医師日記

「美」にまつわる独り言です
水沼雅斉(みずぬま まさなり)

枯山水の美感9

2007年11月30日 06時26分00秒 | Weblog
 縮景(しゅくけい)に続いては、借景(しゃっけい)です。

 日本庭園内は、縮景として自然の山水をモデルとし、自然の材料で人為的に風景をつくりましたが、立地場所によっては「園外の風景を積極的にとりこむ」ことをしたそうです。

 この手法を「借景(しゃっけい)」といい、時代の閉塞(へいそく)感をやぶろうとしたのか借景庭園は近世にもっとも盛んにつくられた、とのこと。

 庭園の中から園外への「眺望」を工夫するのは、世界共通の造園技法なんだそうです。

 しかし、日本の借景はたんなる眺望とはちがう、と専門家は言います。

 日本では庭園から遠望される山や塔などの借景対象を、その庭園の主景として生けどるのだそうです。

 そのためには、近景である園内の造作は主景を生かすために最小限に抑制すると。

 たとえば青々とした山を主景とする場合、園内には樹木をうえず白砂敷のみとする・・・なるほど。

 白砂とのコントラストで園外の青山が主景にひきたてられるのであるそう・・うん、うん。

 また、生け垣による見切りをつくり、額縁効果(フレーミング、トリミング)をねらう・・なるほど。

 生け垣や立木によって主景となるべき山や塔以外をすべてかくすのである、と。

 このように、日本式庭園の伝統には、自然本体を加工することもなく注連縄1本で神格化してしまうとか、みずからの庭園の造作を抑制することで近傍の山を園景の主人公にしてしまうという「自然共生型景観演出手法」が内在しているのである、ということでした。

 勉強になりますね。

枯山水の美感8

2007年11月29日 11時44分26秒 | Weblog
 ところで、日本庭園といえば『縮景』(しゅくけい)と『借景』(しゃっけい)をご存知でしょうか?

 日本式庭園は自然の石や樹木を使用して、せまい敷地の中に山や海など大自然の風景を縮小して、美しく、効果的に再構成するのが特徴であり、これを「縮景(しゅくけい:miniaturization)」というそうです。

 各時代の人々が信仰したり、憧れていた理想世界、つまり神仏の宇宙、内外の自然の景勝地、人々に知られた名所などを縮景したそうです。

 また、日本庭園の最大の特徴は、自然石による石組だといわれております。

 専門家の意見では、西洋庭園は切石や石を加工した彫刻をならべるなどして園景の骨格を形成しているのに対し、日本庭園では自然石をくみあわせて特別の意味をもたせ、園景の中核とした、そうです。

 西洋は、人的な加工により美を形成しているのに対し、わが日本はなるべく自然な形で、しかも神的な特別な意味を持たせる、ってことですね。

 西洋の、花に囲まれたガーデンも素敵に映りますよね。

 そして、日本庭園のその背景には、日本人のアニミズム(自然崇拝)があるそうです。

 つまり、日本人は特徴のある自然に神や仏性を感じるのである、ということです。

 たとえば、奈良県の「三輪山」。



 三輪山は、おそらく縄文時代、あるいは弥生時代から、自然物崇拝をする原始信仰の対象であったとされている、そうです。

 その端正な姿の山を神体山(神籬:ひもろぎ)とし、めずらしい岩場を天津磐境(あまついわさか)、天津磐座(いわくら)とよんで、神が鎮座すると考えた、そうです。

 三輪山などの神聖な風景を、庭に再現したということですね。

 そういえば僕も子供のころ、母親に連れてかれました。



 庭園には自然石3つをくんで三尊石組と称し、阿弥陀(あみだ)三尊仏にたとえた、ということに加え、スギやイチョウなどひときわ高い独立樹にも注連縄をめぐらして御神木(神籬)とした、そうです。

 緑濃い森の中の清流や池にも神がやどると考え、神池と呼び、このように自然の山、石、木、水はたんなる造園材料ではなく、神仏を畏敬(いけい)する心の表現として活用されたのである、ということです。

