「愚」と言い切る東京新聞の素晴らしい社説(http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2012060502000099.html)。
とにかく、これに尽きる。斎藤貴男さんの以下の名著である。
『●『消費税のカラクリ』読了』
『●消費税のカラクリ: 斎藤貴男さんロングインタビュー』
これを読めば、いかに馬鹿げた政策であるのかが分かる。しつこく何度も言いたい。消費税に対する様々な誤解が解ける。これを読むべきだ。そして、消費税増税は最悪の政策である。
ハッキリ言って、所得税を上げればいいのだ。大企業に税金を払わせればいいのだ。防衛費といった〝壮大な無駄〟を削ればいいだけなのだ。
『●原発再稼働どころか、消費税増税でも暗躍する人』
『●働くとは何か? 死ぬために働く・・・・・・』
『●消費税増税断固反対!!: 約束に無いことのみをやるムダ内閣』
『●増税の対象は明白なはず!』
『●原発人災・消費税増税・TPPは茶番、やらせ、「八百長」』
『●消費税増税反対派が広がらない一側面』
『●ムダ内閣の消費税増税』
『●子供や弱者を守れない国: 我国では14年連続で自殺者が3万人を越えて・・・』
『●財界の総理大臣はもはや大企業の単なる代弁者』
『●我国は「崩壊した家庭」の如く』
『●消費税増税は格差を助長するだけ』
『●自民党の消費税増税反対=マニュフェスト違反』
『●年間自殺者3万人の国の消費税増税』
『●増税への諦めムードで良いのか』
『●しつこく消費税増税反対』
『●やはり消費税増税は致命的』
『●異常な自殺大国ニッポン』
『●内橋克人さんインタビュー:〝貧困マジョリティー〟の形成と『FEC自給圏』への志向』
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【http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2012060502000099.html】
【社説】
野田内閣再改造 消費増税と取引する愚
2012年6月5日
野田佳彦首相が再び内閣改造に踏み切った。問責二閣僚の交代は当然としても、再改造が消費税増税を進めるための環境整備というのは納得できない。
消費税率を二段階で10%に引き上げるための「社会保障と税の一体改革」関連法案を、今の国会中(会期延長がなければ六月二十一日まで)に成立させる意気込みを示したかったのだろう。
通常、官房長官が務める閣僚名簿の発表を首相自らが行い、内閣再改造の理由を「一体改革を含め諸懸案を前進させるための環境整備をすべく、内閣の機能強化という視点で改造した」と説明した。
◆人選の失敗を糊塗
しかし、首相が一月の内閣改造時に豪語した「最善かつ最強の布陣」が正しければ、わずか五カ月後に再改造する必要もなかった。
参院民主党の実力者である輿石東幹事長の意向に逆らえずに起きた人選の失敗を糊塗(こと)するために、内閣機能の強化を再改造理由に持ち出したのが実態だ。
参院では四月二十日、田中直紀防衛相と前田武志国土交通相の問責決議が可決され、野党側は首相に二閣僚の更迭を求めていた。
安全保障の基礎知識を欠く田中氏は国会答弁が安定せず、適格性に疑問符が付いた。
市長選告示前に送った特定候補支援文書の違法性が指摘された前田氏は旧建設省出身。大型公共事業の建設再開に前向きで「コンクリートから人へ」の民主党の理念に逆行する人選でもあった。
法的拘束力のない問責決議で政権を揺さぶる野党戦術は問題ありだが、不適格な人選の二閣僚は速やかに交代させるべきだった。
問責決議後、参院では法案審議が滞り、今国会の法案成立率は二十数%と低調だ。その責任は審議を拒否した野党側ばかりでなく、二閣僚を交代させられなかった首相も負うべきはもちろんである。
◆議員の身まず削れ
さらに今回の内閣再改造には、首相が「政治生命を懸ける」と断言した一体改革法案の今国会成立に向けて、自民党など野党側との法案修正協議に入る環境整備という側面があることを見逃せない。
財政状況に対する危機感はわれわれも首相と共有する。少子高齢化社会の進展で、現行の社会保障制度が持続可能だとは思わない。
しかし、再三指摘してきたように、衆院で審議中の法案は現行の社会保障制度の維持を基本としており、一体改革の名に値しない。
政府や国会の無駄削減や社会保障制度の抜本改革を後回しにし、消費税増税の前例づくりの法案をいくら修正したところで、国民の理解が得られる改革に仕上げるのは難しいのではないか。
内閣再改造を機に、与野党が本格的に協議を始めるというのなら、まずは政党交付金や歳費、文書通信交通滞在費の削減など国会議員が身を削る姿勢を示すことから始めてほしい。
さらに、「官」の抵抗で遅々として進まない行政改革にこそ与野党が力を合わせ、同時に、政権が代わっても大きく変える必要がないよう安定的な社会保障制度づくりに知恵を絞るべきである。
もし消費税率を上げる以外に財源を見つけることが難しいというのなら、増税前にやるべきことをやり尽くした上で、国民に理解を求めるのが筋だ。
国会は各党の主張がせめぎ合う場だ。特に「ねじれ国会」では、与党の思い通りにならないことも多いだろう。かといって民主党らしさを失っては意味がない。
初の民間人防衛相となった森本敏拓殖大大学院教授は、民主党らしさとは程遠い人選ではないか。
田中氏の不安定な国会答弁が続き、自衛官出身で安全保障の論客にすがりたかったのだろう。
ただ、自公連立政権時代の二〇〇九年に防衛相補佐官に起用されたり、集団的自衛権の行使容認や憲法改正を主張する森本氏は、民主党よりも自民党の立場に近いのではないか。
今回新任された五閣僚のうち、森本氏を除く四人は当選回数などを勘案した順送りの色彩が濃い。
その分、森本氏起用に首相の狙いが表れていると言えるが、消費税増税への協力を得るために自民党に擦り寄るのなら、民主党内からも異論が出るのは当然だ。
◆自民と同化の疑念
国民が民主党に政権を託したのは、〇九年衆院選マニフェストに自民党とは違う政権像を見たからだ。それを墨守する必要はないとしても、政治主導や地域主権、生活第一などの理念をも反故(ほご)にするのなら民主党に存在意義はない。
内閣再改造を機に自民党との連携に大きく踏み出したかに見える首相には、民主党らしさを失い、自民党と同化しつつあるとの疑念が向けられていることを、重く受け止めるべきである。
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gendai.netの記事(http://gendai.net/articles/view/syakai/136455)、東京新聞(http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/news/CK2012051702000099.html)。いつもながら孫引きですいませんが、 『来栖宥子★午後のアダージォ/さながら水面に浮かぶうたかた、手すさびのようなもの』の記事(http://blog.goo.ne.jp/kanayame_47/e/2f2935012fc7f06d57044a272d7782b3)。そして、最後に東京新聞のコラム(http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/ronsetu/CK2012052302000097.html)。
小沢氏を復党させることで、逆に消費税増税反対を撤回させる、あるいは、反対ならば小沢氏を追い出すことを考えているらしい。でも、自民党と仲良しな面々を連れて、野田首相が党を割って出ていくべきじゃないのか、そして、自民党と合体したら良い。マニュフェストに反することばかりやり、自民党の政策と大差ないのだから、合体すれば国民からは大変にわかりやすくなるはず。
2番目の記事、「仙谷由人政調会長代行は自ら発言を求めて「需給問題とは別に、再稼働せず脱原発すれば原発は資産から負債になる。企業会計上、脱原発は直ちにできない」と強調」したそうだ。だから原発を動かせとでも? そんなの東電の負債に決まっている。今後、続々出てくる廃炉のコスト、いったい誰が支払うのか?
