医師日記

「美」にまつわる独り言です
水沼雅斉(みずぬま まさなり)

デビッド・ボウイの妖美14

2007年02月28日 10時55分00秒 | Weblog
【トゥナイト – Tonight】(1984年)

 ボウイの遅咲きの青春はまだ止まらず炸裂しております。

 ヒットナンバー、「Blue Jean」はPVも悪くはありませんが、これじゃ歌謡曲だぜ。

http://www.youtube.com/watch?v=2tkLZjHEJjo

 でもプロモでのベーシストのワル~っぽいキャラはなぜだか印象的です。

 「Tonight」にしてもここのレゲエ調の曲より、圧倒的にイギー・ポップとの方がすごい。

http://listen.jp/store/album_0077778615354.htm

 夜の歌でこれほど静寂を感じさせる曲は、他にエコー&ザ・バニーメンの「Killing Moon」しか知りません。

http://www.youtube.com/watch?v=2Jnhw3KMhW0&mode=related&search=

 イギー・ポップとの「Tonight」を聴くと、なぜか日本の「荒城の月」を連想してしまい、ぜひテンポをあわせて、スピーカの右と左から両曲を再現したいと思うのは僕だけのひねた感性でしょうか?


【ネヴァー・レット・ミー・ダウン - Never Let Me Down】(1987年)

 なんだかわかりません。

 手元にはあるものの、もうほとんど新しいのは聴いておりません・・・。


 その後も、

ティン・マシーン - tin machine(1989年)
ティン・マシーンII - tin machine II(1991年)
ブラック・タイ・ホワイト・ノイズ - Black Tie White Noise(1993年)
THE BUDDHA OF SUBURBIA(1993年)(日本未発売)
アウトサイド - 1.Outside(1995年)
アースリング - Earthling(1997年)
アワーズ - 'hours...' (1999年)
ヒーザン - heathen(2002年)
リアリティ - Reality(2003年)

とアルバムを出してはおりますが、聴いておりません。

 最近のものは悪くはないとは聞いておりますが・・・。

 やはり70年代はロックが、終焉に向かった時代とも言われてはおりますが、それでもまだ幸福な時代だったのだなあ。

 ボウイと共演した数々のミュージシャンがすごい。

 ミック・ロンソンはファンには当たり前なのですが。

 イギー・ポップにマーク・ボラン、キング・クリムゾンのロバート・フリップ、ジョン・レノン、ザ・フーのピート・タウンゼント、ブライアン・イーノに、ナイル・ロジャースのプロデュース、ピアニストではリック・ウェイクマンにマイク・ガーソン。

 貴重なマークボランとの共演

http://www.youtube.com/watch?v=jYYmk0fnviU&mode=related&search=

 そしてニューヨーク・パンクのルーリード、ヴェルベット・アンダーグラウンド、アンディ・ウォーホルらと関わりました。

 ミック・ジャガーとの「Dancing In The Street」を見たときには、感激のあまり生きてて良かったと思いました。

http://listen.jp/store/album_0094638143451_v.htm

デビッド・ボウイの妖美13

2007年02月27日 09時22分27秒 | Weblog
【ロジャー – Lodger】(1979年)

 ベルリン三部作の最終章です。

 Lodgerは、人の名前のいわゆるロジャーさん(Roger)ではなく、ロッジのer型ですから、下宿人とか宿泊人という意味だそうですが、確か「間借り人」というサブタイトルがついていたような気がします。

 ジャケ写では、なぜか鼻が曲がってます。

 三部作の中では一番地味です。

 ここに僕が大好きな曲「D.J.」があります。

 この曲はいいですよ。

 ちなみにD.J. とは通常はディスクジョッキーのことですが、有名な話、彼の本名はDavid Robert Jonesですから、この場合のDJは自分のこと、つまり今度はボウイはDJに変化したのです。(ちょっとPVはやばい兆候が出てますね)

http://www.youtube.com/watch?v=-9mlwcAmEpo&mode=related&search=

 その曲から「Look Back in Anger」、そしてロキシーを髣髴させる「Boys Keep Swinging」への流れはさすがです。

http://www.youtube.com/watch?v=QEJjASV20kc

http://www.youtube.com/watch?v=8NwmHgHQR1A


【スケアリー・モンスターズ - Scary Monsters】(1980年)

 今度はジャケットを見て分かるとおり、ボウイはピエロへと変化します。

 「Ashes to Ashes」(灰は灰に)という、虚無感に満ち溢れるではプロモでもピエロに扮し、トム大佐がただのジャンキーだったと暴露します。

http://www.youtube.com/watch?v=r44OFO-MNPo

 それぞれの役に応じて、歌い方を変えております。

 それはボウイの過去への決別だったのでしょうね。

 「Scary Monsters」での気のふれたギターも、少し軽めですが素敵です。

http://www.youtube.com/watch?v=hV4SnQXhwWk&mode=related&search=

 しかし、どんなに譲ってもこのアルバムまででしょう・・・!


【レッツ・ダンス - Let's Dance】(1983年)

 このアルバムで僕のボウイは死にました。

 それまでのボウイのアルバムを、僕は今までに文字通り擦り切れるまで聴いて、興奮し、万感胸に抱き、そして僕の人生で初めてオンザタイムで出たアルバムがこれですから、手に入れたとたん倒れそうになりましたが、運命とは皮肉なものです。

 違う人のアルバムを買ってしまったかと思いました。

 商業的には最大のヒット作品です。

 確かに「Modern love」などは佳曲ではありますが、なんだかベストヒットUSAみたいで、も少し違う音の作り方があったでしょ?

