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路地裏のバーのカウンターから見える「偽政者」たちに荒廃させられた空疎で虚飾の社会。漂流する日本。大丈夫かこの国は? 

 路地裏のバーのカウンターから見える「偽政者」たちに荒廃させられた空疎で虚飾の社会。漂流する日本。大丈夫かこの国は? 

【話題】:右派論客のトンデモ発言を収録した映画『主戦場』の裁判で、ケント・ギルバート、テキサス親父らの上映禁止請求が棄却!

2022-02-19 23:50:50 | 【裁判(最高裁・高裁・地裁、裁判員制度・控訴・冤罪・再審請求、刑法39条】

【話題】:右派論客のトンデモ発言を収録した映画『主戦場』の裁判で、ケント・ギルバート、テキサス親父らの上映禁止請求が棄却!

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【話題】:右派論客のトンデモ発言を収録した映画『主戦場』の裁判で、ケント・ギルバート、テキサス親父らの上映禁止請求が棄却! 

 戦時中に朝鮮人の強制労働が行われていた歴史をめぐり韓国が異を唱えていた、「佐渡島の金山」の世界遺産登録への推薦に踏み切った岸田政権。「登録が見込めない」としていったんは推薦見送り方針だったにもかかわらず、「歴史戦」とやらを連呼する安倍晋三元首相ら極右勢力に媚びる形で一転、推薦強行に転じたのだ。

 戦時中、佐渡鉱山でも長崎の端島をはじめとする地域と同様、朝鮮人が強制的に連行された上で危険な労働を強いられていたことは新潟県が編纂した通史でも記述されている史実にもかかわらず、「韓国人強制労働の痛ましい歴史に目を背けている」という韓国政府からの当然の抗議に、林芳正外相は「韓国側の独自の主張は受け入れられず遺憾」などとフェイクまがいの反論。

 「ハト派」「リベラル」を自称する岸田首相だが、岸田政権になっても歴史修正主義・韓国ヘイト路線を改めるつもりはまったくないらしい。

 そんななか、最近、歴史否認・歴史修正主義者たちの言論封殺の動きがNOを突きつけられる判決があった。

右派論客のトンデモ発言を収録した映画『主戦場』の裁判で、ケント・ギルバート、テキサス親父らの上映禁止請求が棄却!の画像1

『主戦場』公式HPより

 旧日本軍の従軍慰安婦問題をめぐる論争を扱った映画『主戦場』(ミキ・デザキ監督)に関し、同作に出演するケント・ギルバート氏や藤岡信勝氏など  
右派論客が上映禁止を求めていた裁判で、1月27日請求が棄却されたのだ。

 2019年に公開された映画『主戦場』は、日系アメリカ人のデザキ監督が、慰安婦問題をめぐる“否定派”と“リベラル派”双方の主張を対比させ、一次資料を分析しつつ検証するという内容。なかでも見所は、自民党杉田水脈衆院議員やケント・ギルバート氏、「新しい歴史教科書をつくる会」の藤岡信勝氏、テキサス親父ことトニー・マラーノ氏、櫻井よしこ氏など右派論客が垂れ流す歴史修正や差別主義丸出しの言辞の数々だ。 

 たとえば、テキサス親父のマネージャーである藤木俊一氏は「フェミニズムを始めたのはブサイクな人たちなんですよ。ようするに誰にも相手されないような女性。心も汚い、見た目も汚い。こういう人たちなんですよ」と性差別を剥き出しに。杉田水脈議員は「どんなに頑張っても中国や韓国は日本より優れた技術が持てないからプロパガンダで日本を貶めている」などと陰謀論をぶちまけている。

 同作はこうした“否定派”のトンデモ発言や、監督によって緻密に論点整理された構成が話題を呼び、国内外の多くのメディアに取り上げられた。2019年4月の東京を皮切りに全国順次公開し、大きな話題になったのだが、これに対してインタビュートンデモ発言を口にしていた一部の右派論客が上映を中止させようと裁判を起こしたのである。

 訴えたのは、“否定派”の出演者であるケント・ギルバート氏、テキサス親父ことトニー・マラーノ氏、「新しい歴史教科書をつくる会」の藤岡信勝氏、テキサス親父のマネージャーである藤木俊一氏、元「在日特権を許さない市民の会」の山本優美子氏(「なでしこアクション」代表)ら5名。彼らは、2019年6月、同作の上映禁止と損害賠償1300万円を求めてデザキ監督と配給会社・東風を提訴したのだが、2年半もの長い裁判を経て、今回、東京地裁で請求が棄却されたのだ。 

 当然の判決だろう。実際、藤岡氏らの主張は説得力に欠けるものばかり。たとえば映画で「歴史修正主義者」「否定論者」「ナショナリスト」「極右」「性差別主義者」などと紹介されたことで著作者人格権を侵害されたと主張したが、その発言や主張から考えれば、正当な論評であると言っていい。

 また、「商業映画と知らされていなかった」などと難癖をつけていたが、事前にデザキ監督側の用意した「承諾書」「合意書」にサインしていた。この経緯については、2019年藤岡氏らが上映中止要求の会見を開いた際、本サイトでも報じていたが(https://lite-ra.com/2019/06/post-4752.html)、今回の判決でも退けられた。

 デザキ監督は判決後の会見で「この裁判の勝利は、日本における表現の自由の勝利」と判決を評価したうえで、右派連中の狙いについてもこう喝破した。

 「裁判の目的は、この映画の評価を毀損し、上映を止めるためのものだと明らかになったと思います」

 「裁判に負けてしまうと、原告は慰安婦自体をフェイク、嘘の話と言ったはずです。そういうことがあってはいけないということで、裁判に対して非常に重みを感じながら今日にいたりました」

 デザキ監督の言うとおり、「歴史戦」を叫ぶ極右連中のやり口は、慰安婦問題の本質とは関係のない裁判を持ち出して「慰安婦はフェイク」「慰安婦は嘘」などと史実を捻じ曲げるものだ。実際、映画『主戦場』でも彼らの歴史否認の本音がどこにあるかが否応なく伝わってくる。

 本サイトでは、2019年4月映画公開当時、デザキ監督のインタビューとともに映画『主戦場』を紹介する記事を配信した。以下に再録するので、歴史修正主義がいかに差別と表裏一体であるか、極右連中の「歴史戦」なるものの正体をあらためて認識してほしい。(編集部

 ◆テキサス親父は慰安婦像を「ブサイクのガラクタ」杉田水脈は韓国を「嘘は当たり前の社会」と、加瀬英明は吉見義明も秦郁彦も「読んだことない」

 戦中の日本軍による慰安婦問題を題材にした映画『主戦場』が、反響を呼んでいる。

 出演者には杉田水脈衆院議員やケント・ギルバート氏、藤岡信勝氏、テキサス親父ことトニー・マラーノ氏、櫻井よしこ氏などといった従軍慰安婦を否定・矮小化する極右ネトウヨ論客が勢揃い。「慰安婦はフェイク」と喧伝する歴史修正主義者たちと、慰安婦問題に取り組むリベラル派の学者や運動家らがスクリーンのなかで“激突”するドキュメンタリー作品だ。

 同作の見所は何と言っても、慰安婦問題をめぐる国内外の“論客”を中心とする30名余りへのインタビューだろう。

 櫻井よしこ氏ら“極右オールスターズ”の面々は「慰安婦は売春婦だった」「合法であり犯罪ではない」「慰安婦像設置の背景には中国の思惑がある」などの主張を展開。これに対して、吉見義明・中央大学名誉教授や「女たちの戦争と平和資料館」の渡辺美奈事務局長、韓国挺身隊問題対策協議会(挺対協)の尹美香常任代表らが反論を展開する。

 出演者らは顔を付き合わせて討論するわけではないが、論点を明確にして構成されていることで主張の対立点や強度を意識しやすく、ハイテンポなカット割りも相まって飽きさせない。映画は双方の主張を取材や資料を用いて細かく比較・検証し、その矛盾や恣意性を明らかにしていく。

 とくに、本サイトがオススメする同作の鑑賞法は、歴史修正主義者の口から発せられる主張のトンデモさをじっくりと吟味することだ。

 たとえば保守派の重鎮で、慰安婦否定論者の加瀬英明氏(日本会議代表委員)の場合、「慰安婦問題に関して正しい歴史認識をしている歴史家は?」と聞かれて「私がそのひとり」と自認する。しかし驚くことに、加瀬は慰安婦問題研究の第一人者のひとりである吉見名誉教授のことは「知りません」と嘯く。それどころか、保守派の歴史家である秦郁彦・千葉大学名誉教授の著書すら「読んだことない」「人の書いたものあまり読まないんです。怠け者なもんで」などと宣うのだ。

 ちなみに、加瀬氏は「『慰安婦の真実』国民運動」という団体の代表も務めている。この極右団体は昨年、監事(当時)の藤井実彦氏が台湾で慰安婦像を蹴り、大きな国際問題になったことも記憶に新しい。他にも、同会は加瀬氏自身の名義で地方地自体が慰安婦問題を扱う映画を後援することにクレームをつけている。そんな人物が、基本的な慰安婦研究すら「知らない」「読んだことない」などと恥ずかしげもなく開陳するのだから、呆れてものも言えない。

