10分で出来上がり。オリーブオイルとレモン汁とイタリアンパセリをちらせて、超易しいイタリアンレシピです。


Fosse Ardeatine (ちょっと歴史探訪)

2007-09-04 20:48:47 | ローマの休日

カタコンベで有名な旧アッピア街道の近くに、ナチスドイツ占領下ローマの悲しい歴史を今も伝えているところがあります。英語のガイドブックには出ていましたが、恐らく有名なカタコンベの影に隠れて、観光客はあまり訪れることはないでしょう。以前から気になっていたので、日曜日にダニィと一緒に行ってきました。

入場料は無料。希望者にはやはりこれも無料でガイドの説明があります。目尻に涙の痕が気になるガイドのおじさんは、時々自分の説明に胸が熱くなっているようでした。ダニィの助けを借りながら、私なりに理解したのは、次のようなことです。
1944年の3月24日、反ナチス、ファシスト政権のレジスタンスの担い手であったパルチザンがしかけた爆弾で32人のドイツ兵が死亡、その報復にナチスドイツが決定したことは、死んだドイツ兵1人あたり10人のイタリア人を処刑すること。政治犯のほかに、73人のユダヤ人、そして全く関係のない普通のイタリア市民がこの洞窟に連れてこられ、最終的には335人が、縛られたまま跪かされ、銃口を頭に突きつけられて惨殺されたのです。その中には神父も14歳の少年もいました。ナチスドイツはこれを秘密にしておくために、この洞窟を爆破し、匂いを隠すためにごみを運んできたといいます。ところが処刑のあったそのときに、近くのカタコンベで遊んでいた子供たちと神父が、ピストルの音を何度も聞いていたのです。
Fosse Ardeatineには惨殺された335人のお墓があります。お墓の上には、名前と享年、職業が彫られ、写真がはめ込まれています。今も遺族がお墓参りをするのでしょう。花の飾られているお墓がたくさんありました。

ガイドのおじさんの奥さんの父親は、実は処刑された人々の一人でした。涙ながらの説明はそういうことだったのですね。小さい子供のときに父親をこのような形で失った奥さんの人生もそれに関わる人々の人生も、悲しいその歴史を背負い続けていかなければならないのですね。世界中にどれだけそういう人生を送っている人がいるのでしょう。

Fosse ArdeatineはVia Aredatine 174にあります。カタコンベへ行くバスに乗り、やはり同じバス停から近くです。