枯山水の美感7

2007年11月28日 11時02分57秒 | Weblog
 僕に感性が欠落しているのでしょう、あるいは不勉強だ!と専門家からはおしかりを受けると思います。

 しかし、宇宙観、宇宙観と声高に主張する人も、実は分かってないんじゃないだろうか?という疑念すら湧きます。

 確かに一部東洋思想、原始インド仏教や、陰陽五行の太極思想では、独特の宇宙観があると思います。

 空海の密教の教えには・・・

 何もない宇宙のある時、 静寂(この2文字には日本人として親近感がわきます )の中から1つの音が響いてきていくつかの音を生み、回転をしながら拡大していって、次第に物質化して今の宇宙ができあがった・・・

 という現代科学にも通用しそうな教義があると聞きます。

 また『華厳経』の菩薩の修業階梯のような、いちばん手前の人から、自然の最奥までつながる、時空的・層的な宇宙観とも根底ではつながっているというような思想もあるそうです。

 しかしそれが、日本庭園にどのように反映されているのか・・・?

 さらに、生け花の未生流では、太陽中心の太陽系モデルが描かれてあるそうです。

 ですが・・・生け花に見られるのは、人と自然が多義的なまま共鳴する無我一体的な自然観であるともいわれます。

 むしろこちらのほうが分かりやすく、自然観だとか、生命観、世界観といわれればまだしも、宇宙観というとどうしても、大仰過ぎて違和感を持ってしまうのです。

枯山水の美感6

2007年11月27日 12時23分50秒 | Weblog
 よく日本庭園や生け花は「宇宙観」も内包する、などといいますが、どんな宇宙観なのか僕には正直ぴんと来ません・・・ごめんなさい。

 もちろん僕の不勉強、不理解なのでしょうけれど、仮に仏教で言う、須弥山が宇宙の中心、有頂天に、金輪際の、天円地方説というところで宇宙観なのであれば、宇宙観が軽いというか、ちと単純すぎやしませんかね?

 仏教の宇宙観、空海の曼荼羅・・・一応勉強してみましたが、これも僕にはさっぱりです。

 わずかに「星曼荼羅」、別名、北斗曼荼羅では、天文現象の主要ラインナップが描かれ、その図様にふさわしい名前とも言え、宇宙観といわれてもまあなんとか・・・。

 これには、諸星の中心に描かれた一字金輪仏頂(いちじきんりんぶっちょう:釈迦金輪)を北極星(こぐま座のα星)とする説があります。

 また、北斗七星を描く内院、黄道十二宮を描く第二院、二十八宿を描く第三院という三重構造となっており、58個の円形内に諸尊が描かれているそうです。

 中央の本尊が一字金輪仏頂という名前で、世界の中心である須弥山の上に描かれています。

 その直ぐ下に土星、四方に木、火、金、水星の五惑星を配置するのは陰陽五行説(おんようごぎょうせつ)の影響であり、四隅には・・・・

 と続き、内院の下の方に横たわる七つの星は北斗七星、第6番目の武曲星(むこくせい)が小さな連星を伴うのは二重星のミザールとアルコルだそうです。

 でもそれは、宇宙観ではなく、単に天体図・・・?

 宇宙観というと僕には、人智の及ばない壮大な浪漫、死生観、哲学、思想、思考、思惟・・・

 具体的にはエジプトや中南米のかつての文明など、そしてそこにあった想定外の天体観測技術だとか・・・

 あるいは宇宙の始まりに寄せるさまざまな仮説、そこにはたとえ神の介入があったってかまいませんし、素粒子・量子力学に見られる近代科学・物理学の粋を集めて語られたり・・・

 そういったワクワクするようなトキメキや、格調の高さが必要なんですけど・・個人的には、ですよ。

枯山水の美感5

2007年11月26日 13時34分28秒 | Weblog
 白砂敷とは、「らいらいたる石に対し清美で瀟洒(しょうしゃ)なたたずまいを演出するもの」だそうです、ハイ。

 白砂敷に使われる石は、比叡山系の特産「白川砂」であり、大文字山の北を流れる賀茂川支流の白川、特に京都市左京区白川付近で採取されます。

 白色の花崗岩の砂なのですが、この白川砂は、花崗岩の風化が進み、硬度が柔らかい特性を持つそうです。

 近年不法採取が問題になりました。

 その白砂敷に、独特な熊手「砂かき」という箒をもって、紋様(箒目)を、洗練された砂紋をつくるわけだそうです。

 「これは、忍びの者(忍者)や法敵に対する意味もあり、もちろん清浄な法域を表すためでもありました。」とのことです。


 ・・・そうか、足跡が残りますものね。


 また「その形状により、さざなみ、山波、立波、うねり、やり水、流水、菊水、網代、市松、片男波、観光水、青海波、渦、喰違い、獅子紋など23種類に分類されます。」ということです。