 もちろん、右派のトンデモはこれだけではない。右派陣営のインタビューからは明確な人種差別・性差別の意識が浮かび上がる。

 たとえば杉田水脈は“米国での慰安婦像設置のバックにいるのは中国”などと言い出し、「どんなに頑張っても中国や韓国は日本より優れた技術が持てないからプロパガンダで日本を貶めている」と陰謀論を全開。さらには「日本が特殊なんだと思います。日本人は子どものころから嘘をついちゃいけませんよと(教えられてきた)」「嘘は当たり前っていう社会と、嘘はダメなのでほとんど嘘がない社会とのギャップだというふうに私は思っています」とヘイトスピーチを連発する。

 また、テキサス親父は「慰安婦像を見に言ったとき、私は(像の顔にかぶせるための)紙袋を持って行った。それがふさわしいと思ってね。ブサイクのガラクタには紙袋がお似合いだ」などと笑いながら語り、テキサス親父のマネージャーである藤木俊一氏は、「フェニミズムを始めたのはブサイクな人たちなんですよ。ようするに誰にも相手されないような女性。心も汚い、見た目も汚い。こういう人たちなんですよ」と言い放つ。

 映画のなかでもナレーションで「差別意識が元慰安婦は偽証しているとの考えに繋がっているようだ」とはっきり指摘されていたが、まさにその通りとしか言いようがないだろう。

 ◆暴かれるIWG報告書の虚構と櫻井よしこの調査費支払いの事実

 慰安婦問題をめぐる右派の性差別的・人種差別的な態度については、映画の後半でも「元修正主義者」と紹介される女性が証言する。保守界隈に身を置いた立場から否定主義者たちの振る舞いについて語るのだが、実はこの女性は、数年前まで「ネクスト櫻井よしこ」として保守論壇で注目を浴び、実際、右派の月刊誌にも何度か寄稿したことのある人物。だが、あるときから「ナショナリスト」たちの主張を疑うようになり、今は距離を置いているという。

 さらに、この女性が“否定主義者の嘘”を告白する場面は、映画『主戦場』のハイライトのひとつとなっている。詳しくは劇場で直接見ていただきたいのだが、ここでは予備知識として、あるいは鑑賞後のための補足情報として記しておこう。

 はじまりは、産経新聞が2014年11月1日の紙面で〈著名な米国のジャーナリストが日本の慰安婦問題の調査に本格的に取り組み始めた〉として、マイケル・ヨン氏というフリージャーナリストを紹介したことだった。これに続けて産経は、同月27日付で「慰安婦『奴隷化』文書なし 米政府2007年報告に明記」と題した記事を掲載。ともに古森義久・ワシントン駐在客員特派員による署名記事である。書き出しはこうだ。

〈米政府がクリントン、ブッシュ両政権下で8年かけて実施したドイツと日本の戦争犯罪の大規模な再調査で、日本の慰安婦にかかわる戦争犯罪や「女性の組織的な奴隷化」の主張を裏づける米側の政府・軍の文書は一点も発見されなかったことが明らかとなった。〉

 記事の言う「大規模な再調査」というのは、2007年に米政府がまとめた「ナチス戦争犯罪と日本帝国政府の記録の各省庁作業班米国議会あて最終報告」(通称・IWG報告書)のことを指している。産経は、〈慰安婦問題の分析を進める米国人ジャーナリスト、マイケル・ヨン氏とその調査班と産経新聞の取材により、慰安婦問題に関する調査結果部分の全容が確認された〉として、IWG報告書のなかに「慰安婦関連は皆無」だったことを根拠に〈日本側の慰安婦問題での主張の強力な補強になることも期待される〉と書いた。

 マイケル・ヨン氏は「IWG報告書をスクープ」ともてはやされ、「正論」(産経新聞社)や「週刊文春」(文藝春秋)でも「報告書は『二十万人の女性を強制連行して性奴隷にした』という事実が一切ないことを証明している」などと触れ回った。これ以降、保守界隈では「結果的にIWGは『慰安婦を軍が強制連行などして性奴隷とした証拠はなかった』とするもの」(ケント・ギルバート)などとして広く流通。ようするに、IWG報告書は右派陣営から“慰安婦問題の犯罪性を否定する切り札”として扱われてきた。

 ところが、である。映画『主戦場』では、このIWG報告書をめぐる右派の言説が見事にひっくり返される。実は、前述の「元修正主義者」の女性こそ、ヨン氏とは別の米国人とともにくだんの報告書を「発見」した人物で、いわば真のオリジネーター。その彼女が、映画のなかで後悔の言葉とともに語るのが、“IWG報告書をめぐる右派の宣伝がいかに虚構であるか”という具体的な説明なのだ。

 しかも、映画のなかでは名指しこそされていないが、マイケル・ヨン氏は慰安婦問題をめぐって、普通では到底考えられない額の「調査費」まで受け取っていたとされる。実際、ヨン氏は自身のブログに〈櫻井女史らは、私に調査をするようにお金を支払った〉と記しているのだ。あまりに生臭い話だが、映画ではこの「高額調査費」問題についても監督が櫻井氏に直撃しているので、ぜひ櫻井氏の“反応”をスクリーンで確認してほしい。

 ◆『主戦場』ミキ・デザキ監督が本サイトに語った「どっちもどっち」批判

 ちなみに、映画の公開前には、出演者に極右歴史修正主義者やネトウヨ文化人が多数ラインナップされていることから「否定派の宣伝になるのではないか」との懸念の声もネット上で散見された。だが、この映画は単なる「両論併記」で終わらない。

 本作が映画デビュー作となるミキ・デザキ監督は、1983年生まれの日系アメリカ人2世。日本での英語教師やYouTuber、タイでの僧侶経験もあるという異色の映像作家だ。2013年にYouTubeで日本社会のなかのレイシズムの存在を指摘したところ、ネトウヨに炎上させられた。そうしたなかで、朝日新聞植村隆・元記者に対するバッシングを目の当たりし、慰安婦問題への関心を高めたという。両陣営から介入されないため、クラウドファウンディングで資金を集めて『主戦場』を製作した。

 デザキ氏は本サイトの取材に対し、「両方の主張のどちらがより筋が通っているかを比較するべき」と語る。

「論点を並べて“どっちもどっちだ”というやり方は、実のところ政治的なスタンスの表明に他なりません。慰安婦問題に関しては、いま日本では右派の主張がメインストリームになっている。そこに挑戦を示さないことは、彼らの言いなりになるということであり、その現状を容認することに他なりませんから。日本のメディアの多くは両論併記を落としどころにしていますが、それは、客観主義を装うことで、語るべきことにライトを当てていないということ。単に並べるだけでなく、比較することで生まれる結論があります」

 従軍慰安婦をめぐる否定派/肯定派の「論争」にスポットライトを当てながらも、決して“どっちもどっち”にならない映画『主戦場』。終盤では、日本の歴史修正主義の背景にある極右団体「日本会議」や安倍晋三首相に連なる戦後日本政治の流れもフォーカスされる。

 一般公開に先駆けて行われた日本外国特派員協会での上映会後の質疑応答では、デザキ監督に対し否定派の言論人から批判的な質問も飛んだ。4月19日には、日本会議が〈この映画には、日本会議に関して著しい事実誤認が含まれている〉などとする声明をHPで公表。4月25日発売の「正論」ではケント・ギルバート氏が「とても見るに値しない映画」などとこき下ろしている。まさに大慌てといった感じだが、ようするに、それだけ否定論者たちの心に迫った映画だということだろう。いずれにせよ、判断するのは観客だ。(編集部

 元稿:LITERA・リテラ(本と雑誌の知を再発見) 主要ニュース 社会 【裁判・法律】  2022年02月06日  05:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【話題】:石原慎太郎死去で差別丸出し発言を朝日までが“石原節”と称える異常! 一方、差別批判にはネトウヨが「死者への冒涜」と的外れ攻撃

2022-02-19 23:50:30 | 【人権・生存権・同性婚・人種差別・アイヌ民族・被差別部落・ハンセン病患者】

【話題】:石原慎太郎死去で差別丸出し発言を朝日までが“石原節”と称える異常! 一方、差別批判にはネトウヨが「死者への冒涜」と的外れ攻撃

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【話題】:石原慎太郎死去で差別丸出し発言を朝日までが“石原節”と称える異常! 一方、差別批判にはネトウヨが「死者への冒涜」と的外れ攻撃 

 2月1日に死去した石原慎太郎・元東京都知事をめぐり、またぞろ「不謹慎」「死者への冒涜だ!」といった声が噴出している。

石原慎太郎死去で差別丸出し発言を朝日までが石原節と称える異常! 一方、差別批判にはネトウヨが「死者への冒涜」と的外れ攻撃の画像1

石原慎太郎Twitterより

 たとえば、政治学者の山口二郎・法政大学教授が訃報を受けて〈改めて、彼が女性や外国人など多くの人々を侮辱し、傷つけたことを腹立たしく思う。日本で公然とヘイトスピーチをまき散らしてよいと差別主義者たちを安心させたところに、彼の大罪がある〉とツイートすると、共感する意見が集まった一方で、〈亡くなったばかりの人に言うことではない〉〈人間の屑〉〈死者を侮辱〉〈日本人の感覚とは、かけ離れている〉などという非難も殺到。挙げ句、自民党の長島昭久衆院議員にいたっては〈こういうのこそヘイトスピーチと言うのではないか〉とまで言い出した。

