【都知事選】:「神宮の再開発」に問題はあったのか…「小池圧勝」に不満を持っている人の考え方
『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【都知事選】:「神宮の再開発」に問題はあったのか…「小池圧勝」に不満を持っている人の考え方
◆若い層が支持している石丸氏
7月7日投開票の東京都知事選について、やはり投票終了時の午後8時に当確がでる「ゼロ打ち」で、現職の小池百合子氏が実質的に三選を決めた。
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都知事選は、事実上現職の小池東京都知事と蓮舫元民主党代表の一騎打ちと各マスコミは煽っていたが、結果は、蓮舫氏は2位でなく、3位だった。
筆者は、自分のyoutubeチャンネルで「蓮舫さん猛追!みたいな事が書いてあるが、小池さんの浮動票が落ちている」と分析している。
NHKの速報の通りであるが、その浮動票を奪ったのが、元安芸高田市市長の石丸伸二氏だった。石丸氏は若い層で支持されているので、ダークホースというには余りある勢いだった。
この若い層は、従来失業率の低下とともに若者の就職内定率向上という目に見える政策で安倍政権が得意としていたエリアだ。そこに、実績のない石丸氏はうまく食い込んだといえる。
蓮舫氏は、共産党と組んだので、浮動票は取れなくなった。しかも、投開票日は晴天で酷暑であったが、投票率を高まる方向に作用し、最終的な投票率は期日前投票を合わせると60.56%だった。
◆筆者の主張する小池知事の「安心感」
筆者のYouTubeチャンネルでは、「2位じゃだめですかと言ったら3位になっちゃったでは、これはもう話にならない」と軽口を叩いたが、現実になってしまった。
政策では、小池氏の主な公約として、調整池の整備による水害対策、シェルター整備でミサイル危機に対応、富士山噴火を想定した降灰対策、女性活躍基本条例の制定、年収の壁を越える取り組みの加速、無痛分娩費用に対する助成制度の新設、保育料無償化拡大、都独自の認知症専門病院創設などを掲げている。
現職知事の強みであり、現行都行政の継続とともに具体的な新規策を出している。都知事は、予算などで大きな権限をもっているが、実は行政としては、広域行政、基礎的自治体調整、インフラ整備、危機対応などを受け持ち、生活周りの教育、福祉は基礎的自治体、外交・国防は国という役割分担がある。小池氏の公約は今の都行政をベースにしているので、逸脱はなく安心感がある。
一方、他の候補者はやはり現職でないなかで、一部ではキラリと光るものがあるが、総合的にはやはり見劣りするのはやむを得ない。
その中で、神宮外苑再開発という具体策では、小池氏と蓮舫氏は真っ向から対立していた。
小池氏はこれまでの手順決定で立憲共産党も賛成するなどその正当性を主張するが、蓮舫氏は見直しを求めていた。
◆神宮の再開発は問題はあったのか
しかし、蓮舫氏の公約はやや無理筋であった。都内至るところで再開発が行われている中で、神宮外苑の再開発は問題があったのか。反対している人の意見に妥当性はあるのか。
神宮外苑の再開発の事業主体は、宗教法人明治神宮、独立行政法人日本スポーツ振興センター、伊藤忠商事株式会社、三井不動産株式会社であり、地主は宗教法人明治神宮。東京都が事業に関わるものではない。
東京都と神宮外苑の法的な関係については、明治神宮外苑が1957年に都市計画法により都市計画明治公園として指定されていることに尽きる。神宮外苑の再開発は、2013年に創設された「公園まちづくり制度」の下で進められてきた。
そもそも明治神宮は、政教分離の観点も含めて、公費は支出できない。三井不動産による高層ホテル建設などで収益を稼げ神宮球場建て替えなど再開発に必要な巨額の費用を捻出している。
明治神宮は、これまで神宮外苑の神宮球場などの収益で、原宿にある神宮内苑の整備費用を賄ってきた。しかし、神宮球場の老朽化などで建て替え費用が必要だが、そう簡単にはできないので三井不動産を巻き込んでどうやって費用を捻出するかが、神宮外苑再開発のキモだ。
神宮外苑の樹木が切られる、高層ビルが建つのはケシカランというのが、反対派の言い分だが、都市計画では樹木は増える。また、都市計画法により再開発には各種の制限があるが、今回の再開発でも一定の手順で進められてきており、2022年2月9に行われた都の都市計画審議会おいて立憲民主党の都議会議員は賛成している。
さらに、この再開発をめぐっては周辺住民らが東京都に事業施行認可の効力停止を求める申し立てをおこなってきたが、2024年3月15日、最高裁判所は住民側の特別抗告を棄却し、判決が確定している。
◆予測屋としたら「まずまずの結果」
要するに、民間事業者により行われる東京都の公費負担なしの事業で、行政手続きも司法手続きでも問題ないものとして進められてきたものだ。
もし蓮舫氏のいうように、神宮外苑再開発が見直しちゃぶ台返しされると、これまでの経緯から明治神宮らは東京都を相手として訴えざるを得ないだろう。もし、共産党のように神宮外苑の樹木を切るな(実際には増える!)と叫んで神宮外苑の再開発ができなくなると、神宮内苑の樹木が枯れてしまうという悪い冗談になるだろう。
東京練馬区の練馬城址公園(旧としまえん)は、神宮外苑と同様に地主が民間の都市計画公園だ。そこにはハリー・ポッター関連施設と防災公園がある。ハリー・ポッター関連施設がよくて、高層ビルがいけないという理由はどこにあるのだろうか。しかも、司法での決着も既に終わってる案件だ。いくら何でも、10年にわたる正当な議論のちゃぶ台返しは酷すぎる。
しかも、蓮舫氏は、選挙期間中に神宮外苑は「公共財」といった)。これに対して、明治神宮外苑の所有者は上に述べたように明治神宮が所有者であり、公共財ではないと、「X」ではコミュニティノートが付いたが当然だ。
筆者には、これに対して「明治神宮の私有財産を公共財というのは、共産主義の私有財産否定だわな。収益化を考えないと、神宮内苑の森も維持できなくなるぞ。さすが立憲共産党」とポストした。
なお、筆者は、自分の選挙予測を事前に行っているが、公選法の規定もあり、その内容がわからないようにしている。
「今ある計算をしていたら、珍しい4つの素数がでてきた。11,13,17、29」。
実は、これは都知事選での予想得票者数で、単位は10万人で一位が290万人、二位が170万人、三位が130万人、その他が110万人だ。
明確に石丸氏が二位になると断言したわけでないのは残念だが、一応小池氏の浮動票を食うのは、蓮舫氏ではないといっているので、予測屋としてはまずまずだった。
■髙橋 洋一(経済学者・嘉悦大学教授)
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元稿:講談社 現代ビジネス 主要ニュース 社会 【話題・選挙・東京都知事選、神宮外苑再開発】 2024年07月08日 06:34:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。
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