 ・・・いやはや、極めれば深いものですね・・・それと、完成後も管理者に絵心がないとダメですね。

 だけれども、水のない小石に書かれた跡で、水面を想像し、ありもしない山や木々を想像し・・・これは実際、物欲にまみれた僕たちには禁欲的過ぎて難しいですよね。

 たまには、そういう想像もいいと思いますけども、毎回では僕は疲れちゃうな。

 ゴシック教会の、薄暗さや、柱や天井に森を想像させ、その天井を高くして、ステンドグラスから射す光に神を連想させる手段のほうが、個人的には分かりやすくはあります。


 かように枯山水は難しいですが、わが国のいわゆる日本庭園は、日本の四季折々の自然美を表現し、まあ言ってみれば閉じ込めて、体感する空間なのでしょうか?

枯山水の美感4

2007年11月25日 10時18分56秒 | Weblog
 つまり枯山水とは、禅の教えに基づき、室町時代に武家の保護のもと発展し、無の境地で、東から西に眺めて、わずか4畳半に展開され、水のない所に水を見、滝や川や海を見、山なき山を見、木々なき木を見、枯れ木に花を楽しむ庭であると・・。

 その作者、庭師のウィットと言いますか、トリックを楽しむもの・・・。

 日本独自の切り捨ての美学ってやつでしょうかね??



 そして枯山水の主役の三つの石・・・立石と石組手法で、忘れてはならないのは「三尊石」の存在だそうです。

 三つの石を主護石 、つまりは主人として庭の中心に据えるものだそうです。

 三つの石はそれぞれ並んで立てられていますが、いろいろな手法を持ち、一つを横にしたり、離したり、または大中小と形の違うものを組み合わせることで変化を持たせるのだそうです。

 主景となる三尊石は、現代のオブジェとも共通するという意見もあります。



 ・・・しかし、この現代芸術のオブジェというものも曲者で、現代音楽同様、僕には分かりにくい。



 阿弥陀三尊・薬師三尊・釈迦三尊など三尊仏を具現するともされ、これならばまだ僕には理解しやすい。



 また、枯山水では、東や中央に据えて水のない枯滝を表現します。

 立石の表面とその手法から、水がないのに「潺々(せんせん)と流れる滝を見る」のですって。

 そして、謎の白い砂利の模様・・・

 答えは、「白砂敷」と言う砂敷であり、その平面を海に見立てたり、陸に見立てたりするんですって。

枯山水の美感3

2007年11月24日 22時11分45秒 | Weblog
 ちょっと専門家の意見を参考にしますと・・・

 枯山水は「石庭」ともいい、水のないところに水を見、山のないところに山を見、木々のないところに木々を見る庭です。

 つまり超自然の芸術の中では、最も抽象に徹したというか、最も芸術性の高い庭だとされます。

 その作意たるや、言うまでもなく禅定三味による禅の教理にあるのだそうです。

 「無」こそすべての根源 ―色即是空―形あるもの(色)はこれみな無(空)である― を語ることにより、空即是色 ―無は形あるものの根源― という無我の境地を透して庭を見る、ということのようです。



 ・・・・ちょっとわけ分かりませんよね。



 さらに、「厳しく気魄に満ちた石を何と見るか?」

 「それは人さまざまですが、破綻のない石組の中に凛呼とした禅の覚悟が宿り、枯木寒巌に花を見る思想が宿っているのが枯山水なのです。」と・・・



 ・・・「凛呼とした禅の覚悟」といわれましても抽象的過ぎて理解できません。


 何も枯山水に限ったことではありませんが、庭に水枯流を配すのは東から西に流す一定の決まりがあるそうです。

 つまり、庭は東から西に全体をさっと流す感じで作庭し、これを順の庭といい、東に滝(枯滝)や三尊石を据えるのが一般的だそうです。

 枯山水庭では、この法則がよく守られています、とのことですので、京都を訪れた際にはご参考にしてください。

枯山水の美感2

2007年11月21日 12時45分28秒 | Weblog
 昨日、この拙ブログを読まれた、某・韓流フリーペーパー社の取材を受けました。

 え、でもこの拙ブログの何を??先方からは、僕の人間性や人柄(?)だ、と持ち上げていただきましたが、本当にいいのでしょうか??? 思いっきり自信ありません。



 さて、その「仕事の流儀」では、庭師としての北山氏が登場し、日本庭園の「枯山水」について教えてくれました。

 タイトルの仕事の流儀、ってぇのがいーじゃありませんか?

