医師日記

「美」にまつわる独り言です
水沼雅斉(みずぬま まさなり)

ユダヤの美宝18

2007年10月31日 12時36分36秒 | Weblog
 それにしてもこの小説・・・

 第二の主人公、パレスティナ人の女性ジャーナリスト、レイラが、初対面のイギリスの考古学教授といとも簡単に褥(しとね)を暖めてしまうところが、どうしても合点が行かない。

 なんとしてでも小説内に、ワンシーンは無理やりにでも、そういうお色気シーンを織り込もうとしたようにも写り、興ざめ・・・。

 そういえば前作カンビュセスでも、そういったシーンがあまりに安易に描かれ、興ざめだったし・・・。

 物語の構成上、必要絶対なプロットとは思えません。

 また「メノラー」の、単なるモノを超えた、超自然的・魔法的描写も興ざめ・・・。

 そこいら辺はハリウッド映画化を意識してのことでしょうが、安易にアメリカの商業ベースに安易に乗ってしまっており、そう感じてしまうこと自体ががっかり。

 アメリカ人は喜んでも、ヨーロッパ人にはウケないんじゃないかな??

 ですが、「細かくて、頑固で、くそまじめで、やかまし屋」の愛すべきハリファ警部が、次はいったい何をしでかしてくれるのか、期待は募りますぞ。

ユダヤの美宝17

2007年10月30日 11時14分11秒 | Weblog
 で、話は南フランスに飛んで、カルカソンヌのモンセギュール。

 こちらは2007年3月5日、拙ブログ、カタリ派にラングドック、カルカソンヌをご参照のこと。

 そのときにも話しましたが、キリスト教の異端思想運動(というのもどうか
)を行っていたとされる「カタリ派」が、フランス国王の派遣した十字軍によって弾圧・虐殺されました。

 この時に、彼らが拠点としていたモンセギュール城から、脱出した者の一部が聖杯を持って逃げたと噂されていることもお書きいたしました。

 そのことが、この小説にも出てまいります。

 それから時は流れまして、近年ではヒトラーも実際にこの聖杯を探していたと噂されていたそうです。

 ヒトラーは占星術や、聖杯などオカルト的(?)なことを信じており、このカタリ派の拠点であったモンセギュール城をヒトラーの命令でドイツ軍の将校が何度も訪れていた、という話はどうやら本当らしい。

 ということは、ヒトラーらナチスがこの小説に出てくることも、信憑性を著しく欠くことでもなさそうです。

 他にも聖杯に関わっているとされる「テンプル騎士団」も2007年6月9日の拙ブログ、今度は「エッセネ派」を読んでいただくとお分かりの通り、フランス国王によって処刑されております。

 それにいたしましてもこの小説は、聖地エルサレムと古代世界の中心エジプトで繰り広げられ、冒険と暗号と、国家紋章などの象徴、聖杯の謎、謎解きに宗教間の問題に、政治的な問題、ユダヤ人虐殺に、ローマ軍にフランス、ナチスドイツ・・・

 (これはあまり好きではありませんが)戦い・アクションと現代エンターテイメントのてんこもり。

 面白くないわけがない。

ユダヤの美宝16

2007年10月29日 10時56分20秒 | Weblog
 で、この「メノラー」は、本書内の別の描写では、

 「高さは人の背丈くらい。

 台座は二段に重なった六角柱で、その中央から幹が垂直に伸びているところは、装飾的な植木鉢のようだ。

 幹からは左右に三本ずつ枝が出て、曲線を描いて上に向かっており、六本の枝と幹の先端には小さなシンバルのような灯火皿がついていた。

 これがメノラーの基本的な構造だ。

 だが、見事さはそれに尽きない。

 幹と枝にはアーモンドの花の形をした萼(がく)と節と花が精巧に細工されている。

 台座には果実と葉と蔓(つる)と花の浮き彫りが、香りが漂うように思えるほど本物そっくりにほどこされている。

 左右対称の形は完璧なバランスを保ち、しなやかな姿ですっと立っているところは、金属の細工物ではなく、呼吸をし樹液を内に流している生きた木のように見えた。」

そうです。

 