 辟易するほかないが、ヘイトスピーチとは人種、民族、国籍、性などの属性を有するマイノリティの集団もしくは個人に対してその属性を理由とする差別的表現のことであり、山口氏のツイートはヘイトスピーチでもなんでもない。山口氏が指摘するように、生前、ヘイトスピーチをはじめとする数々の差別発言を連呼しつづけてきたのが石原氏だ。そんな当たり前の指摘をしただけで「死者への冒涜だ!」と騒ぎ立てるほうがどうかしているだろう。

 しかし、このような筋違いの非難が起こるのもある意味当然かもしれない。というのも、肝心の大手メディアの報道自体、石原氏が繰り返してきた差別発言をほとんど取り上げず、ワイドショーだけではなく大手新聞やニュース番組までもが「石原節」などと報じているからだ。

 実際、1日夜の『報道ステーション』(テレビ朝日)では、「歯に衣着せぬ石原節が人々の心を掴んだ」などと表現。新聞も同様で、2日の朝刊では朝日新聞が「石原都政、直言も放言も」、毎日が「「石原節」物議醸す」、東京新聞までもが「硬軟巧み 慎太郎流」などと伝えた。

 いや、それどころか、朝日新聞デジタルにいたっては、1日夕方に「「外国人が凶悪な犯罪」「参拝して何が悪いの」数々の石原節」として記事を配信。「外国人が凶悪な犯罪」という石原氏の発言はヘイトスピーチそのものだが、それを「石原節」などと表現したのである。

 この朝日の記事は批判が集まったためか、その後、「数々の石原節」という部分が「主な発言」と修正されたが、このように大手メディアの報道では、石原氏の差別発言が「差別」としてほとんど検証・批判されていないのだ。

 本サイトでは繰り返し指摘してきたが、政治家や学者、芸術家らが鬼籍に入っても、過去の言動や表現、作品をきちんと検証・批判するのは当然の行為だ。とりわけ石原氏は「芥川賞作家で昭和の大スター・石原裕次郎の兄」として脚光を浴びてきただけでなく、その抜群の知名度を活かして政治の世界に進出し大臣を歴任したほか、13年ものあいだ東京都知事を務めた公人中の公人である。

 そして、政治家による差別発言は差別を許容・肯定していいものだという社会の認識を生み出すものであり、その意味でも石原氏の生前の発言は悪質極まりなく、亡くなったからといって免罪されるものではない。むしろ、訃報に際してその功罪はしっかり検証されなければならないものだ。にもかかわらず、よりにもよって差別発言を「歯に衣着せぬ石原節」「放言」と矮小化するとは……。

 ◆水俣病患者の抗議に「IQが低い」、「テレビにも同性愛者の連中が平気で出てる」と性的マイノリティ攻撃

 当然、そのような差別礼賛報道を看過するわけにはいかない。石原氏の発言が「石原節」「放言」などとは到底言いようもない、いかに卑劣なものだったか、以下に代表的なものを挙げていこう。

 たとえば、石原氏が剥き出しにしてきたのが障害者に対する差別であり、その差別発言によって“障害者排斥論”をさんざん煽ってきた。実際、環境庁長官だった1977年には、水俣病問題で「ニセ患者もいる」などと言い放った上、熊本に現地視察した際、水俣病患者が手渡した抗議文に対して「これを書いたのはIQが低い人たちでしょう」と発言。さらに都知事時代の1999年には重度障害者の治療にあたる府中療育センターを視察後に「ああいう人ってのは人格あるのかね」「ああいう問題って安楽死なんかにつながるんじゃないかという気がする」とも発言した。さらに、政界引退後の2016年に起こった相模原障害者殺傷事件についても、「文學界」(文藝春秋)での対談内で「あれは僕、ある意味で分かるんですよ」とよりにもよってジェノサイドに理解を示し、2020年に元厚労省医系技官ら2名の医師がALS患者の女性に薬物を投与し殺害した事件が起こると、Twitterに〈業病のALS〉〈武士道の切腹の際の苦しみを救うための介錯の美徳も知らぬ検察の愚かしさに腹が立つ〉と投稿している。

 女性に対する差別も酷かった。田中真紀子氏への「更年期じゃないの」発言や小池百合子氏への「大年増の厚化粧」発言など枚挙に暇がないが、とくに大きな問題となったのが、都知事時代の2001年、「週刊女性」(主婦と生活社)の「石原慎太郎都知事吠える!」という記事内においての発言だ。石原氏は当時東京大学教授だった松井孝典氏からの伝聞だとした上で、「“文明がもたらしたもっとも悪しき有害なものはババァ”なんだそうだ。“女性が生殖能力を失っても生きてるってのは、無駄で罪です”って。男は80、90歳でも生殖能力があるけれど、女は閉経してしまったら子供を生む力はない。そんな人間が、きんさん、ぎんさんの年まで生きてるってのは、地球にとって非常に悪しき弊害だって……。なるほどとは思うけど、政治家としてはいえないわね(笑い)」と述べたのだ。

 この発言の謝罪・撤回を首都圏の女性113人が求めた裁判では、請求は棄却されたものの、一審の東京地裁、二審の東京高裁ともに「教授の話を紹介する形だが、知事個人の意見を表明した」と認定、「女性の存在価値を生殖能力面のみに着目して評価する見解は個人の尊重などを定めた憲法と相いれない」と指摘したが、石原氏に反省はなく、2005年には「私が司法の対象になるのは分からない。裁判のための裁判であの人たちのパフォーマンス」「変な左翼」「シャケだって(中略)産卵したら死ぬわけでしょ」と差別を上塗り。そして、女性差別を繰り返してきた石原都政下では、男女平等担当部局が部から室へ格下げされ、平等を求めて女性が裁判を起こした場合に経済的な支援をおこなう訴訟支援・制度の打ち切り、東京女性財団や男女平等推進基金が廃止されるなど、男女平等実現のための施策が後退に追い込まれたのである(しんぶん赤旗2005年6月29日付)。

 また、石原氏が女性同様に標的にしたのが性的マイノリティだ。2000年には東京都が策定中だった「人権施策推進のための指針」の骨子から、原案にあった「同性愛者」を施策の対象から削除。これについて石原氏は会見で「特殊な性状を持っている人は見た目ではわからないから、どういう形で人権が棄損されるケースがあるのか想像が及ばない」「私は純粋なヘテロだから」と発言。2010年には、性描写規制を進めようとする都青少年健全育成条例改正案に関連して「男のペア、女のペアがあるけど、どこか足りない感じがする。それは遺伝とかのせいでしょう。マイノリティで気の毒ですよ」「テレビにも同性愛者の連中が平気で出てる。日本は野放図になり過ぎている」などと発言。これにはマツコ・デラックスが、東京都が株主である東京メトロポリタンテレビ(TOKYO MX)の『5時に夢中!』において「言ってみれば狂ってるよ、この発言は」「すべて信憑性なくなるよね。あの発言は狂ってますよ」と批判した。

 ◆「三国人」発言に代表される排外主義、東日本大震災では「これはやっぱり天罰」

 さらに、石原氏が煽ってきたのが排外主義、外国人差別だ。そもそも石原氏といえば、1983年衆院選選挙期間中、立候補していた故・新井将敬氏のポスターに石原氏の公設秘書が「(新井氏は)66年に北朝鮮から帰化」と書いたシールを貼り付けるという事件が起こったこともあるが(石原氏は「秘書がやった」と主張)、石原氏の外国人差別発言として忘れてはならないのが、2000年の陸上自衛隊の観閲式でおこなった「三国人」発言だろう。

 このとき石原氏は、「不法入国した多くの三国人、外国人が非常に凶悪な犯罪を繰り返している」「すごく大きな災害が起きた時には大きな騒擾事件すら想定される」「三国人が騒擾事件を起こせば治安出動していただく」と発言。「三国人」という差別用語を持ち出しただけではなく、関東大震災時に起こった朝鮮人虐殺を正当化するかのような物言いで外国人に対する偏見を煽ったのだ。 

 しかも、この卑劣な石原氏の発言には賛同の声があがり、実際、「日本会議」と自民党民主党所属の議員らが都庁内で石原発言を支持する集会を開催。こうした支持の声を背景に、その後も石原氏は「(中国人の犯罪は)民族的DNAを表示するような犯罪」(産経新聞の連載にて)などと直球のヘイトスピーチを繰り返した。

 このほかにも東日本大震災の発生からわずか3日後に「津波をうまく利用して、我欲を洗い落とす必要がある」「これはやっぱり天罰だと思う」などと発言するなど、石原氏の暴言、差別発言は挙げだすとキリがないが、このように、石原氏は障害者や女性、性的マイノリティ、外国人といった人びとの人権を侵害して侮辱し、貶め、攻撃を煽ることで危険にさらしてきたのだ。