 フィル・コリンズじゃないんだから。

 プロデューサーがかのナイル・ロジャースってせいもあって、あんなヘナちょこになっちゃったんだよね。

 バブルに乗って、はじけちゃいましたが、ああボウイよ!

 まあね、それまでの70年代で普通の人の何億倍も濃縮され、傷つき、働いた方ですから、お好きなことをどうぞおやりなさい・・・誰も責めることはできません。

 「China girl」もここのより、イギー・ポップとの方が全然いいです。

デビッド・ボウイの妖美12

2007年02月26日 08時59分25秒 | Weblog
 本日午後4時から東京12チャンネルのレディース4という番組に出る予定です。

【ヒーローズ】(77年)

 ベルリン三部作の二作目になりますが。

 なんといっても日本人カメラマン、「鋤田正義」(すきたまさよし)氏の撮ったモノクロのジャケ写が有名です。

 これはあらゆる音楽のジャケットの中で、もっとも美しい写真の一つでしょう。

 鋤田氏は他にもマーク・ボランや、ほらYMOの例の緑のバックで赤いチャイナ服に青いマネキンの・・・あれを撮った方です。

 代表作、「Beauty And The Beast 」

http://www.youtube.com/watch?v=5wlMSS5C7H4

と、「Joe The Lion」にはギタリストになんと、キングクリムゾンのロバート・フリップ大先生をお迎えし、期待に背くことなく大先生は狂気に満ち溢れたソリッドなリフを叩きつけまくり、久しぶりにボウイの切れ味も鋭さを見せ、ジャケ写のようなモノクロの美を感じることができて幸せです。

 そして今でもあちこちで耳にする「Heroes」ですが、これがまたいつ聴いても新しい。

http://www.youtube.com/watch?v=hemaGgaUcUM&mode=related&search=

 こちらはエレクトリカルバイオリンを使用して、かなり原曲に近いアレンジです。

 微妙にアレンジを変えて、

http://www.youtube.com/watch?v=-PYCN93HshI&mode=related&search=

 一方、こちらはギターバージョン。

http://www.youtube.com/watch?v=-vgiErctUII&mode=related&search=

 こういう原曲にとらわれないアレンジを聴かせるところも才能でしょう。

 そしてドレッシーにやると、

http://www.youtube.com/watch?v=VXzyobIKZBE&mode=related&search=

 例のベースのスキンヘッドの女性もまた美しい。

 しかし、おん年、ボウイはいくつなのかな、50歳は越えているのかな・・・かっこ良過ぎません??

どうですか、女性のみなさま??

 男から見ても、どうしようもないくらいかっこいいんですが。

 しかもこのヒーローズは実は、後に崩壊したベルリンの壁を崩壊前に歌っていることをご存知ですか?

 一見ヴィジュアル系のため、安易な歌を歌っているかのように思われがちですが、ボウイは決してあの娘に恋をしてなどという、陳腐で軟派なラブソングは歌わないのです。

 もろくて繊細ですが、決してひ弱ではない・・・美しさとはそういうものです。

 この曲では歌い始めから最後の絶叫まで、ボウイのヴォーカリストとしての才能を感じることができます。

 上手でしょ?唄も。

 「Moss Garden」は当然京都の古寺がモチーフです。

デビッド・ボウイの妖美11

2007年02月25日 09時35分22秒 | Weblog
【ヤングアメリカンズ】(75年)

 ここで、ボウイは何を勘違いしたか、ブラック・ソウルに転じ、まあコーカソイドとしてはおそらく初めて、ソウルフルなアルバムを作ります。

 ボウイはどう見てもヨーロッパ人であるのに、どうしてもアメリカに特別な思いを抱いていたようです。

 ギタリストにそれなりに優秀なカルロス・アロマーを迎えます。

 以前にも書きましたが、ここでビートルズの名曲、「Across The Universe」をカヴァーしますが、カヴァーのくせに本家本元の、あのジョン・レノンをギターとバックヴォーカルにつけ・・・

 なんてやつでしょう・・あのジョン・レノンですよ 

 ビートルズのオリジナルもフワフワしていて異次元を漂っているようで相当かっこいいのですが、ボウイのカヴァーも狂気あふれかっこよすぎる曲に仕上げてます。

 ビートルズの原曲ですが、
http://www.youtube.com/watch?v=Rj-4t9drUlM

 それが、こんな風に狂気あふれてしまう・・・。
http://www.youtube.com/watch?v=Sk-NqRsQlVk

 ビートルズでもベスト10に入る名曲ですが、まったくどういう脳をしていたら、こんなに美しくて幻想的なメロディが湧くのでしょうか??

