路地裏のバーのカウンターから見える「偽政者」たちに荒廃させられた空疎で虚飾の社会。漂流する日本。大丈夫かこの国は? 

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【政局】:8時に「瞬殺」でもしがみつき まだ辞めない総スカン首相の驚くべき鉄面皮

2024-05-01 07:15:30 | 【社説・解説・論説・コラム・連載】

【政局】:8時に「瞬殺」でもしがみつき まだ辞めない総スカン首相の驚くべき鉄面皮

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【政局】:8時に「瞬殺」でもしがみつき まだ辞めない総スカン首相の驚くべき鉄面皮 

 注目された衆院3補選は下馬評通り、岸田・自民に国民の鉄槌が下った。

 与野党一騎打ちとなった島根1区は立憲民主の亀井亜紀子が圧勝、自民が不戦敗だった長崎3区、東京15区はいずれも立憲の候補が制した。

 この結果を見て、日本中が「山が動く」予感と興奮に包まれているのではないか。政治記者歴50年の野上忠興氏も、そんな一人だ。

<picture>8時に決まった「岸田NO」(衆院島根1区補欠選挙、当選を決め、万歳する立憲民主党の亀井亜紀子氏=中央)/(C)共同通信社</picture>

 「長年、選挙予想をしてきました。289小選挙区と言っても、すぐに◎を打てる鉄板選挙区が自民党にはいくつもあった。島根1区はイの一番に自民に◎をつけてきた選挙区ですよ。そこが8時の開票と同時に落選が決まった。それにまず驚き、翌日、新聞の出口調査を見てさらに驚いた。自民の支持層の2、3割が亀井氏に流れていたからです。統一教会が動かず、学会票にも愛想を尽かされ、岩盤支持層も崩れた。明らかに潮流が変わったことがハッキリわかりました。これは一時的な現象ではありませんよ。カネにまつわる怒りですから、選挙を先送りしたところで、国民は絶対に忘れません。私も政権交代前夜の予兆と興奮を感じています」

 2012年の安倍政権以来、国民はイヤというほど、政治のデタラメ、横暴を見せつけられてきた。モリ・カケ・サクラは言うに及ばず、大企業だけを利し、庶民を切り捨て、そのくせ、自分たちだけが裏金で潤い、破廉恥な醜聞を繰り返してきたのは周知の通りだ。しかし、いざ選挙になると、分断された野党は利権政党の前に屈してしまった。野党もどきの維新や国民民主が有権者をひっかき回し、自民は図に乗り、やりたい放題。自分たちの私腹を肥やすだけでは飽き足らず、庶民にはインボイスと大負担増を並べてきた。あまりの理不尽に対する怒り、悔しさ、やりきれなさ。マグマのようにたまった積年の恨みが今、自民党という汚物の山を動かそうとしているのだ。日本中から「思い知ったか、自民党!」の声が聞こえてきそうだ。

 ◆選挙結果にまるで他人事の岸田首相

 ところが、この選挙結果を突きつけられ、なお、政権にしがみついているのが岸田首相だ。

 29日の読売新聞には目をこすりたくなるような話が載っていた。選挙結果を受けて岸田は周囲にこんな心境を吐露したというのである。

 「不祥事の後の選挙はこういうものだ」

 まるで他人事、評論家のセリフではないか。この発言にこそ、岸田の裏金問題に対する意識が読み取れる。「あれは安倍派の話。オレには関係ない」ということだ。

 だから、岸田が通り一遍の謝罪を口にしても、国民には響かない。「火の玉」「先頭に立つ」など、空疎な言葉が空回りする。

 それが完全に見透かされているのに気づかない。恐ろしいほどの神経だ。自分のことしか眼中にないのだ。

 ◆島根補選は岸田信任投票ではないか

 今度の補選では元東京地検検事で弁護士の郷原信郎氏が立憲の候補の応援に入った。松江出身の郷原氏は岸田が裏金問題で自分に処分を科さなかったときに「最終的に国民、党員の判断をいただく」と啖呵を切ったことを捉え、こう訴えた。

 「岸田首相の言う“国民の判断”とは選挙のことです。今度の3補選は裏金問題が発覚してから初めての選挙です。その中で、自民党が候補者を立てられたのは島根1区だけです。岸田首相にとって、この選挙区こそが国民の審判を仰ぐ場なのです」