考えてみるとこの人も弁護士だ。裏で暗躍し、糸引く弁護士って・・・・・・。
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【http://gendai.net/articles/view/syakai/136455】
消費増税 民主・自民「談合」で再び暗躍する仙谷
2012年5月8日 掲載
藤井税調会長は週1回の定期連絡で野田を指南
8日から消費税増税関連法案の国会審議が始まるが、民主党内は小沢グループ中心に反増税の勢いが強まっている。法案成立を強行するなら、野田首相は自民党に抱きつくしかなく、ウラでまた“あの男”が暗躍し始めた。
あの男。そう、民主党の仙谷由人政調会長代行(66)である。原発再稼働では、閣僚でもないのに閣僚協議に参加し、原発推進を主導してきたが、消費税アップでもシャシャり出てきた。
「4月下旬に仙谷さんは自民党の林芳正政調会長代理らと訪米した。
その際やはり、連休明けの消費増税審議について骨格を詰める話を
してきた。そして、4月28日に仙谷さんは野田首相と官邸で会い、
会談は、当初20分程度のはずが1時間にわたった。消費増税法案を
どう進めていくか。自民党との間合い。そんな話がメーンだったろう。
自民党がどのタイミングで修正案を出すのか。いまボールは
自民党側にある」(仙谷周辺)
オレがオレがと陰の実力者を気取る仙谷を、野田はこれまで遠ざけてきた。仙谷も原発問題には関わるものの、その他ではお呼びがかからず、「春ごろまではふてくされていた」(前出の周辺)。
しかし、野田が自民党との窓口を期待した岡田副総理が機能せず、再び仙谷に出番が回ってきた。野田も仙谷に頼らざるを得ないと判断したらしい。
「野田政権は、消費増税法案についてオモテでは特別委員会で
100時間の審議と言っていますが、ウラでは自民党との修正協議を
するつもり。修正案のカウンターパートは、民主が前原政調会長で
自民は林政調会長代理。そこに財務省の香川官房長も加わる。
ただ、前原が頼りないので、仙谷が事前の下ばなしを林としている
という構図です。政局面でも仙谷は、自民党の大島副総裁を
カウンターパートに大連立や解散の時期について話を
進めるつもりです」(官邸事情通)
これに藤井裕久税制調査会長(79)が、野田と週1回の定期連絡を取って、指南役としてサポートする体制だ。
もっとも、こんな都合のいいシナリオは、絵に描いたモチに終わるのが世の常。世論の6割が反対する消費増税で、民主と自民の“談合”がそうやすやすと成立するはずがない。
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【http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/news/CK2012051702000099.html】
関電管内「電力積み増し可能」 民主合同会議 検証委報告を疑問視
2012年5月17日 朝刊
民主党は十六日、原発再稼働に関して賛成と反対の提言をそれぞれまとめている二つの作業部会による二回目の合同会議を開いた。関西電力管内で今夏の電力需給見通しを14・9%不足とした政府の需給検証委員会の報告について議論し「発電量はさらに積み増すことができるのではないか」と疑問視する意見が相次いだ。
原発再稼働に反対している川内博史氏は水力発電量について「過去の発電実績に基づいて算出しているが、実際に利用できる河川の流量を発電所ごとに積み上げたのか」と質問。会合に出席していた経済産業省の担当者が確認していないと答えたため、川内氏は発電量が増える可能性があるとして再検証を求めた。
原発再稼働を容認する田嶋要氏も、夜間にくみ上げた水で発電する揚水発電について「(揚水を増やすことで)もっと発電量を増やすことができるのではないか」と指摘した。
別の出席議員からは、試運転を予定している新設の火力発電所も発電量に加えるべきではないかとの意見もあった。
一方、再稼働の是非を政治判断する野田佳彦首相と三閣僚の会合に参加している仙谷由人政調会長代行は自ら発言を求めて「需給問題とは別に、再稼働せず脱原発すれば原発は資産から負債になる。企業会計上、脱原発は直ちにできない」と強調した。
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【http://blog.goo.ne.jp/kanayame_47/e/2f2935012fc7f06d57044a272d7782b3】
『来栖宥子★午後のアダージォ/さながら水面に浮かぶうたかた、手すさびのようなもの』
財務省 東京新聞の記事「『チーム仙谷』再稼働主導」に抗議文
2012-05-16
財務省:東京新聞の記事に抗議文…原発再稼働めぐり
毎日新聞 2012年05月15日 19時01分(最終更新 05月15日 19時36分)
財務省は15日、東京新聞が4月11日付朝刊に掲載した原発再稼働をめぐる記事の内容に事実誤認があるとして、同新聞を発行する中日新聞東京本社に対して4月13日付で出した抗議文を同省ホームページ(HP)に掲載した。同省が報道機関への抗議文をHPで公表したのは、1日に出した朝日新聞の記事へのケースに続き2例目。