 いや、差別発言だけではない。石原氏が尖閣諸島の購入計画をぶち上げたことがその後の国有化をもたらし日中関係をさらに悪化させたが、それ以外にも南京大虐殺や旧日本軍「従軍慰安婦」の強制連行を否定するなど歴史修正主義を全開にしたほか、「兵器を保有すべき」だの「徴兵制で若者を鍛え直す」だのと軍事力増強を主張したり「支那(中国)と戦争して勝つ」といった好戦的発言を連発。また、イラク人質事件が起こった際には自己責任を振りかざし、リーマンショックの影響で「年越し派遣村」に数多くの生活困窮者が集まった際にも求職者の姿勢や生活保護を「甘え」と切って捨てた。 

 障害者差別や優生思想、外国人差別による排外主義の煽動、ジェノサイドの肯定、女性や性的マイノリティへの攻撃、歴史修正主義、自己責任の強調や生活保護バッシング──。石原氏の暴言・差別発言、ヘイトスピーチを挙げればはっきりとするように、石原氏は差別主義者以外の何物でもない。

 しかも、石原氏の問題は、彼一人のものではない。その存在は、安倍晋三・元首相をはじめとするネトウヨ極右のベースとなり、橋下徹氏や維新的ポピュリズム、優生思想の跋扈を生み、社会的弱者への攻撃、民族差別、障害者差別が堂々とまかり通る土壌をつくり出した。

 だからこそ、石原慎太郎という政治家の言動については徹底した検証と批判がなされなければいけないのである。

 何度でも言う。石原慎太郎への批判は「死者への冒涜」などではない。この国でこれ以上の「人権侵害」「差別」の広がりを食い止めるために、絶対に必要なことなのである。(編集部

 元稿:LITERA・リテラ(本と雑誌の知を再発見) 主要ニュース スキャンダル 【差別】  2022年02月03日  06:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【話題】:安倍のせいで「佐渡金山」世界遺産は逆に絶望的に! ■歴史修正主義宣伝と影響力誇示のためだけに“安倍フォン”かけまくり関係者に圧力

2022-02-19 23:50:20 | 【国連・ユネスコ・世界遺産・世界有形無形文化遺産・記念物遺跡会議

【話題】:安倍のせいで「佐渡金山」世界遺産は逆に絶望的に!  ■歴史修正主義宣伝と影響力誇示のためだけに“安倍フォン”かけまくり関係者に圧力

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【話題】:安倍のせいで「佐渡金山」世界遺産は逆に絶望的に!  ■歴史修正主義宣伝と影響力誇示のためだけに“安倍フォン”かけまくり関係者に圧力 

 2023年の世界文化遺産登録を目指す国内候補に選ばれた「佐渡島の金山」(新潟県佐渡市)について、政府がユネスコへの推薦を「見送る」とした報道から一転、28日、岸田文雄首相は「本年申請をおこない、早期に議論を開始することが登録実現への近道であるという結論に至った」と公表、ユネスコへ推薦すると表明した。

 岸田首相は「変わったとか(方針を)転換したとの指摘は当たらない」と述べたが、安倍晋三・元首相からのゴリ押しに屈したことは一目瞭然だ。

安倍のせいで「佐渡金山」世界遺産は逆に絶望的に! 歴史修正主義宣伝と影響力誇示のためだけに安倍フォンかけまくり関係者に圧力の画像1

安倍晋三Facebookより

 佐渡金山は昨年末の2021年12月28日に文化庁が文化審議会においてが国内候補に選定されたと発表したのだが、この決定に対し、佐渡金山は戦時中に朝鮮人の強制労働がおこなわれた歴史があることから韓国政府が反発。外務省も「登録が見込めない」という理由からユネスコへの推薦に消極的な姿勢を示していた。

 ところが、急に安倍元首相がしゃしゃり出るようになり、「(韓国に)ファクトベースでしっかり反論すべきだ」「論戦を避けた形で申請しないのは間違っている」などと主張。自民党政調会長である高市早苗氏やネトウヨ論客たちも一斉に岸田バッシングを開始し、ついに岸田首相は見送りの方針を一転させたのだ。

 だが、暗澹とさせられるのは、今回のユネスコ推薦決定に対し、ネトウヨたちだけではなく、マスコミや世論からも「安倍元首相や高市氏の主張は当然」「韓国が政治問題化させているだけ」という声があがり、「岸田首相が弱腰すぎた」などと安倍元首相のゴリ押しを評価する向きがあることだ。

 まったく何を言っているんだか、という話だろう。まず、そもそも岸田首相や外務省がユネスコへの推薦に消極的だったのは、戦時中の朝鮮人強制労働の歴史を重く見たとか、そういう理由ではまったくなく、自分たちの「二枚舌」が国際的に問題となることを見越した上での判断だった。

 というのも、日本政府は2015年に中国が世界記憶遺産(現・世界の記憶)に申請した「南京大虐殺の文書」が登録されたことや2016年に日中韓などの民間団体が旧日本軍「従軍慰安婦」にかんする資料を申請したことに対して「政治利用されている」などと猛反発し、ユネスコに審査方法の見直しを要求。2017年には日本政府の強い反対によって慰安婦関係資料の登録判断が延期され、登録申請の受付も中断させていた。そうしたことを受けて、ユネスコの執行委員会は2021年4月、加盟国による異議申し立てを認め、関係国が無期限で対話するなど「加盟国の反対がある限り遺産登録を見合わせる」という制度改革案を承認したのだ。

 つまり、日本政府が南京大虐殺や従軍慰安婦にかんする文書・資料の登録・申請に猛反発し、加盟国の反対があれば遺産登録を見合わせられるという制度をユネスコに導入させたというのに、今回は韓国から反対の声があがっていることも無視して推薦しようというのだ。

 今回は世界文化遺産への登録をめざすもので「世界の記憶」とは制度が異なるが、無論、「言っていることとやっていることが違う」とユネスコや国際社会から反感を買うのは火を見るより明らか。だからこそ、外務省は佐渡金山のユネスコ推薦に消極的だったのだ。現に、〈外務省内では、「今回は日本が逆の立場になり、韓国の反発がある中で推薦すれば国際社会の信用を失いかねない」との判断も働いた〉(読売新聞20日付)といい、今回の推薦決定を受けて、〈韓国が反発する中で推薦することで「日本のこれまでの主張と整合性がとれなくなる」(外務省幹部)との懸念が出ている〉(毎日新聞29日付)という。

 ◆「明治日本の産業革命遺産」では、「徴用の実施」をきちんと説明すると言いながら約束を反故に

 しかも、問題はこれだけではない。世界遺産登録をめぐっては、日本側はユネスコの世界遺産委員会との約束を堂々と破り、昨年には世界遺産委員会が「強い遺憾を示す」とする決議を採択しているからだ。

 問題となっているのは、2015年に当時の安倍首相の肝いりによって世界遺産に登録された「明治日本の産業革命遺産」。この世界遺産登録には韓国が反発していたが、日本側は朝鮮人徴用工について〈意思に反して連れて来られ、厳しい環境の下で働かされた多くの朝鮮半島出身者等がいたこと〉を認め、〈第二次世界大戦中に日本政府としても徴用政策を実施していたことについて理解できるような措置を講じる〉(内閣官房「産業遺産情報センターの在り方等について(第一報告書))」)と約束していた。

 ところが、世界遺産登録後の2017年に日本側がユネスコへ提出した「保全状況報告書」では、朝鮮人徴用工について「戦前、戦中、戦後にかけて日本の産業を支えた多くの朝鮮半島出身者がいた」という記述で強制連行や過酷労働の実態を矮小化。2019年に出された「保全状況報告書」では朝鮮人徴用工について一切触れないという下劣な手に出た。

 さらに、「徴用政策を実施していたことについて理解できるような措置を講じる」という約束から設置された「産業遺産情報センター」の一般公開では、徴用工の置かれた過酷な状況を説明するどころか、父親が軍艦島炭鉱で働いていたという人の「いじめられたとか、指さされて『あれは朝鮮人ぞ』とは全く聞いたことがない」という証言を紹介、給与やボーナスが支払われていた物証などを展示したのだ。

 あらためて言っておくが、戦時中の朝鮮人強制連行は、当事者の証言だけでなく、公文書を含んだ史料がいくつも残っている歴史的事実だ。また周知のように、徴用工は企業によって、一部、日本人と変わらない待遇を受けているケースもあったが、大半が日本人とまったく違う劣悪な環境で働かされ、虐待や暴力を受けていたこ。そのことは、戦時中の日本政府の文書など公文書にも記録されている客観的事実だ。

 ところが、同センターはそうした事実をほとんど無視して、逆にごく一部のケースを強調して強制労働の否定を宣伝したのだ。

 当然、こうした展示実態をユネスコの世界遺産委員会も問題視。2021年7月の報告書では、「産業遺産情報センター」への専門家の現地視察を踏まえて、「朝鮮半島出身者らが意思に反して連れてこられ労働を強いられたと認識するのは難しそうだという強い印象が残った」と指摘。そして、2021年7月22日に世界遺産委員会は朝鮮半島出身者らが強いられた労働についての説明が不十分なままだと判断し、「強い遺憾を示す」とする決議を全会一致で採択。「意思に反して連れてこられ、厳しい環境の下で働かされた多くの朝鮮半島出身者らがいたことや、日本政府の徴用政策について理解できるような措置」を考慮することを迫ったのだ。