 まったくもって、その通り。ここでの補選には岸田の「信任投票」の意味合いがあったことは言うまでもない。岸田だって、十分、自覚しているはずで、だからこそ、2回も応援に入った。2度目は岸田の独断で急きょ決まって周囲も慌てた。その結果が開票と同時の「瞬殺」「惨敗」だったわけで、「“今すぐ辞めろ”が国民の声」と謙虚に受け止めるべきなのである。

 ◆地球の裏側弾丸ツアーで「やる気」の怖さ


 2度目は異例だった島根入り(最終日、錦織功政氏の最後のお願いに駆けつけた岸田首相=左)/(C)共同通信社

 それなのに、岸田の鉄面皮たるや、鋼のごとしだ。朝日新聞には、読売とは別のコメントが載っていた。

 「(3補選の全敗は)みんな予想していた(ことだ)」

 これものけぞる発言だ。「大したことじゃねえだろ」とでも言いたいのか。で、連休中はフランス、ブラジル、パラグアイを3泊6日で強行する「地球の裏側弾丸ツアー」に出かける。国民は円安で海外どころじゃないのに、イイ気なものだ。しかも、この旅の目的がグローバルサウスでの「顔売り」なのだ。ブラジルは今年のG20の議長国でもある。だから、パートナーシップを深めて、ともに世界をリードしていく。こんな魂胆、野望なのだろうが、このやる気にもゾッとする。一体、いつまで首相をやる気なのか。改めて、郷原信郎氏にも聞いてみた。

 「今度の補選は錦織功政さんという自民党の候補者が負けたのではなく、岸田首相が惨敗したのだと思っています。私の訴えに島根の人の反応がすごくよかったし、今度だけは自民党に投票できないという思いが亀井さんの票につながったのでしょう。岸田首相は自分への審判として重く受け止めるべきです。他人事のようなセリフでゴマカすなんて最悪です」

 なぜ、自分に裏金処分を科さないのか、と聞かれれば、「それは国民の判断を仰ぐ」と言い、その審判が下れば、「オレのせいじゃない」とばかりに居直る。党内は党内で、そんな岸田を傍観している。「いまは内輪もめをするときじゃない」とか言って様子見を決め込んでいる議員ばかりだ。信じられない弛緩である。この間にも市場では狂乱の円安が進んでいる。市場は「レームダック政権だから安心」となめている。それなのに、平然と居座り、居直る首相。政権交代への国民の興奮も束の間、それが悲鳴に変わるかもしれない。

 ◆規正法次第で総裁選前倒しの展開も

 この先、政局はどう展開していくのか。いつまでこんな政権が続くのか。国民の高揚が冷えていくのを待つ気なのか。有権者は気が気じゃないが、前出の野上忠興氏の見立てはこうだ。

 「基本的には今度の補選で岸田首相の退陣は決まったとみています。首相は会期末の減税解散を模索するでしょうが、この補選結果でできるわけがない。羽交い締めにされるだけです。ただ、今すぐ岸田おろしになるかというと、コップの中の嵐をしていては、ますます国民から見放されてしまう。派閥も解体し、反主流派を形成しにくい事情もあります。9月の総裁選まで様子見、総裁選で引きずりおろせばいい。そんな考えが党内の主流ではないですか。総裁選をやり、新総裁で支持率が上がれば解散・総選挙。上がらなければ、裏金問題の風化を待つ。限りなく、任期満了に近い選挙になるかもしれません」

 だとすると、国民から総スカンの政権があと半年も続くのか。

 「補選3連勝で勢いづく立憲民主は後半国会でもガンガン、政治と金を追及していくでしょう。政治資金規正法改正がのっぴきならなくなる事態もあり得ます。そうなれば、首相退陣や総裁選の前倒しが現実味を帯びてきます」(野上忠興氏=前出)

 立憲は規正法改正で政治資金パーティーの全面禁止を掲げている。自民党はのめるわけないが、国民世論は抜け穴だらけの自民党案に呆れている。自民党内では茂木幹事長の更迭、「石破幹事長で目くらまし」なんて案もあるらしいが、そんな小手先で流れが変わるとも思えない。

 今後は鉄面皮首相を立憲がいかに追い込み、それを国民世論が後押しするか。岸田退陣を一刻も早めることが国民生活にとって肝心だ。

 元稿:日刊ゲンダイ DIGITAL 主要ニュース 政治・社会 【政治ニュース・岸田政権・衆院3補選】  2024年04月30日  17:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。


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