 そしてFame(名声)でもジョン・レノンと共演するのですが、これが先に解説したとおり、ボウイをはめた元マネージャーへの返答です。



 考えてみるとボウイは男性/女性の狭間を代表とし、地球人/宇宙人、人間/怪物、人間/動物、アメリカ人/ヨーロッパ人、そして白人/黒人という狭間を浮遊しながら、表現のとしては遅れていたロックを牽引し続け、自分の魂のテンションを限界まで張りつめさせ、狂気を撒き散らしながら、美を追い求め続けたのでしょう。

 美しき境界人なわけですな。



【ステイション トゥ ステイション】(75年)

 この頃のボウイはアメリカでジャンキーとなり、苦しんでいた頃です。

 しかしアルバムの完成度は高く、たった6曲ですが、いずれも秀作、ファンの評価も高くはありますが、しかしファンキーでソウルフルなボウイよりも、ロックンローラーとしてのボウイが好きな僕には・・・。

 あの声はやはりファンクよりロックでしょ。

 「Wild Is The Wind」は美しいっス。

http://listen.jp/store/album_lim0094638148159_v.htm


【ロウ】(77年)

 そしてボウイは身も心もぼろぼろになってアメリカに失望し、ヨーロッパに戻り、ベルリンで麻薬を断ち切ります。

 どう考えても、ボウイにはミッキーマウスよりゴシック、アスファルトより石畳、青い海と輝く太陽より月と夜が似合います。

 そしてここからの三作は「ベルリン三部作」と称され、これはその中でも傑作とされており、ブライアン・イーノをプロデューサーに迎えました。

 なんとシンセサイザーのインストゥルメンタルまであって、前衛的過ぎ、僕にはイマイチ。

 シンセは確かに進歩的かもしれませんが、当たり前ですけれど合成音が好きになれず、バンドはヴォーカル兼サイドギター、ギターにベースにドラムのシンプルな4人編成がもっとも好きです。

 また同じロキシーでも、ブライアン・フェリーは好きですが、ブライアン・イーノはルックスもセンスも好みではありません。

 彼のプロデュースしたU2でもベルベット・アンダーグラウンドでもそう思います。

 しかし本作のボウイ本人の評価は高く、傑作と誇示しております。

デビッド・ボウイの妖美10

2007年02月24日 06時21分50秒 | Weblog
【ピンナップス】(74年):

 カヴァーアルバムで、良質ですが、あまり感銘は受けませんでした。


【ダイアモンドの犬】(74年):

 ここで残念なことに、ギタリストのミック・ロンソンとの決別がありました。

 そのためか少しシンセっぽくなってしまいましたが(ぼくはシンセは合成っぽくて嫌いです )、近未来的な雰囲気や、ボウイのヴォーカルが強調されました。

 ジャケットのボウイは下半身が犬になっております。

 代表作「Diamond Dogs」

http://www.youtube.com/watch?v=bFOqU7ZPCOU&mode=related&search=

と「Rebel Rebel」は傑作です。

 「Rebel Rebel」は携帯のCMで使われましたが(どなたかによるカヴァーだと思いますけれども)、今聞いてもそのイントロのリフは新鮮です。

http://www.youtube.com/watch?v=kOn6oVKG95k

http://www.youtube.com/watch?v=QDetQ18fw5Q&mode=related&search=

 ミック・ロンソンならどういうリフを奏でたか・・・。

 「1984」はジョージ・オーウェルの同名の小説にインスパイアされてできた曲です。

http://www.youtube.com/watch?v=pUGelOOcePs

 僕も読みましたが、この小説もなかなか面白かったです。

 コンピュータ社会や、言論統制や監視など、まさに現代を予見していたかのような小説でした。

 また、ビートニクbeatnik (ビート族)で有名なアメリカの作家、『ウィリアム・バロウズ』の、クローネンバーグ監督によって映画にもなった小説「裸のランチ」があります。

 バロウズはヘロイン中毒の天才であり、妻を殺害して、南米からモロッコに移り、「裸のランチ」を完成させたそうです。

 裏切られた世代とも言われる、ビート族の落ちこぼれの芸術は、革新的であり、既成道徳への反抗であり、脱(古きよき)アメリカ的であり、世界に与えた影響は日本人の僕たちの想像をはるかに超えるものです。

 ビートたけしのビートもここから取られたとしたら、やはりたけしはすごいと思いますが、どうなのでしょうか?

 ガルシア・マルケスの意識の流れや、マジックリアリズムではないですけど、バロウズが用いた「カットアップ」という、既存の文章をばらばらにしてランダムにつなぎ合わせる文学上の手法があるのですが、実はそれをボウイもこのアルバムで用いているのです。

 ジャン・リュック・ゴダールもヌーベルバーグというムーブメントの中で、このカットアップを映画に用いました。

 ボウイのこういうアンテナや知性、感性がたまりません。

 日本のミュージシャンでおりますか?そこまで歌詞に知性を動員される方が。

 ミュージシャンとて詩人なのですから、表現者のプロとして作家並みに知識や技術を望みたいのは僕だけでしょうか。

 蛇足ながら「裸のランチ」は映画も見たし、原作も読みましたが、まったくわかりまへん。

 ここまでアヴァンギャルドだと、僕の鈍脳ではまったくついていけましぇん。

デビッド・ボウイの妖美9

2007年02月23日 06時44分45秒 | Weblog
【アラジンセイン】(73年)

 ボウイはいとも簡単にイギーを捨て去り、今度は中東に飛び、アッラーアッディーンに新生しました。

 アラジンセインは、悪たれのアメリカの若造ども、"A Lad Insane=狂気の若者”に由来しているそうです。

 サブタイトルには(1913-1938-197?)とブックされております。

 2001年宇宙の旅では有名な話、コンピュータの「HALは」一文字ずらしで「IBM」から取られましたが、この場合、前2つの数字は第一次世界大戦と第二次世界大戦の始まりの前年です。

 つまり世界規模の大戦を暗示したのでしょうか?