 「枯山水」という単語を目にしたことはありますが、思いっきり「こさんすい」と間違って読んでました・・・ゆとう読みなのね「かれさんすい」。

 京の寺は庭を見る、ということは見聞していても、実際にどこをどう見るのか、なんで砂利にほうきで掃いた模様ができているのか、なんて考えもしませんでした。

 でも日本人として当然知っておかねばならない一般常識というか作法・マナーでしたな。

 なんで学校で日本の伝統を教えてくれないのだろう??

 また特定の宗教うんぬんの屁理屈でしょうか??

 学校の先生方、マスコミの諸兄よ、伝統と戦争をごっちゃにするのはやめてくれ~!

 真の国際人を目指すなら、株や英語より、まず国土を愛し、日本を知ることじゃない??

 だから背骨なき、芯のない腑抜けた日本人・・・って言われちゃうんじゃない?




 さてさて、この「方丈」の「枯山水」・・・

 以前に欧州のロマネスク→ゴシック→ルネサンス→バロックの流れで見ましたように、時代はゆり戻しますでしょ?

 日本でも、奈良は僧侶に大陸的おおらかさ、平安期は公家という貴族に京の都、そして藤原氏の絢爛豪華な宇治平等院鳳凰堂・・・

 「平安時代の庭が極楽浄土をこの世に現出することに力を注ぎ、貴族たちが財力を競って、豪華な庭を造ったことに対し、その後の武家による室町時代では、思想的にも信条的にも反発のあったことが想像される」と出ていました。

 「新勢力となった武士階級の、自らを律する、質素をよしとする教義ともなった禅の教えから言えば、豪華絢爛かつ完結した大自然の縮景は無用だったのであろう」と。

 また、権力の分散が財力の分散を招き、広大な庭を造ることが難しくなった事情もあるかもしれないともいわれます。

枯山水の美感1

2007年11月20日 20時49分24秒 | Weblog
 今日からの話題は、実は自分の頭でまだ消化しきれておりません・・・すみません。

 NHK「プロフェッショナル 仕事の流儀 / 己をださず、自分をだす 庭師 北山安夫」という番組がありました。

 これがね、実にいい番組でしてね・・・

http://www.nhk.or.jp/professional/

 司会の茂木健一郎氏に関してはコメントを控えさせていただきますが、挿入歌のスガ シカオ氏の曲がどんよりヘビーで暗くて、これがまたいいんですよ。

 先日の義肢装具士・佐喜眞 保氏のもよかったなあ・・・。

 佐喜眞氏はコンプレックスの分、努力する。っておっしゃっておりました。

 昨日からの流れですが、こういう一般人の素晴らしいプロの方、どんどん放映して欲しい!!

 プロの魂は本当に美しくて尊い。


 ところで「枯山水」(かれさんすい)とは、枯れた山と水・・・

 水を用いずに、石・砂などにより風景を表現する庭園様式を指しまして、室町時代に北宋画、特に破墨山水などの影響を受けて完成された日本庭園です。

 禅院の方丈前庭などに多く作庭され、枯山水で完結した庭が造られるようになったのは、禅宗の興隆によるものだそうです。

 方丈(ほうじょう)といいますと、丈(じょう)は、尺貫法における長さの単位であり、1丈は10尺ですから、1丈は約3.03メートルとなって、一方丈は3.03m四方の面積、だいたい四畳半の空間になります。

 ウィキによれば、方丈という空間は簡単に構築でき、また簡単に解体する事ができたため、僧侶や隠遁者に愛用され、鴨長明の『方丈記』は、方丈の庵で書かれたことによる題名だそうです。

 また、『維摩経』に書かれているように、維摩詰の方丈を訪れた文殊菩薩とその一行が、その狭い空間に全員収容できたという逸話から、仏教においては方丈に全宇宙が内在しているという考え方がされ、そこから寺院の住職が生活する建物を、特に方丈と呼ぶようになったということであります。

 ってことは、「方丈」という単語だけでも、すでに宇宙が広がるってことであります。

女性消防士卵の美涙

2007年11月19日 13時30分09秒 | Weblog
 今朝、出掛けにテレビをつけていたら、感激した番組が・・・

 確か、テレ朝系だと思いますが、ご覧になられた方も多いのでは?