 だが、このユネスコの決議に対しても、当時の加藤勝信官房長官は「約束した措置を含め誠実に実行し、履行してきた」と反論。まるで反省がないという絶句するような態度をとったのである。

 ◆安倍は自らネトウヨ用語の「歴史戦」を宣言! おかげで佐渡金山の世界遺産登録は絶望的に

 ユネスコとの約束を反故にして、突きつけられた決議に真摯に向き合うこともないのに、平然と次の世界文化遺産候補を推薦することは、怒りを買う行為にほかならない。しかも、前述したように「加盟国の反対がある限り遺産登録を見合わせる」という制度変更を要求してきたくせに、今度は加盟国から反発が起こっている案件を推薦しようというのだ。こんな不誠実な態度、下劣な二枚舌を使えば、国際社会は呆れ返り、すでにガタ落ちしている信頼はさらに失墜し、相手にされないのは目に見えている。外務省が消極的だったのは当たり前の話だろう。

 ところが、安倍元首相はこうした国際的な常識もおかまいなし。ここぞとばかりに佐渡金山のユネスコ推薦をゴリ押ししたのである。 

 言っておくが、安倍首相の目的は、「世界遺産登録によって佐渡金山の価値を広めたい」というようなものではまったくない。なぜなら、安倍首相がやろうとしているのはまったく逆の結果を生むものだからだ。

 もし、日本が本気で佐渡金山の登録をめざすのであれば、まずは「明治日本の産業革命遺産」に対して出された決議に基づいて「産業遺産情報センター」の展示を見直し、国際社会にその姿勢を示すのが先決だし、さらに今回の佐渡金山の推薦も「江戸時代の手掘りの伝統手工業遺産に対するものだ」(高市早苗政調会長の発言)などとただ反発するのではなく、佐渡金山における戦時中の強制労働の実態についてもしっかりと認めた上で韓国と対話することが必要だ。

 そうした努力もしないまま、強引に佐渡金山の世界遺産登録を主張しても、ユネスコがそれに応じることは、まずありえないだろう。それだけではない。一度世界遺産への登録が不可能と判断された推薦候補がその後、登録された例はない。 

 つまり、安倍元首相のこのゴリ押しによって、佐渡金山は今回だけでなく、将来にわたっても世界遺産登録が難しくなる可能性が高いのだ。

 しかし、安倍元首相は、そんなことはどうでもいいのだろう。なぜなら、安倍元首相やネトウヨの目的は、佐渡金山の世界遺産登録ではなく、今回の問題を朝鮮人強制労働の事実を否定する「歴史修正」に利用しようというものにすぎないからだ。

 事実、安倍元首相が勢いづいたのは、佐渡金山が国内候補に決定して韓国から反発を受けて以降のこと。しかも、27日には自身のFacebookでこう主張していた。

「(韓国側に)歴史戦を挑まれている以上、避けることはできない」

 周知のように、「歴史戦」という言葉は先の戦争を肯定する歴史修正主義者の言論拠点である産経新聞が生み出したネトウヨ用語。そんな言葉を堂々と使ったことからも、「徴用工問題は絶対に認めない」という、歴史的事実を捻じ曲げるためだけにユネスコへの推薦をゴリ押ししたのは明らかだ。

 ◆安倍の頭の中は「ネトウヨ趣味」と「政治力維持」だけ、関係者に「安倍フォン」かけまくり

 そもそも、佐渡金山の世界遺産登録の大きな阻害要因となっている「明治日本の産業革命遺産」をめぐる国際公約破りや、「産業遺産情報センター」での歴史修正主義宣伝も、安倍元首相の意向に基づくものといわれている。

 実際、安倍元首相は2020年、「産業遺産情報センター」を視察した際、Twitterで展示パネルの「戦時中の長崎造船所 徴用工に支払われていた給与+ボーナス」写真を貼り付けた上で〈当時の彼らの労働に対する待遇が本当はどうであったかを物語る貴重な資料〉〈いわれなき中傷への反撃はファクトを示す事が一番〉などと主張していた。

 当時、本サイトでは、安倍元首相が挙げた資料が徴用工の差別的待遇や強制労働を否定する「ファクト」ではけっしてなく、元徴用工の人びとが証言している強制動員・強制労働や差別的な扱いを「いわれなき中傷」などと決めつけている主張こそがフェイクであることを歴史的資料・証言に基づいて検証したが(既報参照→https://lite-ra.com/2020/10/post-5682.html)、安倍元首相は今回の佐渡金山をめぐっても、同じようなフェイク宣伝をやろうとしているのだろう。

 佐渡鉱山では長崎の端島をはじめとする地域と同様、朝鮮人が強制的に連行された上で危険な労働を強いられていたことが指摘されており、それは新潟県が編纂した通史でも記述されている事実だが、安倍元首相は佐渡金山の世界遺産登録働きかけ運動によって、同じように徴用工の強制労働、虐待否定を展開するはずだ。

 しかも、安倍元首相には、今回のユネスコへの推薦問題を歴史修正に利用しているだけではなく、自身の政治的影響力を誇示する目的もある。

 実際、外務省が今回のユネスコへの推薦に消極的な姿勢を見せると、安倍元首相は安倍派の会合で「論戦を避ける形で登録を申請しないというのは間違っている」「しっかりとファクトベースで反論していくことが最も大切だ」と発言。これは〈推薦を見送れば、党内の安倍氏に近い議員らが首相を見放しかねないとのメッセージ〉(朝日新聞29日付)だったが、じつは安倍元首相は裏でも策動。息のかかった関係官僚やメディア関係者に次々と「安倍フォン」をかけまくり、「世論を盛り上げろ」と指示していたという。

 安倍元首相は最近、自分と距離を置こうとする岸田首相に対して焦っていたというが、そんななかで持ち上がった今回の問題は、自分の政治力を岸田首相に見せつける絶好のチャンスだった。安倍元首相は昨年の総裁選でも自分の影響力を誇示して岸田氏を服従させるべく、高市支持を呼びかける「安倍フォン」を発動させたが、今回も同じように岸田首相を揺さぶろうと必死になっていたのだ。

 そして、安倍元首相の目論見どおり事は運び、岸田首相は完全に屈服。NHK読売新聞までもついに産経用語の「歴史戦」という文言まで用いて推薦することを後押しし、世間も「弱腰の岸田」「安倍元首相の主張はもっとも」などと評価しているのだ。つまり、すべては安倍元首相の思うツボとなったわけだ。

 だが、繰り返すが、今回の決定は「約束破りな上、二枚舌を使う」という国際社会からの信頼を失墜させる自殺行為にほかならず、日本が歴史修正主義による“ならず者国家”だと印象づけるだけの、愚行以外の何ものでもない。世界遺産登録をめぐって「歴史戦」などというネトウヨ用語が飛び交う状況こそが異常なのだと強く言っておきたい。(編集部

 元稿:LITERA・リテラ(本と雑誌の知を再発見) 主要ニュース 社会 【中国・韓国】  2022年01月30日  08:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

 

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【政界地獄耳】:納得できるか?国家公安委員長の「説明」/02.12

2022-02-19 08:01:10 | 【政治とカネ・政党交付金・「企業・団体献金」・政治資金・議員歳費・賄賂・後援会

【政界地獄耳】:納得できるか?国家公安委員長の「説明」/02.12

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【政界地獄耳】:納得できるか?国家公安委員長の「説明」/02.12 

 ★「法令に則して適正に処理している」。この10年あまり、どれほど国民に対して誠意のない答え政府与党はしてきたことか。場合によっては野党にも当てはまる。権力を持つ政治家は幾つかの特権も与えられているし、同時に国民のために税金を運用する責任もある。ところが何か疑惑が向けられると常套句のように「法令に則して適正に処理している」を繰り返す。だがその大半は法律違反していない、法律解釈次第ギリギリ判断、時期がずれていることで、違法とみなされないなどの抜け道駆使するだけで、清廉潔白証明にはならない。

 ★思えば広島の19年参院選をめぐる大型買収事件は元法相・河井克行が妻を当選させるために地方議員にカネを配り票の取りまとめを頼むという前近代的な、いまだにこんなことをやっている地域があるのかと思わせるような情けない事件だったが、河井は裁判で公選法違反の判決を受け懲役3年の実刑が確定している。それでも当初から冒頭のような発言を繰り返していたし、事件発覚当時は法相だったことを考えれば、あきれ返る話だが、いまだに河井から現金を受け取っていた地方議員約100人は往生際が悪く、現金を受け取っていたにもかかわらず、正直に答えたから起訴が免れると思い込んでいる。

