【2024年秋・衆院選】:自公228議席、過半数割れで大政局へ 立民は「敵失」追い風に144 国民が倍増以上の19、日本保守党3議席か 政党別獲得議席予測
『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【2024年秋・衆院選】:自公228議席、過半数割れで大政局へ 立民は「敵失」追い風に144 国民が倍増以上の19、日本保守党3議席か 政党別獲得議席予測
【2024年秋・衆院選】
■選挙プランナー・松田馨氏が徹底分析
衆院選(27日投開票)の選挙戦は残り3日間となった。石破茂首相(自民党総裁)は「勝敗ライン」に設定した「自民、公明両党で過半数」を死守するため激戦区でテコ入れし、立憲民主党の野田佳彦代表は追い風を受けて攻勢を強めている。こうしたなか、自民党が派閥収入不記載事件をめぐり、衆院選で非公認とした候補が代表を務める党支部に活動費2000万円を支給していたことが発覚し、「偽装非公認」「ステルス公認」などと激しい批判が噴出した。情勢分析で定評のある選挙プランナーの松田馨氏に政党別獲得議席の終盤予測を依頼したところ、自公与党は大きく議席を減らして計228議席にとどまり、過半数(233議席)を割り込むとの結果が出た。このままでは、選挙後の大政局は避けられそうにない。
■【表でみる】夕刊フジが作成した「落選危機にある大物・著名候補21人のリスト」
「極めて厳しい情勢だ。日本のために、次の時代のために皆さんの力を賜りたい」「(立憲民主党は)『政権交代こそ政治改革』と言うが、どんな政策をやろうとしているのか全く分からない。そんな無責任な人たちに日本を任せるわけにはいかない」
石破首相は23日、水戸市で街頭演説し、こう声を張り上げた。悲壮感が漂っていた。
自民党の候補者や都道府県連宛に21日付で出した「緊急通達」では、「選挙は重大局面を迎えている。底力を発揮するのは今この時だ」などとげきを飛ばしたが、状況は危機的のようだ。
松田氏の分析では、石破首相の自民党は選挙前の256議席から53議席減の「小選挙区144、比例59の203議席」と歴史的惨敗となった。
衆院解散日(9日)の情勢分析では226議席だったが、逆風はさらに強まっている。石破首相の解散時期をめぐる「変節」「豹変(ひょうへん)」や、派閥裏金事件をめぐる「非公認」「比例重複外し」などの影響もあるようだ。
松田氏は「自民党の戦略ミスだ。石破首相が世論の人気を得たのは『自民党内野党』を貫いていたからだ。ところが、総裁や首相になると信条の『熟議』をひるがえして『野党の準備が整わないうちに選挙戦に踏み切るべきだ』との執行部内の声に押され、電光石火での解散総選挙に踏み切った。選挙で『政治とカネ』の問題に決着をつけるのは悪手だ。国民世論はお灸をすえる方向に傾き、野党は追及型の選挙を戦える」と語った。
石井啓一新代表の初陣で、連立与党を組む公明党も、自民党炎上のあおりで情勢は厳しい。選挙前の32議席から7議席減の「小選挙区6、比例19の25議席」にとどまるとの予測だ。
関西圏では「常勝」とうたわれたが、日本維新の会が大阪3、5、6、16各区で対立候補を擁立するなど、苦戦している。
松田氏は「危機感のなかで懸命の選挙戦だが、小選挙区で勝ち切れず、比例も減らしそうだ」と分析した。
自民党と公明党の合計で228議席で、自公与党は過半数割れとなる。
松田氏の予測通りなら、「勝敗ライン」に達しなかった石破首相は「ルールを守る」との公約通り、内閣総辞職などを決断する可能性がある。居座ろうとすれば、党内から「石破おろし」が噴出しかねない。当然、森山裕幹事長と小泉進次郎選対委員長も連帯責任を問われる。
自公は与党を維持するために、国民民主党や日本維新の会などに連立参加を打診するとみられる。ともかく、選挙後は大政局になりそうだ。
これに対し、野党第一党、野田佳彦新代表の立憲民主党は、選挙前の98議席から「小選挙区99、比例45の144議席」に躍進するとの予測だ。
松田氏は「自民党以外へ投票される票の受け皿だ。『敵失』が非常に大きい。激戦区を中心に小選挙区で競り勝つケースが増えそうだ」とみる。
馬場伸幸代表の日本維新の会は伸び悩む。選挙前は44議席だが、「小選挙区19、比例19の38議席」と厳しい結果が予測される。前回衆院選より小選挙区は3議席増で、比例は6議席減となる。
日本保守党3議席「小選挙区1、比例2」 国民民主党、7議席から倍増以上19議席
松田氏は「地方議会で着実に議席を増やし、今回も160人超を擁立したのは見事だったが、政党支持率で立憲民主党を抜ききれなかった。兵庫県知事の告発文書問題での対応が批判されるなど、不祥事も勢いに水を差した」と語る。
玉木雄一郎代表率いる国民民主党は、選挙前は7議席だが、「小選挙区6、比例13の19議席」と倍増以上の予測。
松田氏は「現役世代の支持が高く、都市部を中心に比例で大きく伸ばしそうだ。『政治とカネ』の問題から離れ、経済対策など政策論をアピールしたのが奏功した。『手取りを増やす』という直接的な提言も目を引く」と語る。
田村智子委員長の共産党は、選挙前は10議席だが、「小選挙区1、比例10の11議席」と1増の予測。
「小選挙区で苦戦しているが、『裏金問題の発覚は共産党発』を猛アピールしている。野党共闘が実現していれば、自民党はさらに厳しい戦いだった」(松田氏)
新興勢力のれいわ新選組は、選挙前3議席から「比例6の6議席」。参政党も、選挙前1議席から「比例3の3議席」と議席を伸ばしそうだ。
「両党とも政権を強烈に批判し、既成の政治を批判して支持を広げてきた。地方議会に進出して着実に足場を築き知名度、存在感は上がった。比例で議席を取る戦略が機能している」(同)
ベストセラー作家の百田尚樹氏と、ジャーナリストの有本香氏らが立ち上げた政治団体「日本保守党」は、「小選挙区1、比例2の3議席」となりそうだ。
松田氏は「現状で、計100万票以上を獲得しそうだ。今後、インターネットを中心に、保守層に発信力のある候補者がさらに票を取り込めるかがポイントだ」と語った。
自公与党にとっては絶望的な予測だが、松田氏は最終盤の情勢をどう見るか。
「政治不信を背景に投票率は52%程度に落ち込み、過去最低となる可能性もある。自公に有利との見方もあるが、自民党支持層も減少しており、今回は投票しないケースも増えそうだ。最終盤で『非公認候補者が代表の政党支部に2000万円を支給した』との報道が出たことは、新たな逆風になる。石破首相はここに来て『悪夢のような民主党政権』と発言して波紋を呼んでいる。かつて同じ言い回しを繰り返した安倍晋三元首相を非難した経緯があるだけに、また『変節』との批判が出ている。情勢が厳しさを増すにつれ、一事が万事、場当たり的な言動になっているのは大きな不安要素だ」
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元稿:夕刊フジ ZaKzak 主要ニュース 政治 【政局・選挙・2024衆院選】 2024年10月24日 17:00:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。