 この頃ボウイは破滅的、危機的、・・・そういう感情にさいなまれていたのでしょうか?

 確かにここでの彼は、27歳、ストレートなロッカーで、破壊神シヴァのようです。

 これもツアーの合間に急ぎでこしらえたそうですが。

 荒削りながら、これもたまらなく良質なアルバムです。

 ライブでもよくやる代表作、

「Watch That Man 」
http://www.youtube.com/watch?v=y5qz7d2ajOI

「Aladdin Sane 」
http://www.youtube.com/watch?v=_JYH5CImkQY

「Cracked Actor 」
http://www.youtube.com/watch?v=bmFDRvNliNM&mode=related&search=

「Time」
http://www.youtube.com/watch?v=ki1NOSzUZ0I

「Let's Spend The Night Together 」

「The Jean Genie」と。

 「The Jean Genie」はフランスの小説家で、放浪、逮捕、男娼、監禁にと、最終的には死刑囚となりつつも、コクトーやサルトルら著名人に認められて恩赦され、黒人自治の政治運動も行った伝説の「ジャン・ジュネ」(Jean Genet)に感化されたのかなぁ。

 ここに、ボウイの本家本元のめっちゃかっこいいオリジナルの「The Jean Genie」と、U2のやるカヴァーがありますのでご覧ください。

http://www.youtube.com/watch?v=RixyZKMH6wk&mode=related&search=

http://www.youtube.com/watch?v=4768K9BxyyQ&mode=related&search=

 「Let's Spend The Night Together」では以前にお話したとおり、ストーンズのアレンジもあれはあれでありだとは思いますが、ボウイはストーンズを超えちゃいました・・・

 ストーンズのグループサウンズ系の可愛らしいアレンジからいきなりスピード感あふれ狂気に満ちた緊張感へ。

 こちら、Stonesの原曲ですが、

http://www.youtube.com/watch?v=yHVdjuIFtqo

 これをボウイがやると(衣装には目をつぶってください)、

http://www.youtube.com/watch?v=WCN_zUpq0-k

 いや~ミック・ジャガーの動きもやっぱめちゃくちゃかっこいいですね、これ見ると・・・さすがだなあ。

 「アラジンセイン」のジャケット写真の、ボウイの顔のマークはうそかホントか、日本びいきのボウイがパナソニックの電気炊飯器のマークを見て思いついたとか。

 このアルバムではミック・ロンソン顕在ですよね。

 またマイク・ガーソンのピアノが素晴らしいんだ、これが(上のライブでそれをアコギでやってるおっちゃんもすごいけど)。

デビッド・ボウイの妖美8

2007年02月22日 07時51分56秒 | Weblog
 どうやらマネージャーの搾取のせいで、成功したはずの若きボウイはこの後74年くらいからとんでもない負債を抱えてしまったらしく、しかもアルバムの作成に関してもレコード会社から束縛を受けることになってしまったようなのです。

 後に「Fame」(名声)という(宮沢りえさんが確かGameという名で歌いましたけど・・・限りなく「?」でしたね )ジョン・レノンとの合作でもそのことを皮肉に歌い上げ、そして僕が大好きな「D.J.」という曲でも、「俺のボスは腰抜け野郎だ」などと痛烈に言い放っております。

 

 そして代表曲、日本びいきのボウイが近年(でもないか)日本で、ファンからのリクエストコンサートをやったときに、ボウイは「なぜだか日本人にはこれが人気だ」と笑っていましたが、日本では栄光の「スターマン」がなんといっても有名です。

 この「スターマン」のオリジナルのイントロ中に、ボウイが意味不明なハミングを口ずさむのですが、その音階を聴いただけで、この人の中に脈々と流れる独特の不思議なメロディに、毎回のことながらいたく感激し、しびれてしまってクラクラする思いです(下記で見てクラクラしませんか?)。

http://www.youtube.com/watch?v=efy0_JCfvGc&mode=related&search=

 こっちのヴァージョンもギターがかっこいいな。

http://www.youtube.com/watch?v=KZFymsD8MQE&mode=related&search=


 このアルバムを通して切り込まれて炸裂する、ミック・ロンソンのレスポールはまるで鋭い剣か日本刀かマシンガンのようです。

 
 中でも僕的には「スターマン」よりも「ロックンロールの自殺者」がぴかイチで(No.3 )、僕自身いったい何度この曲に助けられたか。

http://www.youtube.com/watch?v=Tx47VUo23CA&mode=related&search=

 ジギーへの呼びかけのはずですが、それはジギーを演じるボウイ自身への呼びかけ、つまりデビッド・ボウイの真の本音として聴こえます。

 はたまたこれは十字架を背負いながら歩かされるイエス・キリストへの信者からの呼びかけのようでもあります。

 名セリフ「失うには年老いすぎ、選ぶには若すぎる・・・」。

 しかしnot aloneと絶叫するにはあまりに本音でストレートすぎて気恥ずかしいからか、ボウイの独特のシニカルな表現として、こういう複雑な形態になったのでしょう。