 ★3年たっても、広島ではこの体たらくだが、自民党京都府連が広島の件同様、14年の衆院選挙前に地方議員へ現金を配布していたとする文芸春秋の告発報道で官房長官・松野博一は府連前会長で国家公安委員長・二之湯智から報告を受け「法令に則して、適正に処理をしているということでございます。私の方としてはその説明を了といたしております」と会見で答えている。自民党全体この仕組みまん延していることを想像させるが、府連の当事者ともいえる公安委員長説明納得する国民がいるのだろうか。(K)※敬称略

 (K)※敬称略

 ◆政界地獄耳

 政治の世界では日々どんなことが起きているのでしょう。表面だけではわからない政界の裏の裏まで情報を集めて、問題点に切り込む文字通り「地獄耳」のコラム。けして一般紙では読むことができません。きょうも話題騒然です。(文中は敬称略)

 元稿:日刊スポーツ社 主要ニュース 社会 【コラム・政界地獄耳】  2022年02月12日  08:59:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【政治とカネ】:再び焦点 自民京都の現金配布 安保法制室長更迭 参院選広島買収事件

2022-02-19 08:01:00 | 【政治とカネ・政党交付金・「企業・団体献金」・政治資金・議員歳費・賄賂・後援会

【政治とカネ】:再び焦点 自民京都の現金配布 安保法制室長更迭 参院選広島買収事件

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【政治とカネ】:再び焦点 自民京都の現金配布 安保法制室長更迭 参院選広島買収事件 

 政治とカネを巡る問題が、また国会論戦の焦点に浮上した。自民党京都府連が国政選挙前に現金を地元議員に配布していた問題が表面化し、野党は元府連会長の二之湯智国家公安委員長を追及。更迭された経済安保法制担当の前内閣審議官は民間企業で報酬を得ていた疑いが指摘される。2019年の参院選広島選挙区を巡る買収事件など安倍、菅政権が残した「負の遺産」の幕引きを図る岸田文雄首相にとって、新たな足かせとなる可能性がある。

政治とカネ 再び焦点 自民京都の現金配布 安保法制室長更迭 参院選広島買収事件

 京都府連を巡る問題は、10日発売の文芸春秋が報じた。府連が候補者から集めた政治資金を府議らに1人50万円ずつ配布したとされ、公選法違反となる買収目的を隠すためのマネーロンダリング(資金洗浄)との指摘もある。

 「なぜ(2016年に)960万円という中途半端な金額を、選挙の直前に府連に拠出したのか。根拠を説明してほしい」。立憲民主党の階猛氏は14日の衆院予算委員会で、16年の参院選で京都府選挙区の候補だった二之湯氏が府連に寄付した金額について追及。二之湯氏は買収目的を否定し「私の思いで寄付をした」と繰り返したが、府連が寄付を受けて政治活動資金として配布している事実は改めて認めた。

 選挙目当ての現金配布という点では、参院選広島選挙区の買収事件と共通する。事件を巡っては、検察審査会が現金を受け取った広島県議ら35人を「起訴相当」と議決したことを受け、県議の辞職が相次ぐ。岸田文雄首相は1月31日の衆院予算委で検察審査会の判断について問われたが、「個別の事件に関わる事柄で何か申し上げることは当然控えなければいけない」と明言を避けた。

 野党は前内閣審議官の藤井敏彦氏の予算委への参考人招致も要求。藤井氏は経済安全保障推進法案の策定作業を取り仕切っていたが、民間企業で講師役を務めて多額の報酬を得ていた疑いが週刊誌に報じられ、8日に更迭された。松野博一官房長官は14日の予算委で「事実関係の確認調査を行っている」と処分理由などを明かさなかった。与党は参考人招致にも慎重だ。

 首相は昨年の党総裁選で「民主主義の危機」と言いながら、広島の買収事件や桜を見る会などの疑惑解明に取り組まず、前政権までの負の遺産に向き合っていない。立憲の泉健太代表は党執行委員会で「おかしなことの真相を明らかにしていきたい」と強調した。(竹中達哉、荒谷健一郎)

 元稿:北海道新聞社 朝刊 主要ニュース 政治 【疑惑・政治とカネ】  2022年02月15日  05:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

 

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【社説①】:新型コロナ対策 国民への説明足りない

2022-02-19 07:52:50 | 【感染症(1類~5類)・新型コロナ・エボラ・食中毒・鳥インフル・豚コレラ】

【社説①】:新型コロナ対策 国民への説明足りない

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説①】:新型コロナ対策 国民への説明足りない 

 岸田文雄内閣の新型コロナウイルス対策は後手に回っている、との印象すら抱いてしまう。
 
 政府は十八日、大阪など十七道府県を対象とした「まん延防止等重点措置」の期限を三月六日まで延長し、沖縄など五県は二十日で解除することを決めた。
 
 岸田首相はこうした方針を十七日の記者会見で発表したが、会見は一月四日以来。一月十九日の重点措置の適用決定時にも記者会見を開いていない。一カ月以上会見しなかった理由について、首相は「政権発足後(立ち話形式の)ぶら下がり会見には六十回以上応じてきた」と説明するだけだ。
 
 厚生労働省の専門家会議は「二月上旬に全国の感染者数はピークを越えた」と分析するが、オミクロン株の感染拡大は続く。一日当たりの死者数報告も二百人を超え昨夏の「第五波」を上回る。
 
 首相は感染状況に応じ、正確な状況分析や必要な対策、収束の見通しを記者会見で国民に語りかけるべきではなかったか。重点措置の適用や期間延長、解除は立ち話で十分と考えていたのなら、危機感不足を指摘せざるを得ない。
 
 オミクロン株はデルタ株より重症化しにくいとしても強い感染力で感染者が増加し、高齢者中心に重症者、死亡者が増えている。首相は「重症者病床は余力がある」と説明するが、感染者増で入院できない例があり、国民と不安を共有できていないのではないか。
 
 ワクチン=写真、名古屋市内で=の三回目接種促進、不足する検査の体制強化、増える自宅療養者への支援、保健所の負担軽減策など、山積する課題をどう改善するのかも明確に説明しなかった。
 
 その一方で打ち出したのが水際対策緩和などの出口戦略だ。経済や留学生のことを考えると人の往来再開が待たれるが、規制を緩めるのであれば、感染対策を併せて示さなければ、国民が抱く感染拡大への不安は取り除けない。
 
 首相は「国民に納得感を持ってもらえる丁寧な説明を行う」と繰り返す。ならば、国民の不安と誠実に向き合い、正しい情報と感染収束に向けた決意を発信し続けることは首相の役割である。

 元稿:東京新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2022年02月19日  07:52:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【筆洗】:北海道北見市常呂(ところ)町のカーリングの歴史は一九八〇年…

2022-02-19 07:52:40 | 【中国・共産党・香港・一国二制度・台湾・一帯一路、残留孤児、国家による抑圧統治】

【筆洗】:北海道北見市常呂(ところ)町のカーリングの歴史は一九八〇年…

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【筆洗】:北海道北見市常呂(ところ)町のカーリングの歴史は一九八〇年…

 北海道北見市常呂(ところ)町のカーリングの歴史は一九八〇年に始まる。北海道と交流があったカナダ・アルバータ州の講師が、道内で開いた講習会に常呂の男性が参加したのがきっかけという

 ▼流氷が接岸する寒冷地。漁師も農家も作業のない冬にみんなで楽しもうと、町で普及が図られた

 ▼当初はプロパンガスのボンベを改良したストーンと竹ぼうきを使った。屋外グラウンドに水をまいて造ったリンクは社交の場。ビール片手におしゃべりを楽しみながら、プレーする人もいた。人々は試合のない日もリンクを整備しながら、語りあった。「JAところ」のウェブサイトなどに教わった

 ▼常呂を拠点とするチーム「ロコ・ソラーレ」がメダルを争う北京五輪のカーリング女子。語りあうことは勝つためにも重要らしい

 ▼通信社が元五輪代表の両角(もろずみ)友佑氏の評論を試合ごとに配信しているが、敗れた英国戦では、ミスとなった藤沢五月選手のショット前の選手間の話し合いに言及。「コミュニケーションを武器にしているチームにとっては珍しく短かった」と指摘した。変化する氷の状況など情報共有は不可欠。沈黙が敗北を招きがちな競技なのだろう

 ▼コロナ禍でみんなが集まっての応援はできなくなったが、四年前と同様、常呂の各家庭のカーリング談議は熱を帯びる。残り一試合。氷上で語りあう選手たちに歓喜の時が訪れることを。

 元稿:東京新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【筆洗】  2022年02月19日  07:03:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

 

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【ぎろんの森】:「平和国家」とは、何か

2022-02-19 07:52:30 | 【経済安全保障・戦略物資の供給網強化、基幹インフラの安全確保、先端技術開発他】

【ぎろんの森】:「平和国家」とは、何か

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【ぎろんの森】:「平和国家」とは、何か 

 十六日朝刊社説「『平和国家』の礎強固に」に、読者から「『平和国家』の定義を知りたい」との声をいただきました。せっかくの機会です。私たちが考える「平和国家」について、これまでの社説を踏まえてご紹介します。
 
 端的に言うと「戦争をしない国」「戦争をさせない国」で、根本にあるのは憲法九条です。繰り返しにはなりますが、条文を紹介します。
 
 第九条 日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又(また)は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。
 前項の目的を達するため、陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権は、これを認めない。
 
