【筆洗】:御慶(ぎょけい)。二〇二三年の幕開きである。正月早々、縁起…
『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【筆洗】:御慶(ぎょけい)。二〇二三年の幕開きである。正月早々、縁起…
御慶(ぎょけい)。二〇二三年の幕開きである。正月早々、縁起の悪い言葉を持ち出すのは気が引けるが話は「分断」となる
▼意見の対立や食い違いはいつの時代もあることだが、意見の違う者同士が互いに背を向け、あるいは攻撃し合う。それが分断なのであろう。経済、安全保障はいうに及ばず、果てはエスカレーターの乗り方、漫才のネタの適切不適切まで世間の考えは分かれ、憎悪や敵視にまでつながる時代である
▼最近は分断という言葉さえ目立たなくなった気もするが、それほど、分断は常に存在し、当たり前になってしまったのかもしれぬ
▼本紙の論説委員が今年への思いや願いを託した漢字一文字をそれぞれ選んだ。三日付朝刊のお楽しみだが、これに便乗するなら、浮かんでくるのは「橋」である
▼今年も間違いなく世間を二分する問題が出てくる。中国との関係は。防衛費は。意見の違いはあっても、それぞれの岸から石を投げ合うばかりではよりよい解決策にはたどり着けまい。賛成できなくとも意見の異なる人の事情や胸の内を知ろうとするため、対岸と対岸を行き来できる橋。その気持ちを持っていれば、憎悪や暴力につながるまい。よき知恵も浮かぼう。橋の上で議論したい
▼<初雪やかけかゝりたる橋の上>芭蕉。橋の完成が近づくのを見た喜びの句か。橋の完成を待とう。本年も小欄、何とぞお引き立てのほどを。
元稿:東京新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【筆洗】 2023年01月01日 07:05:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。
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