 そして「レディ・スターダスト」がこれまた秀逸で、この場合のレディは例によって男の子ですが 、ピアノもとっても美しいバラードになっております。


  ミック・ロンソンは「Moonage Daydream」で堪能してください。

http://www.youtube.com/watch?v=p79JKclG-oc&mode=related&search=



 Ziggyは最後にはなんと自分と交わり、ステージでガキどもに殺されちまいます。

 Ziggyは当然キリストのことをも語っているので、このアルバムも一つのきっかけとなって、尚いっそう西洋の宗教を理解すべきと考え、そこから裾野が広がり哲学や芸術、教会建築などにもはまっていきました。

 マニアからは賛否両論あるでしょうけれども、このアルバムは間違いなくボウイの代表作の一つであり、格としてはロゼッタストーンクラスの高尚な世界文化遺産ですので、今は亡きミック・ロンソンを追悼する意味でも、ご家庭にぜひ一枚置いておいても損はしません。

デビッド・ボウイの妖美7

2007年02月21日 10時53分43秒 | Weblog
【ハンキー・ドリー】(71年)

 Hunky Doryとはすてきな、とか申し分のない、という意味だそうです。

 ボウイの自信の表れでしょうか?

 前作のスカートもちょっとどうかと思いましたし、このジャケットもかなりのナルが入っていて、少々キモい感は否めませんが・・・まあ若気の至り。

 次作伝説のアルバム、「ジギースターダスト」と同時進行で作られ、ジギーにはコンセプト上入らない楽曲で構成されたということです。

 代表作の、「Changes」
http://www.youtube.com/watch?v=KGH6wLTB9N4&mode=related&search=

http://www.youtube.com/watch?v=9tBHOuHolYw

と、ボウイのピアノ弾き語り、「Oh! You Pretty Things」はたまりません。
http://www.youtube.com/watch?v=pBQ-S6njQQw


 そうそう思い出した、このCh,Ch,Ch「Changes」でボウイは、~時は私を変えるかもしれないが、私は時に追いつけない~と歌ったんだ。

 リック・エイクマンのピアノも聴き所っす。

 映画『バスキア』で演じた、友人(以上の )のアンディ・ウォーホルに捧ぐ、「Andy Warhol」(そのまんま )という曲もあります。

 ボウイは彼ら一流のアーティストと交流し、他の芸術分野から見て、音楽界の、特にロック界の、世界最先端の芸術時流に対する遅れというものを肌で感じたのでしょう。

 ギターは当然ミック・ロンソンです。



【ジギースターダスト】(72年):

 ロック史上さん然と輝き、このたった一枚のアルバムが放った、全世界への輝きと影響力は計り知れないことでしょう。

 どう賞賛したらよいのか・・・完全無比です。

 まったくのムダがありません。

 ボウイ若干26歳です、どうしましょ?

 ボウイが「イギー・ポップ」をモデルとした架空の宇宙人に扮し、地球に降り立ちロックバンドを組んで世界中でツアーをするという、世界初のコンセプトアルバムです。

 ミック・ロンソンとスパイダーズを組んで、実際のツアーでも全世界的に大成功を収めました。

 しかし実はその影に・・・。

デビッド・ボウイの妖美6

2007年02月20日 10時47分43秒 | Weblog
 どうですか、宇宙を堪能できましたでしょ?

 そしてこのスペース・オディティを、眉毛を剃って、ミック・ロンソンとライブでやるとこうなります。

http://www.youtube.com/watch?v=4b9vZ9XXtNs 


【世界を売った男】(70年):                 ジャケット

 前作で成功したのに、今回このアルバムの一曲目が、のっけからなんと8分 

 普通だったら売れ線狙い、シングルカットしやすく、キャッチイでコマーシャルな迎合的なもの創るでしょ・・・重すぎ。

 しかも曲名は、なんと「円軌道の幅」 The Width Of A Circle 。

 訳が分からないでしょ??・・・

 いずれにしてもアルバムには「Supermen」という曲も入っておりますので(ハリウッド映画のスーパーマンじゃないですよ、ちなみに )、この曲もニーチェの「ツァラトストラかく語りき」の<超人思想>の影響を少なからず受けての作品なのでしょう。

 ツァラトストラをすぐに買いに本屋に駆け込んで、脳みそを硬直させながら読みましたよ、高校時代に。

 で、何回山を降りたんだっけかな?

 ニーチェも結局、精神が破綻してしまうんですけれど、キリスト教社会で、しかもあの当時「神が死んだ」と公言するのは、ものすごいことなのです。

 しかもこの「円軌道の幅」がですねぇ、感涙・・・ボウイの数々の偉大な作品の中で一番好きです。

http://listen.jp/store/album_0724352190157.htm

でご試聴ください。

 このゆったりとした牧歌的なイントロから始まって、このリズムに移るの??