 九条は戦後日本の外交・防衛政策の基本指針です。安倍政権時代の二〇一三年に策定された「国家安全保障戦略」は「我が国は、戦後一貫して平和国家としての道を歩んできた。専守防衛に徹し、他国に脅威を与えるような軍事大国とはならず、非核三原則を守るとの基本方針を堅持してきた」「我が国の平和国家としての歩みは、国際社会において高い評価と尊敬を勝ち得てきており、これをより確固たるものにしなければならない」と明記します。この記述は概(おおむ)ね妥当と考えます。
 
 十六日社説で訴えたのは、政権が進める安保戦略の改定で、平和国家の歩みが蔑(ないがし)ろにされるとの危機感です。
 
 厳しさを増す日本周辺の情勢変化に応じて国民や主権、領域を守るための備えをしておくのは当然です。日本だけでなく世界の平和にも積極的に貢献する必要もあります。
 
 ただ、やみくもに防衛費を増やしたり、防衛装備を強化すればいいわけではありません。自国防衛の努力が軍拡競争を加速させ、逆に自国を危機にさらす「安全保障のジレンマ」に陥るからです。
 
 ましてや外国領域に入って攻撃するような「敵基地攻撃能力の保有」を認めれば「戦争をしない」平和国家の歩みは大きく毀損(きそん)されます。
 
 プロイセンの軍事学者クラウゼビッツは、戦争とは政治の延長線上にあると指摘しました。軍事衝突は政治・外交の失敗ですから、武力に訴えず、外交で問題解決に努めることが「平和国家」のあるべき姿と考えます。 (と)

 元稿:東京新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【ぎろん森】  2022年02月19日  07:52:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【岸田首相の一日】: 2月18日(金)

2022-02-19 07:52:20 | 【政策・閣議決定・財政・予算・地方創生・優生訴訟・年収「103万円」の壁】

【岸田首相の一日】: 2月18日(金)

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【岸田首相の一日】: 2月18日(金)

 【午前】5時59分、公邸で木原誠二官房副長官。6時56分、官邸。7時、木原官房副長官。8時16分、閣議。48分、国会。51分、鈴木俊一財務相。58分、衆院予算委員会。

 【午後】0時3分、官邸。52分、国会。1時、衆院予算委。5時2分、後藤茂之厚生労働相。5分、官邸。19分、秋葉剛男国家安全保障局長、滝沢裕昭内閣情報官。32分、滝沢内閣情報官。7時4分、公邸。

 元稿:東京新聞社 朝刊 主要ニュース 政治 【政局・岸田首相の一日】  2022年02月19日  07:44:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【あさま山荘事件】:「戦争ってこういう感じか」、怒号飛び交う突入現場

2022-02-19 05:00:20 | 【事件・未解決・犯罪・疑惑・詐欺・闇バイト・オウム事件・旧統一教会を巡る事件他】

【あさま山荘事件】:「戦争ってこういう感じか」、怒号飛び交う突入現場

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【あさま山荘事件】:「戦争ってこういう感じか」、怒号飛び交う突入現場 

 新左翼組織「連合赤軍」が長野県軽井沢町のあさま山荘に立てこもってから50年。

 当時、現場には長野県警と警視庁の多くの警察官が駆けつけた。2人の元警察官が緊迫した当時の様子を振り返った。

 「戦争ってこういう感じかと思った」。長野県警更埴(こうしょく)署(現千曲署)刑事課巡査だった関博徳さん(73)は救護員として現場に派遣されていた。 

 立てこもりから10日目の1972年2月28日午前10時、突入が開始された。関さんはけが人が出たらすぐに出動できるように担架を持って近くで待機していた。約1時間半後、20メートルほど前にいた警視庁の部隊から「撃たれた」と叫び声が上がった。「どけ」「現場を離れるな」。怒号が飛び交う中、被弾した隊員は同僚に支えられ救急車に運び込まれた。担架に乗せる間もなかった。

荒れ果てた「あさま山荘」3階の談話室と連合赤軍メンバーが最後に立てこもった「いちょうの間」(正面後方)。間の壁は機動隊の突入で破壊された=長野県軽井沢町で1972年2月28日、中村太郎撮影

 関さんは救急車に同乗したが、隊員は既に意識がなく、車内には血だまりができた。「何とか持ってくれ」。祈りは届かず、病院で死亡が確認された。亡くなった隊員は、警視庁特科車両隊の高見繁光警部(当時42歳)だった。捜査本部に殉職を伝える電話の受話器を置いた瞬間、全身の力が抜けた気がした。

 人質をすぐに救出できず、突入は同日夕まで続いた。警視庁第9機動隊警部補だった仲田康喜(こうき)さん(85)は、持っていた盾2枚で相手の銃弾を受けながら、工具などでバリケードの破壊を続けた。銃弾で崩れた壁の破片が当たったのか、ほおに何度も熱い衝撃を受けた。

「あさま山荘」2階の客室を制圧し、谷側の窓から隊旗を振る機動隊=長野県軽井沢町で1972年2月28日、吉村正治撮影

 午後6時過ぎ、壁に開けた穴から後続部隊とともになだれ込んだ。目の前に出てきた腕を、犯人だと思ってつかんだ。「私、違います」。事前に写真で顔を確認していた人質の女性だった。人質を無事に救出できたことは誇りだが、警察官2人の殉職には今もやりきれなさが残る。 

 事件で逮捕された5人のうち坂東国男容疑者(75)は、75年にマレーシアの米大使館などが占拠されたクアラルンプール事件を受けた超法規的措置で釈放され、今も国際手配されている。2人の元警察官は口をそろえた。「全員が捕まるまで事件が終わったとは言えない」【斎藤文太郎】

 ◆あさま山荘事件

 1972年2月19~28日、長野県軽井沢町にある保養所「あさま山荘」に新左翼組織「連合赤軍」のメンバー5人が管理人の妻を人質に立てこもった。警視庁と長野県警の部隊がクレーンにつり下げた巨大な鉄球で外壁を壊した10日目の同28日、強行突入して人質を救出したが、警視庁の内田尚孝警視(当時47歳)=警視長に2階級特進=と高見繁光警部(同42歳)=警視正に2階級特進=が銃撃され死亡。他に山荘に近づいた一般市民の男性1人も撃たれて亡くなった。その後、仲間14人をリンチなどの末に死亡させていたことが発覚。学生運動や新左翼運動が退潮するきっかけとなった。

 元稿:毎日新聞社 東京朝刊 主要ニュース 社会 【事件・長野・「あさま山荘事件」】  2022年02月19日  05:00:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【あさま山荘事件】:「私も向こう側にいたかも」 連合赤軍と向き合い続ける元検事

2022-02-19 05:00:10 | 【事件・未解決・犯罪・疑惑・詐欺・闇バイト・オウム事件・旧統一教会を巡る事件他】

【あさま山荘事件】:「私も向こう側にいたかも」 連合赤軍と向き合い続ける元検事

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【あさま山荘事件】:「私も向こう側にいたかも」 連合赤軍と向き合い続ける元検事 

 半世紀前に長野県軽井沢町で起きた「あさま山荘事件」は、多くの人に大きな衝撃を与えた。当時、長野地検検事として捜査に当たった古畑恒雄弁護士(89)もその影響を受けた一人だ。服役する受刑者の身元引受人を現在も務めるなど、事件を起こした新左翼組織「連合赤軍(連赤)」メンバーについて考え続けてきた。「人ごとではなく、誰もが彼らのようになり得た」

 

「あさま山荘」玄関前の道路から、大鉄球で玄関横の壁を破壊するクレーン車と、屋根裏付近に放水する機動隊の放水車=長野県軽井沢町で1972年2月28日、本社ヘリから影山日出男撮影

「あさま山荘」玄関前の道路から、大鉄球で玄関横の壁を破壊するクレーン車と、屋根裏付近に放水する機動隊の放水車=長野県軽井沢町で1972年2月28日、本社ヘリから影山日出男撮影

 1972年2月19日。土曜日でスキーに出掛けようと板を車に積んでいると、妻から「検察庁から電話」と呼び止められた。軽井沢で銃刀法違反容疑などで逮捕された男女4人が、連赤メンバーの可能性があるという。自宅がある長野市から夕方に軽井沢に着くと、別の連赤メンバー5人が人質を取ってあさま山荘に立てこもっていると知らされた。

 長野県警軽井沢署には警察庁や警視庁の幹部も出入りし、多くの報道陣が押し寄せていた。山荘近くまで視察に行ったが、同行した警察官から「(相手は)ライフルを持っています。ここら辺で戻りましょう」と言われた。緊迫度が高まっていた。

 翌日、4人のうち1人の男性メンバーの取り調べが始まった。「職業は?」「革命戦士です」。男性メンバーは名前や住所については黙秘したが、「職業」はきっぱりと答えた。逮捕容疑は…、

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 元稿:毎日新聞社 東京朝刊 主要ニュース 社会 【事件・長野・「あさま山荘事件」】  2022年02月19日  05:00:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

 

