たんぽぽの心の旅のアルバム

旅日記・観劇日記・美術館めぐり・日々の想いなどを綴るブログでしたが、最近の投稿は長引くコロナ騒動からの気づきが中心です。

2013年月組『月雲の皇子』-オンデマンド配信で視聴

2021年01月10日 13時37分18秒 | 宝塚
バウ・ロマン
『月雲(つきぐも)の皇子(みこ)』-衣通姫(そとおりひめ)伝説より-
作・演出/上田久美子

[解 説]
 古事記や日本書紀に残る一大恋愛叙事詩、衣通姫伝説。美貌の皇子と皇女が禁じられた恋に落ち、流刑の地で心中したという哀切な「物語」に秘められた真実とは・・・。
 その涼やかな姿と優しさで人望をあつめる木梨軽皇子(きなしかるのみこ)には、皇位継承のライバルと見なされる勇猛な弟、穴穂皇子(あなほのみこ)と、衣通姫と呼ばれた美しい「妹」がいた。三人の晴れ渡るような青春の恋と夢は、やがて歴史の暗雲に覆われて、彼らの物語は意外な展開を見せてゆく――。
 運命に翻弄され流刑の身となった木梨軽皇子を衣通姫は追ってゆくが、地の果てで再会した愛しい人の貌に、もはやかつての優しい「兄」の面影はなかった・・・。
 古代の混沌から国家が形をなしていった日本の黎明期、歴史の大きな流れに呑まれて消えていった人々の悲哀と、そして、「物語」に込められた思いを、現代的な感覚で劇的に描きだす。上田久美子の宝塚バウホールデビュー作。

木梨軽皇子(きなしかるのみこ)【允恭天皇の第一皇子】 珠城 りょう

衣通姫(そとおりひめ)【皇子たちの「妹」】 咲妃 みゆ

穴穂皇子(あなほのみこ)【允恭天皇の第三皇子】 鳳月 杏

(劇団HPより)

 「リクエスト!スター名場面」よりたまきち(珠城りょうさん)のことば。

「わたしの人生から切っても切り離せない、大好きで思い入れがあって大事な作品。衣通姫(そとおりひめ)との寝室の場面は何回もお稽古したのをおぼえている。動きの美しさ、頬にふれる触れ方、夕陽まで指導していただいた。宝塚のラブシーンは美しさがなくてはいけないので、それをとても学ぶいい勉強の場だったと思う。」

「穴穂皇子(あなほのみこ)に切られるラストシーン、盆で立ち回り、盆の上でやるということは演者の息遣いやその人たちから滲み出てくるものだけで観客をひきつけなければいけない。先生にとっても賭けだったと思うし、今振り返ってみるとわたしとちなつさんの力を信じてくださったんだなって、愛情をすごく感じます。今自分でみてもその時の気持ちになってぐってなるんですけど、最後は切なかったかもしれないけれど毎日ほんとにすがすがしくて木梨として生きられること、あの作品をやれること、みんなと交わって関われること出演者みんながいとおしくて幸せだった。これはみなさまの心にずっと生き続けてほしい作品だと思います。」

 2008年3月に初舞台を踏んだたまきちの初主演作品。若きトップスターへと押し上げられていったことを納得しました。ゆうみちゃん(咲妃みゆちゃん)の月組時代の映像、初見、たしかな演技力、ヒロイン力に早霧せいなさんの相手役に選ばれたことを納得。花組へと異動する前のちなつさん(鳳月杏さん)とたまきちとの芝居も初見、月組にもどってきてから『I AM FROM AUSTRIA』ではたまきちの、お嫁さんに頭の上がらない優しいダンディパパだったちなつさんがこの作品では弟役。二人の関係性が素晴らしい。役者の力を信じてぎりぎりの最大限を引き出していくウエクミ先生の脚本、外部ならシアターコクーンで上演されるような雰囲気の作品、人間の根本に問いかけながら宝塚的な美しさにまとめ上げているところは、のちの『星逢一夜』『金色の砂漠』へとつながっていくウエクミワールドだと納得。画面を通して伝わってくる熱量、役者ひとりひとりがものすごいエネルギーを要求されると思いますがいつまでも余韻が残ります。退団公演もウエクミ先生の作品、日本物で悲劇なのかな。先行画像の美園さくらちゃんとのショットが美しい。作品に恵まれ愛されるのも技量のひとつ。ハッピーエンド、明るい冒険活劇の『All for One』は、それまで最後死ぬ役が多かったたまきちへの、小池修一郎先生の愛情だという話。

 ラストシーンを書き留めておきたいですが今はこれぐらいで。
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