 そしてボウイの例のニワトリを絞め殺したような絶叫で、ためてためて歌い始まって、そこからミック・ロンソンの野太いレスポールがたたみかけるようにゴリゴリと追い立てて来るのです。

 ベースも炸裂しております。

 この緊張感はたまりません。

 僕的にはこの曲がボウイ史上もっとも傑作、この曲ならツェッペリンの王者「アキレス最後の戦い」に挑めるかな、と思います。

 この時期、ボウイはご尊父が急死され、愛する兄テリーが精神病院に入院と、心身ともにつかれきっていたのでしょう。

 アルバム全体が殺伐として、緊張感が漂います。

 しかもたった3週間でアルバムを仕上げねばならなかったそうです。

 そしてニルヴァーナのコピーでも有名な、アルバムのタイトルナンバー、「世界を売った男」。

 これがねぇ、円軌道の幅に負けず劣らずの名曲。

 ボウイ史上、No.2の作品と思い入れております。

 勝手に世界を売っちゃうのですから、スケールが違いますでしょ。

http://www.youtube.com/watch?v=LSnXjE66tvQ&mode=related&search=

http://www.youtube.com/watch?v=ZT4NGgFBSjU&mode=related&search=

http://www.youtube.com/watch?v=ZM0e1m9T9HQ&mode=related&search=

不気味なパントマイムヴァージョン

http://www.youtube.com/watch?v=yo0YxlCmR-w&mode=related&search=

 「世界を売った男」ではミック・ロンソンのギターとボウイのボーカルがねち~っこく濃厚に、淫靡にからみつき、そして時やリズムは淡々と刻まれ・・・たまらんのぉ。

 もうミック・ロンソンとボウイの真剣勝負、剣を交える、のど元に突きつけあう作品といってもいい。

 世界で最も妖しい美曲といっても過言ではないでしょう。

 オリジナリティあふれるメロディライン。

 そして「After All」では徹底した虚無感、死の匂いが漂います・・・。

デビッド・ボウイの妖美5

2007年02月19日 11時05分49秒 | Weblog
 驚くことに今年還暦の()ボウイの、ディスコグラフィーはおおよそ下記の通りです。


【デイヴィッド・ボウイ】(67年):

 まあ、デビュー作ですから。

 でも次につながる予感はあります。


【スペース・オディティ】(69年):

 「2001年宇宙の旅」はSpace Odyssey。

 Odysseyはホメロスの叙事詩の登場人物で、英語名オダシー、日本名オデッシー、ギリシャ名オデュッセイア、転じて放浪だとか、冒険の旅という意味です。

 一方Oddityとは変人、奇妙な人・・・いかにもボウイらしいネーミングっす。

 そもそも映画「2001年宇宙の旅」を見て感激し、アコースティックギターでこの曲をつくり世界にその名を知らしめ出世作となりました。

 あの映画を見て感動して触発された、ここまではあると思いますが、しかし誰もフォークでこれをやろうなんて発想にならないでしょ。

 同じくイギリスの作曲家ホルストの「惑星」ではないですが、交響組曲ならまだしも、たった一人で宇宙を表現するのですよ。

 アコースティックサウンドは素敵ですが、それまでのアメリカのカントリーフォークってったらなんだか野暮ったいし・・・

 特に日本のフォークなんてアカ抜けずウェットで暗くて女々しくて・・・

 なによりファッションや生き方がイケてないというか、かっこわるいっしょ?・・・

 おいちゃんだかちんぺーだか知りませんが、涙ぐみながらハンドインだのサライ?だの・・・

 僕の矮小な美意識ではまったく共感できないのです・・・ファンの方、すみません。

 ですが海外ミュージシャンの第一線級のアーティストはみな、ツェッペリンもレニクラもしかり、このアコースティックのサウンドを、日本のフォークとはちょっとニュアンスが異なるのですが、むしろ日本のロックミュージシャンよりもはるかに大事にします。

 ある意味アコースティックギターのサウンドが、そのバンドとしての、そしてギタリストの才能を測るのにちょうどいいバロメータだと僕は思います。

 そういう意味でも、アンプラグドといって、ミュージシャンに電気楽器を使わずにライブをやらせる、ごまかしのきかないあの番組はとってもよかったですよね。

 クラプトンのレイラなんかは、原曲のエレキバリバリのチャリラリラリラ~ンのほうがアンプラグドより圧倒的にかっこいいですが、レニクラのビリーブはアコギバージョンもとってもイケてました。

 そしてボウイは見事にロケットの打ち上げから、宇宙空間の奥行きから、漂う浮遊感、静けさ、優雅さ、地上との通信状況、そして感動のラストまで・・・見事にアコギで表現しきったのです。

http://www.youtube.com/watch?v=Kxoxqvg3lB0&mode=related&search=

 しかも曲中のトム大佐は僕が思うにボウイ自身であり、管制塔の制止を振り切り、自ら宇宙に旅立ってゆき、これからのボウイの、経営側の思惑や世間にはとららわれないぞ、という覚悟を感じます。

 そしてそのトム大佐はなんと実はジャンキーで、ボウイの後年の曲、Ashes to Ashes(灰は灰に)にて見事(?)復活し、消え行くのです。

デビッド・ボウイの妖美4

2007年02月18日 09時44分45秒 | Weblog
 D.ボウイを語る上で、一時的な相棒のギタリスト、ミック・ロンソンは不可避と考えております。

                               レスポール

 楽器に詳しくない方に解説いたしますけれど、エレキギターにはたくさん種類があるのですが大きく分けて、ギブソン社の『レスポール』、フェンダー社の『ストラトキャスター』に『テレキャスター』が有名で、とくに58年59年レスポールにいたっては、数千万円を超え、日本ではアルフィーの高見沢何某が所有しております。

 それぞれ音のニュアンスが、エレキギターのマイクに相当するピックアップの違い(ストラトはシングルコイル、レスポールはハムバッキング)により変わってきますし、どのギターを持つかによって、そのギタリストとしてのシンボルにもなってくるわけです。