 「神は『光あれ』と言われた。すると光があった。神はその光を見て、良しとされた。」



 ただし、物語の終盤で、この聖なる「メノラー」が単に、宗教的に価値の高い遺物としてよりも、超自然的な超人的な魔法のような扱いを受けているところに、少々の不満が個人的には残りました。

 歴史的、宗教的価値は認めますが、超自然的、カルト的になってしまうと、ちょっと・・・。

 映画レイダースのごとく、最初から夢物語ならばいいんですがね。

ユダヤの美宝15

2007年10月28日 10時04分39秒 | Weblog
 でもですよ、考えてみると・・・

 エルサレムを襲ったのは、聖なる神殿を破壊したのはローマ軍であり、エルサレムで虐殺を行ったのは十字軍です。

 ってことは、ユダヤ人のDNAには、イタリアやフランス、そしてカトリックに決して消えない恨みが残っているのでしょうか?

 エジプトの宗教的な魂も、西洋人は破壊・略奪しましたよね??

 エジプト人はイギリス人とフランス人を許さないのでしょうか?

 中南米でも、よってたかって偉大なる文明をも滅ぼして、ゴールド欲しさのため大虐殺を行い、彼らの宗教をも踏みにじり、自国に金を持ち帰りましたよね?

 メキシコ人やペルー人は、スペインに・・・

 北アメリカ大陸でもインディオとの契約をだまして反故にして、彼らの土地を虐殺の上奪い取って、今でも居座ってわがもの顔してますよね?

 インディオやアボリジニに不平はないのでしょうかね?

 ○○決議案、出したらいかがですかね・・?



 西洋人におうかがいしたいのですが、自分たちがやったことは正義なんですかね?



 まあ・・エジプトの遺跡やファラオの遺物も、放置すればエジプト人の盗掘にあって、破壊されたり地下に潜ってしまって二度と陽の目を見ないから、だから代わりに発掘してあげて、修復・保存を行い、また発掘には資金がかかるから、当然お宝をもらう権利がある・・・

 っていうのでしょうけれども、それもなんだか自分勝手な発想のような気がします。

 であるなら、お宝の所有権はあくまでエジプト、最終的にいずれはエジプト考古学局に返納。

 発掘者として得るものはあくまで、お宝の発掘者への一定期間の貸与(本国での展示会などで営利を得る)、それに加えて学問的な利益と栄誉のみ、最終的には返還、それが嫌なら発掘しないでくれ、ってところがイーブンな感覚ではないのでしょうかね?

ユダヤの美宝14

2007年10月27日 06時27分00秒 | Weblog
 続けてこのメノラーは、

 「創造の光、信仰の光、存在の光。

 だからこそ、古代の神殿にあったすべての祭具のうち、これが最も尊ばれ大切にされたし、現代ではイスラエルの国家紋章になっている。

 これほど貴重なもの、神聖なものはない。

 簡単に言えば、聖なるメノラーの光の中には、まさに神ご自身の顔が現れる。

 その力の意義はどれだけ力説しても足りないくらいだ。

 原初のメノラーが、最初のメノラーが、ベザレルの鍛造したメノラーの中のメノラーが、時の霧の中から戻ってきた。」

というのです。



 そのような神聖な宗教的シンボルは、万が一その宗教・民族の敵対組織に渡って辱めを受けてしまうと、その民族には永遠に語り継がれてしまう根深い憎悪を生む、と著されておりました。

 例えばイスラムのカアバが異教徒に汚されたとしたら・・・それはもう、実際間違いなく地球が終焉を迎えることでしょう。

http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%AB%E3%82%A2%E3%83%90


 たとえもし敵対組織と争って、仮に誰かが殺されたとしても、それは何世代かの恨みにとどまるけれど、宗教的に純粋なものを汚された場合には、その憎悪たるや永遠に消え去らずに、その民族のDNAに永久に残ってしまう、ということです。