 横浜の女性消防士の卵たち数名の、訓練のドキュメントでした。

 消防士になる前に、半年間の合宿訓練を行うものでした。

 僕は常々思っているので、このブログでもお書きしたことがあったと思うのですが、万が一には自らの命を賭してまで、僕たちの安全を守ってくれる勇気と使命感あふれる方たちに、僕たち市民はもっと尊敬と感謝をし、スポットライトを当てる世間であって欲しいのです。

 その訓練は一見して、時代錯誤かと思えるくらい、厳しく、過酷で、成年男子の僕でさえやり遂げる自信はないものでした。

 また教官が素晴らしく、筋骨隆々の鬼教官が登場するときのBGMは、これまたぴったりのダースヴェーダーのテーマソングです。

 返事がなければ、女性だろうと遠慮なくゲンコツです(しかもかなりガツン)。

 しかし、教官の生徒を思う愛情もひしひしと伝わります。

 足のつかないプールでの着衣での立ち泳ぎに(男子訓練生も気絶者あり)、ロープを使ったレンジャー訓練・・・。

 極めつけは、災害を想定した夜間の徒歩移動。

 50kmの道のりを10kg以上の重装備で挑み、各所にこれまた過酷な訓練が待っているのです。

 坂道を後ろ向きになって全力で下る訓練では、後の徒歩のことを考えて手を抜いたと、追加を命じられ、鬼教官からリュックを否応なく引っ張られて足元がもつれ・・・

 誰かが訓練中笑ったと教官に怒られて、途中引き返されたり、走らされたり・・・

 泣くな、泣くな、卵たちよ。

 沿道では市民の温かい声援に見守られ・・・

 早朝訓練所に戻ったときには、職員の拍手に迎えられ・・・

 思わず朝から感動、感動、感動・・・

 親御さんの前での訓練発表会で、招かれた親御さんの感想がまた素晴らしい。

 「何もできない娘をここまで育ててくれた、教官の先生が大変でしたでしょう。」とわが子のことよりもまず、恩師を思いやる。

 くゎ~、こういう親御さんをして、あの娘たちありなんだ。

 一方鬼教官は発表会の前、緊張する訓練生と手をつなぎ、輪になって「今日だけは俺も○○期生に入れてくれ!」とパワーと思いを共有します。

 そして感動の卒業式。

 涙、涙、彼女たちのあふれる涙が止まりません。

 泣け、思いっきり、今日ばかりは。

 君たちの涙は尊い

 そして教官の胴上げと。


 
 まあ、絵に描いたような根性モノと言われるかもしれませんが、こーゆーのは大好きです。

 特殊な環境の人たちや、あまりにくだらなく下卑な出演者、あるいは単なる変わり者や、かぶき者の特集や、芸人たちのお笑いより、こうゆう一般市民の美しき魂や涙を、夕げの時間にぜひ届けて欲しいものです。

 根性や努力、怒られたり、ゲンコツもらったり、涙を流したって・・・いーじゃないですか?