東京新聞の記事は「『チーム仙谷』再稼働主導」のタイトルで、関西電力大飯原発の再稼働をめぐり「財務省の勝栄二郎事務次官も野田(佳彦)首相に直接、再稼働を働きかけている」としたが、財務省は「そのような事実は一切ない」と否定。「財務省は一切取材を受けていない」と抗議している。
これに対して、東京新聞は高田昌也政治部長名で「記事の内容には自信を持っており、訂正・謝罪に応じることはできません」とのコメントを発表した。【柳原美砂子】
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【http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/ronsetu/CK2012052302000097.html】
【私説・論説室から】
自由(民主)2党
2012年5月23日
消費税増税を柱とする「社会保障と税の一体改革」法案の審議が衆院特別委で始まり、民主党と自民党との政策の違いが、ますます分からなくなっている。
消費税増税に「政治生命を懸ける」と断言した野田佳彦首相が、自民党の協力を得るために「骨格の考え方に差はないと思う」と、両党の違いよりも共通点を強調するから無理もない。
野田佳彦首相の言動は、「税金の無駄遣い根絶」「政治家主導への転換」など、民主党と国民との契約である二〇〇九年衆院選マニフェストをほごにして、自民党に擦り寄るものだ。
つまり、民主党の自民党化。これでめでたく(?)民主党は自民党の一派閥に成り果てる。言葉の応酬が激しいから対立しているように見えるが、「自由民主・民主党」という大きな政治勢力の中で「内輪もめ」をしているにすぎない。
あの暑い夏、国民が選択したのは、自民党とは違う新しい政権への交代ではなかったのか。
しかし、三年近くたって見えてきたのが、自民党と同じ政策の実現に民主党が奔走する現実だとしたら、なんとも悲しい。これでは政権交代の意味がない。
自民党と、自民党化した民主党との間に違いがない状況で衆院解散・総選挙に踏み切っても、国民に政権の選択肢はない。どっちが勝っても消費税が上がるなんて、国民をばかにするにもほどがある。
(豊田 洋一)
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asahi.comの記事(http://www.asahi.com/politics/update/0511/TKY201205110140.html)とvideonews.comの記事(http://www.videonews.com/news-commentary/0001_3/002397.php)。
相変わらず、本件小沢裁判関連では、トゲを感じる朝日の記事。福島瑞穂さん、弁護士としての当然の感想だと思うけれども。
東京地裁判決を小沢氏は無罪判決ではあったが真っ黒だ、判決文は真っ黒だけれども結論だけが無罪、といった文脈でマスコミは世論を煽っている。判決文は本当にそうなっているのか?、を郷原信郎氏が解説。
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【http://www.asahi.com/politics/update/0511/TKY201205110140.html】
2012年5月11日11時19分
小沢氏をかばう社民・福島氏 反消費増税で共闘に期待
社民党の福島瑞穂党首が、民主党の小沢一郎元代表を擁護している。指定弁護士による控訴に憤り、ほかの野党が求める証人喚問にも同調しない。連立政権時代に友好を深め、「消費増税反対」でも一致するだけに、小沢氏を批判することへの遠慮があるようだ。
10日の社民党常任幹事会。福島氏は「捜査に問題があると言われ、無罪判決が出たにもかかわらず控訴するのはどうか」と語気を強めた。小沢氏に無罪判決が出た4月26日には「衆院政治倫理審査会も、ひと呼吸置くべきだ」と述べた。自民、公明、共産、みんなの各党は小沢氏の証人喚問要求をしているが、同調しない考えだ。
これまでの福島氏は政治家の疑惑に厳しく、刑事事件に発展しなくても問題が浮上した段階で証人喚問要求を突きつけてきた。ただ、小沢氏は「消費増税がおかしいと言うなら連携できる」(福島氏)と共闘を期待する相手。2010年に政権の沖縄政策に反発して連立離脱した際には、小沢氏から電話で「あなたの方が筋が通っている」と励まされたこともある仲だ。
今回の対応について、福島氏は朝日新聞に「『親小沢』でも『反小沢』でもない。弁護士として捜査に問題があると考える」と語った。(山岸一生)
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【http://www.videonews.com/news-commentary/0001_3/002397.php】
ニュース・コメンタリー(2012年05月05日)
まちがいだらけの小沢判決報道
ゲスト:郷原信郎氏(弁護士・関西大学特任教授)
先週のNコメで小沢一郎民主党元代表を被告とする陸山会事件の判決を取り上げた。その中で、判決は小沢氏が秘書から政治資金収支報告書に虚偽を記載する旨の報告を受け、了承していたが、それが違法であるとの認識はなかったと認定した結果、小沢氏を無罪としたとの理解の上に立ち、これを論評した。
主要なマスメディアもこぞって、その文脈で判決を報道していたように見える。
