医師日記

「美」にまつわる独り言です
水沼雅斉(みずぬま まさなり)

信仰の美風と遺伝子4

2006年08月20日 15時22分21秒 | Weblog
 ちなみに「聖典の民」の始祖アブラハムは共通ですが、ユダヤ教はトーラーを遵守し、ユダヤ人が救われるための思想、キリスト教はキリストが復活したことに超人的な意義を持ち、その後の使徒が広めた思想、イスラム教は六言五行というアラビア語で書かれたクルアーンを実践し、ムスリムの共同体の相互扶助関係や一体感に重きを置き、偶像崇拝を一切禁じる宗教です。

 3つの「アブラハムの宗教」は預言者や教典は異なりますし、信仰する神の呼び名も異なりますけれども、基本的には同じ神を信仰し、みな同じアブラハムからの流れを汲むものです。

 なのにどうして殺しあうのでしょうか?

 いつの日か新たな超人的預言者が現れて、3者が平和的に共存できる世界が実現すればいいのに・・・。

 ちなみにイスラムの素晴らしい建造物や、巡礼の敬虔さと圧倒的・神秘的な力・・・に多少触れましたが、イスラムの世界では偶像崇拝は硬く禁じられており、またサウジアラビアでは観光ビザは発給しておりませんし、巡礼はイスラム教徒しか見ることはできません。

 どうしても見たい場合はイスラム教徒に改宗するしかありません。

 近代はキリスト教国、または白人の文化が世界趨勢の大勢を占めておりますが、ついこの間まで(ルネサンス~産業革命頃まで?)は、イスラム(アラブ)国家の方が文化において勝っており、白人国家はむしろ野蛮であったり大きく遅れを取っておりました。

「アラビアのロレンス」というとてつもなくスケールが大きく、現代映画では制作が不可能とまで言われているイギリス映画の大作があります。

 遺跡好きであることとさまざまな本での体験以外に、あくまでイギリス人からの視点ではありますが、僕がまだ生まれる前に撮られたこの映画を見たことが、中東問題に興味を持つきっかけのひとつになりました。

 今日のエルサレムをめぐる混乱は、現地の宗教的・民族的な対立ばかりではなく、欧米や国外ユダヤ人の既得権益や私利私欲が深く根強く反映されている結果であることをしっかり認識しなければなりません。