 普段、人権や権力に過剰にうるさいコメンテイターも、このときばかりは「普通の会社でもやったほうがいいんじゃない?」と極めて自然でまっとうな意見。

 若者には受け入れられないかもしれませんが、厳しい環境は己を磨くためには必要です。

 それが証拠に、訓練生は男女を問わず、みなきびきびとしており、凛々しく、精悍な顔立ち。

 こういう方たちの流した涙が社会を支えてくれて、僕たちの生活があることをつくづく感じました。

 がんばれ 卵ちゃん 感動をありがとう

美肌の素?アミノ酸12

2007年11月18日 10時56分48秒 | Weblog
 アミノ酸には、界面活性作用があり、石鹸やシャンプーに使われだしました。

 アミノ酸系のシャンプーなどは、アミノ酸系の界面活性剤は皮膚のpHに近い「弱酸性」と「低刺激」、分解がよいため「地球環境」が言われておりました。

 しかし、これまでのグルタミン酸系のものでは、泡立ちや使用感に問題があったようです。

 最近では、弱酸性下での「泡立ちの良さ」と「さっぱりとした使用感」を実現したものも登場しているようです。

 しかし一方では、アミノ酸系の界面活性剤は親水性のものが多く、したがって皮脂を流失させ、皮膚のバリアを壊す危険なものが多い・・・という反対意見もあります。




 酸化されるとシスチンとなる『システイン』は、髪のパーマや香料、パンの添加剤として使われます。

 またシステインは、美白剤としても有名です。

 メラニン色素の前段階であるドパキノンと反応してメラニン色素の生成を抑える働きがあるとされます。

 加えましてビタミンCと協力して黒色メラニンの無色化、皮膚の新陳代謝を促進してメラニン色素の排泄促進にも効果があるといわれます。


 さらにシステインは肝臓でメチオニンから生成されますが、喫煙やアルコール摂取でシステインの生成が妨げられ、抜け毛や薄毛の原因になってしまうという意見もあります。

 またシステインには二日酔いの原因物質の分解・代謝を促進し、二日酔いの症状を改善する効果もあるとのこと。





 アミノ酸をいろいろ見てきました。

 しかし、単独の、机上の効果・効能をうたうだけでは、ダメなんです。

 試験管ではなく生体内で、本当に投与された方が、恩恵を手にできたのか?

 普通に食生活が採れている人が、さらに投与されてどうなるのか、変わりないのか?

 過剰投与の弊害はあるのか?

 飲んだ場合の体内への吸収率や、血中濃度、ターゲット組織へのデリバリーや、その臓器での振舞い、さらには効果のエビデンス・・・。

 これらに着目していきたいと思います。



-このテーマの終わり-

美肌の素?アミノ酸11

2007年11月15日 19時07分36秒 | Weblog
 さて、いよいよ美肌の真打ち、「プロリン」です。

 プロリンはコラーゲンに多く含まれていて、骨、腱、じん帯、結合組織を構成します。

 非必須アミノ酸なので体内で合成できます。

 食事では動物の腱、じん帯、軟骨に含まれ、これらを食べる必要があります。

 ところが中華では好まれますが、これらの食材は和食では捨てられることが多いのが特徴。

 L-プロリンは体内で合成されますが、低タンパク摂取者やベジタリアンでは適量を産生することは難しいと考えられているようです。

 不足すると、腱障害や疲労骨折に関与するとも・・・。

 生体内での働きとしては、

①表皮細胞増殖促進活性
②コラーゲン合成促進活性
③角質層保湿作用

などの生理活性を示す、と言われております。

 また、一度破壊されたコラーゲンを修復する力をもつアミノ酸とのこと。

 必須アミノ酸の1種であるL-リジンと、体内にもともと存在するL-プロリンはともに働いてコラーゲンを生成し、また一度破壊されたコラーゲンを修復する力を持つアミノ酸として知られているわけです。

 つまりプロリンは、肌の再生という面において、ビタミンCと一緒に働いて、より効果を発揮し、年齢とともに生じる肌の張りの消失、シミや肌荒れを防ぐといわれているのです。

 したがいましてプロリンは、健康な肌を保つために重要な成分である、ということは間違いないようです。



 一方、肌の保湿に大切なのが、表皮角質における細胞間脂質のセラミドとNMF:Natural Moisturizing Factor(天然保湿因子)。

 NMFは角質層、角質細胞の中にあり、水を吸収し、保持する物質のことです。

 NMFは角質層の底部でフィラグリンというたんぱく質が酵素分解されて作り出される・・・つまりNMFは角質細胞がターンオーバー(新陳代謝)の途中で壊されてできるのです。

 主成分は各種アミノ酸類、乳酸、尿素、クエン酸塩やPCA:ピロリドンカルボン酸などであり、NMFの40%がアミノ酸です。

 PCAもグルタミン酸から作られる代謝産物です。

 NMFに含まれるアミノ酸の種類の中で、保水力がもっとも強いのも、このプロリンです。

 プロリンは、別種のアミノ酸であるアルギニンからもつくることができます。

 また荒れてしまったお肌にアルギニンを添加した保湿剤を塗ると、肌の再生が早くなることがすでに実証されています。

 NMFに取り込まれた水分は「結合水」マイナス20℃でも凍らないと言われております。

 しっとりとした肌になりたい方にとって、もっとも有効なアミノ酸は、プロリン、アルギニン、PCAの3つであると言ってよいでしょう、とのことです。

美肌の素?アミノ酸10

2007年11月14日 12時09分43秒 | Weblog
 今日は「トリプトファン」です。

 トリプトファンは、牛乳から発見され、中枢性疲労に関係します。

 蛋白質の利用率の向上をもたらし、脳内の興奮を鎮める神経伝達物質の「セロトニン」および、サーカディアンリズム(概日リズム:がいじつリズム =体内時計)を安定させるとされる「メラトニン」の生合成素材にもなります。