しかし、弁護士で元特捜検事の郷原信郎氏は、それは単純な間違いだと指摘する。判決文をよく読むと、小沢氏が違法性を認識していなかったのではなく、小沢氏はそもそも秘書が虚偽の報告をするとは認識していなかった可能性が大きく、そのことが無罪判決の根拠となっていると郷原氏は説明する。
確かに、今回の判決は理解しにくい面がある。昨年9月に同じ事件で、石川知裕衆院議員ら元秘書の有罪判決が言い渡されているが(登石郁朗裁判長)、その判決では虚偽性やカネの出所を隠す目的だったことなどを認定している。しかし、今回の裁判では、登石判決で推認された石川氏ら元秘書が働いたとする偽装隠蔽工作の事実が認定されなかった。小沢氏の無罪理由として、小沢氏が持っていなかった可能性があると裁判所が判断した「認識」は、虚偽行為の違法性ではなくて、虚偽行為の事実そのものだった。この結果、事実上同じ事件で、180度異なる事実認定が行われた形となっているのだ。
郷原氏は今回の判決文を高く評価する。郷原氏が以前から主張するように、政治資金規正法では政治団体の代表である政治家の責任を問うためには、会計責任者の「選任および監督」の義務についての重大な瑕疵を立証するか、政治家本人が虚偽の報告に積極的に関与している事実を証明しなければならない。しかし、政治家本人が事務処理レベルに直接関わることは一般には考えられにくい上に、選任責任を問うことは極めて難しいとされ、その意味では、裁判所は法解釈のレベルで小沢氏の無罪を導き出すことも可能であった。それにもかかわらず、今回は丁寧に事実認定を積み重ねることで同様の結論に達するという手法が選択された。こうしたプロセスを踏んだ背景には、おそらく市民が参加した検察審査会への配慮があったと郷原氏は指摘する。
とは言え、「陸山会事件」を巡る裁判では明らかに小沢氏およびその事務所の、一般の市民感覚からずれた金銭感覚や杜撰な政治資金管理の実態が明らかになった。また、政治資金規正法が、ほとんど政治家本人の責任を問えない法律であることも、改めて再認識されたのではないか。政治資金収支報告書は単式簿記であるがゆえに、担保の記載が義務付けられていない。そのため、出所を明らかにしたくない資金があれば、それを別名義で銀行に預け、その預金を担保に銀行から融資を受ければ、表に出るのは銀行からの借り入れだけということになる。事実上の資金提供者の名前もわからなければ、その資金の属性も不明にすることが可能なのが、現行の政治資金規正法の実態なのだ。
また、今回の判決では、特捜検事が虚偽の報告書を作成し検察審議会に手渡していたことが明らかになっている。しかし、にもかかわらず、裁判所はそれを判断する材料を持たないとして、公訴棄却を退けている。しかし、裁判所が検察審査会の公正さをチェックできないとすれば、誰がチェックできるのか。
加えて、今週は検察の捜査報告書がロシアのサイト経由で流出するという事件まで起きている。誰が何の目的で、捜査資料を流出させたのか。この資料が表に出ることで、得をするのは誰なのか。
検察内部でただならぬことが起きている可能性を示唆する郷原氏とともに、小沢裁判判決の意味についてジャーナリストの神保哲生と社会学者宮台真司が議論した。
プロフィール
郷原 信郎 ごうはら のぶお
(弁護士・関西大学特任教授)
1955年島根県生まれ。77年東京大学理学部卒業。同年三井鉱山入社。80年司法試験合格。83年検事任官。東京地検検事、広島地検特別刑事部長、長崎地検次席検事などを経て06年退官。桐蔭横浜大学教授、名城大学教授を経て12年から現職。10年、法相の私的諮問機関「検察の在り方検討会議」委員を務めた。10年より総務省顧問・コンプライアンス室長を兼務。著書に『検察が危ない』、『組織の思考が止まるとき』、『第三者委員会は企業を変えられるか』など。
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gendai.netの記事(http://gendai.net/articles/view/syakai/135929)。そして、asahi.comのひど~い社説(http://www.asahi.com/paper/editorial20120404.html)。
asahi.comの社説のひどいこと。「自分たちで選んだ総理なら、少なくとも任期中は総理のやりたいことをやらせるように協力するのが、民主主義のルールだと思う」、「その人物の考える通りに任せる」という小沢氏の発言は、何でも好きにやらせる、暴走を許せ、という意味なのか? 「代表選で、消費増税を訴えた野田氏が勝」ったって、小沢氏が消費税増税を許すべきこと、ということになるの? あまりにひどすぎる社説じゃないですかね? 小沢つぶしのためなら、マスコミは何でもやるのですね!? 原発人災や震災、将来のことを考えると、市民の間に増税も仕方ないのかな、という意識が広がっているようにも思うけれども、原発の「安全神話」と同じ、洗脳されていると思う。第一、ジャーナリズムを標榜している者が、消費税増税の旗振りをするなんて、センスが悪すぎるし、ジャーナリスト失格だと思う。こういうところに、消費税増税反対派が広がらない一側面がある。
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【http://gendai.net/articles/view/syakai/135929】
増税反対なぜ広がらない
2012年3月31日 掲載
ホントは多数派!?
