【社説①】:現職町長逮捕 癒着構図の徹底解明を
『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説①】:現職町長逮捕 癒着構図の徹底解明を
道警は、官製談合防止法違反(入札妨害)などの疑いで、上川管内南富良野町長の池部彰容疑者を逮捕した。
町が発注した道の駅を中心とする再編整備事業を巡り、機械設備工事の一般競争入札で、業者に入札情報を漏らした疑いがある。
池部容疑者から得た非公開情報で落札し、入札を妨害したとして偽計入札妨害容疑で設備会社社長と会社役員も逮捕された。
捜査関係者によると、池部容疑者は社長側から現金を受け取った疑いがあり、道警は贈収賄容疑での立件も視野に捜査するという。
公正かつ厳格な管理が求められる公金の支出を、町政のトップ自らがゆがめていたとすれば言語道断である。道警には徹底した捜査を求めたい。
町も捜査に協力し、町民の信頼回復を急がなければならない。
池部容疑者の逮捕容疑は会社役員を通じて設備会社社長に非公表の工事価格を伝えた疑い。設備会社を含む共同企業体が落札した。
会社役員は池部容疑者が消防支署長時代の部下だった。池部容疑者と設備会社社長の接点になった可能性がある。道警は3人の詳細な関係を明らかにしてほしい。
談合情報は昨年6月の入札前、町や町議に寄せられた。町は調査をして不正はないと判断した。池部容疑者は町議会で疑惑について「関与はない」と否定していた。
町の規定で工事価格は町長には伝えないことになっているが、捜査関係者によると、池部容疑者は担当の幹部に報告させていた。人事権を握る町長に対する職員の忖度(そんたく)はなかったのだろうか。
池部容疑者は町職員を経て2000年に初当選した。6期目で在職22年に及ぶ。
職員や議会の声に耳を傾けずに独断専行に陥ることが多選の弊害とされる。事件の背景について、町や議会による検証も必要だ。
南富良野町は16年に道内などを襲った連続台風で大きな被害を受け、局地激甚災害指定を受けた。
約11億円の道の駅再編事業は災害復興の一環でもあり、「復興と活性化の希望」とされていた。それを踏みにじるかのような事件に憤る町民は少なくないだろう。
官製談合防止法は、道発注の農業土木談合事件を契機に03年に施行された。
だが昨年も開発局で逮捕者が出るなど官製談合は一向になくならない。政府と自治体は再発防止策を検討し、官民がもたれ合う構図を断ち切る必要がある。
元稿:北海道新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】 2022年02月16日 06:54:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。












