医師日記

「美」にまつわる独り言です
水沼雅斉(みずぬま まさなり)

信仰の美風と遺伝子11

2006年08月27日 13時39分39秒 | Weblog
 さて、「ダヴィンチ・コード」でお馴染のダン・ブラウンによる、以前にもご紹介しましたが、宗教(特にカトリック)と科学の対立をとっても興味深くフィクション化した「天使と悪魔」という物語があります。

 この物語は僕にとっては、ラングドン先生があまりに超人的でやりすぎのきらいも受けましたが、ダヴィンチ・コードよりも面白く感じられ、きっとすぐに映画化されることでしょう。

 僕が大好きなイタリア、バロックの彫刻家、「ベルニーニ」が物語の鍵となり(どういうわけだか傑作のひとつ「バルダッキーノ」は出てこなかったと記憶しておりますけれども)、そのことでも大変興味深く思いました。

 それにしても西洋の宗教がかかわる読み物は、これまた以前にも書いたとおり、スケールも大きく、宗教の研究自体も系統立てて進んでいるので、かなり緻密にプロットが練られた作品が多く、とっても面白く読ませてくれます。

 日本の作品では宗教の停滞もあって、この醍醐味は残念ながら味わうことができません。

 確かにキリスト教の言う神の存在と創世記に対して、科学が解明しつつあるビッグ・バンから始まる量子力学と物理・数学・天文学を駆使した宇宙創成や宇宙膨張説の壮大なテーマ、そしてダーウィンの進化論は相容れない部分があります。

 僕は他の人が大切にしている宗教に対して、言論の自由を振りかざして、一方的に非難したり貶(おとし)めたくはしたくありません。

 しかし、本来科学が最も進歩しているとされるアメリカでは、アダムとイヴの存在や、過去一万年以内に地球が6日で創られたとそのまま信じている有権者が、なんと50%もいるといわれているのです。

 この数字が本当だとしたら驚くべきことです。

 これはアメリカ共和党における、キリスト教原理(根本)主義の持つ票田が密接に関係していることとも思います。

 キリスト教根本主義はキリスト教のうちプロテスタントの福音派右派を指します。

 このキリスト教原理主義は聖書の誤謬(ごびゅう)を認めず創世記に忠実で、聖書に矛盾する科学や進化論などは一切受け入れません。

 そしてこの原理主義はアメリカでも南部で影響力が強く、共和党の支持母体として急進しております。

 合衆国州政府には進化論を歴史教科書から削除するところも出てきている始末だそうです。

 社会的には同性愛・堕胎を一切認めません。