<解散ビビッて筋通さず>
党内の根強い反対論を押し切る形で増税法案は閣議決定、国会に提出された。
不思議なのは、法案阻止の動きが民主党内で思ったほど広がらなかったことだ。「中間派」といわれる議員の多くが実は増税反対といわれるが、それにしては動きが鈍かった。“我関せず”みたいな顔をして、嵐が通り過ぎるのを待っていたように見える。
増税法案の事前審査会議にも出席しなかった中間派の議員が、胸の内をこう明かす。
「行革など先にやるべきことをやらず、社会保障と切り離して増税だけを
進めるやり方はおかしい。地元の声を聞いても、増税反対が多数派です。
今回の増税法案には、もちろん内心では反対でした。でも、大きな声で
反対を訴えれば、小沢一派と思われる。それも避けたかったというのが本音です」
小沢派と思われたら、いったい何がマズイというのか。理解に苦しむが、これこそが増税推進派の狙い。まんまと策にハマっているのだから情けない。
大マスコミは「増税反対=小沢派=悪」というイメージづくりに躍起だった。「デフレ下で増税すれば経済に悪影響が大きすぎる」という反対派の意見は正論なのに、「反対のための反対」の一言で片付けてしまう。世論調査でも、わざわざ「増税をめぐって小沢氏が野田首相批判を強めていることを理解できるか」なんて質問項目を設けていた。まるで、増税反対派は政治を混乱させるのが目的の“政局屋”のように報じられているから、中間派が「一緒にされたくない」と躊躇(ちゅうちょ)してしまうのも一理ある。
だが、世論の半数以上が増税に「反対」と言っているのだ。本当に国民のためを思うなら、体を張って反対すればいいのに、率先して動こうとしない。このテイタラクは何なのか。
「内心では反対なのに声を上げなかった人たちは、選挙が怖いのです。
反対の声が高まって消費税政局になれば、解散・総選挙含みになってくる。
少しでも延命したいという議員心理が働いたのだと思う。時間が経てば
何とかなるという根拠のない楽観論にすがっているのでしょう。
自分の地位が大切で、国民の方を向いていない。閣議決定に
反対していたにもかかわらず役職を辞任しなかった人も、同じことです。
わが身可愛さで問題を先送りしているだけ。ここで筋を通せば、
採決で反対しても大義ができるのに、覚悟のない政治家が多すぎます」
(政治ジャーナリスト・鈴木哲夫氏)
国民のために声を上げたのは誰だったか。筋を通したのは誰か。有権者はちゃんと見ている。
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【http://www.asahi.com/paper/editorial20120404.html】
2012年4月4日(水)付
小沢流―民主主義が泣いている
西郷隆盛が好きで、大久保利通を尊敬する小沢一郎・民主党元代表は、リーダーシップのあり方を論じるのも好きだ。
みずからの政治塾での講義内容をまとめた06年の著書「小沢主義」に、こう書いている。「危機や難局に直面したとき、何よりも必要とされるのはスピーディな決断だ。ぐずぐずと合議に時間をかけ、日本的な『根回し』をやっているうちに危機はさらに深刻なものになる」
その10年前の著書「語る」ではこう述べている。「自分たちで選んだ総理なら、少なくとも任期中は総理のやりたいことをやらせるように協力するのが、民主主義のルールだと思う」
一貫しているのは、国民を率いる強いリーダーシップの確立をめざす姿勢だ。選ばれたリーダーがすべての白紙委任状を得るかのような主張に、私たちは与(くみ)しないが、小沢氏なりの思いは伝わる。
小沢氏は「そもそもの理念、公約に反するような行動をすれば別」との留保もつけるが、その発言からは「リーダーをいったん選んだ以上は、その人物の考える通りに任せる」という考え方が色濃くにじむ。
それが「小沢流」なのだとすると、消費増税に反発する現在の言動は、どうにも解せない。
小沢グループの約30人が政務三役や民主党の役職の辞表を出している。小沢氏らにすれば、政権交代した総選挙で訴えていなかった消費増税は公約違反なのだから、阻止に動いても「民主主義のルール」に反しないと言いたいのかもしれない。
確かに有権者や野党なら、なぜ増税が必要になったのかの説明を求めたり、批判したりするのは当然だ。
しかし、民主党議員は違う。
昨夏の代表選で、消費増税を訴えた野田氏が勝ち、首相に就いた。そして暮れの民主党案、3月末の政府案づくりでも、長時間にわたる論議をへて、手続きを踏んで、党として「消費増税」路線を明確にしたのだ。
結論を出したからには「首相のやりたい消費増税に協力する」ことこそが、政党として守るべき党内民主主義の最低限のルールである。
結論が不満だからといって、あえて党内に混乱を持ち込むやり方は、筋が通らない。これでは民主主義が泣く。
それに、広く国民にリーダーへの協力を求める小沢氏が、いわば身内の国会議員にリーダーへの同調を呼びかけないのは、どうしたことか。
小沢氏には、わかりやすい説明をしてほしい。
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東京新聞の社説(http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2012040102000036.html)。
野田首相が消費税増税法案について閣議決定してしまった。消費税問題は、原発の再稼働問題に似ている。特に理由もなく、何となく原発を再稼働しないと電力不足になるような気がしている。全く必要も無いのに。しかも害毒をばらまく。消費税増税も同様だ。地震・津波や原発人災からの復興のため、あるいは、将来のためという漠然とした理由で、その増税を納得した気になってはいないのか。14年連続で自殺者が3万人を越えたそうだが、それに拍車をかけるだけだろう。小売業者や中小企業、弱者をいじめるためとしか思えない。大企業は痛くもかゆくもない。こんな暴挙を実行させてはならない。
『●『消費税のカラクリ』読了』
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【http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2012040102000036.html】
週のはじめに考える なぜ消費税引き上げか
2012年4月1日
野田佳彦内閣が消費税引き上げ法案を閣議決定しました。これから国会審議が始まります。そこで、あらためて増税問題を根本に戻って考えてみたい。
閣議決定にこぎつくまでに民主党内では連日、深夜未明まで激しい議論の応酬が続きました。最後まで争点になったのは、景気が好転しなければ増税を凍結するかどうかをめぐる景気条項です。
