医師日記

「美」にまつわる独り言です
水沼雅斉(みずぬま まさなり)

伊東忠太と仏教美22

2007年01月11日 07時01分50秒 | Weblog
 他に有名な寺院として、奈良市五条町にある「唐招提寺」(とうしょうだいじ)は、鑑真(がんじん)ゆかりの寺院です。

 南都六宗というとなんだか北斗の拳みたいですが、平安時代に栄えた天台・真言宗に対し、一足前の時代である奈良時代の平城(奈良を京都から見て南都と言います)で栄えた歴史ある宗派であり、唐招提寺はその南都六宗の1つである「律宗」の総本山で、井上靖の小説『天平の甍』(てんぴょうのいらか)で有名になりました。

 また同じく奈良の「東大寺」は「華厳宗」、これも南都六宗のひとつ、有名な大仏さまが鎮座、京都大学合格者ナンバー1の進学校、東大寺学園があります。

 またまた奈良の、国宝にて傑作「薬師三尊像」と美しい国宝三重塔の「東塔」が有名な「薬師寺」や、五重塔がある「興福寺」(藤原氏の氏寺)は、有名な玄奘三蔵(げんじょう さんぞう)ゆかりの「法相宗」(ほっそうしゅう)、この法相宗も南都六宗のひとつ。

 法相宗から分離独立した宗派が、聖徳太子の「聖徳宗」、総本山は「法隆寺」、「北法相宗」では大本山が京都「清水寺」となっております。

 いずれも修学旅行の名所ですが、今行くとまた違うんだろうな・・・う~京都・奈良に行きたくなってきました。

 ちなみに「玄奘三蔵法師」は西遊記でも有名ですが、三蔵法師とは仏教の経典である経、律、論(=三蔵)、すべてに精通した者を指すそうで、単に「三蔵」と呼ぶこともあり、鳩摩羅什(くまらじゅう)など西遊記での「玄奘」以外にも高名な三蔵法師がいらっしゃいます。

 三島由紀夫の僕が大好きな「金閣寺」で有名な、鹿苑寺(ろくおんじ)金閣は臨済宗です。

 一休さんでおなじみの、「そもさん!」「説破!」は禅問答で使われますから、一休さんはこの臨済宗だったのですね。

 ちなみのちなみに日本三大五重塔は、日本最大で京都のシンボル、弘法大師の東寺のものは含まれずに、

1. 山口の瑠璃光寺:最も美しいとされる。屋根は桧皮葺き(ひわだぶき)。屋根の四隅がぐっと絞られて鋭角にとんがって反っているのがかっこいい。曹洞宗。

http://www.geocities.jp/noharakamemushi/Koshaji/Sonota/Rurikouji.html

2. 京都の醍醐寺:秀吉の「醍醐の花見」で有名。真言宗。

http://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/2/2d/DaigojiPagodaClearView.jpg
3. 奈良の法隆寺:日本最古。聖徳太子は実在しなかったとの説もある。上層に行くほど先細りの屋根が特徴。聖徳宗。

http://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%94%BB%E5%83%8F:Horyu-ji09s3200.jpg

です。

 さすが山口県は文治主義的な戦国大名でつとに有名な、大内義隆氏の影響のもと、西の京と呼び声も高く、なるほど写真でしか見ておりませんが、花に囲まれた桧皮葺の五重塔は優雅で最も美しいと思います。

 しかし、この美しい塔の存在だって、一体どれほどの日本国民に認知されているのか・・・。