ユダヤの美宝13

2007年10月26日 17時17分04秒 | Weblog
 本書によればこのメノラー、

 「形は軽やかで優雅。装飾はこの上なく精妙で、花も葉も果実も金属細工で模写したものとは思えない本物らしさ。

 アーモンドの花の形をした萼(がく)、その萼にはそれぞれ節と花がついている。

 全体が純金のひとかたまりから打ち整えたもの。」

 ごくっ

 もともとがエルサレムのユダヤの神殿に移されたもので、その後エルサレムがローマ軍の手に落ちたときに紛失したとされているようです。

 ではなぜ「燭台」がそんなにも大切なのかというと・・・

 本書には、ユダヤの指導者に語らせておりました。

 「どんな宗教にも、他のものよりずっと神聖なものがある。

 キリスト教ではイエスが磔刑に処せられた本物の十字架。

 イスラム教ではカーバ。

 ユダヤ教の場合は、この聖なる燭台。

 「主がとこしえにあなたの光となる」預言者イザヤが言った。

 これこそが聖なる燭台の意味するところだ。

ユダヤの美宝12

2007年10月25日 20時25分20秒 | Weblog
 その契約の箱は、荒野をさまよっていた時代には祭司たちが担いで移動させていたそうですが、ヨシュアの時代以降は主に幕屋の至聖所に、またソロモン王の時代以降はエルサレム神殿の至聖所に安置されたそうです。

 その後、ペリシテ人(古代イスラエル人の敵、パレスチナの語源)によって奪われたそうですが、ペリシテ人を災厄が襲ったため、彼らはこの箱をイスラエル人に送り返したそうです。

 その契約の箱が、日本で言うおみこしのようになり、やれ電気を発しただとか、アクスムというエチオピアの片田舎の小さなマリア・シオン教会にあるという説、死海説やシナイ山説・・・・

 そこまでならまだ興味深いのですが、アークがですよ、モーセの十戒が、さらには日本の伊勢神宮やら、徳島の剣山にあって空海が剣山の地下迷宮にアークを封印し、四国八十八ケ所という結界を張って アークを守っただとか・・・

 し~ん・・・

 まあ色々ね・・・。

 こういう話は徳川埋蔵金もそうですが、当然ほとんどがトンデモねたになりますけど、トロイのシュリーマンや、ツタンカーメンのハワード・カーターのように、天文学的確率ですが、中には現実もありますでしょ。

 お宝を所有したいとはまったく思いませんが、その歴史的価値を考えるとワクワクして、人類の遺物として、生きている間にこの目で見てみたいものだという思いも強く、ついつい惹かれるんですよね・・・。

 みなさまはそんなことないんでしょうかね?

 またこの燭台は、7は以前話しましたとおり、東西南北に現在・過去・未来を足して完全数、七枝をもって神様の完全を表し、その明かりは神様の臨在の象徴であり、黙示録を見ると燭台は「教会」を指しているとのこと。

 その作り方も、アーク同様、聖書には詳しく出ているような・・・。

ユダヤの美宝11

2007年10月24日 09時01分37秒 | Weblog
 この契約の箱も、モーセ(ミケランジェロ作)の指示に従ってベザレルが作成し、エジプト脱出から1年後にはすでに完成していたと『出エジプト記』には記されているそうです。

 出エジプト記は旧約聖書の創世記に続く書、今から3,000年以上前のことですよ

 アークはきちっと大きさも明記されており、アカシヤの木で作られた箱は長さ130cm、幅と高さがそれぞれ80cm、装飾が施され地面に直接触れないよう、箱の下部四隅に脚が付けらたそうです。

 また持ち運びの際、箱に手を触れないよう二本の棒が取り付けられ、これら全てが純金で覆われて、そして箱の上部には、金の打物造りによるケルブ(cherubim)二体が乗せられ、それが秘宝のケルビムです。