結論を言えば、条文は玉虫色になりました。増税を目指す政府側は「経済成長に努力すれば増税できる」と条文を解釈し、反対派は「実質2%、名目3%成長が達成できなければ増税できない」と受け止めています。
◆増税実現に高ハードル
条文は玉虫色とはいえ、政府が成長率を数字で示すのに強く抵抗していたのを考えれば、法案がこのまま成立したとしても、実際に増税するには高いハードルが課せられたとみていいでしょう。
その前に法案が成立するかどうか不透明です。民主党内の増税反対ないし慎重派は小沢一郎元代表を中心とするグループだけでなく、小沢鋭仁元環境相や馬淵澄夫元国土交通相など経済成長を重視する議員たちにも広がりました。
国民新党は亀井静香代表が反対する一方、自見庄三郎金融相が閣議で法案に賛成し事実上の分裂状態に陥っています。
自民党はもともと増税賛成の立場ですが、最低保障年金の創設や後期高齢者医療制度の廃止を唱える民主党の議論に反対し、まず衆院解散・総選挙を訴えています。野田首相が「政治生命をかける」と力説しても、法案成立は相当難しいと言わざるをえません。
増税は社会保障との一体改革がうたい文句でした。ところが、月額七万円の最低保障年金創設だけでなく、年金一元化も具体的な制度設計を示さず、社会保障部分は置き去りにされたままです。
◆「所得再配分」の財源は
民間に比べて有利な公務員の共済年金にある「職域加算」と呼ばれる上乗せ給付の廃止も先送りです。国会議員の定数是正も進みません。これで「身を切る改革」といえるのでしょうか。
増税に伴う制度設計もずさんさが目立ちます。医療と介護、保育などの自己負担合計額に上限を設ける総合合算制度、共通番号制が始まるまでの低所得者に対する簡素な給付措置、住宅課税や消費税との二重課税が指摘されている自動車取得税・重量税の扱いなど、ざっと法案をみただけでも「検討中」ばかりです。
「まず増税ありき」の姿勢で結論に到達するのを急いできたから、弱い立場の低所得者や中小零細事業者への目配りも完全に後回しになってしまいました。
本来なら、もっと根本にさかのぼって議論を深めねばならない問題があります。それは、そもそも社会保障の財源に充てるために消費税を引き上げるのが適切なのか、という論点です。
消費税を社会保障財源に充てる考え方は、自民党政権時代から財務省が推し進めてきました。社会保障費が政府予算の三割を占め、年に約一兆円増加する現状をみれば、増税分を社会保障に回すのはもっともらしく見えます。
しかし、社会保障が「政府の所得再配分」機能そのものである点を踏まえれば、その財源も所得再配分にふさわしい税目によって賄われたほうが望ましい。それは所得税や法人税です。
高所得者により重い負担を求める累進構造を備えた所得税や利益を出した法人に課す法人税を財源に、政府が弱者への安全網を整える。それこそが所得再配分、すなわち社会保障の原理原則であるからです。
あるいは保険料の引き上げによって財源を賄う考え方もある。個人の納付記録が残る保険料を主財源にすれば、給付と負担の関係が透明になる利点があります。
これに対して、消費税は地方の基幹財源にしたほうが適切です。消費はどこでも生じるので、都会と比べた地方の偏りが少ない。行政サービスの対価として課税するので納得感も得られやすい。
たとえば住民が手厚い行政サービスを望むなら、自治体は高い消費税を課せばいいのです。もちろん逆もあります。受益と負担の関係が明確になり、結果として地域の自立意識も高まるでしょう。
◆ちゃぶ台返しの論争を
もしかしたら「私の住む街は消費税が高いから、行政サービスの質がいいんだ」と高い税金に誇りを抱く住民意識すら生まれるかもしれません。「高い税は絶対ダメ」ではなく、納得感がない増税だからダメなのです。
野田首相はよく「ちゃぶ台返しはダメだ」と言いますが、国会は政府ではありません。国会議員は政府がこしらえた議論の土俵を壊すところから論戦を始めねば。
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東京新聞のコラム(http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/hissen/CK2012031902000029.html)。
『●消費税増税は格差を助長するだけ』
『●自民党の消費税増税反対=マニュフェスト違反』
『●『消費税のカラクリ』読了』
FUKUSIMA原発人災で、「スピーディー」のデータは〝早々〟に隠され、危険性は〝早々〟にアメリカには伝えられ、一方、福島の「地元」民は被爆させられた。いま、福島の「地元」の子供達は被爆し続けさせられている。
〝時期外れ〟の消費税増税で、大企業の顔色をうかがいつつ、弱者を切り捨てる。どこが一体全体「生活が第一」なのか!? 「大企業が第一」じゃないのか?
お願いだから、「子供や弱者を守れない国」なんて書かせないでくれ。FUKUSIMA原発人災から、せめて教訓を学んでくれ。
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【http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/hissen/CK2012031902000029.html】
【コラム】
筆洗
作家の城山三郎さんは、学校の人間関係に悩んだ孫娘が学校に行けなくなった時、一枚の紙をそっと手渡したそうだ。そこに書かれていたのは「鈍(どん)・鈍(どん)・楽(らく)」という言葉だった▼鈍=人間関係に気を使わない。鈍=まわりが何を言っても気にしない。楽=そうすれば、どんどん気が楽になり楽しくなる。さりげなく、祖父はそんなことを伝えたかったのだろう▼「父は自分にも言い聞かせるように、周囲の目、声は必要なものだけキャッチして、あとはケ・セラ・セラ(なるようになる)でいけばよいと、優しく諭してくれた」と次女の井上紀子さんが自著に書いている▼お孫さんは多くの人の励ましを得て立ち直ったそうだ。周囲が静かに見守っていれば、少しぐらいの挫折を乗り越える力は子どもたちに自然に備わっている。今もそう信じているが、この数字には衝撃を受けた▼十四年連続で三万人を超えた昨年の自殺者のうち学生と生徒の自殺者が前年より百一人(10・9%)も増えた。統計を取り始めた一九七八年以来、初めて千人を突破したという▼多くの若い人たちの未来も震災によって突然奪われ、命の尊さはずっと語られてきた。その間にも、生きる希望を失った若者は自らの命を絶っていた。この悲しい現実に胸がふさがれる。何ができるか分からない。せめて、「鈍・鈍・楽」の言葉を届けたいと思う。