 レスポールは元来ジャズで使用され、ストラトにあるトレモロ(ういうい~んとやる金属の棒)がなく、ネックもやや短く、弦の張りも緩めで、バイオリン的な音というか響きが良く、ゴリゴリ野太くていい塩梅にくごもった低音と大音響が特徴です。

 クラプトンが有名にし、ジミー・ペイジはストラップを長くして、低いポジションにちょっとだらしなくこれをかけて、そのポーズがあまりに格好良く、ギターキッズの憧れでしたが、腕や足が短く手が小さい日本人には似合いません。

 そしてボウイ専属のギタリストだった『ミック・ロンソン』もこのレスポールを愛用・・・彼が弾きまくっていたレスポールが、これがまた野太くてバイオリンのように響きが良く抜群なわけで、かつギタリストとしての才能もセンスも素晴らしく、さらには本人のルックスもボウイ並みに超カックイ~のですわ。

 彼がいたからこそ、今のボウイがいるわけです。

 残念なことにミック・ロンソンは、今は天国でレスポールを弾いております。

 ミック・ロンソンがどれくらいすごいのかも、「ジギースターダストライブ」を見れば一目瞭然です。


 ストラトキャスターはギターの格好も良く、なんといってもジミ・ヘンが代表ですが、クラプトンにジェフ・ベック、リッチー・ブラックモアと。

 少し硬質で金属系の軽目の音ですが、ギュィンギュィンしてジャバラーンと広がる感じもします。

 テレキャスはストラトに比べ、セミアコースティック気味に、クリアカットで力強い音がジャカジャカします。

 キース・リチャードにスプリングスティーン、ポリスのアンディ・サマーズ、クラッシュのジョー・ストラマーらが有名です。

 個人的にはレスポールもテレキャスもかっこいいと思うし、特にレスポールを持っていると「お、やるな」と思ってしまうのですが、レスポールは箱ばっており、一般にはストラトのほうが、容姿はいかにもエレキギターっぽくて格好良く映るかもしれません。

デビッド・ボウイの妖美3

2007年02月17日 06時14分56秒 | Weblog
 ボウイの歌唱力は上手いか下手かは別として(僕は上手いと思いますが)、低音部などは独特であり個性的なのですぐ識別でき、今では日本のロックミュージシャンの多くから、軽いファルセットを入れる彼の歌いまわしをまねられております。

 そして歌詞は(これが一番すごいのですが)、ほれたはれたの低俗な恋愛ソングに終始せず、哲学的であり、宗教的であり、政治的であり、宇宙的であり、はかなく、せつな的で、繊細です。

 僕は英語が不得手ですが、ボウイの詩にはいろいろな知略が隠されており、ダヴィンチ・コードならぬ、デイヴィッド・コードを探すのも(おいおい解説していきますが)ワクワクしますよ。

 ボウイに関しいろいろ知りたい方は、なんといってもライブがすごいので、まず、とにかくDVDで『ジギースターダストライブ』(または「Ashes to ashes」か「ブルージーン」のプロモ)を見ていただきたいと思います。

http://www.youtube.com/watch?v=r44OFO-MNPo

 今でこそ映像も重要なツールが当たり前の音楽シーン、時代に先立ち映像と、視覚的なライブを積極的に利用したのもボウイです。

 しかもその映像はすべて、徹底して映画並みの美しき芸術に仕上げてくるのです。

 今回紙ジャケのCDが出ましたので、その写真の数々もご注目ください。

 そしてどこかで顔のアップがあれば、彼の人生を物語るボウイの瞳孔をとくとご覧ください。

 何かお気づきになられたら、理由はご自分でお調べになってください。

 ボウイは大の日本びいきですから、歌詞にも日本がたくさん出てくるし、ステージ衣装も寛斎さんを採用したり、ジャケ写も日本人カメラマンが撮ったり・・・・うれしいじゃありませんか?

 レオナルド・ダ・ビンチやミケランジェロにゴッホにピカソ、ショパンやモーツァルト、ドストエフスキーにエジソンやアインシュタインと、数十年に一人は世の中に天才が輩出されるものですが、僕にはデビッド・ボウイも間違いなくその一人であると信じ込んでおり、彼と同時代に生きられて幸せに思います。

デビッド・ボウイの妖美2

2007年02月16日 08時27分24秒 | Weblog
 ボウイはT-REXのマーク・ボラン、ロキシーミュージックのブライアン・フェリーらとともにグラムロックを世に知らしめました。

 このグラム・ロックがまた微妙で、概してミーハーなんですが、実力派ぞろいであり、物事が大きく化学変化を起こす際に、ミューテイションが生じてしまい、副産物として少しキワモノとして生まれてしまったようなムーブメントでした。

 彼はアルバムごとに演じつつ、周囲の期待を裏切り続けるという宿命を自らに与え、変化や革新し続けながら、たった一人で現在の音楽シーンを作り上げてきたことは解説したとおりです。

 自らに「変化」という十字架を背負わせたのです。

 世の中でアヴァンギャルドを売りにする芸術家はたくさんおりますが、同時にポピュラリティを獲得して成功することははるかに難しくなるものですけれど、D.ボウイはピカソと並び、実験的革新的試みを行いつつも成功した稀有な表現者の一人でしょう。

 ここで、大前提なのですが、世界的○○という方たちは、当たり前ですが、基礎がしっかりしております。

 つまり、ハリウッドスターは当然ながら、演技の学校を卒業しており、演じるプロであり、日本のようにちょっと顔がかわいいから女優デビューなんて方はいないのだと思います(たぶん)。