 モーセの時代に、この中へ

『マナを納めた金の壺』、

『アロンの杖』、

『十戒を記した石板』

 が収納されたそうですが、ソロモン王の時代には、十戒を記した石版以外には何も入っていなかったとも伝えられています。

 アロンの杖のアロン氏という人物は、イスラエルの祭司の祖として扱われ、モーセの協力者として、エジプトのファラオの前で杖を投げて蛇に代えたことで有名です。

 その「アロン」の杖です。

 マナはイスラエルの民がシンの荒野で飢えた時、神がモーセの祈りに応じて天から降らせたとされる食べ物。

 マナの伝承の発祥は、カイガラムシなどのカメムシ目ヨコバイ亜目の排泄物である「甘露」が乾燥したものが想定されていますが、超自然的なものとみなす説もあるようです。

 マナはヘブライ語で「これは何だろう」を意味するらしく、モーセに率いられて荒野をさまよったイスラエルの民がカナンに着くまでの40年間、食料とされたらしいです。

 面白いことにこの「マナ」という言葉、ニューカレドニアやフィジー、ニューニギアなど太平洋諸島にいくと、超自然的な力、霊力、まじない、神秘的な力、気合、カリスマ性、つまり人や物に宿る何か、という意味で使われるそうなので興味深いです。

ユダヤの美宝10

2007年10月23日 13時47分24秒 | Weblog
 この「メノラー」は、ユダヤ教において、モーセに神がシナイ山頂(エジプトとエルサレムの中間の半島)で与えた(というかベザレルに作らせた)特殊な燭台です。

 メノラーは最初は移動式神殿の『幕屋』(まくや)に、そして後に古代イスラエルの神殿に安置されたそうです。

 主柱と支柱の先に据えられた七個の灯火皿に油を注ぎ、聖所と呼ばれる第1の部屋を七つの輝きで、「決して絶えることなく」照らし続けていた、ということですが・・・。

 「決して絶えることなく」??

 他にもモーセ所有の蛇になる「アロンの杖」(アーモンドの木?青銅製?)だとか、このメノラーを制作したベザレルさんが他に作った聖櫃、その付属の天使階級第二位の「ケルビム」(智天使)等々がユダヤの秘宝といわれております。

 出エジプト記によれば、ウリの子ベザレル(ベツァルエル)が、幕屋をはじめ、祭壇及び聖所で用いる器具を製作したとされております。

 ベザレルは自分の独断的イメージで作ったのではなく、「主がモーセに命じられた」ように作ったのである、ということです。



 いわゆるユダヤの契約の箱(けいやくのはこ)とは、『旧約聖書』に記されている、十戒が刻まれた石板を収めた箱のことである、ということです。

 証の箱(あかしのはこ)、掟の箱(おきてのはこ)、聖櫃(Ark:せいひつ)とも呼ばれ、レイダースではこれが聖杯でした。

 この箱も、モーセの指示に従ってベザレルが作成し、エジプト脱出から1年後にはすでに完成していたと『出エジプト記』には記されているそうです。

ユダヤの美宝9

2007年10月22日 18時30分05秒 | Weblog
 ベン・エズラ・シナゴーグ・・ぱっと見はなんだか古くさいだけに見えてしまいますでしょ?

 ところがですね・・・その施設は、あのモーセが生まれたところともされる、と言いますが本当でしょうか?



 お待たせいたしました。

 で、イスラエルに戻り、この小説での「ユダヤ教の聖杯」・・・なんだと思いますか?



 その答え、じゃがじゃ~ん!!




 それは『メノラー』なんです

 安室ファンはアムラー。

 メノラーとはユダヤの「燭台」。

 ユダヤの燭台にもいろいろと種類がありますが、「メノラー」といえば7枝のものを指します。

 8枝(実際には9枝)ではダメなのです、8枝はハヌッキーヤーといいます。

 「大いなる灯火」です。

 イスラエルの国章にもなっております、七枝のメノラー。

 当然ながら黄金製で、七つの灯火皿に炎がともるものです。

ユダヤの美宝8

2007年10月21日 22時55分55秒 | Weblog
 さてベン・エズラ・シナゴーグがあるのは、エジプトのカイロの旧市街、マスル・アル-カディマ、そこはローマ時代にはバビロンと呼ばれたそうです。