 その結果、精神的・肉体的苦痛の緩和を効果的にもたらすとされております。

 そのためうつ症や肥満、不眠症、アルコール依存症を含む多くの病気の治療、さらには栄養補給食や乳児用流動食として使用されてきたそうです。

 ところが米国で起きてしまった、日本企業製造のトリプトファン事件。

 遺伝子組み換え細菌の発酵によって作られたトリプトファンに含まれた不純物が原因でしたが、遺伝子を組み込んだことで予期し得ない有害物質ができ、しかも、これを濾過して取り除く精製工程を無視したことが原因だったそうです。

 好酸球増多・筋肉痛症候群 (EMS:Eosinophilia-Myalgia Syndrome) が発症し、5,000人以上の罹患者を発生させ、結果として死亡例もあったと聞きます。

 その企業は、約2,100億円の賠償金を支払うに至ったそうです。

 遺伝子工学、生命工学の革新と規制に相まって、かなりの問題となりましたし、FDAの責任、情報公開の遅れを問う声も少なからずお聞きになったと思います。

 ここでも科学の発展と、倫理・規制というデリケートな問題が露呈しました。

 それまではトリプトファンが問題ではなく、遺伝子操作をした結果の予期せぬ有害物質が問題だったとされておりました。

 その後の調査では、原因は不純物ではなく、トリプトファンの過剰摂取によるもので、遺伝子操作細菌は無関係だという意見もあり、真相は分かりません。

 しかし言うまでもなく、被害に遭われた方のお気持ちは察して余りあるものがあります。

 繰り返さないためにはどうすればよいのか・・・僕たち市民、一人ひとりも考える必要があります。

 
 さて本書に戻ると、トリプトファンは脳内で、アルブミンと結合して存在します。

 トリプトファンがアルブミンから遊離するときにセロトニンを生じるそうです。

 脳内にセロトニンが増えると、眠気が出て、集中力が低下します。

 また負荷の多い運動を長時間続けると、血液中の分岐鎖アミノ酸の濃度が低下することはお話しました。

 その際に分岐鎖アミノ酸を摂取すると、運動によるセロトニンの上昇を抑えるという発表があるそうです。

 これは血中分岐鎖アミノ酸濃度が高いと、脳へのトリプトファンの取り込みが少なくなるからだそうです。

 トリプトファンは不足すると精神的に不安定になりやすく、催眠障害を起こすことがありますが、過剰摂取は肝臓に悪影響を与えることがありますので、摂り過ぎには注意が必要です。

 肉、さかな、牛乳などのたんぱく質や、ひまわりの種などのナッツ類に多く含まれます。

美肌の素?アミノ酸9

2007年11月13日 13時01分58秒 | Weblog
 続きまして本日は「グルタミン」です。

 グルタミンは小麦グルテンの加水分解物から初めて発見され、この名がついたそうです。

 グルタミンが酸加水分解されるとグルタミン酸となります。

 グルタミンもグルタミン酸も何だか似てますが、ま、似て非なるもの。

 グルタミン酸がたくさんつながると、納豆の粘性物質であるポリグルタミン酸になります。

 日本の10大発見といわれる、池田菊苗による、昆布のうま味成分がグルタミン酸ナトリウムであるという発見が、【UMAMI】に、そして味の素につながったというのはお話しました。

 僕の記憶が正しければ、子供の頃、お新香にも味の素を振って食べておりましたが、ある日突然食卓に並ばなくなりました。

 調べてみたところ、グルタミン酸ナトリウムの毒性という問題が起きたそうです。

 1968年に中華料理を食べた人が、頭痛、顔面の紅潮、体の痺れなどの症状を訴えた「中華料理店症候群 」(Chinese Restaurant Syndrome) の話が有名だそうです。