 アナウンサーの歌手もおりませんし、かわいいだけの知的でないキャスターもおりません(きっと)。

 当然のことですがマドンナは曲もかけるし、歌唱力もあるわけです。

 ボウイと同様ルックス先行のベッカムだって、あのW杯の舞台で、数億人の目の前でフリーキックを直接決めているのです。

 当然ながらボウイは作詞作曲編曲を自分でこなし、詩人であり、知的であり、サックス・ピアノ・ギターをプロとしてこなします。

 日本人表現者との圧倒的な差はここです。

 どうしても日本では悲しいことながら、外見が少し優れているだとか、あるいは他の分野で有名なだけの理由で、CDを出してみたりだとか、わけのわからない才能なきタレントがちやほやされすぎる傾向があります。

 歌の下手な歌手はどんなにルックスが良くてもありえないし、演技の下手な役者はいくらモデルだろうとありえません。

 マスコミや批評家の程度が低すぎるせいもあるだろうな・・・ってことは、結局は回りまわって僕たち一般庶民の美意識の問題か・・・。


デビッド・ボウイの妖美1

2007年02月15日 11時14分48秒 | Weblog
 先日軽く触れましたが、この拙ブログが発信した内容に対して、雑誌の取材を受けました。

 内容は本人が一番びっくりしたのですが、な、なんとデビッド・ボウイに関してでした。

 ロック雑誌からの取材だったのです。

 確かに僕はその昔ロック雑誌を読みこみまくって、ロックに聴き惚れて今に至っておりますが、まさかそのロック雑誌から取材を受けるとは・・・。

 スキンケアや美容のことなら、取材はありますが・・・。

 そこで、今一度デビッド・ボウイに真剣に対峙してみようと思います。

 今回のタイトルの「妖美」(ようび)とは、辞書によれば、<人を惑わす、あやしい美しさ。また、そのさま。>とあります。

 そしてこのブログのまがりなりのテーマである「美」ですが、「美」にはカラマーゾフでミーチャが言うように、神さまがなぞかけしかしなかったので(さすがはドス氏、なんて知的な表現なのだろう )、「美」の定義や答えというものは、自分の人生において、自分の価値観により、自ら探求するものなのでしょうね。

 美の概念は流動的なため今後変わるかもしれませんけれど、ここを訪れるみなさんはとってもマニアックで勘が鋭いですのでもうお気づきでしょうが、現時点での僕なりの美しさとは・・・

美しさとはうつろいゆき、はかなさが漂うものです。

桜は散るからこそ、散りぎわがもっとも美しいのです。

(世は定めなきこそいみじけれ-兼好法師-)

美しさは魂が揺さぶられるほどの深い感情を与え、しかし不吉な予感すら与えます。

美しさの裏には退廃、不条理、イモーラルさや寂しさ、悲しみ、刹那、邪悪、そして死の匂いをも感じさせます。

美しさは時に力強く絶対ですが、永遠ではなく、同時に脆(もろ)く繊細なものです。

美しさとは矛盾をはらみ、きれいなものも、きれいでないものも包括します。

美しさは調和も不調和も愛します。

美しさはつきぬけ、はみ出さねばなりません。

美しいものは淫靡で妖しい。

美しいものは建設的ですがしばしば破壊的です。

美しいものは「現実からわずかばかり宙に浮く」ものです。(嘉兵衛から拝借

美しいものには色香(いろか)や香気(こうき)が漂う。



 前回の「美しき孤高なデビッド・ボウイ」論は、彼のご紹介程度でした。

 彼はイギリス生まれで、本名をデビッド・ロバート・ジョーンズといいます。

 20世紀でもっとも影響力を与えたミュージシャンと賞賛されております。

伊藤若冲の美意識6

2007年02月14日 08時41分42秒 | Weblog
 同じくジョー・プライスのコレクションなのですが、鈴木守一(しゅいつ)の「扇面流図屏風」も素晴らしいと思いませんか?

http://f.hatena.ne.jp/jakuchu/20060630113120

 結構このモチーフや構図はあるみたいですが、瑠璃色の川がなんせ美しいでしょ。

 ぐんじょう色のラピスラズリ(ウルトラマリン)ではなく、あい色のアズライト、日本名、藍銅鉱(らんどうこう)のようですが。

 単に僕が「青」好きなだけでしょうか??

 え、ラピスラズリに普通はそんなに惹かれないの??

 渦巻きと言うのは、尾形光琳の紅白梅図屏風でもそうだし、淡路の国生みの神話でもそうですが、なにかこうエネルギーを連想させるものなのでしょうか?



 辻先生は他にも、曾我蕭白(そが しょうはく)なども称えております。

http://www.tv-tokyo.co.jp/kyojin/picture/011222.htm

 確かに、蕭白も異端だし、奇想だけど、でもやっぱり日本画はキモいなあ・・。

 同じく異端でも、カラバッジョの方が美しいよなあ・・・。

 やっぱり西欧文化に毒されすぎかなあ・・・。

 皆さんはどう思われますか?

 屏風画や掛け軸、日本画に興味がおありですか??

 浮世絵なんか、ロートレックやウォーホルばりにちょっと現代風にポスターのようにアレンジしちゃう、ポップな若者が出ませんかねえ・・・。