 バビロンはご承知のごとく、イラク(シュメールとアッカド)の大王ネブカドネザルの都市。

 マルドゥクが守護神。

 日本では新バビロニア、西洋ではカルデア王国と呼ばれてます。

 ちなみに新バビロニア建国者の息子で、二代目王にあたる、そのネブカドネザル二世は、イタリアではナブッコと呼ばれます。

 そして旧約聖書の中には「ダニエル書」もありますが・・・

 その預言者ダニエルはユダヤ人ですが、バビロン捕囚の一人としてバビロニアに連行され、その賢明さゆえ、ネブカドネザル二世に重用されバビロン全州の長官まで務めました。

 そんな大王ナブッコと預言者ダニエルの話を元に書かれたのが、T.ラヘイ&G.ディナロの「バビロン・ライジング 秘宝青銅の蛇を探せ」ですが、内容はイマミッツ。

 2人の有名な逸話がダニエルによる夢分析。

 ヘブライの奴隷ダニエルは大王が夢に見た、頭が炎のようにまぶしく輝く黄金、胸と腕は満月のような銀、腹とモモは青銅、すねは鉄、足は陶土と鉄の混合物という、へんてこりんな像の夢分析をします。

 世界は4つの帝国、黄金と、銀と、青銅とそして鉄。

 それは当時の強国リディア、メディア、エジプト、そして新バビロニアのことだったのでしょうか?

 黄金こそがバビロニア、足を打ち砕き、像は大地に崩れ落ちた。

 そして他のすべての王国を併合してバビロンこそが、永遠に存続すると。

 その新バビロニアのライバルであったエジプトのマスル・アル-カディマと、バビロニアには、後のローマ人が連想する何かがあったのでしょうね。

 まだユダヤの秘宝は現れません・・・引っ張りますねえ・・。

 お楽しみ、お楽しみ。

ユダヤの美宝7

2007年10月19日 10時59分50秒 | Weblog
 歴史的な裏づけはないものの、エジプトには聖キリスト・ファミリーが住んだとされるエル・ムハラック修道院、エル・アドラー修道院など、他にも聖家族が住んでいたと伝えられる洞窟などが各地にあることがわかりました。

 でも・・なんだか日本にも各地で語られる、追われた源氏がどこそこの洞窟に隠れ住んだ・・・系の伝説も多いのかな???

 一方エジプト大使館によれば、イエス・キリスト一家の聖家族の3年以上に渡る、ベツレヘムからナザレスへ戻る旅は、実に2,000kmにも達したそうです。

http://www.egypt.or.jp/guidebook/holy/holy.html

 このHP、さすがはエジプト大使館のものだけに、かなり詳しくその経路が書いてありますが、ただし、いくらなんでもエルサレムの「ヘロデ大王」が、邪悪だからといって「ヘドロ」になっているのはいただけない・・・。

 どなたか指摘して差し上げてください。

 そういえば、エルサレムの嘆きの壁もヘロデ大王の遺産ですが・・・

 今年の春ごろ、ヘロデ大王の墓と目されるエルサレム郊外のヘロディウム(写真)で、ヘブライ大学のエフド・ネツェル教授が、実際にヘロデ大王の墓を発見したというニュースはその後どうなったのでしょうか?

 秘宝は?

 公開されるの??

http://www.afpbb.com/article/life-culture/culture-arts/2222352/1579149

ユダヤの美宝6

2007年10月18日 17時13分57秒 | Weblog
 エルサレムにイメージを残したまま、以前から繰り返しておりますが、イスラエル人とアラブ人は、旧約聖書でもコーランでも、同じアブラハムを始祖としているのですが、もう少し厳密に言うと・・・

 ノアの子孫で信仰の父アブラハムの息子「イサク」がユダヤ人の祖で、異母兄弟(アブラハムと女奴隷との子で妻公認)の「イシュマエル」がアラブ人の祖とされております。

 この小説でも、エジプト人のハリファ警部と、ユダヤ人のヒネた刑事、そしてパレスティナ人の美人女性ジャーナリストが出てきます。

 つまり、現在争っているユダヤ人とアラブ人とは、元をたどれば異母兄弟。

 近親憎悪ですか・・・。



 さあ、またエジプトに戻りましょう、マタイの福音書によれば、キリストとマリアも、ユダヤ王ヘロデの出した、恐ろしい子ども狩りから逃れるために、一時エジプトに避難しましたが、実際にそれはエジプトのどこなのでしょうかね?