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【あさま山荘事件から50年】:警視庁幹部が現地で殉職警察官を慰霊

2022-02-19 05:00:00 | 【事件・未解決・犯罪・疑惑・詐欺・闇バイト・オウム事件・旧統一教会を巡る事件他】

【あさま山荘事件から50年】:警視庁幹部が現地で殉職警察官を慰霊

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【あさま山荘事件から50年】:警視庁幹部が現地で殉職警察官を慰霊

 1972年2月19日から10日間にわたり連合赤軍が長野県軽井沢町の「あさま山荘」に立てこもった事件から50年となるのを前に、警視庁の高山祐輔警備1課長が15日、現場から約2キロ離れた顕彰碑「治安の礎」を訪れ、殉職した警察官2人の冥福を祈った。高山課長は「2人の遺志を我々後輩がしっかり受け継ぎ、国民の安全安心のために尽くしていこうという思いを新たにした」

 
顕彰碑に献花し、殉職した警察官2人の冥福を祈る警視庁の高山祐輔警備1課長=長野県軽井沢町で2022年2月15日午後1時20分、斎藤文太郎撮影

 

 
殉職した警察官2人の冥福を祈り、献花する警視庁の高山祐輔警備1課長=長野県軽井沢町で2022年2月15日午後1時20分、斎藤文太郎撮影

 事件では72年2月19日、武装闘争による共産主義革命を掲げた連合赤軍のメンバー5人があさま山荘の管理人の妻を人質に立てこもった。警視庁と長野県警の部隊がクレーンにつり下げた巨大な鉄球で外壁を壊した10日目の同28日、強行突入して銃撃戦となり、人質を救出したが、警視庁の内田尚孝警視(当時47歳)=警視長に2階級特進=と高見繁光警部(同42歳)=警視正に2階級特進=が死亡した。事件では、他に山荘に近づいた一般市民の男性1人も撃たれて亡くなった。

 連合赤軍メンバーの逮捕後、仲間計14人をリンチなどの末に死亡させていたことが発覚し、学生運動や新左翼運動が退潮へ向かうきっかけとなった。【斎藤文太郎】

 元稿:毎日新聞社 主要ニュース 社会 【事件・長野・「あさま山荘事件」】  2022年02月15日  17:00:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【政局】:立憲・国民の「民主党」争い 温泉まんじゅう並み? 泥沼回避へ協議

2022-02-19 04:30:30 | 【政党:自民立憲維新公明国民民主共産社民れいわNHK参政みらい無所属他】

【政局】:立憲・国民の「民主党」争い 温泉まんじゅう並み? 泥沼回避へ協議

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【政局】:立憲・国民の「民主党」争い 温泉まんじゅう並み? 泥沼回避へ協議 

 同じ略称「民主党」を使って国政選挙の票を分け合う事態を解消しようと、立憲民主、国民民主両党が話し合いに乗り出した。国民の榛葉賀津也幹事長が18日の記者会見で、立憲の西村智奈美幹事長と相談した結果、両党の幹事長代理級で今後協議を始めることになったと明らかにした。

 立憲と国民は昨秋の衆院選比例代表でいずれも略称「民主党」を使用。有権者がこの略称を書いた票は、どちらの得票か区別できないため、両党の得票全体の割合に応じて案分された。 

国民民主党の榛葉賀津也幹事長=国会内で2021年3月24日午後2時57分、竹内幹撮影

 榛葉氏は会見で「我々は本家の民主党だ」と強調。ただし立憲、国民ともに旧民主党の流れをくみ、今の名称にも「民主党」が入っているだけに、「熱海の温泉まんじゅうじゃないが、どっちが本家で、どっちが元祖か分からない」とも漏らした。野党間の泥沼の争いを避けるため、「立憲と紳士的に、友好的に話し合いたい」とした。

 2019年7月の参院選の際は、旧立憲が略称「りっけん」、旧国民が「民主党」とすみ分けた。しかし20年9月に旧国民の一部などが合流した今の立憲と、今の国民が結成された後、それぞれ「民主党」で届け出た経緯がある。

 一方「民主」と書かれた投票用紙の場合、「自由民主党」「社会民主党」の党名の一部とも読めるため、昨秋の衆院選では、各自治体の選挙管理委員会が「無効」と判断したケースが多いという。榛葉氏は「調査したところ、圧倒的多数が『民主』と書き、ほぼほぼ無効になった」と説明。せっかくの協議のコストパフォーマンスはあまり高くはなさそうだ。【田所柳子】

 元稿:毎日新聞社 主要ニュース 政治 【政局・立憲民主党・国民民主党】  2022年02月19日  04:30:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【ウクライナ】:親露派「政府軍進攻の恐れ」 東部で住民に避難呼びかけ

2022-02-19 04:30:20 | 【外交・外務省・国際情勢・地政学・国連・安保理・ICC・サミット(G20、】

【ウクライナ】:親露派「政府軍進攻の恐れ」 東部で住民に避難呼びかけ

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【ウクライナ】:親露派「政府軍進攻の恐れ」 東部で住民に避難呼びかけ 

 ロシアが支援する親露派武装勢力とウクライナ軍の紛争が続く同国東部で、親露派勢力は18日、「ウクライナ軍による進攻の恐れ」があるとして、支配地域の住民に対し隣接するロシアに避難するよう呼びかけた。ウクライナは進攻を否定している。停戦ライン周辺では17日から砲撃が続くなど情勢が緊迫化しており、ウクライナ国境周辺に展開するロシア軍が情勢悪化を理由に介入する事態が懸念されている。

ウクライナ北東部ハリコフで検問所を警備するウクライナ軍兵士=2022年2月17日、AP

 親露派武装勢力の「ドネツク人民共和国」と「ルガンスク人民共和国」は18日、それぞれトップがビデオ声明を出し、「ウクライナのゼレンスキー大統領が近く進攻の命令を出す」などと主張し、子供や女性、高齢者を中心にロシアへ避難するよう呼びかけた。 

 一方、ウクライナのレズニコフ国防相は18日、「我々は防衛を強化しているだけだ。武力で奪取する計画はない」と進攻の意図を否定。1日数件だった親露派からの停戦違反行為が17日は60件まで増大したことを指摘したが、「この異常な状態を緊張増大につなげないことが我々の任務」と事態の沈静化も呼びかけた。

 17日朝から砲撃などが相次ぐウクライナ東部の停戦ライン付近では、18日も銃撃や砲撃などが続き、親露派とウクライナ軍がお互いの停戦違反行為について非難の応酬を繰り返している。【モスクワ前谷宏】

 元稿:毎日新聞社 主要ニュース 国際 【欧州・ロシア・ウクライナ情勢】  2022年02月19日  04:30:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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《社説①》:米のインド太平洋戦略 日本の外交力が試される

2022-02-19 02:05:55 | 【外交・外務省・国際情勢・地政学・国連・安保理・ICC・サミット(G20、】

《社説①》:米のインド太平洋戦略 日本の外交力が試される

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:《社説①》:米のインド太平洋戦略 日本の外交力が試される 

 米国の新たな対中国政策にどう関与していくか。日本の外交力が試される。

 バイデン米政権がインド太平洋における包括的な戦略を策定した。中核は「最大の競争相手」と位置づける中国への対応である。

 中国は南シナ海などで力を背景に勢力圏の拡大を試み、台湾を武力で威圧する。国内の少数民族への人権侵害も問題視されている。 

 新戦略は、軍事、技術、経済、外交のあらゆる分野で域内外の同盟国や友好国と連携し、対抗していく方針を打ち出した。

 目的は、中国に変革を迫るのではなく、米国や同盟国にとって有利な状況を自ら作りだしていくことだという。 

 地域の安全を脅かす活動を見過ごさないためにも、同盟国の日本は積極的に協力すべきだろう。

 新戦略は「統合抑止力」という新たな概念を基礎にしている。多国間で抑止力を築く仕組みだ。

 米国だけでなく多くの国が役割を担う。協力するにあたって重要なのは、国益に資する活動は何かを見定めることだ。

 日本に対しては、台湾有事などを念頭に軍事的な貢献が期待されているという。確かに有事になれば無縁ではいられまい。 

 国内では、中国に対抗するため中距離ミサイルの配備や、相手のミサイル拠点をたたく敵基地攻撃能力の保有などの議論が盛んだ。

 しかし、防衛力の増強を望む米国の意向に押されて、有効性を十分に検証せずに、導入ありきで議論が進むのは危うい。 

 「専守防衛」という原則を棚に上げて防衛力を増大させれば、地域の軍拡を誘発するだろう。

 「台湾有事は日本有事」と危機感をあおる声が自民党内にあるが、それを未然に防ぐ外交に全力を尽くすのが日本の役割だ。

 外交力を高めるにはアジアに目を向ける必要がある。政治の不安定さを抱えながらも経済に勢いがあるこの地域を日本は後押ししてきた歴史がある。

 感染症対策や気候変動、インフラ整備は日本のソフトパワーを生かせる分野でもある。質の面で中国を上回る貢献ができるはずだ。

 紛争を避けるために味方を増やす。そうした外交を追求してこそインド太平洋の安定につながる。

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