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THE JOURNALに出ていた記事(http://www.the-journal.jp/contents/jimbo/2012/01/post_139.html)。
神保哲生さんのvidonews.comからの転載。
本当にこのまま消費税増税で良いのでしょうか。経済をますます泥沼へと導き、社会を混乱させるだけではないでしょうか。防衛費などの削減すべき歳出があるし、課税のやり方も〝公平〟過ぎる訳で、それらを修正すれば良いだけでしょう。格差を広げるだけの消費税増税など最悪の方法です。
『●内橋克人さんインタビュー: 〝貧困マジョリティー〟の形成と『FEC自給圏』への志向』
『●年間自殺者3万人の国の消費税増税』
『●増税への諦めムードで良いのか』
『●しつこく消費税増税反対』
『●『消費税のカラクリ』読了』
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【http://www.the-journal.jp/contents/jimbo/2012/01/post_139.html】
だから消費税の増税はまちがっている
マル激トーク・オン・ディマンド
第563回(2012年01月28日)
だから消費税の増税はまちがっている
ゲスト:高橋洋一氏(政策シンクタンク「政策工房」会長・嘉悦大学教授)
いよいよ消費税増税が決まってしまいそうだ。野田佳彦首相は今週始まった通常国会冒頭の施政方針演説で、消費税増税の方針を明確に打ち出した。自民党も元々消費税増税を主張していたことから、「与野党協議」という名の国対裏取引によって消費税増税が実現するのは、永田町を見る限りは時間の問題と受け止められているようだ。
確か、財政事情や少子高齢化による人口構成の変化などで、何らかの増税は避けられないとの説が幅を利かせている。実際マル激でも、これまでそのような主張を多く紹介してきた。しかし、一見、常識的に見えるこの主張に何か問題はないのかを考えるため、消費税増税の必要性を真っ向から否定している元財務官僚の高橋洋一氏に、なぜ氏が消費税増税が間違っていると主張しているかについて、じっくり話を聞いてみることにした。
高橋氏が消費税増税に反対する理由は明快だ。
まず、増税の前にやるべきことが山ほどあるはずなのに、それがまったくできていないこと。社会保険料も10兆円単位で取り損ないがあることがわかっているのに、それも手当をしていないし、ほとんどの法人がまったく税金を払っていない現状もそのままだ。民主党の公約だったはずの納税者番号制度や歳入庁を設立し、消費税インボイスなども導入して、まずは公正・公平な税と社会保険料徴収の仕組みを作ることが先決だと高橋氏は言う。それが改善されるだけで毎年20兆円前後の歳入増となり、消費税増税による増収以上の効果がもたらされる。それに、そもそもそれをやらずに、投網をかけるように全国民に広く徴税をする消費税を上げるのは、不公平この上もない。
また、同じく増税の前にやるべきこととして、政府の資産売却や天下り特殊法人の整理も手つかずのままだ。そこに毎年血税が注入されるでたらめな歳出構造を放置したまま増税などを行っても、穴の空いたバケツに水を入れるようなものだし、当然、国民の不満は募る一方だ。
それにも増して優先されるべきこととして、高橋氏は金融政策によって名目成長率をあげるマクロ政策の実施が必須だと言う。名目成長率をあげれば財政収支が改善することは、過去のデータが明確に示している。日本と並びインフレ目標の設定を拒否してきたアメリカが今週2%のインフレターゲットを設定したことを見てもわかるように、金融政策による名目目成長率の引き上げは、「ボーリングのヘッドピン」(高橋氏)の位置づけ。これをやればすべての問題が解決するわけではないが、これを外すとストライクは不可能になるという意味で、日本はまだやるべきことを全然できていないと高橋氏は言う。
しかし、それにしても、もしそこまで明確な解があるならば、なぜ政府や日銀はそれを実行しないのだろうか。これについて高橋氏は日銀にインフレに対する極端な警戒心があることもさることながら、本当の問題は高橋氏の古巣でもある財務省にあるという。インフレターゲットが設定されマクロ政策によって名目成長率が引き上げられると、財政が健全化してしまうかもしれない。「財政が健全化すると財務省は増税ができなくなってしまう」(高橋氏)ため、財務省自身がそれを望んでいないし、それ故に、財務省の手のひらの上にのった状態にある民主党政権では、政治の側からもそういう主張は出てこないというのだ。
一見一般人には理解しがたい論理だが、あれだけ財政健全化を声高に主張する財務省の真意は、実は財政再建そのものではなく、それを謳うことで実現する「増税」の方にあるのだと言う。それは増税こそが、税の特例措置を与える権限強化を通じて、財務省の省益や財務官僚の私益につながるからに他ならないと高橋氏は言い切る。つまり、今回の消費税引き上げでも財政再建にはほど遠いことが次第に明らかになりつつあるが、それこそが財務省の真意なのであって、そう簡単に財政健全化などされると増税する口実を失ってしまい、財務省にとっては不都合になるというのが、一連の増税論争の根底にある「財務省に乗っ取られた民主党政権」問題の本質だと言うのだ。
財務省の手口を知り尽くした元財務官僚で、安倍政権下で財務省とガチンコ勝負を戦った高橋氏に、此度の消費税増税論争の根本的問題を聞いた。
今週のニュース・コメンタリー
•法的拘束力のない国民投票に意味はあるか
•エネルギー関連有識者会議続報
議論が核燃料サイクルに戻ってしまう理由
<ゲスト プロフィール>
高橋洋一(たかはしよういち)政策シンクタンク「政策工房」会長・嘉悦大学教授
1955年東京都生まれ。78年東京大学理学部数学科卒業、80年東京大学経済学部卒業。07年千葉商科大学大学院政策研究博士課程修了。博士(政策研究)。80年大蔵省入省後、理財局資金企画室長、98年~01年プリンストン大学客員研究員、06年首相補佐官補(安倍内閣)などを経て、08年退官。東洋大学経済学部教授を経て、09年政策シンクタンク「政策工房」を立ち上げ会長に就任。10年4月嘉悦大学教授に就任。著書に『消費税「増税」はいらない!』、『数学を知らずに経済を語るな!』など。
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山岡俊介さんのアクセスジャーナルの記事(http://www.accessjournal.jp/modules/weblog/、1月26日の記事)。
消費税増税という最悪の選択。TPPという最悪の選択。大企業以外、誰が喜ぶというのか。「生活が第一」が聞いてあきれる。「大企業が第一」でしかない。