 知りたくないですか?

 つまり自分に替わる新たな王(救世主)の誕生を恐れたヘロデ大王が、2歳以下の幼児を虐殺させたため、イエスと両親がエジプトに避難したという記事が新約聖書のマタイによる福音書にあるのですが、調べてみたところ・・・

 これは実は歴史的な裏づけはないそうです。

 え??まじ?

ユダヤの美宝5

2007年10月17日 11時50分43秒 | Weblog
 マタイによる福音書に「聖家族」(キリスト一家)の『エジプト逃避』の記事があることから、コプト教会におけるマリア信仰はきわめて盛んだそうです。

 現代も続く単性論教会としてあげられるのはシリア正教会、エジプトのコプト正教会、エチオピア正教会などだそうです。

 今度は話がエジプトからエチオピアに飛びますが・・・

 エチオピアという国は、ソロモンとシェバの女王以来、宗教の歴史にも登場し、前回にも書いたようにメムノン将軍を輩出したりだとか、またブラックファラオのピアンキは、まあスーダンかエチオピアか・・・

 など、なかなか注目に値する歴史ある国です。

 そのエチオピア正教会も単性論をとり、キリスト教でありながら、ユダヤ教の聖櫃(アーク)を崇め(?)・・・

 アークのエチオピア存在説は、なお根強いようですし・・・。

 エチオピアもシリアと並び、僕の中では歴史のキー国なんですよ。



 さあ、そしてそのエチオピアを念頭に、エルサレムに切り替えてくださいね

 エチオピア正教会はエルサレムにおけるキリスト処刑の地(ゴルゴタの丘)とされる「聖墳墓教会」の管理も担っておりましたが、現在この「聖墳墓教会」はカトリック教会、東方正教会、アルメニア使徒教会、コプト正教会、シリア正教会の複数教派による共同管理となっております。

 どうもきな臭いことですが、エチオピア正教会は正式な独立教会として認められておらず、オスマントルコなどのイスラム教勢力が強かった時代に迫害から教会を頑張ってずっと守護し続けていたにもかかわらず、正式な行事には参加出来ないとのことです。

 日本での認知度は低いですが、エチオピア正教会は歴史も古く、キリスト教自体への貢献度は高いのです。

ユダヤの美宝4

2007年10月16日 13時27分28秒 | Weblog
 コプト正教会がローマ・カトリック教会などの西方教会と何が決定的に違うかといえば、コプトが「単性論」を採るところです。

 西方ではキリストは、神であり人ですが、単性論では神性のみが存在します。

 そんなこたぁどっちだっていいじゃねーか?ってのは異教徒の意見ですな・・・。

 「コプト正教会」は紀元2世紀に、エジプトで独自に発展した、キリスト教の東方諸教会の一派であって、キリストをただ神として崇拝するとお考えください。

 一方「マルコ」がエジプト(アレクサンドリア)に立てた教会がコプト正教会であるとして、2006年9月14日の拙ブログにも書いたように、「マルコ」は聖人ですがいわゆる「12使徒」ではなく、福音書の著者です。

 エジプトはカイロのそばのアッバーセイヤに、コプト正教の大きなカテドラルがあるそうです。

 闘士マルコはエジプトで亡くなって、その亡骸が、あるいはマルコの聖遺物が、ヨーロッパの十字軍によって、エジプトから略奪されて(?)ヴェネツィアに運ばれて、(むりくりに見えないこともないが)ヴェネツィアの守護聖人となりました。

 マルコはライオンに喩えられ、ヴェネツィアにあるのは「サン・マルコ大聖堂」・・・というのは以前書いた通りであります。

 エジプト、エチオピアおよびエリトリア、アメリカ、オーストラリアを中心に、総計5千万人の「コプト系」クリスチャンがいるそうです。

 ニカイア・コンスタンティノポリス信条を告白し、マリアを神の母として崇敬するそうです。