1990年公開映画パンフレット(フランス映画社発行)より引用します。
町、クルナの農園(昼)
女が3階から次々と洗濯物を投げる。注文とりに来たルンクの後家さんの長女のテレジ―ナと次女のアネッタが、手押車に積んでいく。
女「土曜までにと頼んでよ」
町
姉妹が手押車を押していると、突然表通りが騒がしくなる。
男達の声「つかまえろ!(姉妹に)中に入ってろ!馬が逃げたぞ!」
門の陰に隠れた2人の前で、あばれ馬が捕えられ、男達によって連れ戻される。
村道
汚い水たまりの道を、姉妹がゆく。
アネッタ「テレジ―ナ、私も乗せてよ」
テレジ―ナ「いいわ、代わりばんこよ(妹を手押車に乗せる)」オルガン曲<片足は墓穴にありて我は立つ>、静かに流れ出す。
アネッタ「いいわ、数えなさい」
テレジ―ナ「1、2、・・・49、50」
アネッタ「大へんだわ、あたしの番ね」
村の道で、アネッタは姉と交替する。
アネッタ「あんたの方が重いから、40数えるまでよ」
よろよろと手押車を押すアネッタはしかし、姉の重さに耐えかねて、洗濯物をひっくり返してしまう。怒るテレジ―ナ。
アネッタ「私には無理よ!」
テレジ―ナ「みんな落としたわ。(仕方なく)私が押すわ」
農園わきの小川
ルンクの後家さんは、洗濯で生計を支えている。ベッティーナに赤ん坊のお守りをさせて、
小川のほとりで汗まみれで洗濯物を揉んでいるところへ、娘達が手押車でやって来る。」
テレジ―ナ「クルナのおばさんが、土曜までにだって」
ルンクの後家さん「そんなに洗いきれないわ」
テレジ―ナ「土曜までよ」
ベッティーナ「(姉達に)きれいな石ころを拾ったわ」
泣き出した赤ん坊を姉達があやす。
ルンクの後家さん「(テレジ―ナに)赤ん坊を頼むわ・・・おじいさんを見に行ってね。
ピエリーノに手伝うように言ってよ」
木靴の樹 [DVD] | |
クリエーター情報なし | |
東北新社 |