 しかし、【UMAMI】の名誉のために・・・現在ではFDAもグルタミン酸ナトリウムをGRAS (Generally Recognized As Safe) として、食酢や食塩と同等の安全性であることを認めているそうです。

 ですが、多くの検証にもかかわらず、米国ではいまなおグルタミン酸ナトリウムの摂取が脳などに深刻な被害を及ぼすと考える人々が存在するそうです。

 まあ、食塩でもそうですが、何事も限度はありますので・・・。

 一部では東洋人に緑内障が多いのはこのせいだ、と主張する説もあるようです。


 グルタミンは、筋肉に痙攣や痛みを起こした場合に、サプリメントとして用いられるので有名です。

 筋肉損傷の防止と筋力増強作用があるそうです。

 本書によれば、グルタミンは人間の体の中で最も量が多く、負荷の大きい運動を続けるなどして肉体的なストレスがかかると、エネルギー源として体内でグルタミンの利用が亢進するそうです。

 理由は、筋たんぱく質の分解が活発になり、筋肉中からグルタミンが放出されるからだそうなり。

 また免疫細胞の発育と増殖を促進させる作用があり、風邪などの感染症にかかりにくくなるそうな。

 何が過酷かと申しまして、当たり前の話ですが・・マラソン後、選手の約80%が何らかの体の不調を訴えるそうです。

 ところがグルタミンを摂取していると、不調を訴える率が顕著に低下する報告があるそうです。

 オックスフォード大学で二重盲目検定され、グルタミン投与群ではマラソン後、感染症が50%から20%に低下したそうです。

 さらには外科手術後、筋肉中の遊離グルタミンの量は大幅に減少するため、開腹手術後、グルタミンを投与すると、入院日数が減少するそうです。

 さらにさらに、腸の栄養源(微じゅう毛再構築)消化器粘膜上皮を作る糖たんぱく質の生成促進し、いわゆる腸の防御作用や洗浄作用にも寄与するそうです。



 一方、グルタミン酸は神経伝達物質としても機能しており、グルタミン酸受容体を介して神経伝達が行われ、興奮性の神経伝達物質であるそうです。

美肌の素?アミノ酸8

2007年11月12日 13時50分43秒 | Weblog
 ピッチャーが投げ終わると、最近はアイシングと言って、氷で肩を冷やして、炎症を予防したり、乳酸を貯めないようにしてますでしょ?

 ですから僕も・・・アスリートじゃぁありませんがね 
 
 ゴルフが終わった後には・・・特にこれから寒くなると、どうしてもお風呂にゆっくりつかって、「は~極楽、極楽」と行きたいところを、さっと冷た目のシャワーで汗を流すだけにして体をむしろ冷やすようにしております。

 温泉付のゴルフ場の場合など、誘惑に負けることもしばしばありますがね・・・。

 で、その結果、翌日の疲労度は、ゆったりつかったときに比べ、少ないように感じております。



 BCAAに続いては、「アルギニン」です。

 アルギニンは、成長ホルモンの分泌に深くかかわっているそうです。

 筋肉増強のためにも、筋肉の損傷を修復するためにも、成長ホルモンは不可欠とされます。

 成長ホルモンは、老化によって分泌が減りますが、癌の成長を促進するのにも関与するので、デリケートなホルモンです。

 アルギニンは、筋タンパク質合成を促進し、筋肉を強化したり、傷の直りを早めてくれるそうです。

 また病原体を捕食する、マクロファージという細胞を活性化させる働きもあると。

 マクロファージには、病原体ばかりか、筋損傷で筋肉から放出されたたんぱく質を除去する働きがあるので、筋肉の修復が効率よく行われるらしい。

 また運動時に疲労感の原因となる、アンモニアの血中濃度の上昇をアルギニンが抑えるそうです。


 ということは、アルギニンには、血管拡張作用、免疫増強作用、内分泌系作用(成長ホルモン分泌促進)があるということですが・・・

 他にも、循環器生理機能調節作用として、『一酸化窒素』(NO)の合成に寄与し、体循環・腎臓循環の調整、血圧調整も行うそうです。

 ちなみに、『一酸化窒素』とは聞きなれませんが、そのシグナル機能において、1998年ノーベル医学賞が与えられ、リアップやバイアグラにも関係します。

http://www.pharm.or.jp/dictionary/wiki.cgi?%E4%B8%80%E9%85%B8%E5%8C%96%E7%AA%92%E7%B4%A0