『●年間自殺者3万人の国の消費税増税』
『●増税への諦めムードで良いのか』
『●しつこく消費税増税反対』
『●やはり消費税増税は致命的』
『●消費税のカラクリ: 斎藤貴男さんロングインタビュー』
『●『消費税のカラクリ』読了』
『●異常な自殺大国ニッポン』
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【http://www.accessjournal.jp/modules/weblog/、1月26日の記事】
2012/01/26
野田総理のデタラメぶりがわかる「オモシロ映像」がYouTubeにアップ
執筆者: Yamaoka (1:20 pm)
1月7日、「野田総理 マニフェスト 書いてあることは命懸けで実行」というタイトルの動画が投稿され、一部で注目を集めている。現在のヒット数は275,000回を越えたところだ。
この動画、日時は不明なのだが、野田首相が民主党政権成立前に街頭演説している様子が中心となっている。このなかで野田首相は、消費増税を掲げる当時の自民党に対し、痛烈な批判を展開していた。
それが今や、1月24日の施政方針演説でも強調したように、2015年までに消費税を10%にアップすることを“決断”。それどころか「それでも足りない」とさらなる増税をほのめかす有様だ。
本日26日には、野田首相は衆院本会議で、消費増税は「公約違反ではない」と反論した。だが、この動画を見れば、公約違反であることは「オモシロ」いほどよくわかる。
街頭演説で野田首相はこんなことを言っていた。「マニフェスト、イギリスで始まりました。ルールがあるんです。書いてあることは命懸けで実行する。書いてないことはやらないんです」。
・・・・・・。
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今日もまた、gendai.netの記事(http://gendai.net/articles/view/syakai/128676)。
タイトルが示す通り。増税どころか、『輸出戻し税』によって大企業が不労所得を得ることができるカラクリなど、斎藤貴男さんのコメントもあり。中小零細業者は軒並み倒れ、自殺者激増。詳しくは『消費税のカラクリ』を是非。
代案を示せという声が聞こえてきそうだが、エネルギー問題での松下センセ(松下竜一さん)の、
「「俺たちは電力を要求する。されど俺んちのそばにゃ発電所は
真っぴらごめんだ。―――さあ、あとどうするかはお国の方で考えろちゃ。
国っちゅうもんな、そんなこつ考えるためにあるんと違うんけ?」
と開き直ってうそぶけばいいのである。それが現状況で、みずからの命と
健康を守りわが里を守る住民側のしたたかな論理である。しかり、
開き直ること以外に、虫ケラ住民われらに抵抗の論理があられようか」。
という素晴らしい案、あるいは、斎藤さんの示す案をブログ主は支持。
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【http://gendai.net/articles/view/syakai/128676】
許すな!消費税10% 一般家庭は年間34万6000円の負担 大企業は6兆円の丸もうけ
【政治・経済】
2011年2月2日 掲載
社会保障のための増税なんて大ウソだ
民主党は「4年間は消費税を上げない」と総選挙の公約に掲げて政権交代を成し遂げたはずだ。それなのに、菅政権は国民との約束を反故(ほご)にし、増税路線を突っ走ろうとしている。財務省のスポークスマンみたいな与謝野経財相を中心に、もはや増税は既定路線のような雰囲気をつくっているが、冗談ではない。
「この不景気で、デフレ脱却の方策も講じずに、消費税を上げるのは
自殺行為です」
と言うのは、第一生命経済研究所の永濱利廣主席エコノミストだ。
「消費税は所得が低いほど相対的な負担率が高まる逆進性が知られています。
消費税が1%上がると、標準的な4人家族で年間3.4万円程度の
負担増になる。税率10%になれば、16.5万円の負担増。
年間支払額は34万6000円に上り、家計に与える影響は甚大です。
個人消費はますます冷え込み、企業の売り上げも減少する。景気低迷で
税収が減少し、むしろ財政再建の妨げになりかねません」
永濱氏の試算では、消費税の増税だけで財政再建をしようと思ったら、税率を27.3%まで引き上げなければならない。国の財政収支は瞬間的に黒字化する。ところが消費の冷え込みなどで実質GDPにマイナス6%前後の下押し圧力がかかり、2年目には財政赤字に転じてしまうという。増税による財政再建は痛みのわりに効果がないのだ。
「消費税のカラクリ」などの著書があり、消費税問題に詳しい斎藤貴男氏も、「消費税増税は大企業優遇策でしかない」と、こう言う。
「消費税の納税義務者は事業者ですが、担税者は法律で定められていない。
ここに問題があります。今はデフレ不況で値上げができない。
元請け業者は下請け・孫請けの中小零細業者に消費税分の値引きを迫る。
もちろん伝票の上では元請けが消費税を支払ったことになっている
のでしょうが、実際は中小零細企業が預かってもいない消費税を自腹を
切って納めているのが現状です」
あまり知られていないが、消費税はあらゆる税目の中で最も滞納が多いのだという。
国税庁の09年の資料では、新規発生滞納額約7478億円のうち、消費税が約3742億円と、半分以上を占めている。払いたくても払えない中小零細企業が、それだけ多いということだ。
●国民に痛みを押し付ける小泉構造改革と同じ
「中小企業が泣かされている一方で、輸出比率が高い大企業には
『輸出戻し税』という税制措置の恩恵もあります。消費税は国内の
税制度だから、輸出先からは取れません。でも、仕入れの時には
支払ったことになっている。これを是正するため、輸出にかぎっては
ゼロ税率をかけてやるのです。つまり、輸出企業は仕入れ等のために
支払った消費税を還付してもらえる。政府の予算書をもとに概算すると、
08年度の還付総額は約6兆6700億円。このうち大手10社だけで
還付金の約3割に達します」(斎藤貴男氏)
実際の消費税負担は下請けに自腹を切らせた上、還付金は丸もうけ。いわば大企業は二重に消費税の恩恵を受けているのだ。消費税率が上がれば還付金の額も増えるのだから、大企業が消費税アップを要求するのも当然である。
消費税増税は弱い立場に痛みを押し付け、大企業を喜ばせるだけ。まさに小泉構造改革路線の復活だ。菅政権は財務省や財界の言いなりになって、国民に不条理を押し付けようとしている。「増税やむなし」の音頭に騙されてはダメだ。
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